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本編(不定期更新中)
15.GPSって便利だなぁ
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夏休みになると一日中家にいることが多くなる。前はそんな事なかったが中学までの交友関係をバッサリ捨ててしまってからは休日に誰かと出掛けることもなくなってしまった。
オタ君とはたまに遊んだりするが、動画投稿で忙しいらしくあまり構ってもらえない。
今日は何の予定もなく暇だ。
セミがミンミン鳴いている。
夏の暑い日差しに焼かれたくなり、お出かけする事にした。
「ふんふんふんふーん♪」
ご機嫌で身支度をする。久しぶりに商業施設が多い近くの町まで行こうと決めた。
歩いて行くとかなり距離があるが、運動不足だしちょうどいいと思った。ゆっくり歩けば足に負担も感じない。
散歩がてら遊びに出かけた。
「ふぅ…あっちぃ」
テコテコ歩くこと1時間。ちょっと大きめな町にたどり着いた。帰りは電車を使おうと思う。
汗をハンカチで拭いながら人混みに混ざる。目的なんか無い。賑やかな雰囲気に混ざっているだけでも楽しい。
歩きながら気になる店を覗いていると後ろから来た人がぶつかった。
油断していた少年はバランスを崩して転んでしまった。
(お、おれはドジすぎるー…)
と言うかぶつかった奴は謝れ…と思ったがもうすでに通り過ぎてしまった様だ。
ちょっとだけ転んだ時に左足をぶつけて、痛くて直ぐに立てない。
1人で苦しんでいると上から声が掛けられた。最近聴き馴染んできた優しい声だ。
「宇多君、大丈夫?」
顔をあげると先生が手を差し伸べていた。
「立てる?」
「………」
何でこんな所に居るんだろう。
疑問に思った。
手を取る事なく見つめていると男は差し出していた手を引っ込めた。
痛みもだいぶ引いたので自分で立ち上がる。何と声をかけていいかわからない。
「偶然だね」
「………」
「大丈夫?怪我した?」
「…だいじょぶです」
心配そうにこちらを伺う男からは悪意は見えない。この辺で遊びに来るならばこの町にくる可能性は高い。本当にただの偶然なのかもしれない。
「歩ける?」
「うん、歩ける…ます。…いてて」
強がって歩いてみせるとぶつけたばかりの場所が痛みびっこを引いてしまった。
「ほらほら、痛むんじゃないか。歩くのまだ辛いでしょ?…ちょうどいい時間だしお昼ご飯食べながらちょっと休憩しようか」
「…あー…」
お昼に誘われてしまった。
ニコニコしているその顔を見ていると別に一緒にご飯を食べるくらい良いんじゃないかと考えた。いつもは2人きりで勉強を教えてもらっているのだし。ここには沢山の人がいるのだし。
「…はい。お昼、一緒にいきます」
「ふふ。そうしようね。ほら、あそこのお店なら近いし結構美味しいから、そこにしようか?洋食でもいいかな?喫茶店みたいな感じだよ」
「喫茶店、入ったことない」
「じゃあ、初体験だね。君に、はじめての事経験させてあげれるなんて嬉しいな」
にこやかにそう言うと、ごく自然な動作で男は少年の手を握ってきた。
ビクリッと少年の身体は揺れたが男は気にも留めない。痛む足の側を庇ってくれてるらしい。
意識し過ぎなのかもしれない。
少年は握り返すことなくされるがままになった。手を取り返そうとしたが、暖かい大きな手に握られてるのは心地よくて勿体無く感じてしまった。
オタ君とはたまに遊んだりするが、動画投稿で忙しいらしくあまり構ってもらえない。
今日は何の予定もなく暇だ。
セミがミンミン鳴いている。
夏の暑い日差しに焼かれたくなり、お出かけする事にした。
「ふんふんふんふーん♪」
ご機嫌で身支度をする。久しぶりに商業施設が多い近くの町まで行こうと決めた。
歩いて行くとかなり距離があるが、運動不足だしちょうどいいと思った。ゆっくり歩けば足に負担も感じない。
散歩がてら遊びに出かけた。
「ふぅ…あっちぃ」
テコテコ歩くこと1時間。ちょっと大きめな町にたどり着いた。帰りは電車を使おうと思う。
汗をハンカチで拭いながら人混みに混ざる。目的なんか無い。賑やかな雰囲気に混ざっているだけでも楽しい。
歩きながら気になる店を覗いていると後ろから来た人がぶつかった。
油断していた少年はバランスを崩して転んでしまった。
(お、おれはドジすぎるー…)
と言うかぶつかった奴は謝れ…と思ったがもうすでに通り過ぎてしまった様だ。
ちょっとだけ転んだ時に左足をぶつけて、痛くて直ぐに立てない。
1人で苦しんでいると上から声が掛けられた。最近聴き馴染んできた優しい声だ。
「宇多君、大丈夫?」
顔をあげると先生が手を差し伸べていた。
「立てる?」
「………」
何でこんな所に居るんだろう。
疑問に思った。
手を取る事なく見つめていると男は差し出していた手を引っ込めた。
痛みもだいぶ引いたので自分で立ち上がる。何と声をかけていいかわからない。
「偶然だね」
「………」
「大丈夫?怪我した?」
「…だいじょぶです」
心配そうにこちらを伺う男からは悪意は見えない。この辺で遊びに来るならばこの町にくる可能性は高い。本当にただの偶然なのかもしれない。
「歩ける?」
「うん、歩ける…ます。…いてて」
強がって歩いてみせるとぶつけたばかりの場所が痛みびっこを引いてしまった。
「ほらほら、痛むんじゃないか。歩くのまだ辛いでしょ?…ちょうどいい時間だしお昼ご飯食べながらちょっと休憩しようか」
「…あー…」
お昼に誘われてしまった。
ニコニコしているその顔を見ていると別に一緒にご飯を食べるくらい良いんじゃないかと考えた。いつもは2人きりで勉強を教えてもらっているのだし。ここには沢山の人がいるのだし。
「…はい。お昼、一緒にいきます」
「ふふ。そうしようね。ほら、あそこのお店なら近いし結構美味しいから、そこにしようか?洋食でもいいかな?喫茶店みたいな感じだよ」
「喫茶店、入ったことない」
「じゃあ、初体験だね。君に、はじめての事経験させてあげれるなんて嬉しいな」
にこやかにそう言うと、ごく自然な動作で男は少年の手を握ってきた。
ビクリッと少年の身体は揺れたが男は気にも留めない。痛む足の側を庇ってくれてるらしい。
意識し過ぎなのかもしれない。
少年は握り返すことなくされるがままになった。手を取り返そうとしたが、暖かい大きな手に握られてるのは心地よくて勿体無く感じてしまった。
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