18 / 32
第18話
しおりを挟む
訓練場の隅っこでのんびりとストレッチをしながら待っていると、恐らく今回の模擬戦相手と評価する人の2人組がやって来た。
1人は武器を一切持っている様子はないが、ガッチガチに防具を身につけており、明らかに動きに支障が出ていそうな男性だ。
恐らく今回の模擬戦の相手だろう。
もう1人は普通のギルド職員の制服を着た男性だ。
戦うような恰好ではないので、評価する人で間違いないだろう。
「……その子供に今から模擬戦をさせるのですか?傭兵ギルドは子供を預かる施設ではないのですが……。」
「相変わらず皮肉しか言わないね~。小型のモンスター相手に震えて動けなくなるあなたよりは強いと思うよ~。ま、公平に評価してよ。」
なんかすごく仲が悪そうだ。
大丈夫かな?
ミーシャさんの推薦だからって、理不尽に不合格になったりしない?
念のため、有無を言わせぬほどボッコボコにボコっておこうかなぁ~……。
「では模擬戦を始めますが、武器を使用しますか?武器を使用するのであれば、あちらの箱に納められている訓練用の武器の中から選んでください。」
……ふむ。
あの箱は武器を入れるための箱だったんだね。
私は箱へと向かい、中から1つの物を手に取って戻り、戦いに備えて構えた。
「……それは訓練用の武器ではないので置いて貰えますか?あとで捨てておきますので。」
……酒瓶は駄目か。
握りやすいし、叩きやすいし、割れたら凶器として優秀な気がしたんだけどなぁ~……。
「じゃあ素手でいい。始めて。」
「……相手をよく見て下さい。全身にしっかりと防具を身につけているんですよ。素手でどうやって戦うのですか?」
「さっさと始めろ~!こっちはもう賭けてるんだぞ~!」
……ミーシャさん賭けが好きだね
ちょっと待って貰ってもいいかな?
私も賭けに参加したい。
「ミーシャさん、賭けの倍率は?」
「ウィル君が30秒以内に倒せば5倍だよ!」
「じゃあ5秒以内に銀貨21枚賭ける。問題ないよね?」
「……殺さないように手加減してあげてね?」
「……前向きに検討しておく。」
向こうでは私の5秒以内宣言で盛り上がっている様だ。
というかいつの間にあんなに集まったんだろ?
さっきまでこの訓練場内には10人もいなかったのになぁ……。
「準備は良いですか?」
まぁ、やることはもう決めてある。
5秒以内と宣言したのだ。
余裕をもって1秒で瞬殺したい……殺しちゃ駄目だけど。
「では……始め!」
合図と共に前に出て、足を払うように蹴り、下がって来た頭を地面へと叩きつける。
「終わった。」
しっかりと終了の宣言もしておく。
感覚的に1秒で倒し、2秒の時点で宣言が出来た。
5秒まで3秒も余裕があったのだ。
賭けは問題なく勝ちだろう。
……誰も、何も言わない。
「……終わってるんだけど?」
「急いで医務室へ運べ!大至急だ!」
「いや駄目だ!ここに先生を呼んで来い!下手に動かすな!」
「ウィ~ル~く~ん。も~少し手加減を覚えた方がいいよ~?はいこれお金。いい感じに盛り上がって、7倍の銀貨147枚だよ。やったね!」
「ミーシャがミーシャみたいなガキを連れてきやがった……。このギルドはお終いだぁ~。」
「お終いなわけあるかば~か。ヤバいモンスターと戦えるやつが増えたんだぞ?この街以上に安全な街はないぜ!」
……急に盛り上がり始めた。
やはり筋力強化を使うと時間の感覚がおかしくなるのだろうか?
倒してから盛り上がるまで、妙にラグがあったね。
母親のタンス貯金とゴロツキ5人から奪ったお金も増えたし、私にとっては良いこと尽くしのイベントだったぜ。
模擬戦の方もガッチガチに防具を身につけた相手を瞬殺(※殺してない)したのだ。
実力で言うのなら合格間違いなしだろう。
「この後はどうすればいいの?」
「ん~?どうだったかな~?ねぇチョット~!いつまでもボーっとしてないで、次のことを教えろ~!」
評価する人が役に立たないね。
お、模擬戦の相手も意識が戻ったようだ。
これでも一応手加減はしていて、叩きつけた後に圧し潰したりはしてないんだよ?
