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第三十一話
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私は、廊下を走っていた。
どっちに向かって走っているのかわからない。ただがむしゃらに走り。
「っ……」
腕を掴まれて振り返ると息を切らせたスワルさんだった。
『どうしたっ? コトリ様はっ?』
「えっ……あ……えっとそう。話終わったから。帰るね」
『フク。何を言ってるかわからない。こっちの言葉で話せ』
空風コトリの言葉が頭の中で乱反射して、翻訳出来ない。
そんなはずない。あんなのは嘘だ。
なんかよくわからない。わけが分からない話だった。
信じる要素なんて一つもない。彼女はこの世界についてあまりちゃんと聞いていなかったはずだ。
適当言ったんだ。
空気が読めるからとかなんとかっていうのも、そんな人どこにでもいる。まるで超能力みたいな言い方して、自分は人と違う宣言……
『フク……?』
にしては、苦しそうだった。受け止めて欲しそうだった。
『帰っです……帰るっ』
声が掠れて上手く出ない。
スワルさんが心配そうに眉を顰めた。
『どうした? 調子が悪いのか?』
『だい……じょうぶ』
さっきまで走っていたはずが、足元が覚束ない。
『ちょっ……ここで待ってろっ! 医者を呼んでくっ』
私は、スワルさんを手で制した。
『大丈夫ますっ本当です。あれです……あ……血が少ないです』
『…………え』
貧血で立ちくらみという定番の言い訳をしたら、顔を背けられた。
『あの……っその……すまなかった。すぐ家に送る』
謝られる筋合いは一つもない。
『……はい』
けれど、言葉の行き違いを訂正する気力がなくて。
私とスワルさんは、行きと違ってゆっくり歩きだした。
景色は流れていくのに、足の感覚があまりない。
あるはずの視線も、話声も聞こえない。
昇降機に乗り込むとき、踏み外しそうになり、番をしている男の人と、スワルさんに両脇を支えられた。
『すみません』
『いいから』
邸への一本枝を渡る最中も、何度か立ち止まったり転びそうになったりして、リリョスさん邸の庭に入るまで散々迷惑をかけた。
『フク…………』
玄関のドアを開けようとしたら、疲れた声で呼ばれた。
私は、振り返らず。
『話……しました。うまくなかったです。ごめんなさい』
少しだけ横を向いて頭を下げた。
言い合いしたことは言えなかった。
『いや。来てくれただけでもありがたい。その……もしあれだったら女医に来るよう言うが』
ガッカリしながらも、私を気遣ってくれる。その優しさが……今は……。
『大丈夫です。ありがとうございます』
私は、もう一度頭を下げて、逃げるように中に入った。
『お大事に』
スワルさんは静かにドアを閉め、去って行った。
私は、廊下で深呼吸して、耳を澄ました。
室内に人の気配はない。
リリョスさんは帰っていないようだ。
ものすごく不安だけど、ほっとする自分も……。
バサバサっ
翼の音に心臓が跳ねた。
今はダメだっ。
こけそうになりながら廊下を駆け、自室のドアを閉める。
それでも心もとなくてベッドで布団をかぶり、身を隠した。
顔を合わせられない。会いたくない。
それなのに
ドタタタっ
重い足音がドアの前で止まった。
『フクっ?』
いつもノックしてからしか入ってこないリリョスさんが、勢いよくドアを開け、入って来た。
『どうした?』
あからさまに逃げたから、何かあったと思ったのかもしれない。
『何も……』
ない。
何もない。空風コトリに、また嘘話されただけだ。
わざわざリリョスさんに言うほどのことでもない。
『何もっ』
パサっ
布団をのけられ、目が合った。
彼の表情が、さっきのスワルさんと重なって、ぶれる。
リリョスさん、スワルさん、フラミアさんの間にある微妙な空気。王妃の凶行。
