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恋しい人
恋しい人 第40話
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虎君が何故そんなに知りたがっているのか全然分からなかったけど、今漸く理解できた。
虎君は自分で欲の処理をしているから、僕が夢精するまで放置しているなんて全く想定していなかったのだろう。
そう考えれば、虎君が怒りを覚えるのも当然だ。自分でしていないのなら第三者に手をかりるしかないと考えるのが自然だから。
(確かに怒るよね……)
虎君が他の人の手をかりて処理しているかもしれないだなんて、恋愛感情が無くとも、たとえただの処理のためだとしても、僕だって嫌だ。本当、凄く嫌だ。
僕は虎君のヤキモチの理由が理解できて、さっきまでの怒りを完全になくすことができた。むしろ穏やかな気持ちだ。
(ん? 待って待って。確かに虎君が怒ってる理由は分かったし、僕は納得できたけど、でも、まだ虎君は納得してない、よ、ね……?)
甘えるように虎君の胸に頬を摺り寄せていたけど、問題が解決したのは自分だけだと気づいて焦る。だって真実を言わないと絶対に虎君は納得しないよね?
「葵、言い辛いかもしれないけど、でも、教えて……? なるべく、できる限り怒りは抑えるから、だから……」
ああ、ほら。やっぱり。恥ずかしい事を口に出さないとダメみたいだ。
僕は促されるまま虎君と見つめ合うように身体を離し、困りながらもその頼りない眼差しを見つめ返した。
「あの、……あのね、……その……、実は……」
ちゃんと説明しなくちゃと思うのに、どうしても恥ずかしくて言葉が出てこない。
困ってもごもごしてたら、虎君は一層悲しそうな表情で僕の名前を呼んでくる。
「大丈夫。……どんなに辛い真実も、ちゃんと受け止める」
「! ……僕のこと、絶対、嫌いにならない?」
「愛してる。何があろうと、どんな事実があろうと、葵を愛してる。だから教えて、頼む……」
隠さずに教えて欲しい。
口にするのはとても恥ずかしくて、できることなら秘密にしておきたい。でも、大好きな人にこんな風に懇願されて突っぱね続けることができるわけがない。
「僕、……僕、……いつも、む、夢精、してる、の……」
「え?」
「だ、だから! だから、その、……いつも朝起きたら―――」
「ちょ、ちょっと待って。……え? む、夢精……? いつも……?」
僕の恥ずかしい告白に虎君が見せるのは困惑。
初めて見るぐらい狼狽えているその姿に、僕は羞恥で顔から火が出そうだった。
「や、やっぱり変、だよね……」
「! あ、ちが、そうじゃなくて、ちょっと驚いて……」
居た堪れなくて俯くと、慌てて変じゃないと言ってくれる。でも注がれる視線は言葉とは裏腹なもののように感じてしまう。
きっとこれは僕の被害妄想だと言い聞かせ、注がれる視線に唇を噛みしめ、耐える。
すると虎君は小さく息を吐くと僕の顎に手を添え、上を向くよう促してきた。
「ごめん。本当に驚いただけだからそんな顔しないでくれ」
「だって……。普通、じゃ、ないんでしょ……」
「どう処理するかは人それぞれだよ。でも、……身体に悪いだろ?」
優しい笑顔を見せる虎君は僕を見つめ、安堵の息を吐く。本当に心から安心しているようなその声に、僕の心は少しだけ軽くなる。
「自分で、なんて、恥ずかしいんだもん……」
「それは分かるけど、限界がくるまで我慢する生活を何年もしてる方が辛くないか?」
「辛くはないよ? ……まだ数ヶ月しか我慢してないからかもしれないけど……」
精通したのも四カ月前だし、夢精した回数も少ないし、辛いと思わないだけかもしれない。だから確かに何年もこうやって我慢するのは身体にはよくない気がする。
僕は自分でできるようになるべきかもしれないと考える。本当は虎君にして欲しいと思いながら。
恥ずかしいけど覚えないとダメかな……なんて考えを巡らせていれば、虎君は「一つ確認なんだけど」とそれを打ち止めた。
「何?」
「もしかして、最近、か? その、……大人、になったのって……」
虎君は気まずそうに尋ねてくる。
その時僕は気が付いた。虎君は僕がいつ精通を迎えたか知らないって。
虎君は僕のことを何でも知ってるから、それも全部分かっていると思い込んでいた。
思い込んで話していたから、言わなくていい事まで全部暴露しちゃったっていた。それはあまりにも恥ずかしい話だ。
(僕のバカっ! なんでこんな恥ずかしい事をわざわざ虎君に喋っちゃうの!)