普通に後頭部を強打したから気絶しちゃったけど、このくらいなら魔法ですぐに治せる範囲でしょ。
「……何が起きたんだ?確か模擬戦があるからここへ来て……もう既に戦ったのか?ミーシャの推薦とはいえ、相手は子供だって話じゃ……。」
……可哀想に……。
頭を強く打ちすぎたせいで記憶障害が発生している様だ。
「なんか使い物にならないし、受付に行ってみようか。」
「そうだね。」
そんな訳で、受付に戻ることにした。
ミーシャさんの言っていた通り、模擬戦は余裕だったね。
たぶん、戦闘で魔法を使えるか使えないかで、桁違いに戦闘力の差が出るんだろうね。
感覚的に、魔法による筋力強化は基本的な身体スペックと掛け算になるのだろう。
ミーシャさんは魔法による筋力強化は私より上手いかもしれないが、魔力の量や出力で言えば私の方が強い様に感じている。
私がミーシャさんに劣っているのは、基本的な身体スペックがボトルネックになっているからだろう。
10×10が100になるのに対して、5×15では75にしかならないのと似たような感じだ。
やっぱり体も大事。
いっぱい食べて、早く大きくならなきゃ……。
「登録が終わったらどうする~?さっそく初仕事行っちゃう~?トスターの街でスタンピードがあったのなら、今のトスターの街周辺は、モンスターをいっぱい狩って稼げるチャンスだよ~!」
「ウィル!」
……この声はまたガリューさんの様だ。
なんだろう……。
遭遇率高くない?
確かに探索ギルドだけではなく傭兵ギルドにも所属しているって言ってたし、この街に来ると言っていたのでここにいてもおかしくはないのだが……。
「あ、ガリューじゃん!ウィル君の知り合いなの?まぁ、同じトスターの街に住んでれば会うこともあるか。トスターの街は崩壊したんだってね。しばらくこっちで仕事するの?」
「……なんでミーシャがウィルと一緒にいるんだ……?」
「才能を感じたから捕獲した。それに可愛かったし……。」
「……ウィル。こいつは少し、頭がイカレてる奴なんだ。間違いなくお前の教育に悪い。あまり関わらない方がいいと思うぞ。」
「ひっど~い!ガリューがピンチになるたびに何度もな~んども助けてあげたはずなんですけど~!ウィルく~ん。こんな恩知らずな奴と仲良くしたら教育に悪いよ!このミーシャお姉さんと一緒に、モンスターをい~っぱい狩って、大金を稼ぎに行こう!」
……ミーシャさんが教育に悪いのは確かだけど、ミーシャさんと一緒の方が絶対に稼げるんだよな~。
言ってること自体は間違ってないもんね。
ちょっとウザイだけで……。
お金を稼ぎまくってるみたいだけど、お金に対して執着とかなさそうだから、一緒に組めば儲けはキッチリ折半してくれそうだし……。
対してガリューさん。
まず戦闘面ではあまり期待できない。
親切で常識もあって正義感も強くて日常生活において非常に頼りになる存在だとは思うけど、強さだけは私の求める基準に全然足りてない。
ついでに私の将来を思って、儲けの中から勝手に貯金とかされそう……。
だから拒否。
今回のスタンピードで大事なことを再確認したのだ。
この世界で生きていくためには、モンスターに襲われようと生き延びることが出来るだけの強さが必要なのだと……。
それが無ければ運が悪いと死ぬ。
私を見れば分かるだろう。
母親が死に、家にゴロツキが来たけど、私が強かったから無事だった。
自分達よりも多い数の賊に囲まれ、絶体絶命のピンチっぽい状況になったけど、私やハイドさんが強かったから、死ぬこともなく敵が逃げていった。
モンスターに襲われ、普通なら死んでもおかしくない環境下を歩きまわっていようと、私が強かったから余裕で隣の街へと逃げることが出来た。
今の私にとって、『強さ』は絶対的な要素なのだ。
そんな訳で私はミーシャさんについていく。
間違いなくイカレてるから程々の距離を保ちたいが……やっぱ1人の方がいい気がするな……。
とりあえず今はミーシャさんと行動して、出来るだけ早い段階でソロ活動へと移行する。
これがベストだろう。
「今はミーシャさんと一緒でいい。」
「そ~だよね~!やっぱり私と一緒がいいよね~!」
「……まぁ、ウィルがそう判断するのならなんも言えねぇけどよ……。ヤバくなる前に、ちゃんと逃げ出すんだぞ。」
ガリューさんは心配性の様だ。
なんとなく私の実力に気づいている様な雰囲気を感じるけど、それでも私がまだ子供だから心配してしまうのだろう。
ミーシャさんと一緒にいればなおさら……。
いい人には長生きして欲しいものである。
「ところでウィルはもう傭兵として登録は終わったのか?」
「さっき模擬戦で相手を倒した。その後何も言われなかったから受付に行くところ。」
「……そうか。傭兵の仕事は危険が多いから気を付けるんだぞ。……ミーシャにも気を付けろよ。」
「そうだね。」
ガリューさんとはここで別れ、受付に進んだ。
受付に着くと、全てを察した受付のお姉さんがすぐに登録手続きを始めてくれて、それほど時間はかからずに、傭兵ギルド所属であることを示す認識票を受け取ることが出来た。
書いてあるのは名前の他に、生まれた年と日付、身分証を作った街の名前だけ。
身分証があるってありがたいね~。
「さ~ウィル君!これで君も立派な傭兵ギルドのメンバーだ!一緒にモンスターを狩りに行くよ!」
「……あのぉ~、傭兵ギルドで依頼を受ける際の説明が……。」
「ウィル君は文字は読める?」
「数字と簡単な野菜の名前くらいは……。」
「じゃあ説明はいらないね!」
……なんで?