気になっていた様々なものが、揺れる視界を埋め尽くしていく。
『っ何も……』
呪い。
王族は呪われている。
空風コトリの声が鮮明に蘇る。
王となった者の兄弟は死ぬんだって。
いずれ誰かが王になって誰かが死ぬ。生き残れるのは王とその子供だけ。
今までずっとそうだったって。
王の兄弟たちはみんな、龍脈の乱れっていうのに巻き込まれて、若くして事故や病で死んで―ー
『フクっ?』
膝をついて、私の顔を覗き込む彼の表情は、とても優しく。
『嫌なこと言われたのか? 何があった?』
まっすぐ見れない。
『家族……心配なった』
私は、誤魔化した。
さっきと同じ定番の言葉を。けれど嘘じゃないと自分に言い聞かせながら。
『……そう……か』
リリョスさんは俯いて額を押さえた。途端に、真っ黒な翼が光の粒子となって消え始めた。
私は思わず、光の粒を一つ掴んだ……はずが、開いた手の中には何もなかった。
胸の奥の不安が、体積を増していく。
『大丈夫。帰れる方法探すから……な』
パっと立ち、窓の外を見るリリョスさん。
駄目だ。離れる。掴まないと離れていく。
わかっているのに、手が、腕が動かない。
リリョスさんは、ポンっと私の背中を撫でて、部屋を出て行った。
あれが嘘で、これが空風コトリの思惑通りなのだとしたら。もうそれはそれでいい。あれが嘘であるならば、なんでもいい。
いや。そもそも嘘だってわかったら、こんな気まずい思いはしないわけで。思惑通りにもならない。
だったら確かめればいい。嘘だってことを確かめて……。
でも明日にしよう。今日はダメだ。明日明日……明日。
明日の明日……の明日の明日。
「明日って……いつ」
リリョスさんとの会話が明らかに減った。
私が話さないのか。リリョスさんが話さないのか。
私は、毎日決まった時間に出てフラミアさんの邸で勉強して、決まった時間に帰る。一見平和で、しかし一分たりとも気持ちが休まらない、精神的に過酷な数日間を過ごしていた。
『フク? どうした? わらわでよければ、力になるぞ?』
『フク。きょうはべんきょうじゃなくて、さんぽでもする?』
『おい。体調は……その。元気か?』
優しい言葉を貰うと、やるせない。
でも考えて考えて考え続けても、どこにもたどり着けない。
この先は崖かもしれない。深い穴かもしれない。
そう思うと、どうしても同じ場所をグルグル回ってしまう。
前はそれでよかった。でも今は……。
『はい止まる。こっち来いや』
フラミアさん邸の門前でうろうろしていたら、ロップに捕まった。
庭を掃いている最中だったらしい。ロップは、ポイっとそこらに箒を置いて、私を庭の隅に連れて行った。
不機嫌丸出しの顔だ。
『いい加減何悩んどるんか言い。ほっとこおもたけど。グルグルグルグルしよってなんや鬱陶しなってきた』
傍から見たら喧嘩を売られているようにしか見えないかもしれない。
私は、チラっとだけロップと目を合わせて、ほぼ自動で一言。
『悩みなんてありません』
近頃、こればかり言っているおかげで、発音は完璧だ。笑顔を添える器用さがなくて、逆に気を遣わせてしまうのが心苦しいけれど、もうしばらく、ちょっと、すこし……時間が欲しい。
『ほー』
全然納得していない声だ。
恨みがましくロップを見ると、睨み返された。相手の気づかいを求めているわけだから、当然の仕打ちかもしれない。
『…………』
よくしゃべるロップの沈黙は、他の人の倍気まずい。
『ない……言いたくない』
私は、逃れたいあまり、ちょっとだけ本音を零した。
すると
『そうか。わかった』
ロップは、視線を彷徨わせ、長い耳をパタパタさせた。
不機嫌なままだけど、どこか落ち着きがないというか、様子が変だ。
『あんた……あれや。その……前飴くれたやろ?』
『……え』
『飴や飴っ。簡単な言葉やろ』
『う……うん』
なぜ今飴の話?