成長が遅すぎるとか、やっぱり子供だとか思われていないかとか、ぐるぐるしてる思考が更にぐるぐるしてしまう。
軽くパニックに陥ってあたふたしている僕。すると虎君はそんな僕をまたぎゅーって抱きしめてきた。
質問には答えていない。けど、答えなくても僕の態度が全部を物語っていたようだ。
虎君は自分で欲の処理をしているから、僕が夢精するまで放置しているなんて全く想定していなかったのだろう。
そう考えれば、虎君が怒りを覚えるのも当然だ。自分でしていないのなら第三者に手をかりるしかないと考えるのが自然だから。
(確かに怒るよね……)
虎君が他の人の手をかりて処理しているかもしれないだなんて、恋愛感情が無くとも、たとえただの処理のためだとしても、僕だって嫌だ。本当、凄く嫌だ。
僕は虎君のヤキモチの理由が理解できて、さっきまでの怒りを完全になくすことができた。むしろ穏やかな気持ちだ。
(ん? 待って待って。確かに虎君が怒ってる理由は分かったし、僕は納得できたけど、でも、まだ虎君は納得してない、よ、ね……?)
甘えるように虎君の胸に頬を摺り寄せていたけど、問題が解決したのは自分だけだと気づいて焦る。だって真実を言わないと絶対に虎君は納得しないよね?
「葵、言い辛いかもしれないけど、でも、教えて……? なるべく、できる限り怒りは抑えるから、だから……」
ああ、ほら。やっぱり。恥ずかしい事を口に出さないとダメみたいだ。
僕は促されるまま虎君と見つめ合うように身体を離し、困りながらもその頼りない眼差しを見つめ返した。
「あの、……あのね、……その……、実は……」
ちゃんと説明しなくちゃと思うのに、どうしても恥ずかしくて言葉が出てこない。
困ってもごもごしてたら、虎君は一層悲しそうな表情で僕の名前を呼んでくる。
「大丈夫。……どんなに辛い真実も、ちゃんと受け止める」
「! ……僕のこと、絶対、嫌いにならない?」
「愛してる。何があろうと、どんな事実があろうと、葵を愛してる。だから教えて、頼む……」
隠さずに教えて欲しい。
口にするのはとても恥ずかしくて、できることなら秘密にしておきたい。でも、大好きな人にこんな風に懇願されて突っぱね続けることができるわけがない。
「僕、……僕、……いつも、む、夢精、してる、の……」
「え?」
「だ、だから! だから、その、……いつも朝起きたら―――」
「ちょ、ちょっと待って。……え? む、夢精……? いつも……?」
僕の恥ずかしい告白に虎君が見せるのは困惑。
初めて見るぐらい狼狽えているその姿に、僕は羞恥で顔から火が出そうだった。
「や、やっぱり変、だよね……」
「! あ、ちが、そうじゃなくて、ちょっと驚いて……」
居た堪れなくて俯くと、慌てて変じゃないと言ってくれる。でも注がれる視線は言葉とは裏腹なもののように感じてしまう。
きっとこれは僕の被害妄想だと言い聞かせ、注がれる視線に唇を噛みしめ、耐える。
すると虎君は小さく息を吐くと僕の顎に手を添え、上を向くよう促してきた。
「ごめん。本当に驚いただけだからそんな顔しないでくれ」
「だって……。普通、じゃ、ないんでしょ……」
「どう処理するかは人それぞれだよ。でも、……身体に悪いだろ?」
優しい笑顔を見せる虎君は僕を見つめ、安堵の息を吐く。本当に心から安心しているようなその声に、僕の心は少しだけ軽くなる。
「自分で、なんて、恥ずかしいんだもん……」
「それは分かるけど、限界がくるまで我慢する生活を何年もしてる方が辛くないか?」
「辛くはないよ? ……まだ数ヶ月しか我慢してないからかもしれないけど……」
精通したのも四カ月前だし、夢精した回数も少ないし、辛いと思わないだけかもしれない。だから確かに何年もこうやって我慢するのは身体にはよくない気がする。
僕は自分でできるようになるべきかもしれないと考える。本当は虎君にして欲しいと思いながら。
恥ずかしいけど覚えないとダメかな……なんて考えを巡らせていれば、虎君は「一つ確認なんだけど」とそれを打ち止めた。
「何?」
「もしかして、最近、か? その、……大人、になったのって……」
虎君は気まずそうに尋ねてくる。
その時僕は気が付いた。虎君は僕がいつ精通を迎えたか知らないって。
虎君は僕のことを何でも知ってるから、それも全部分かっていると思い込んでいた。
思い込んで話していたから、言わなくていい事まで全部暴露しちゃったっていた。それはあまりにも恥ずかしい話だ。
(僕のバカっ! なんでこんな恥ずかしい事をわざわざ虎君に喋っちゃうの!)
成長が遅すぎるとか、やっぱり子供だとか思われていないかとか、ぐるぐるしてる思考が更にぐるぐるしてしまう。
軽くパニックに陥ってあたふたしている僕。すると虎君はそんな僕をまたぎゅーって抱きしめてきた。
質問には答えていない。けど、答えなくても僕の態度が全部を物語っていたようだ。
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