壁に貼られた依頼書が読めないにしても、依頼の受け方くらいは聞いてもいい気がするけど……。
「大丈夫大丈夫、ウィル君の考えていることは分かるよ~。『依頼書が読めなくても、依頼の受け方くらいは知っておいた方がいいんじゃないか?』って思ってるんだよね?でも正直、依頼なんて直接頼まれたやつ以外受ける必要はないんだよ。あそこに貼られた依頼は簡単な雑用ば~っかり。あれを受けるくらいなら、その辺の雑魚モンスターを狩って持ってきた方が儲かるくらい。モンスターを倒してお金儲けができるウィル君は、あんな雑用をやる必要はないの。ウィル君は『特別』だってことを、今のうちから認識しておいた方がいいよ。」
……なんか語り口が胡散臭い詐欺師っぽいんだよな~。
でも受付のお姉さんを見た感じ、言っていることは間違ってはいない様だし……。
……まぁ、いいか。
説明が必要だと感じたら頼もう。
今は弱いモンスターを倒すことしか出来ないんだし、依頼なんか受けずに、モンスターを狩って持ってくるだけでいいと言っているのだ。
さっそくモンスターを狩ってお金を稼ぐことにしよう。
……ところで、さっき儲けた銀貨147枚はどれだけの価値になるんだろう?
野菜ならたくさん買えそうだけど……。
1人は武器を一切持っている様子はないが、ガッチガチに防具を身につけており、明らかに動きに支障が出ていそうな男性だ。
恐らく今回の模擬戦の相手だろう。
もう1人は普通のギルド職員の制服を着た男性だ。
戦うような恰好ではないので、評価する人で間違いないだろう。
「……その子供に今から模擬戦をさせるのですか?傭兵ギルドは子供を預かる施設ではないのですが……。」
「相変わらず皮肉しか言わないね~。小型のモンスター相手に震えて動けなくなるあなたよりは強いと思うよ~。ま、公平に評価してよ。」
なんかすごく仲が悪そうだ。
大丈夫かな?
ミーシャさんの推薦だからって、理不尽に不合格になったりしない?
念のため、有無を言わせぬほどボッコボコにボコっておこうかなぁ~……。
「では模擬戦を始めますが、武器を使用しますか?武器を使用するのであれば、あちらの箱に納められている訓練用の武器の中から選んでください。」
……ふむ。
あの箱は武器を入れるための箱だったんだね。
私は箱へと向かい、中から1つの物を手に取って戻り、戦いに備えて構えた。
「……それは訓練用の武器ではないので置いて貰えますか?あとで捨てておきますので。」
……酒瓶は駄目か。
握りやすいし、叩きやすいし、割れたら凶器として優秀な気がしたんだけどなぁ~……。
「じゃあ素手でいい。始めて。」
「……相手をよく見て下さい。全身にしっかりと防具を身につけているんですよ。素手でどうやって戦うのですか?」
「さっさと始めろ~!こっちはもう賭けてるんだぞ~!」
……ミーシャさん賭けが好きだね
ちょっと待って貰ってもいいかな?
私も賭けに参加したい。
「ミーシャさん、賭けの倍率は?」
「ウィル君が30秒以内に倒せば5倍だよ!」
「じゃあ5秒以内に銀貨21枚賭ける。問題ないよね?」
「……殺さないように手加減してあげてね?」
「……前向きに検討しておく。」
向こうでは私の5秒以内宣言で盛り上がっている様だ。
というかいつの間にあんなに集まったんだろ?
