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恋しい人
恋しい人 第9話
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「なら、分かってるわよね? 大人が未成年に手を出したら何て呼ばれるか」
キスまで後十数センチってところで姉さんは顔を止め、不敵に笑う。
そしてそのまま虎君の耳元に唇を寄せると、「犯罪者って呼ばれるのよ」と口角を上げて笑った。
「または、変態」
「姉さん!」
虎君に向けられる酷い言葉の数々に僕は怒りを込めて姉さんを睨む。変なこと言わないでよ! と。
「あら。変なことじゃないでしょ? ニュースで度々取り沙汰されている社会問題でもあるのよ?」
「それは強要したり無理矢理の場合でしょ!? 虎君がそんなことするわけないじゃない!!」
これ以上虎君を侮辱すると姉さんと言えど許さないから!
そう威嚇する僕。姉さんは僕の威嚇に怯むどころかにっこりと綺麗な笑顔を見せて『反応に満足してる』と言わんばかりに頭を撫でてきた。
「な、何……?」
「なんでもないわ。葵は本当、いい子だなと思って。……そうよね? 虎」
姉さんのとびきり綺麗な笑顔が怖い。僕は怯んでしまって虎君の背後に隠れてしまう。
虎君は僕を守るように姉さんとの間に立ちはだかると、「桔梗」とその威圧を止めろと名前を呼んだ。
「回りくどい牽制をするな。俺が葵を傷つけるわけないだろうが」
「ええ。分かってるわ。ただの確認よ」
姉さんの綺麗に手入れされた指が虎君の肩に乗せられ、ポンポンと叩くように動く。
「信じてるわよ。『お兄ちゃん』」
「はいはい。分かった分かった」
姉さんの声は楽し気。虎君の声は煩わし気。
僕は二人のやり取りを聞きながら、余計な心配をする姉さんをちょっぴり疎ましく思った。
(そんなに釘を刺さないでよ! 僕は虎君の傍にいたいんだから!)
姉さんの牽制にもしも虎君が今日のお昼からの約束をなかったことにしようって言ったら、僕、恨むだけじゃ済まないからね?
まだ楽し気に喋ってる虎君と姉さんの声に、僕が感じるのは疎外感。
僕のことを思い出してと思わず手が伸びてしまったと気づいたのは、虎君の背中を引っ張った後だった。
「どうした?」
「! な、なんでもないっ!」
すぐに振り返ってくれる虎君。
僕は『しまった』と慌てて上着から手を離す。また姉さんにヤキモチ焼いてたと呆れられたくなかったから。
「三人とも早く出てきなさい。お父さん、帰ってきたわよ」
「! はーい! ほら、葵、虎、行くわよ」
「分かった。……さ、行こう?」
「う、うん」
踵を返して玄関を後にする姉さん。虎君は僕の手を握り、笑う。
僕は虎君の手をぎゅっと握り締め、頷くと姉さんの後を追うように足を進めた。
でも、玄関を出る前に虎君に繋いだ手を引っ張られ、反動で振り返る僕。
虎君が僕にチュッとキスを落としてきたのはほんの一瞬だったけど、僕のヤキモチが消えて無くなるには十分すぎるキスだった。
(もう! 虎君大好きだよぉ!)
僕は大好きな人に抱き寄せられ、玄関を後にする。
玄関のドアをくぐると聞こえるシャッター音。
音がした方向を見れば、カメラを構えている陽琥さんの姿が。
「いきなり撮るのは止めてくださいよ」
「安心しろ。いつも通りいい男に写ってる」
不意打ちで写真を撮らないで欲しいと苦笑いを浮かべる虎君に陽琥さんは写真をチェックしながら真顔で返事をする。
後からデータを貰おうって考えていた僕は陽琥さんの言葉に完全に同意してしまう。
(虎君って陽琥さんから見てもカッコいいんだ! 嬉しい!)