『あれって誰かからもろ……貰ったの?』
「え? ……ああ……えっと」
私は疑問に思いながらも、魚を捌いているとき、魚を運んでくるおばさんが飴を二つくれたことを説明して、ついでに、小屋で一人暮らしを始めたとき、ハミグが丸いガラス玉を置いて行ってくれたことも話した。
リリョスさんがくれたのは、言わなかったけど。
『えっと。たぶんやけど。おばちゃんが飴くれたんわ。誰かにあげて、友達作るきっかけにしなさいとか、そんな意味があったんちゃうかな。二つやし』
『友達のきっかけ?』
『そや』
あの飴玉。もう一つは、まだ大事に持っている。
『んで。ハミグ様のは……想像やけど。傍に居れなくても味方だよとか、想ってるよとか。あんたが一人で小屋におらなあかんってときに渡すねんから、そんなんかも』
想ってる。
リリョスさんから赤い石を貰ったとき、この世界において、丸いものをあげることに何の意味があるのだろうかと気になっていたけれど、どうにも聞きづらくて、そのままになっていた。
『繋がってるって前も言うたけど。
それくれた人はずっとアンタのこと想ってくれてる……ってその丸いのん見るたびに考えてええねん。
例え向こうが忘れても。会えへんことなっても。くれたっちゅー事実は変わらん。想いは思い出した瞬間が旬や』
なぜだろう。
すんなり、内容が入って来た。異世界語だということを忘れるほど。
とても素直に理解出来た。
『はい。これあげる』
手の上に何か乗せられた。開くと、薄桃色の丸くて大きな玉飾りがついた髪ゴムだった。
『切羽詰まった顔ばっかしとると老けんで。そんくらいとぼけた顔しとり』
ロップがニっと歯を見せて、ちょっと不器用に笑った。
胸がキュっとなって転がったような。胸の底にある重い悩みは消えていないのに、気分がガラっと変わる不思議な感覚。
『っ……あっありがっとう』
私は、髪を掴んで結い上げた。
ここへ来てから前髪しか切っていなかったので、項がすっきり、気持ちいい。
『どうしてもアカンおもたら、誰でもええから頼り。うちはヤバイときアンタのこと頼る気まんまんやで』
『うん』
私は、強く頷いた。
頼って貰いたい。
頼ってもらえるような自分でいたい。
丸い髪飾りに触れると、自然に口角が上がった。
『ほな。行くわ。あんたもはよ帰り』
シッシと犬を追い払うみたいに手を振るロップに別れを言い、背を向けた瞬間。
よし。リリョスさんと話をしよう。
私の中でぐるぐる回っていた思考から、ポロっとこれだけが外れて残った。
呪い……について聞くという覚悟はまだないけれど、とにかくじっくり話をしたい。
話をするしかない。というか声を聴きたい。目を見たい。顔を見たい。
ガンガン足を進めて邸に帰ると、タイミングよくリリョスさんも帰っていた。
この気持ちが消えないうちに。
私は、激しい足音をたてながら廊下を進み、リリョスさんの部屋をノックした。
『あのっリリョスさんちょっとよいで……』
『どうぞ』
語尾に被せるような速攻の返事に、心臓がびくついて、勢いがちょっと消えた。
どうぞって……言ったよね。
私は、緊張しながらドアを開けた。
部屋の中が薄暗い。
日が沈みかけているのに灯篭を付けていないようだ。
『お……お邪魔します』
ベッドの上に黒い塊が……リリョスさんが腰かけている。
頭痛でもするのか、額を押さえて俯いたまま、動かない。
入ってもいいのかな。
遠慮がちに足を踏み入れ、様子を伺う。それでもリリョスさんは動かない。
もう一歩。もう一歩。私は、ちょっとずつ近づいて、リリョスさんの前に立った。
本気で疲れてるのか、ここまで来ても全然顔を上げてくれない。
『具合……悪いです?』
『いや』
違う?
『うん』
どっち?
ノーとイエスが返って来た。私にはまだまだ理解できない微妙なニュアンスを含んでいるのだろうか。
『ああ……ちょっといろいろ葛藤が……でも……そうだな』
ようやく顔を上げてくれた。
けれど、こっちを見ない。
『えっと話があって』
『ああ。ある。でも覚悟がいる。ちょっと……数秒待ってほしい』
あれ?
話があって部屋を訪ねたのは私なのに、リリョスさんの方が話す感じになってない?
『……』
リリョスさんは、鬣のような黒髪をグシャっとかき混ぜて立ち上がった。
貰った石に似た色。
深い赤の中にある燃えるような強い光が、私を捉えた。
なんか……じっと見られると……緊張が増して、息がしにくい。
私は、意識して多めに息を吸い込み
『お前が好きだ』
止めた。
止まった。すべての器官が停止した。
『俺は、お前のことが……す…………お前に恋をしてると言えばわかるか?』
