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沙羅の過去
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相沢は、俺の気持ちを確かめてから一枚の写真をスマホから探して見せてくれた。
まだ高校生らしき沙羅と元気そうな青年の写真だった。
「この写真を撮影して数時間後に事件は起こったんだ。」
相沢は、今までに見た事が無い顔をして写真を眺めていた。
「俺には、歳の離れた弟がいたんだ、相沢 拓海って言ってみたまんまの悪ガキだったけど、沙羅と付き合っていたんだ。」
見た目は、確かに茶髪で気崩した制服にピアスだったが目はしっかりした青年に見えた。
「沙羅は、あの通り真面目な子で明るい良い子だ、弟は沙羅の人間性に惚れて勉強しだしてそこそこに頑張っていたんだ。」
二人とも設計の勉強がしたいと大学も同じ大学に行く予定で勉強していたというからもし相沢の弟が生きていたら沙羅は、今でも相沢の弟と一緒にいたかもしれない。
相沢を見ていても俺とは違い女性を大事にしている、弟の彼女だった沙羅にもまるで本当の妹の様に大事にしているのは俺も知っている事だ。
「この写真を撮って塾に行った帰りの話だ。二人はコンビニで簡単な夜食を買い歩いている所を襲われたんだ。ナイフを持った男に沙羅が先に刺されて弟は対抗したが沙羅を庇って数か所刺されて出血多量で数日後に亡くなった。」
コンビニの近くなら人通りもあっただろうし、防犯カメラもあっただろう。
「この犯人は、男だとは思うが防犯カメラの死角を歩いて逃げているから映像はほとんどない。入念に計画していた可能性があると刑事が言っていたよ。」
「犯人は、捕まっていないのか?」
「ああ。今だにな・・。」
塾からコンビニまでは数分の距離だったが沙羅の親は、塾に行っていた娘がコンビニで襲われてという事を隠す為に事故だといいはったらしい。
「弟が亡くなって沙羅がその事を自分の母親から聞かされて、しかも一時生きるか死ぬかの怪我を負った娘を殴ったんだ。商社に勤めている夫、沙羅の親父が事件を理由に昇進を見送られたことに腹を立てた彼女の両親は、彼女を家から追い出しアパートで一人で暮らせと言ったんだ。高校までは金は出すがその後は一人で生きろってね。」
怒りを孕んだ声で相沢は話す。
「だから俺と俺の両親は、沙羅を引き取ったんだ。大学にも通えと言ったが、俺の会社で最初は事務員として働き出した。その年に宅建も取ってイメージ図を描く勉強もしだした。」
沙羅も相沢の弟も被害者だ、なのに沙羅の両親は彼女を捨てたと言う事か。
「沙羅は、拓海が自分を庇わなければ拓海は生きていたのにと自分を責めてるんだ。俺は思うんだが、犯人は、二人を狙ったと思うんだ。それが拓海を狙ったストーカーなのか沙羅を狙ったストーカーかどっちにしても沙羅が受けた傷もかなり深かった。」
「相沢、暴漢でなくストーカーなのか?」
俺が、そう聞くと相沢は四年間調べてみて暴漢ならその半径10キロで同じようなまたは未遂の事件があるはずだが無かったのと、犯人が捕まっていないのに類似の事件が無いと言う点と入念に計算された犯人の行動からストーカー説を
考えていると言った。
「沙羅が、カーデガンを着ているのは腕に傷が残っているからだよ。背中も刺されているんだ。」
沙羅の背中の傷は、後数ミリ間違えば心臓に達していた傷だったらしいから殺意があったと考えて間違いないと俺も思う。
「それで最近のあの手紙にあれほど・・。」
「ああ。もしかしたら犯人かもしれないと俺は思ってるんだ。沙羅は、俺の会社と自宅マンションの往復くらいしかしてないからな。」
まだ犯人が捕まっていない状況で、たしかに沙羅のマンションにあの手紙だと俺だって知っていれば警戒した。
ここまで話して相沢は俺に聞いた。
「一条、沙羅は、幸せになろうと出来ない子だ。それに傷も気にしているんだそれでもお前は沙羅を愛せるか?」
「俺は傷は気にしないよ。沙羅が幸せになるのを拒んでも俺は、沙羅を幸せにしてやりたいよ。相沢俺は、女を愛した事が無いんだ毎日沙羅の姿がチラつくし似合いそうな物をみたら買ってしまうし。」
俺がそう告白すると相沢は「ほとんど病気だな。」と言って笑った。
「ああ、俺もそう思うよ。俺も自覚するまで他の女を抱いてみたが罪悪感を感じるんだからな。女を口説いた事がないから自信はないが俺は、おそらく沙羅しか愛せないだろうな。」
そう俺が言うと相沢は、だったら沙羅を頼むと言って頭を下げてきた。
「沙羅は、俺の可愛い妹なんだ。出来たらというか本当に幸せになって欲しい。相沢、正直お前の女関係の話は聞いていたから不安だったんだが。」
「確かにな・・そう言われても仕方ない女関係だからな。でも俺は今まで特定の女はいなかったぞ、いたら俺浮気は出来ないタイプのように自分で思う。沙羅を好きになってから他の女が鬱陶しくてな。それにな、自慢じゃないが自分から女を誘った事は一度もないぞ。」
ハッと呆れた顔をして相沢は自慢にはならねーよって言った。
俺は今後どうやって沙羅をデートに誘ったり告白するかを相沢と相談した。
告白した事も無ければ、デートに誘った事もない俺だからどうやっていいか全く解らない。