好きな人を褒められたら嬉しいに決まってる。
何故か僕が得意気になってしまって誇らしげに笑っていれば、茂斗から「さっさと写真撮るぞ」って呆れ声が飛んできた。
カメラを構える陽琥さんに玄関の前にと促される僕達。すると虎君は僕から手を離し、陽琥さんの方へと歩いて行ってしまう。
「と、虎君っ!」
「家族写真が先だろ?」
後から一緒に撮ってもらおうって言ってくれるのは嬉しい。でも、虎君は僕の恋人で『お兄ちゃん』なのにって思ってしまうのは仕方ない。
キスまで後十数センチってところで姉さんは顔を止め、不敵に笑う。
そしてそのまま虎君の耳元に唇を寄せると、「犯罪者って呼ばれるのよ」と口角を上げて笑った。
「または、変態」
「姉さん!」
虎君に向けられる酷い言葉の数々に僕は怒りを込めて姉さんを睨む。変なこと言わないでよ! と。
「あら。変なことじゃないでしょ? ニュースで度々取り沙汰されている社会問題でもあるのよ?」
「それは強要したり無理矢理の場合でしょ!? 虎君がそんなことするわけないじゃない!!」
これ以上虎君を侮辱すると姉さんと言えど許さないから!
そう威嚇する僕。姉さんは僕の威嚇に怯むどころかにっこりと綺麗な笑顔を見せて『反応に満足してる』と言わんばかりに頭を撫でてきた。
「な、何……?」
「なんでもないわ。葵は本当、いい子だなと思って。……そうよね? 虎」
姉さんのとびきり綺麗な笑顔が怖い。僕は怯んでしまって虎君の背後に隠れてしまう。
虎君は僕を守るように姉さんとの間に立ちはだかると、「桔梗」とその威圧を止めろと名前を呼んだ。
「回りくどい牽制をするな。俺が葵を傷つけるわけないだろうが」
「ええ。分かってるわ。ただの確認よ」
姉さんの綺麗に手入れされた指が虎君の肩に乗せられ、ポンポンと叩くように動く。
「信じてるわよ。『お兄ちゃん』」
「はいはい。分かった分かった」
姉さんの声は楽し気。虎君の声は煩わし気。
僕は二人のやり取りを聞きながら、余計な心配をする姉さんをちょっぴり疎ましく思った。
(そんなに釘を刺さないでよ! 僕は虎君の傍にいたいんだから!)
姉さんの牽制にもしも虎君が今日のお昼からの約束をなかったことにしようって言ったら、僕、恨むだけじゃ済まないからね?
まだ楽し気に喋ってる虎君と姉さんの声に、僕が感じるのは疎外感。
僕のことを思い出してと思わず手が伸びてしまったと気づいたのは、虎君の背中を引っ張った後だった。
「どうした?」
「! な、なんでもないっ!」
すぐに振り返ってくれる虎君。
僕は『しまった』と慌てて上着から手を離す。また姉さんにヤキモチ焼いてたと呆れられたくなかったから。
「三人とも早く出てきなさい。お父さん、帰ってきたわよ」
「! はーい! ほら、葵、虎、行くわよ」
「分かった。……さ、行こう?」
「う、うん」
踵を返して玄関を後にする姉さん。虎君は僕の手を握り、笑う。
僕は虎君の手をぎゅっと握り締め、頷くと姉さんの後を追うように足を進めた。
でも、玄関を出る前に虎君に繋いだ手を引っ張られ、反動で振り返る僕。
虎君が僕にチュッとキスを落としてきたのはほんの一瞬だったけど、僕のヤキモチが消えて無くなるには十分すぎるキスだった。
(もう! 虎君大好きだよぉ!)
僕は大好きな人に抱き寄せられ、玄関を後にする。
玄関のドアをくぐると聞こえるシャッター音。
音がした方向を見れば、カメラを構えている陽琥さんの姿が。
「いきなり撮るのは止めてくださいよ」
「安心しろ。いつも通りいい男に写ってる」
不意打ちで写真を撮らないで欲しいと苦笑いを浮かべる虎君に陽琥さんは写真をチェックしながら真顔で返事をする。
後からデータを貰おうって考えていた僕は陽琥さんの言葉に完全に同意してしまう。
(虎君って陽琥さんから見てもカッコいいんだ! 嬉しい!)
好きな人を褒められたら嬉しいに決まってる。
何故か僕が得意気になってしまって誇らしげに笑っていれば、茂斗から「さっさと写真撮るぞ」って呆れ声が飛んできた。
カメラを構える陽琥さんに玄関の前にと促される僕達。すると虎君は僕から手を離し、陽琥さんの方へと歩いて行ってしまう。
「と、虎君っ!」
「家族写真が先だろ?」
後から一緒に撮ってもらおうって言ってくれるのは嬉しい。でも、虎君は僕の恋人で『お兄ちゃん』なのにって思ってしまうのは仕方ない。
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