世界は、虚ろに見えている。

crow0088

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ぼんやりとした灰色

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眠れない。時計が、真夜中のてっぺんを越したあたりで、未だ、眠れずにいた。
昼寝をしたわけではない。
もちろん今日が休日であることをいい事に、時間を無駄に使って目一杯の昼寝をかますのも悪くはなかったが、今日に限っては寝たい気分ではなかった。故に、眠れない原因がわからないまま、目はバッチリ、パッチリと開いていた。ベッドに入って20分くらい、体感ではもっと長かったような気もするくらい、目を閉じていた。だが冒頭から何度も言っている通り眠れないでいた。
眠れないという事は、意識があるという事、つまり意識があると考え事は、自分の無意識で始まってしまう。これが眠れない負の連鎖だ。
仕方なく、頑張って寝る事を諦めて(?)いや、目を瞑って寝る事を諦めてが正しいか、つまり作戦変更という意味である。充電器を指していたスマートフォンを手に取り、眩しいブルーライトに耐えながら、有名な某動画サイトを開く。
もちろん、いやらしい動画サイトではなく、もっと大衆的なサイトである。
もう何年も、疑問に思っていた事の1つの話をしよう。この動画サイトにおいてリアルタイムでライブ映像が流れるシステムが存在するのだが、ランキングというのは大抵どのサイトにもあると思われる。そのランキングに常に上位ではなくとも、ランクインしてる配信に、人通りの多い交差点の映像や車通りの多い高速道路を映し出してる配信が上がってるが、後者の場合は旅行で渋滞確認なんかで役に立つと想像できるが、前者の交差点は、どこに需要があって、配信しているんだろう。これが疑問である。日夜問わずずっと配信されているその映像は、何か大きな機関や組織の肥やしになっているのか、そんな陰謀論的なあるいは厨二っぽさ全開の奴らに監視されている!的な事を想像してしまうのは自分だけだろうか。
話を戻そう、需要がないと思われていた配信でも、こんな眠れない夜にボーッと見ているだけで退屈で眠くなってくるのではないかと考えたのだ。実際、ただ人が渡って、車が通ってを繰り返す映像になんの面白みもない、事故でもあればそれが決定的な瞬間として脳は刺激を受けてまた眠れなくなるという事は大いに考えられるが、偶然自分が見ている時に事故が起こる可能性は限りなく低い。
なかなか、天才的な発想だと我ながら感心している。
10分、20分、まったくもって面白みのない映像を見始めてから時間はどんどんと進んでいった。
眠れない。ただ、人が歩いて、車が信号機に従って動くだけの映像は退屈で、面白みはないが、本当にそれだけだった。
眠気など一生来る気がしなかった。
時刻は2時を目前にしていた。
未だ、交差点は多数の人が動き、少数の車が走っていた。
ん?
そこで、少しの疑問が湧いてきた。
あるいは、退屈すぎて気がつかなかった。退屈じゃないにしろ、地方者には気づくはずがなかった。
都会では人が多いというイメージがあったからだ。
なぜか、さっきから人が減っていない。
ずっと同じような群れをなして、交差点の規則に従い動いている。
なぜ?
もう深夜2時くらいだというのに、都会だと夜中にも関わらず人は多いのか?
いや、そんな事はないはず。
しかし、自分が地方者であるが故に、この違和感に正解を見出せない。
こんなものと思えば、確かに、都会はこの時間でも人は多いと思えるが、にしても少しも減ったような感じがしない。
もちろん人自体は同じ人ではない、あまり鮮明とは言えない画質だったが服装も髪型も歩き方だって、よく観察すれば同じ人なんていない。その映像がリピートされているわけでもないのにスクランブル交差点を渡る群衆の数に減った様子が見られない。同じような数(数えれるわけではない)で同じようにまばらに渡っていた。
自分の中に出来た疑問のせいで、なんだか、余計に眠れなくなってきた。
何を思って、どこに向かって、この人達は交差点を渡っているのか、またどこから来てこんな夜中になんの用があるというのか。
そんな事を思いながら画面を見ていた。

この配信を見始めて40分が過ぎようとしていた時の出来事だ。時刻にして3時前、突然、1人の歩行者が横断歩道の真ん中で立ち止まった。
赤信号になっても、その歩行者は立ち止まったままだった。眠れないとはいえ、退屈な映像で、多少のぼんやりとした思考があったが、その歩行者のせいで、脳はまた刺激を受けたかのように、画面に興味を示した。
何をしているでもなくただ立ち止まってるその人に、ずっと目がいってしまう。
横になっていた体を起こしてしっかりと画面を見始めた。
スマートフォンの画面では少々小さく写っているので、その人が、どんな顔であるかなんてわかるわけもなかった。
ただし、その行動と共に目を惹く物がもう一つあった。全身真っ黒のフード付きロングコートを羽織っている。春を超えそうな時期にコートを着ていた。
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