最後には相沢に「思うままにやってみろよ。」と言われてしまった。
俺はまず仕事を絡めて彼女に会う機会を増やす事にした。
まだ高校生らしき沙羅と元気そうな青年の写真だった。
「この写真を撮影して数時間後に事件は起こったんだ。」
相沢は、今までに見た事が無い顔をして写真を眺めていた。
「俺には、歳の離れた弟がいたんだ、相沢 拓海って言ってみたまんまの悪ガキだったけど、沙羅と付き合っていたんだ。」
見た目は、確かに茶髪で気崩した制服にピアスだったが目はしっかりした青年に見えた。
「沙羅は、あの通り真面目な子で明るい良い子だ、弟は沙羅の人間性に惚れて勉強しだしてそこそこに頑張っていたんだ。」
二人とも設計の勉強がしたいと大学も同じ大学に行く予定で勉強していたというからもし相沢の弟が生きていたら沙羅は、今でも相沢の弟と一緒にいたかもしれない。
相沢を見ていても俺とは違い女性を大事にしている、弟の彼女だった沙羅にもまるで本当の妹の様に大事にしているのは俺も知っている事だ。
「この写真を撮って塾に行った帰りの話だ。二人はコンビニで簡単な夜食を買い歩いている所を襲われたんだ。ナイフを持った男に沙羅が先に刺されて弟は対抗したが沙羅を庇って数か所刺されて出血多量で数日後に亡くなった。」
コンビニの近くなら人通りもあっただろうし、防犯カメラもあっただろう。
「この犯人は、男だとは思うが防犯カメラの死角を歩いて逃げているから映像はほとんどない。入念に計画していた可能性があると刑事が言っていたよ。」
「犯人は、捕まっていないのか?」
「ああ。今だにな・・。」
塾からコンビニまでは数分の距離だったが沙羅の親は、塾に行っていた娘がコンビニで襲われてという事を隠す為に事故だといいはったらしい。
「弟が亡くなって沙羅がその事を自分の母親から聞かされて、しかも一時生きるか死ぬかの怪我を負った娘を殴ったんだ。商社に勤めている夫、沙羅の親父が事件を理由に昇進を見送られたことに腹を立てた彼女の両親は、彼女を家から追い出しアパートで一人で暮らせと言ったんだ。高校までは金は出すがその後は一人で生きろってね。」
怒りを孕んだ声で相沢は話す。
「だから俺と俺の両親は、沙羅を引き取ったんだ。大学にも通えと言ったが、俺の会社で最初は事務員として働き出した。その年に宅建も取ってイメージ図を描く勉強もしだした。」
沙羅も相沢の弟も被害者だ、なのに沙羅の両親は彼女を捨てたと言う事か。
「沙羅は、拓海が自分を庇わなければ拓海は生きていたのにと自分を責めてるんだ。俺は思うんだが、犯人は、二人を狙ったと思うんだ。それが拓海を狙ったストーカーなのか沙羅を狙ったストーカーかどっちにしても沙羅が受けた傷もかなり深かった。」
「相沢、暴漢でなくストーカーなのか?」
俺が、そう聞くと相沢は四年間調べてみて暴漢ならその半径10キロで同じようなまたは未遂の事件があるはずだが無かったのと、犯人が捕まっていないのに類似の事件が無いと言う点と入念に計算された犯人の行動からストーカー説を
考えていると言った。
「沙羅が、カーデガンを着ているのは腕に傷が残っているからだよ。背中も刺されているんだ。」
沙羅の背中の傷は、後数ミリ間違えば心臓に達していた傷だったらしいから殺意があったと考えて間違いないと俺も思う。
「それで最近のあの手紙にあれほど・・。」
「ああ。もしかしたら犯人かもしれないと俺は思ってるんだ。沙羅は、俺の会社と自宅マンションの往復くらいしかしてないからな。」
まだ犯人が捕まっていない状況で、たしかに沙羅のマンションにあの手紙だと俺だって知っていれば警戒した。
ここまで話して相沢は俺に聞いた。
「一条、沙羅は、幸せになろうと出来ない子だ。それに傷も気にしているんだそれでもお前は沙羅を愛せるか?」
「俺は傷は気にしないよ。沙羅が幸せになるのを拒んでも俺は、沙羅を幸せにしてやりたいよ。相沢俺は、女を愛した事が無いんだ毎日沙羅の姿がチラつくし似合いそうな物をみたら買ってしまうし。」
俺がそう告白すると相沢は「ほとんど病気だな。」と言って笑った。
「ああ、俺もそう思うよ。俺も自覚するまで他の女を抱いてみたが罪悪感を感じるんだからな。女を口説いた事がないから自信はないが俺は、おそらく沙羅しか愛せないだろうな。」
そう俺が言うと相沢は、だったら沙羅を頼むと言って頭を下げてきた。
「沙羅は、俺の可愛い妹なんだ。出来たらというか本当に幸せになって欲しい。相沢、正直お前の女関係の話は聞いていたから不安だったんだが。」
「確かにな・・そう言われても仕方ない女関係だからな。でも俺は今まで特定の女はいなかったぞ、いたら俺浮気は出来ないタイプのように自分で思う。沙羅を好きになってから他の女が鬱陶しくてな。それにな、自慢じゃないが自分から女を誘った事は一度もないぞ。」
ハッと呆れた顔をして相沢は自慢にはならねーよって言った。
俺は今後どうやって沙羅をデートに誘ったり告白するかを相沢と相談した。
告白した事も無ければ、デートに誘った事もない俺だからどうやっていいか全く解らない。
最後には相沢に「思うままにやってみろよ。」と言われてしまった。
俺はまず仕事を絡めて彼女に会う機会を増やす事にした。
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