頭の中を殴られたぐらいの衝撃を受けて、真っ白で真っ黒で、それなのに目の前は真っ赤だ。
好き。恋。
「わたっ……わたわたっわたしっ?」
頷く彼。
『フクのことが好きだ』
ドストレート直球どっかんでよけきれず。
私の心臓は飛び出さんばかりに暴れだし、全身熱をおびて汗が噴き出した。
想定外すぎて、言葉が出ない。
声も出ない。反応を返せない。
感情が一周二周して、三週目に入った。止まらない。回転し続けている。
『だから……本当言うと、お前を異世界に返す方法なんて調べたくない。
でも調べてやりたいって気持ちもある。お前を家族に会わせてやりたい。お前の願いを聞いてやりたい』
意味は理解できている。奇跡的になのか、彼がゆっくりわかりやすくしゃべってくれているのかまでは考えが及ばない。
『ここのところ、お前の顔を見るたびに……矛盾した気持ちになって……それが嫌で……避けてた』
リリョスさんは、ばつの悪そうな顔で、咳払いした。
『その……これだけ激しい気持ちを……一緒に居るお前に気付かれないよう振る舞う自信がなかったから』
私は、さすがに首を傾げた。たぶん傾げた。体があまり自由に動かせないからたぶん。
『頼みがあって話した』
「へいっ」
口を開けたらヘイが出た。
『今話した俺の気持ちを無視してくれ』
「へい?」
へいしか出ない。
『俺は……フラミア曰く、粘着質な弱虫……だ』
「へ……い?」
『お前が……俺のことを好きではないと答えた場合』
リリョスさんは、ギュっと目を閉じた。
『立ち直れない。冗談抜きで。俺の世界が終わるような気がする。それは困る』
開いた口が渇きすぎて、喉まで痛い。
『で……万一。お前が俺の気持ちに答える。もしくは考えてくれるとしたら』
リリョスさんは、眉間に皺をよせ、死ぬほどまずいものでも食べたみたいな顔をした。
『俺は、お前を異世界には帰さない。何が何でも絶対に。そうしてはいけないとわかっていても……お前が悲しい想いをするとわかっていても離せない。お前と一緒に……生きて……いきたいと…………願う』
苦しそうな声だった。
とても……とても苦しそうな……辛そうな彼に……私は。
何か……言いたい。伝えたい。
はずなのに、やっぱりまだ声が出ない。
驚いているからってだけじゃない。
私。お母さん、お父さん、弟に会いたい。それは諦められない。
リリョスさんも…………私みたいに、家族……弟たちのことを考えている……のだとしたら。
一緒に居たいけど帰りたい。生きていきたいけど……。
呪い……龍の……。
私の中で、火花のようにハミグと読んだ絵本の話が弾けた。
なぜだかわからない。
考えようにも、集中出来ない。
だったらさっきみたいに。
私は、グっと拳を握りしめ、胸に手を当てた。まとまらない考え、矛盾した気持ちの中から、一つでも掴みだそうと、強く握りしめた。
「…………っ」
好き。
私もリリョスさんのことが好き。
この気持ちを無視するなんて、出来ない。
だから……でも、どうしたらいいかわからないけど、なんとかしなくちゃいけない。なんとかしたい。
無意識に、さっき貰った髪飾りを触った。固くて丸い想いは、消えない。消したくない。
ロップ……ロップに相談…………いや……それだけじゃ……なくて。
フラミアさん、スワルさん、イグライトさん。王妃様と王様も。
あの話が本当かどうか、これからどうするつもりでいるのか、一方と話をしたら、誰かが諦めたり、誰かが誰かを陥れようとしたり、みんなで悪い方向へ向かっていくだけな気がする。
もしも。もしもこの先が崖なのだとしたら。
私は、お腹に力を入れ、触れたくなかった恐ろしいもののことを考えた。
争いながら向かうか。同じ景色を見ながら向かうか。
我ながらぞっとする二択が浮かんだ。
よそ者だから、そんな無責任なことを考えるのかもしれない。図々しく踏み込んで、落ちるときは一緒じゃないなんて、最低だ。
けど……それでも……私は……。
笑顔で挨拶して、何気ない話をして、また会おうってお別れして。
明日も会えればいいなって思う。
嬉しくて暖かい。そんな気持ちを。
出来るだけたくさん。ずっと。毎日……共有したい。
「みんなを集めて話し合い……相談っ」
となると彼女しか思い浮かばない。都合のいいときだけ頼るなんて……。
私は、フンっと息を吐いた。
いいことしようってんじゃない。前もそうだった。
『フク?』
「リリョスさんっ」
私は、リリョスさんの大きな手をグワシと捕まえた。
「話し合いしましょう」
目を瞬かせる彼に、ニっと笑いかけた。
口の端を持ち上げて、さあ笑えと言わんばかりに彼の瞳をじーっと、ひたすら見つめた。
『っ……』
