愛してると言いたかった

アタラン

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プロローグ

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 何気なく忙しい毎日を送り気がつけばこの街に住んで15年になる。

15年前に大手商社から転職して渡米してこのNYに住んだ事については後悔は一ミリもしていない。

同年代ではかなり成功している方だと思うし、今住んでいるアパルトマンやこの街の空気は俺は嫌いじゃない。

この街は成功と失敗が同居しているように毎日思う、今は地下鉄に乗る事も少なくなったが、ビジネスマンが行きかう横で寝そべっている人も珍しくはない。

彼等の中にも昔は、成功していた人間もいる俺にしても、今日は成功者で明日は彼等と同じかもしれない。

そんなスリルも自分一人だから楽しく感じるのだと思う。

「家族がいたら怖いかもな。」

結果が全てのこの国で自分のオフィスを持つまでに成功した桐生 凱は毎日通っているカフェでコーヒーを注文して昨日の売買の数字を目で追っていた。

スマホが着信を知らせる。

「日本から?むこうは夜かな・・。」

そう思いながら見知った顔のアイコンをタップした。

「おはよう。どうした?」

幼馴染の一人の伊集院 忍は、医師をしている数か月前にアメリカで会ったばかりだった。

「落ち着いて聞けよ・・咲が息を引き取った。」

「えっ?!」

カフェの壁に飾られているカレンダーを見て4月1日ではないと確認した。

「咲が・・咲が・・。」

忍は普段は冷静な男だ、そんな男が泣きながら言う。

「嘘だろう?」

俺は、ここ何年も会っていない・・・実際には15年ほどちゃんと会っていない幼馴染の彼女の姿を思い出した。

「なんでだよ・・お前は医者だろう?今から行くからさ心臓動かせておけよ!助けろよ。」

無茶な事を言っているのは解っているそれでもそう言うしかなかったしそうとしか言葉がでなかった。

そこから飛行機のチケットを取って日本についてからも夢の中にいるような信じられない信じたくないそんな感情に襲われている。

スマホには四人で写る俺達の写真。

「なんなんだよお前はよ・・。」

懐かしい町まであと少し、

「この海岸は変わらないな。」

海沿いの道路をタクシーの運転手にお願いして走ってもらう。

何も変わらない俺達が育った町。

俺は今はまだ彼女がこの世にいないとは思えずにいる。

それほど何も変わらない町はあちらこちらに若い自分達の映像がうかぶ。

冗談とか大がかりな悪戯かもしれない、そうであって欲しいと思いながら待ち合わせの場所に向かった。

俺達の「いつもの場所」に

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