愛してると言いたかった

アタラン

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咲が残した手紙

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朝起きるとすでに忍は、桜をハイツに迎えに出ていた。

起こしてくれても良かったのにとも思ったが忍なは俺が睡眠をとっていない事を解っていたのだろう。

身支度を済ませてコーヒーメーカーに用意されていたコーヒーを飲みながら忍の帰りを待つことにした。

登はまだ寝ていて、昔から変わらず朝が弱いようで忍はどんなに飲んでもキッチリと時間には起きるタイプだ。

ガチャっと玄関が開く音がした。

忍が少し目を赤くした桜を連れて帰ってきた。

「おはよう。起きたか、朝ごはん用意してあるから桜もほら食べよう。」と忍はいつの間に作ったのか冷蔵庫からサラダを出してきた。

同時になれた手つきで桜は、パンをトースターで焼く。

「何枚焼いたらいい?」

忍は、俺にも食べるかどうかを聞いてからとりあえず四枚くらいでいいと答えていた。

登もいつの間にか起きてきて朝はコーヒーだけ派だと言ってコーヒーを飲みながらまだボーっとしている様だった。

「ササちゃん食べないとダメだよ。」

えーっ!とか言いながらも桜に言われて渋々サラダを食べる。

どっちが子供か解らない二人の様子は毎回の事だと忍は言う。

四人で何だかんだと言いながら食卓を囲みそこで何気ない会話が普通にあって、それがまったく違和感がなく不思議な感覚だった。

食事も終わり後片付けを終えた俺達は、リビングでそれぞれにくつろぐ。

「忍は、仕事じゃないのか?」

「今日までは休みをもらった。有給は馬鹿ほどあるからな。」

毎年有給が消化できずに消えていくんだと忍はブツブツ言うが医者の多くはそうだろうと言うと「まあそうだな。」と諦めていると言った。

そんな会話をしていると桜が

「凱さん、お母さんから凱さんに手紙があったんだけど。」

桜が咲から預かった手紙。

桜は一人でハイツで泣きたかったのもあったけど手紙を持ってきたかったと言う。

「その手紙は、今回入院する時に鍵付きの箱の中になおしてあったの。自分にもしもがあった時に開けて欲しいって頼まれてたの。」

箱の中には、桜への手紙があってもう一通はこの手紙だったようだ。

俺は手にした手紙を読む前に桜に聞いた。

「桜の手紙には、お母さんは何て書いてあったんだ?」

俺がそう聞くと桜は「お母さんらしいことかな?その最後に書いていた

のがもし凱さんが来たらその手紙を必ず渡して欲しいって書かれていたの。」


そして俺は手元にある手紙を三人の前で開けた。



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