悪役令嬢はアクマでテンシだけどタイヨウにもなれる

みやっこ

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二度目の死……かと思いきや

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「うぁああああああああああああっ!!」

 あまりに痛すぎて、盛大に叫んだ。

「リリファリアーーーー!!」「やめろぉぉぉぉぉ!!」

 自分以外にも悲痛な叫びが二つ。

「っ……」

 生々しい音をたてて、激痛の元である焼き鏝が胸から離れた。
 脳まで焼けたみたいに熱い。景色が歪み傾いでいく。

「お姉さまっ……」

 涙を流すイファンの顔が、薄れゆく視界の中、蝋燭のように揺らめいた。
 手を伸ばして涙を拭いてあげたいけれど、腕に力が入らない。
 重力に負けて横を向くと。

 兵士たちに押さえつけられた二人の少年……ヘイツとウラガが、燃えさかる炎のような瞳で王を睨んでいた。

「どうかっどうかやめてくださいっ! 彼女は悪人なんかじゃありませんっ彼女は暗闇から僕を救ってくれたっ天使なのです!! お願いですっ!! リリは罪など犯してはいない! お願いだ……お願いっ……僕からリリを奪わないで……」

 ヘイツが喉を詰まらせながら懇願した。

「リリは……リリは悪魔だ!! 俺は自由になりたいのにっ……なりたかったのにっ!! それなのにリリは俺のすべてを奪っていったっ! 俺の何もかも……全部!! 奪ったんだ!! っだから返せ! 俺の全部っ!! リリを返してくれ!!」

 ウラガが激高した。

「ヘイツ……ウラ……ガ」

 掠れた声で名前を呼んだ瞬間、とうとうすべてが真っ黒に塗りつぶされ、見えなくなってしまった。

 ああ。終わった。今度こそ終わってしまった。
 この後一体どうなるんだろう。消えてしまうんだろうか。



 カ……カ……ラ…………ラカラ……カラカラカラ



 車輪の回る音がする。
 なじみ深い。一定のリズムを刻む軽快な音。

 ?

 の中に……もう一つ。
 優しい歌声が聞こえた。

『どこにいても君を感じる 目を閉じても逃れられない 君が僕の太陽ならば

 燃え盛るその炎で 僕の心を焼き尽くし 

 溢れだすその前に どうかどうか 灰にして』

 んん?

 微かに聞こえた歌詞はいまいち理解出来なかった。もう少しちゃんと聞きたいけれど、瞼が重くて開けられない。

 動けない。けれど微かに痛みはある。音も聞こえる。なにより手の中に温もりを感じる。

 生きてる?
 私……生きて……生きてるっ!?

 私は、誰かの歌声をBGMに、前作のおさらいーーここへ来てから今日までの出来事を思い起こすことにした。

 これは私なりの、未知なる続編に突入するための準備だ。
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