さっきまでこの訓練場内には10人もいなかったのになぁ……。
「準備は良いですか?」
まぁ、やることはもう決めてある。
5秒以内と宣言したのだ。
余裕をもって1秒で瞬殺したい……殺しちゃ駄目だけど。
「では……始め!」
合図と共に前に出て、足を払うように蹴り、下がって来た頭を地面へと叩きつける。
「終わった。」
しっかりと終了の宣言もしておく。
感覚的に1秒で倒し、2秒の時点で宣言が出来た。
5秒まで3秒も余裕があったのだ。
賭けは問題なく勝ちだろう。
……誰も、何も言わない。
「……終わってるんだけど?」
「急いで医務室へ運べ!大至急だ!」
「いや駄目だ!ここに先生を呼んで来い!下手に動かすな!」
「ウィ~ル~く~ん。も~少し手加減を覚えた方がいいよ~?はいこれお金。いい感じに盛り上がって、7倍の銀貨147枚だよ。やったね!」
「ミーシャがミーシャみたいなガキを連れてきやがった……。このギルドはお終いだぁ~。」
「お終いなわけあるかば~か。ヤバいモンスターと戦えるやつが増えたんだぞ?この街以上に安全な街はないぜ!」
……急に盛り上がり始めた。
やはり筋力強化を使うと時間の感覚がおかしくなるのだろうか?
倒してから盛り上がるまで、妙にラグがあったね。
母親のタンス貯金とゴロツキ5人から奪ったお金も増えたし、私にとっては良いこと尽くしのイベントだったぜ。
模擬戦の方もガッチガチに防具を身につけた相手を瞬殺(※殺してない)したのだ。
実力で言うのなら合格間違いなしだろう。
「この後はどうすればいいの?」
「ん~?どうだったかな~?ねぇチョット~!いつまでもボーっとしてないで、次のことを教えろ~!」
評価する人が役に立たないね。
お、模擬戦の相手も意識が戻ったようだ。
これでも一応手加減はしていて、叩きつけた後に圧し潰したりはしてないんだよ?
普通に後頭部を強打したから気絶しちゃったけど、このくらいなら魔法ですぐに治せる範囲でしょ。
「……何が起きたんだ?確か模擬戦があるからここへ来て……もう既に戦ったのか?ミーシャの推薦とはいえ、相手は子供だって話じゃ……。」
……可哀想に……。
頭を強く打ちすぎたせいで記憶障害が発生している様だ。
「なんか使い物にならないし、受付に行ってみようか。」
「そうだね。」
そんな訳で、受付に戻ることにした。
ミーシャさんの言っていた通り、模擬戦は余裕だったね。
たぶん、戦闘で魔法を使えるか使えないかで、桁違いに戦闘力の差が出るんだろうね。
感覚的に、魔法による筋力強化は基本的な身体スペックと掛け算になるのだろう。
ミーシャさんは魔法による筋力強化は私より上手いかもしれないが、魔力の量や出力で言えば私の方が強い様に感じている。
私がミーシャさんに劣っているのは、基本的な身体スペックがボトルネックになっているからだろう。
10×10が100になるのに対して、5×15では75にしかならないのと似たような感じだ。
やっぱり体も大事。
いっぱい食べて、早く大きくならなきゃ……。
「登録が終わったらどうする~?さっそく初仕事行っちゃう~?トスターの街でスタンピードがあったのなら、今のトスターの街周辺は、モンスターをいっぱい狩って稼げるチャンスだよ~!」
「ウィル!」
……この声はまたガリューさんの様だ。
なんだろう……。
遭遇率高くない?
