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一人目
悪人ゴロシ
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日本には、未だに逮捕されていない極悪人が潜んでいる。逮捕されれば死刑は確実。そんな極悪人
トウドウマサミツ
の一人、藤堂正光。男女合わせ、計八人を強盗目的で殺害。資産家の家に侵入し、殺害、全財産を持っていく。極めて悪質だ。被害総額は五十億円にものぼる。勿論逮捕されれば、死刑は免れない。今も、東京の一等地で裕福な逃亡生活を送っている。
「警察はまだ、俺のことは微塵も疑ってないらしい。だが、警察にはなるべく会わないようにしないとな」
一生使い切れないほどの厚さになっている札束を眺めながら言う。
「暇だし、ニュースでも見るか...」
テレビのリモコンを持ち、七と書いてあるボタンを押す。しばらくニュースを見ていると、突然、砂嵐になった。
「どうしたんだ?壊れたか...」
正光は不思議そうに呟く。が、数秒続いた砂嵐から、映像が切り替わった。口元しか見えないほど、フードを深くかぶっている誰かが映っている。髭が生えているので、男だろう。
「やあ、全国のみんな。さて、突然だが、今見てる人の中に、大罪を犯した極悪人はいるかな」
まるで、正光に言っているかのようだ。声は太いが、おかしいほど口調が柔らかい。その口調が、不気味さを倍増させている。
「もし極悪人が見ているならば、聞いてくれ。今日から『私たち』は、まだ逮捕されていない極悪人を『消していく』...。ただし、逮捕されれば死刑確定の者だけを対象とする。今の内に警察署に行って、自首してもいい。むしろその方が、『私たち』の望んでいる結果だ。今日からだぞ。十分後に遂行する。どうか、見ている極悪人全員が、自首することを願っている。では、失礼」
再び砂嵐が数秒続く。そして、ニュースに戻る。女性キャスターが、謝罪の言葉を述べている。
「いたずらにしては凝っているな。ああいう、訳の分からないことをする奴が居るんだな」
いたずらと信じ込んでいる様子の正光は、呆れた様子で言う。
「さて、コンビニに昼メシ買いに行くか」
今は一月だ。外はとても寒い。正光は、パジャマの上にジャンパーを羽織り、靴下を履く。玄関で靴を履き、ドアを開けて外に出る。鍵を閉めて、歩き出す。徒歩で五分ほどの距離にあるコンビニで、いつも昼食を買っている。コンビニに着いた。昼食を手に取り、レジに並ぶ。
「今日はやけに混んでるな...」
五分ほど経つと、やっと正光の番が回ってきた。会計を済ませて外に出る。コンビニのすぐ目の前に人混みが出来ている。正光は人混みを掻き分け、皆が見ている方に体を向けた。すると、さっきのフードの男が一人の男に歩み寄っている。フードの男の手には、斧が握られていた。フードの男が口をひらく。 コンドウオサム
「あなたは確か、近藤修さんですね?年齢は二十二歳。家族構成は、修さん、妹、兄、父、母、祖父、祖母。実家に帰省した時、家族全員を殺害、放火した。合ってますね」
「お、お前誰だよ...。なんで俺のことそんなに知ってるんだよ」
修は叫ぶ。フードの男が持っている斧を見ている。
「やっぱり修さんですね。では、消させて頂きます」
男は、修の目の前まで迫った。
「消すってどういうこ」
男は、修の言葉を最後まで聞かず、手に持っていた斧で首を切り落とした。血飛沫が上がる。群がっていた人達が、叫び声をあげて逃げ始めた。気分が悪くなった正光も、帰ろうとする。フードの男と目が合う。その瞬間、男の口角が少し上がった。さらに気分が悪くなった正光は、家に帰る。家に着くと、安堵の表情でベッドに横たわった。
トウドウマサミツ
の一人、藤堂正光。男女合わせ、計八人を強盗目的で殺害。資産家の家に侵入し、殺害、全財産を持っていく。極めて悪質だ。被害総額は五十億円にものぼる。勿論逮捕されれば、死刑は免れない。今も、東京の一等地で裕福な逃亡生活を送っている。
「警察はまだ、俺のことは微塵も疑ってないらしい。だが、警察にはなるべく会わないようにしないとな」
一生使い切れないほどの厚さになっている札束を眺めながら言う。
「暇だし、ニュースでも見るか...」
テレビのリモコンを持ち、七と書いてあるボタンを押す。しばらくニュースを見ていると、突然、砂嵐になった。
「どうしたんだ?壊れたか...」
正光は不思議そうに呟く。が、数秒続いた砂嵐から、映像が切り替わった。口元しか見えないほど、フードを深くかぶっている誰かが映っている。髭が生えているので、男だろう。
「やあ、全国のみんな。さて、突然だが、今見てる人の中に、大罪を犯した極悪人はいるかな」
まるで、正光に言っているかのようだ。声は太いが、おかしいほど口調が柔らかい。その口調が、不気味さを倍増させている。
「もし極悪人が見ているならば、聞いてくれ。今日から『私たち』は、まだ逮捕されていない極悪人を『消していく』...。ただし、逮捕されれば死刑確定の者だけを対象とする。今の内に警察署に行って、自首してもいい。むしろその方が、『私たち』の望んでいる結果だ。今日からだぞ。十分後に遂行する。どうか、見ている極悪人全員が、自首することを願っている。では、失礼」
再び砂嵐が数秒続く。そして、ニュースに戻る。女性キャスターが、謝罪の言葉を述べている。
「いたずらにしては凝っているな。ああいう、訳の分からないことをする奴が居るんだな」
いたずらと信じ込んでいる様子の正光は、呆れた様子で言う。
「さて、コンビニに昼メシ買いに行くか」
今は一月だ。外はとても寒い。正光は、パジャマの上にジャンパーを羽織り、靴下を履く。玄関で靴を履き、ドアを開けて外に出る。鍵を閉めて、歩き出す。徒歩で五分ほどの距離にあるコンビニで、いつも昼食を買っている。コンビニに着いた。昼食を手に取り、レジに並ぶ。
「今日はやけに混んでるな...」
五分ほど経つと、やっと正光の番が回ってきた。会計を済ませて外に出る。コンビニのすぐ目の前に人混みが出来ている。正光は人混みを掻き分け、皆が見ている方に体を向けた。すると、さっきのフードの男が一人の男に歩み寄っている。フードの男の手には、斧が握られていた。フードの男が口をひらく。 コンドウオサム
「あなたは確か、近藤修さんですね?年齢は二十二歳。家族構成は、修さん、妹、兄、父、母、祖父、祖母。実家に帰省した時、家族全員を殺害、放火した。合ってますね」
「お、お前誰だよ...。なんで俺のことそんなに知ってるんだよ」
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男は、修の目の前まで迫った。
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男は、修の言葉を最後まで聞かず、手に持っていた斧で首を切り落とした。血飛沫が上がる。群がっていた人達が、叫び声をあげて逃げ始めた。気分が悪くなった正光も、帰ろうとする。フードの男と目が合う。その瞬間、男の口角が少し上がった。さらに気分が悪くなった正光は、家に帰る。家に着くと、安堵の表情でベッドに横たわった。
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