目を逸らされた。
『何か……また怖いことたくらんでるんじゃないかお前』
低い呟きから拾えた単語は一つ。
『リリョスさんと一緒。怖いは半分です』
今度は、意識せず異世界語を使っていた。
更に強く手を握ったら、ガクっと腰を折ったリリョスさんの額が、私の肩に直撃した。
重くて、髪の毛がくすぐったくて、なんか嬉しい。
私は、何も考えず、鬣のような黒髪を撫でた。
こんなに重力に逆らってるのに、意外と柔らかい。
『っ!?』
彼の体がビクっと跳ねた。
ので慌てて手を離し、一歩飛びのこうとしたけど、手を握ってるから出来ず。
「わっ」
リリョスさんに引っ張られ、グルンと体の向きを変えられた。
『ごっ……ご飯にするぞ』
『うあっはい!』
やらかした。
私とリリョスさんは、猛スピードで、けれど手はつないだまま台所へ向かった。
どっちに向かって走っているのかわからない。ただがむしゃらに走り。
「っ……」
腕を掴まれて振り返ると息を切らせたスワルさんだった。
『どうしたっ? コトリ様はっ?』
「えっ……あ……えっとそう。話終わったから。帰るね」
『フク。何を言ってるかわからない。こっちの言葉で話せ』
空風コトリの言葉が頭の中で乱反射して、翻訳出来ない。
そんなはずない。あんなのは嘘だ。
なんかよくわからない。わけが分からない話だった。
信じる要素なんて一つもない。彼女はこの世界についてあまりちゃんと聞いていなかったはずだ。
適当言ったんだ。
空気が読めるからとかなんとかっていうのも、そんな人どこにでもいる。まるで超能力みたいな言い方して、自分は人と違う宣言……
『フク……?』
にしては、苦しそうだった。受け止めて欲しそうだった。
『帰っです……帰るっ』
声が掠れて上手く出ない。
スワルさんが心配そうに眉を顰めた。
『どうした? 調子が悪いのか?』
『だい……じょうぶ』
さっきまで走っていたはずが、足元が覚束ない。
『ちょっ……ここで待ってろっ! 医者を呼んでくっ』
私は、スワルさんを手で制した。
『大丈夫ますっ本当です。あれです……あ……血が少ないです』
『…………え』
貧血で立ちくらみという定番の言い訳をしたら、顔を背けられた。
『あの……っその……すまなかった。すぐ家に送る』
謝られる筋合いは一つもない。
『……はい』
けれど、言葉の行き違いを訂正する気力がなくて。
私とスワルさんは、行きと違ってゆっくり歩きだした。
景色は流れていくのに、足の感覚があまりない。
あるはずの視線も、話声も聞こえない。
昇降機に乗り込むとき、踏み外しそうになり、番をしている男の人と、スワルさんに両脇を支えられた。
『すみません』
『いいから』
邸への一本枝を渡る最中も、何度か立ち止まったり転びそうになったりして、リリョスさん邸の庭に入るまで散々迷惑をかけた。
『フク…………』
玄関のドアを開けようとしたら、疲れた声で呼ばれた。
私は、振り返らず。
『話……しました。うまくなかったです。ごめんなさい』
少しだけ横を向いて頭を下げた。
言い合いしたことは言えなかった。
『いや。来てくれただけでもありがたい。その……もしあれだったら女医に来るよう言うが』
ガッカリしながらも、私を気遣ってくれる。その優しさが……今は……。
『大丈夫です。ありがとうございます』
私は、もう一度頭を下げて、逃げるように中に入った。
『お大事に』
スワルさんは静かにドアを閉め、去って行った。
私は、廊下で深呼吸して、耳を澄ました。
室内に人の気配はない。
リリョスさんは帰っていないようだ。
ものすごく不安だけど、ほっとする自分も……。
バサバサっ
翼の音に心臓が跳ねた。
今はダメだっ。
こけそうになりながら廊下を駆け、自室のドアを閉める。
それでも心もとなくてベッドで布団をかぶり、身を隠した。
顔を合わせられない。会いたくない。
それなのに
ドタタタっ
重い足音がドアの前で止まった。
『フクっ?』
いつもノックしてからしか入ってこないリリョスさんが、勢いよくドアを開け、入って来た。
『どうした?』
あからさまに逃げたから、何かあったと思ったのかもしれない。
『何も……』
ない。
何もない。空風コトリに、また嘘話されただけだ。
わざわざリリョスさんに言うほどのことでもない。
『何もっ』
パサっ
布団をのけられ、目が合った。
彼の表情が、さっきのスワルさんと重なって、ぶれる。
リリョスさん、スワルさん、フラミアさんの間にある微妙な空気。王妃の凶行。
気になっていた様々なものが、揺れる視界を埋め尽くしていく。
『っ何も……』
呪い。
王族は呪われている。
空風コトリの声が鮮明に蘇る。
王となった者の兄弟は死ぬんだって。
いずれ誰かが王になって誰かが死ぬ。生き残れるのは王とその子供だけ。
今までずっとそうだったって。
王の兄弟たちはみんな、龍脈の乱れっていうのに巻き込まれて、若くして事故や病で死んで―ー
『フクっ?』
膝をついて、私の顔を覗き込む彼の表情は、とても優しく。
『嫌なこと言われたのか? 何があった?』
まっすぐ見れない。
『家族……心配なった』
私は、誤魔化した。
さっきと同じ定番の言葉を。けれど嘘じゃないと自分に言い聞かせながら。
『……そう……か』
リリョスさんは俯いて額を押さえた。途端に、真っ黒な翼が光の粒子となって消え始めた。
私は思わず、光の粒を一つ掴んだ……はずが、開いた手の中には何もなかった。
胸の奥の不安が、体積を増していく。
『大丈夫。帰れる方法探すから……な』
パっと立ち、窓の外を見るリリョスさん。
駄目だ。離れる。掴まないと離れていく。
わかっているのに、手が、腕が動かない。
リリョスさんは、ポンっと私の背中を撫でて、部屋を出て行った。
あれが嘘で、これが空風コトリの思惑通りなのだとしたら。もうそれはそれでいい。あれが嘘であるならば、なんでもいい。
いや。そもそも嘘だってわかったら、こんな気まずい思いはしないわけで。思惑通りにもならない。
だったら確かめればいい。嘘だってことを確かめて……。
でも明日にしよう。今日はダメだ。明日明日……明日。
明日の明日……の明日の明日。
「明日って……いつ」
リリョスさんとの会話が明らかに減った。
私が話さないのか。リリョスさんが話さないのか。
私は、毎日決まった時間に出てフラミアさんの邸で勉強して、決まった時間に帰る。一見平和で、しかし一分たりとも気持ちが休まらない、精神的に過酷な数日間を過ごしていた。
『フク? どうした? わらわでよければ、力になるぞ?』
『フク。きょうはべんきょうじゃなくて、さんぽでもする?』
『おい。体調は……その。元気か?』
優しい言葉を貰うと、やるせない。
でも考えて考えて考え続けても、どこにもたどり着けない。
この先は崖かもしれない。深い穴かもしれない。
そう思うと、どうしても同じ場所をグルグル回ってしまう。
前はそれでよかった。でも今は……。
『はい止まる。こっち来いや』
フラミアさん邸の門前でうろうろしていたら、ロップに捕まった。
庭を掃いている最中だったらしい。ロップは、ポイっとそこらに箒を置いて、私を庭の隅に連れて行った。
不機嫌丸出しの顔だ。
『いい加減何悩んどるんか言い。ほっとこおもたけど。グルグルグルグルしよってなんや鬱陶しなってきた』
傍から見たら喧嘩を売られているようにしか見えないかもしれない。
私は、チラっとだけロップと目を合わせて、ほぼ自動で一言。
『悩みなんてありません』
近頃、こればかり言っているおかげで、発音は完璧だ。笑顔を添える器用さがなくて、逆に気を遣わせてしまうのが心苦しいけれど、もうしばらく、ちょっと、すこし……時間が欲しい。
『ほー』
全然納得していない声だ。
恨みがましくロップを見ると、睨み返された。相手の気づかいを求めているわけだから、当然の仕打ちかもしれない。
『…………』
よくしゃべるロップの沈黙は、他の人の倍気まずい。
『ない……言いたくない』
私は、逃れたいあまり、ちょっとだけ本音を零した。
すると
『そうか。わかった』
ロップは、視線を彷徨わせ、長い耳をパタパタさせた。
不機嫌なままだけど、どこか落ち着きがないというか、様子が変だ。
『あんた……あれや。その……前飴くれたやろ?』
『……え』
『飴や飴っ。簡単な言葉やろ』
『う……うん』
なぜ今飴の話?
『あれって誰かからもろ……貰ったの?』
「え? ……ああ……えっと」
私は疑問に思いながらも、魚を捌いているとき、魚を運んでくるおばさんが飴を二つくれたことを説明して、ついでに、小屋で一人暮らしを始めたとき、ハミグが丸いガラス玉を置いて行ってくれたことも話した。
リリョスさんがくれたのは、言わなかったけど。
『えっと。たぶんやけど。おばちゃんが飴くれたんわ。誰かにあげて、友達作るきっかけにしなさいとか、そんな意味があったんちゃうかな。二つやし』
『友達のきっかけ?』
『そや』
あの飴玉。もう一つは、まだ大事に持っている。
『んで。ハミグ様のは……想像やけど。傍に居れなくても味方だよとか、想ってるよとか。あんたが一人で小屋におらなあかんってときに渡すねんから、そんなんかも』
想ってる。
リリョスさんから赤い石を貰ったとき、この世界において、丸いものをあげることに何の意味があるのだろうかと気になっていたけれど、どうにも聞きづらくて、そのままになっていた。
『繋がってるって前も言うたけど。
それくれた人はずっとアンタのこと想ってくれてる……ってその丸いのん見るたびに考えてええねん。
例え向こうが忘れても。会えへんことなっても。くれたっちゅー事実は変わらん。想いは思い出した瞬間が旬や』
なぜだろう。
すんなり、内容が入って来た。異世界語だということを忘れるほど。
とても素直に理解出来た。
『はい。これあげる』
手の上に何か乗せられた。開くと、薄桃色の丸くて大きな玉飾りがついた髪ゴムだった。
『切羽詰まった顔ばっかしとると老けんで。そんくらいとぼけた顔しとり』
ロップがニっと歯を見せて、ちょっと不器用に笑った。
胸がキュっとなって転がったような。胸の底にある重い悩みは消えていないのに、気分がガラっと変わる不思議な感覚。
『っ……あっありがっとう』
私は、髪を掴んで結い上げた。
ここへ来てから前髪しか切っていなかったので、項がすっきり、気持ちいい。
『どうしてもアカンおもたら、誰でもええから頼り。うちはヤバイときアンタのこと頼る気まんまんやで』
『うん』
私は、強く頷いた。
頼って貰いたい。
頼ってもらえるような自分でいたい。
丸い髪飾りに触れると、自然に口角が上がった。
『ほな。行くわ。あんたもはよ帰り』
シッシと犬を追い払うみたいに手を振るロップに別れを言い、背を向けた瞬間。
よし。リリョスさんと話をしよう。
私の中でぐるぐる回っていた思考から、ポロっとこれだけが外れて残った。
呪い……について聞くという覚悟はまだないけれど、とにかくじっくり話をしたい。
話をするしかない。というか声を聴きたい。目を見たい。顔を見たい。
ガンガン足を進めて邸に帰ると、タイミングよくリリョスさんも帰っていた。
この気持ちが消えないうちに。
私は、激しい足音をたてながら廊下を進み、リリョスさんの部屋をノックした。
『あのっリリョスさんちょっとよいで……』
『どうぞ』
語尾に被せるような速攻の返事に、心臓がびくついて、勢いがちょっと消えた。
どうぞって……言ったよね。
私は、緊張しながらドアを開けた。
部屋の中が薄暗い。
日が沈みかけているのに灯篭を付けていないようだ。
『お……お邪魔します』
ベッドの上に黒い塊が……リリョスさんが腰かけている。
頭痛でもするのか、額を押さえて俯いたまま、動かない。
入ってもいいのかな。
遠慮がちに足を踏み入れ、様子を伺う。それでもリリョスさんは動かない。
もう一歩。もう一歩。私は、ちょっとずつ近づいて、リリョスさんの前に立った。
本気で疲れてるのか、ここまで来ても全然顔を上げてくれない。
『具合……悪いです?』
『いや』
違う?
『うん』
どっち?
ノーとイエスが返って来た。私にはまだまだ理解できない微妙なニュアンスを含んでいるのだろうか。
『ああ……ちょっといろいろ葛藤が……でも……そうだな』
ようやく顔を上げてくれた。
けれど、こっちを見ない。
『えっと話があって』
『ああ。ある。でも覚悟がいる。ちょっと……数秒待ってほしい』
あれ?
話があって部屋を訪ねたのは私なのに、リリョスさんの方が話す感じになってない?
『……』
リリョスさんは、鬣のような黒髪をグシャっとかき混ぜて立ち上がった。
貰った石に似た色。
深い赤の中にある燃えるような強い光が、私を捉えた。
なんか……じっと見られると……緊張が増して、息がしにくい。
私は、意識して多めに息を吸い込み
『お前が好きだ』
止めた。
止まった。すべての器官が停止した。
『俺は、お前のことが……す…………お前に恋をしてると言えばわかるか?』
頭の中を殴られたぐらいの衝撃を受けて、真っ白で真っ黒で、それなのに目の前は真っ赤だ。
好き。恋。
「わたっ……わたわたっわたしっ?」
頷く彼。
『フクのことが好きだ』
ドストレート直球どっかんでよけきれず。
私の心臓は飛び出さんばかりに暴れだし、全身熱をおびて汗が噴き出した。
想定外すぎて、言葉が出ない。
声も出ない。反応を返せない。
感情が一周二周して、三週目に入った。止まらない。回転し続けている。
『だから……本当言うと、お前を異世界に返す方法なんて調べたくない。
でも調べてやりたいって気持ちもある。お前を家族に会わせてやりたい。お前の願いを聞いてやりたい』
意味は理解できている。奇跡的になのか、彼がゆっくりわかりやすくしゃべってくれているのかまでは考えが及ばない。
『ここのところ、お前の顔を見るたびに……矛盾した気持ちになって……それが嫌で……避けてた』
リリョスさんは、ばつの悪そうな顔で、咳払いした。
『その……これだけ激しい気持ちを……一緒に居るお前に気付かれないよう振る舞う自信がなかったから』
私は、さすがに首を傾げた。たぶん傾げた。体があまり自由に動かせないからたぶん。
『頼みがあって話した』
「へいっ」
口を開けたらヘイが出た。
『今話した俺の気持ちを無視してくれ』
「へい?」
へいしか出ない。
『俺は……フラミア曰く、粘着質な弱虫……だ』
「へ……い?」
『お前が……俺のことを好きではないと答えた場合』
リリョスさんは、ギュっと目を閉じた。
『立ち直れない。冗談抜きで。俺の世界が終わるような気がする。それは困る』
開いた口が渇きすぎて、喉まで痛い。
『で……万一。お前が俺の気持ちに答える。もしくは考えてくれるとしたら』
リリョスさんは、眉間に皺をよせ、死ぬほどまずいものでも食べたみたいな顔をした。
『俺は、お前を異世界には帰さない。何が何でも絶対に。そうしてはいけないとわかっていても……お前が悲しい想いをするとわかっていても離せない。お前と一緒に……生きて……いきたいと…………願う』
苦しそうな声だった。
とても……とても苦しそうな……辛そうな彼に……私は。
何か……言いたい。伝えたい。
はずなのに、やっぱりまだ声が出ない。
驚いているからってだけじゃない。
私。お母さん、お父さん、弟に会いたい。それは諦められない。
リリョスさんも…………私みたいに、家族……弟たちのことを考えている……のだとしたら。
一緒に居たいけど帰りたい。生きていきたいけど……。
呪い……龍の……。
私の中で、火花のようにハミグと読んだ絵本の話が弾けた。
なぜだかわからない。
考えようにも、集中出来ない。
だったらさっきみたいに。
私は、グっと拳を握りしめ、胸に手を当てた。まとまらない考え、矛盾した気持ちの中から、一つでも掴みだそうと、強く握りしめた。
「…………っ」
好き。
私もリリョスさんのことが好き。
この気持ちを無視するなんて、出来ない。
だから……でも、どうしたらいいかわからないけど、なんとかしなくちゃいけない。なんとかしたい。
無意識に、さっき貰った髪飾りを触った。固くて丸い想いは、消えない。消したくない。
ロップ……ロップに相談…………いや……それだけじゃ……なくて。
フラミアさん、スワルさん、イグライトさん。王妃様と王様も。
あの話が本当かどうか、これからどうするつもりでいるのか、一方と話をしたら、誰かが諦めたり、誰かが誰かを陥れようとしたり、みんなで悪い方向へ向かっていくだけな気がする。
もしも。もしもこの先が崖なのだとしたら。
私は、お腹に力を入れ、触れたくなかった恐ろしいもののことを考えた。
争いながら向かうか。同じ景色を見ながら向かうか。
我ながらぞっとする二択が浮かんだ。
よそ者だから、そんな無責任なことを考えるのかもしれない。図々しく踏み込んで、落ちるときは一緒じゃないなんて、最低だ。
けど……それでも……私は……。
笑顔で挨拶して、何気ない話をして、また会おうってお別れして。
明日も会えればいいなって思う。
嬉しくて暖かい。そんな気持ちを。
出来るだけたくさん。ずっと。毎日……共有したい。
「みんなを集めて話し合い……相談っ」
となると彼女しか思い浮かばない。都合のいいときだけ頼るなんて……。
私は、フンっと息を吐いた。
いいことしようってんじゃない。前もそうだった。
『フク?』
「リリョスさんっ」
私は、リリョスさんの大きな手をグワシと捕まえた。
「話し合いしましょう」
目を瞬かせる彼に、ニっと笑いかけた。
口の端を持ち上げて、さあ笑えと言わんばかりに彼の瞳をじーっと、ひたすら見つめた。
『っ……』
目を逸らされた。
『何か……また怖いことたくらんでるんじゃないかお前』
低い呟きから拾えた単語は一つ。
『リリョスさんと一緒。怖いは半分です』
今度は、意識せず異世界語を使っていた。
更に強く手を握ったら、ガクっと腰を折ったリリョスさんの額が、私の肩に直撃した。
重くて、髪の毛がくすぐったくて、なんか嬉しい。
私は、何も考えず、鬣のような黒髪を撫でた。
こんなに重力に逆らってるのに、意外と柔らかい。
『っ!?』
彼の体がビクっと跳ねた。
ので慌てて手を離し、一歩飛びのこうとしたけど、手を握ってるから出来ず。
「わっ」
リリョスさんに引っ張られ、グルンと体の向きを変えられた。
『ごっ……ご飯にするぞ』
『うあっはい!』
やらかした。
私とリリョスさんは、猛スピードで、けれど手はつないだまま台所へ向かった。
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