確かに探索ギルドだけではなく傭兵ギルドにも所属しているって言ってたし、この街に来ると言っていたのでここにいてもおかしくはないのだが……。
「あ、ガリューじゃん!ウィル君の知り合いなの?まぁ、同じトスターの街に住んでれば会うこともあるか。トスターの街は崩壊したんだってね。しばらくこっちで仕事するの?」
「……なんでミーシャがウィルと一緒にいるんだ……?」
「才能を感じたから捕獲した。それに可愛かったし……。」
「……ウィル。こいつは少し、頭がイカレてる奴なんだ。間違いなくお前の教育に悪い。あまり関わらない方がいいと思うぞ。」
「ひっど~い!ガリューがピンチになるたびに何度もな~んども助けてあげたはずなんですけど~!ウィルく~ん。こんな恩知らずな奴と仲良くしたら教育に悪いよ!このミーシャお姉さんと一緒に、モンスターをい~っぱい狩って、大金を稼ぎに行こう!」
……ミーシャさんが教育に悪いのは確かだけど、ミーシャさんと一緒の方が絶対に稼げるんだよな~。
言ってること自体は間違ってないもんね。
ちょっとウザイだけで……。
お金を稼ぎまくってるみたいだけど、お金に対して執着とかなさそうだから、一緒に組めば儲けはキッチリ折半してくれそうだし……。
対してガリューさん。
まず戦闘面ではあまり期待できない。
親切で常識もあって正義感も強くて日常生活において非常に頼りになる存在だとは思うけど、強さだけは私の求める基準に全然足りてない。
ついでに私の将来を思って、儲けの中から勝手に貯金とかされそう……。
だから拒否。
今回のスタンピードで大事なことを再確認したのだ。
この世界で生きていくためには、モンスターに襲われようと生き延びることが出来るだけの強さが必要なのだと……。
それが無ければ運が悪いと死ぬ。
私を見れば分かるだろう。
母親が死に、家にゴロツキが来たけど、私が強かったから無事だった。
自分達よりも多い数の賊に囲まれ、絶体絶命のピンチっぽい状況になったけど、私やハイドさんが強かったから、死ぬこともなく敵が逃げていった。
モンスターに襲われ、普通なら死んでもおかしくない環境下を歩きまわっていようと、私が強かったから余裕で隣の街へと逃げることが出来た。
今の私にとって、『強さ』は絶対的な要素なのだ。
そんな訳で私はミーシャさんについていく。
間違いなくイカレてるから程々の距離を保ちたいが……やっぱ1人の方がいい気がするな……。
とりあえず今はミーシャさんと行動して、出来るだけ早い段階でソロ活動へと移行する。
これがベストだろう。
「今はミーシャさんと一緒でいい。」
「そ~だよね~!やっぱり私と一緒がいいよね~!」
「……まぁ、ウィルがそう判断するのならなんも言えねぇけどよ……。ヤバくなる前に、ちゃんと逃げ出すんだぞ。」
ガリューさんは心配性の様だ。
なんとなく私の実力に気づいている様な雰囲気を感じるけど、それでも私がまだ子供だから心配してしまうのだろう。
ミーシャさんと一緒にいればなおさら……。
いい人には長生きして欲しいものである。
「ところでウィルはもう傭兵として登録は終わったのか?」
「さっき模擬戦で相手を倒した。その後何も言われなかったから受付に行くところ。」
「……そうか。傭兵の仕事は危険が多いから気を付けるんだぞ。……ミーシャにも気を付けろよ。」
「そうだね。」
ガリューさんとはここで別れ、受付に進んだ。
受付に着くと、全てを察した受付のお姉さんがすぐに登録手続きを始めてくれて、それほど時間はかからずに、傭兵ギルド所属であることを示す認識票を受け取ることが出来た。
書いてあるのは名前の他に、生まれた年と日付、身分証を作った街の名前だけ。
身分証があるってありがたいね~。
「さ~ウィル君!これで君も立派な傭兵ギルドのメンバーだ!一緒にモンスターを狩りに行くよ!」
「……あのぉ~、傭兵ギルドで依頼を受ける際の説明が……。」
「ウィル君は文字は読める?」
「数字と簡単な野菜の名前くらいは……。」
「じゃあ説明はいらないね!」
……なんで?
壁に貼られた依頼書が読めないにしても、依頼の受け方くらいは聞いてもいい気がするけど……。
「大丈夫大丈夫、ウィル君の考えていることは分かるよ~。『依頼書が読めなくても、依頼の受け方くらいは知っておいた方がいいんじゃないか?』って思ってるんだよね?でも正直、依頼なんて直接頼まれたやつ以外受ける必要はないんだよ。あそこに貼られた依頼は簡単な雑用ば~っかり。あれを受けるくらいなら、その辺の雑魚モンスターを狩って持ってきた方が儲かるくらい。モンスターを倒してお金儲けができるウィル君は、あんな雑用をやる必要はないの。ウィル君は『特別』だってことを、今のうちから認識しておいた方がいいよ。」
……なんか語り口が胡散臭い詐欺師っぽいんだよな~。
でも受付のお姉さんを見た感じ、言っていることは間違ってはいない様だし……。
……まぁ、いいか。
説明が必要だと感じたら頼もう。
今は弱いモンスターを倒すことしか出来ないんだし、依頼なんか受けずに、モンスターを狩って持ってくるだけでいいと言っているのだ。
さっそくモンスターを狩ってお金を稼ぐことにしよう。
……ところで、さっき儲けた銀貨147枚はどれだけの価値になるんだろう?
野菜ならたくさん買えそうだけど……。
0
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる