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返り討ち 七人目
サイレン
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いつもより早く目を覚ました正光は、正和の家にいた。
「兄さんから借りた散弾銃、役に立っているよ」
「それは良かった。一体何に使っているんだ?」
「さあ。何に使っていると思う?」
「弟のことを通報するなんて嫌だぞ」
「大丈夫だよ。警察沙汰になるような事はしていないから」
「それならいいけど。免許取って、やっと買った初めての銃だからな。壊すことだけはするなよ」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。乱暴に扱ったりはしない」
正和と話していると、突然電話の着信音が鳴り響いた。
「ちょっとごめん」
正光はそう言い、別の部屋に入りドアを閉める。携帯をポケットから取り出し画面を見ると、飛鳥からだった。通話ボタンを押し、 電話に出る。
「どうしたんだ。急に」
小声で話す。
「どうしたの?そんな小声で」
「兄の家に来ているんだよ。聞かれたらまずい話とか、あるかもしれないだろ」
「そうなの。まあ、いいわ。今情報が入ったんだけど、あと三十分後に組織が動くわ。ターゲットは、殺人、詐欺で指名手配中の女。場所は、あなたの家の横の路地裏」
「分かった。今すぐ帰る」
そう言い、電話を切る。部屋のドアを開け、兄の居る部屋に戻り、帰るという旨を伝えた。
「分かった。また来いよ」
「ああ。予定が空いたらまた来るよ。じゃあ、また今度」
そう言い、兄の家から自宅に帰る。組織が動くまで、あと二十五分程で着く。兄の家から自宅までは、十五分程なので組織の男と鉢合わせにならないか心配だ。十五分ほど歩くと、自宅前に着く。すると、飛鳥がドアに背をつけ立っていた。
「遅かったわね。すぐ帰るって言っていたのに。道草でもしてたのかしら」
「道草なんてしてないよ。急いでもこのくらいかかるんだ」
「本当かしら。まあいいわ。早く中に入りましょう」
そう促され、鍵を差し込み回す。鍵が開く音が響くのと同時に、ドアを引いた。リビングの盗聴器を全て他の部屋に移動させ、隣の路地裏を窓から見始める。すると、一人の女が路地裏に入ってきた。その数秒後、フードを被った誰かが、女を追いかけるように走っている。そして、女の肩を叩く。正光は、窓を少しだけ開ける。
「誰よ。あんた。何の用?」
ターゲットの女が言う。
オウミ レンゲ
「あなたは、近江蓮華さんですね?様々な方法の詐欺で、四人から約三億を騙し取り、その後全員を殺害。体をバラバラにし、海や山に遺棄。やがて指名手配に。間違い無いですね?」
「何のこと?人違いよ。私はそんなことしてない」
「嘘をつくのですね。残念です。認めて欲しかったのですが。では、消させていただきます」
「消す?あんた何言ってんの?」
女がそう言った瞬間、閑静な住宅街に銃声が響いた。血と脳漿が飛び散り、女はその場に倒れる。組織の男は、その場から立ち去ろうと歩き出す。正光は散弾銃を手にし、家から飛び出した。男の背後まで歩み寄り、頭を狙い引き金を引く。銃声が響いている中、男が倒れる。
「今回は一人だったから、瞬殺だな」
ため息を吐き、家に入る。
「さあ、もう用は済んだんだから帰ってくれ」
「言われなくても帰るわよ。本当はメールでしかやり取りしたく無いんだから」
飛鳥はそう言うと、支度をして帰っていった。
正光がベットに寝込んでいると、外から警察のサイレンが聞こえる。まあ、当たり前のことだ。朝から銃声が二発聞こえた挙句、二人の死体が転がっているのだから。逆に遅いくらいだ。しばらくすると、インターホンが鳴った。正光は、インターホンの音には応えず、静かに目を閉じる。煩いサイレンの音の中、正光は深い眠りに落ちた。
「兄さんから借りた散弾銃、役に立っているよ」
「それは良かった。一体何に使っているんだ?」
「さあ。何に使っていると思う?」
「弟のことを通報するなんて嫌だぞ」
「大丈夫だよ。警察沙汰になるような事はしていないから」
「それならいいけど。免許取って、やっと買った初めての銃だからな。壊すことだけはするなよ」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。乱暴に扱ったりはしない」
正和と話していると、突然電話の着信音が鳴り響いた。
「ちょっとごめん」
正光はそう言い、別の部屋に入りドアを閉める。携帯をポケットから取り出し画面を見ると、飛鳥からだった。通話ボタンを押し、 電話に出る。
「どうしたんだ。急に」
小声で話す。
「どうしたの?そんな小声で」
「兄の家に来ているんだよ。聞かれたらまずい話とか、あるかもしれないだろ」
「そうなの。まあ、いいわ。今情報が入ったんだけど、あと三十分後に組織が動くわ。ターゲットは、殺人、詐欺で指名手配中の女。場所は、あなたの家の横の路地裏」
「分かった。今すぐ帰る」
そう言い、電話を切る。部屋のドアを開け、兄の居る部屋に戻り、帰るという旨を伝えた。
「分かった。また来いよ」
「ああ。予定が空いたらまた来るよ。じゃあ、また今度」
そう言い、兄の家から自宅に帰る。組織が動くまで、あと二十五分程で着く。兄の家から自宅までは、十五分程なので組織の男と鉢合わせにならないか心配だ。十五分ほど歩くと、自宅前に着く。すると、飛鳥がドアに背をつけ立っていた。
「遅かったわね。すぐ帰るって言っていたのに。道草でもしてたのかしら」
「道草なんてしてないよ。急いでもこのくらいかかるんだ」
「本当かしら。まあいいわ。早く中に入りましょう」
そう促され、鍵を差し込み回す。鍵が開く音が響くのと同時に、ドアを引いた。リビングの盗聴器を全て他の部屋に移動させ、隣の路地裏を窓から見始める。すると、一人の女が路地裏に入ってきた。その数秒後、フードを被った誰かが、女を追いかけるように走っている。そして、女の肩を叩く。正光は、窓を少しだけ開ける。
「誰よ。あんた。何の用?」
ターゲットの女が言う。
オウミ レンゲ
「あなたは、近江蓮華さんですね?様々な方法の詐欺で、四人から約三億を騙し取り、その後全員を殺害。体をバラバラにし、海や山に遺棄。やがて指名手配に。間違い無いですね?」
「何のこと?人違いよ。私はそんなことしてない」
「嘘をつくのですね。残念です。認めて欲しかったのですが。では、消させていただきます」
「消す?あんた何言ってんの?」
女がそう言った瞬間、閑静な住宅街に銃声が響いた。血と脳漿が飛び散り、女はその場に倒れる。組織の男は、その場から立ち去ろうと歩き出す。正光は散弾銃を手にし、家から飛び出した。男の背後まで歩み寄り、頭を狙い引き金を引く。銃声が響いている中、男が倒れる。
「今回は一人だったから、瞬殺だな」
ため息を吐き、家に入る。
「さあ、もう用は済んだんだから帰ってくれ」
「言われなくても帰るわよ。本当はメールでしかやり取りしたく無いんだから」
飛鳥はそう言うと、支度をして帰っていった。
正光がベットに寝込んでいると、外から警察のサイレンが聞こえる。まあ、当たり前のことだ。朝から銃声が二発聞こえた挙句、二人の死体が転がっているのだから。逆に遅いくらいだ。しばらくすると、インターホンが鳴った。正光は、インターホンの音には応えず、静かに目を閉じる。煩いサイレンの音の中、正光は深い眠りに落ちた。
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