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恋しい人
恋しい人 第43話
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「たった数時間じゃ、そんなこと分からないよね? 個人情報だし……。ネットで調べても出てくるわけないだろうし……」
「本当、ごめん……。白状するから、嫌いにならないでくれるか……?」
虎君は頼りない表情で懇願してくる。
本当、臆病な虎君。僕の想いは絶対に揺るがないって言ってるのに、僕のことが大好きだからこんなに不安になってしまうなんて、ますます好きになることはあれど嫌いになんて絶対にならない。
僕は頷き、教えて欲しいと虎君を見つめた。
「一週間ぐらい前、瑛大が家に来ただろ?」
「うん。慶史達と一緒に来た時のことだよね? すぐに帰っちゃったけど……」
思い出すのは一週間とちょっと前の三月末のこと。僕は虎君とのことで沢山迷惑をかけた友達にお詫びを兼ねて慶史達を家に招待してもてなそうとした。
その時瑛大も勿論招待したんだけど、僕と慶史とあまりうまくいっていない瑛大は居心地の悪さに耐えられなくなったのかすぐに帰ってしまった。
瑛大から聞いたのかな? って思ったんだけど、でも、すぐに帰った瑛大から何か聞くなんてこと、できなかったはずだ。
そんな疑問を抱きながらも虎君の言葉を待つ僕。虎君はちゃんと説明してくれるはずだ。と。
「あの時、データを受け取ったんだ。俺がその……、頼 んでた。……外部から入学してくる生徒の名前と、要注意な在校生の名前を洗い出しとけって……」
「……! それって、USBのこと?」
「そう。それのこと」
思い出した。瑛大、帰る前に虎君に確かに何か渡してた。
その時は何を渡していたのか全然気にしていなかったけど、納得だ。瑛大は渡した何かの見返りにテスト対策を求めていたから。
僕は驚きながらも、そっか。と気の抜けた声を零した。
「……こういう事、今回が初めて?」
「いや、結構定期的に……」
本当に正直に答えてくれる虎君。
俯き「ごめん」と謝る大好きな人に、僕はその腕にぎゅっと抱き着き、謝らないで欲しいと小さく呟いた。
「怒らないのか……?」
「? どうして? ちょっとびっくりしたけど、でも、虎君は理由なくそんなことしないでしょ?」
「葵……。……葵が心配だったんだ。傍で守れない代わりに、できる限り危険なことから遠ざけたかったんだ」
頬を撫でられ、愛を告げられる。
僕は虎君の手に頬を摺り寄せ、本当にいつでも僕のことを守ってくれていたんだと胸が暖かくなる。
(きっと慶史が聞いたら『過保護だ』って呆れちゃうんだろうけど、でも、僕って本当、大事にされてるなぁ……)
素直に嬉しいと伝えれば、虎君は安心したように笑ってくれた。
僕はその笑顔が愛しくて、やっぱり虎君の傍にいたいと思ってしまう……。
「虎君、キス、したい……」
「! 俺もしたいと思ってた」
チュッと触れるだけのキスをくれる虎君。僕の大好きな人……。
唇が離れても僕は虎君から離れられなくて、その腕により強くしがみついてしまう。
(好き……虎君、大好き……)
自分でも驚くほど虎君に触れたいと思ってる。虎君に触れて欲しいと思っている。
でも、今日はこれ以上触れ合うことはできない。それが凄くもどかしい……。
「虎君、どうしよう……」
「どうした?」
「好きが溢れて苦しいよぉ……」
まるで発情期が来た動物のように、虎君と触れ合うことを望んでしまう。
それが凄く恥ずかしい。けど……。
(でも、好きなんだもん……。虎君のこと、大好きなんだもん……)
虎君と愛し合いたい気持ちが、どうしても止められない。
虎君を困らせるだけだって分かってるのに、それなのに……。
「葵、そんな可愛いこと言わないでくれ……。……いい加減、理性が負ける……」
「ごめんなさい……」
虎君の困惑が手に取るようにわかる。
僕はこんな浅ましい自分を恥ずかしいと思う。でも、本心は偽れない……。
「僕、やっぱり虎君に触って欲しい……」
燻り続けていた熱を完全に消すことは困難ということか。一度は治まったはずの熱は、いとも簡単にぶり返して体躯を熱くしてしまう。
「本当、ごめん……。白状するから、嫌いにならないでくれるか……?」
虎君は頼りない表情で懇願してくる。
本当、臆病な虎君。僕の想いは絶対に揺るがないって言ってるのに、僕のことが大好きだからこんなに不安になってしまうなんて、ますます好きになることはあれど嫌いになんて絶対にならない。
僕は頷き、教えて欲しいと虎君を見つめた。
「一週間ぐらい前、瑛大が家に来ただろ?」
「うん。慶史達と一緒に来た時のことだよね? すぐに帰っちゃったけど……」
思い出すのは一週間とちょっと前の三月末のこと。僕は虎君とのことで沢山迷惑をかけた友達にお詫びを兼ねて慶史達を家に招待してもてなそうとした。
その時瑛大も勿論招待したんだけど、僕と慶史とあまりうまくいっていない瑛大は居心地の悪さに耐えられなくなったのかすぐに帰ってしまった。
瑛大から聞いたのかな? って思ったんだけど、でも、すぐに帰った瑛大から何か聞くなんてこと、できなかったはずだ。
そんな疑問を抱きながらも虎君の言葉を待つ僕。虎君はちゃんと説明してくれるはずだ。と。
「あの時、データを受け取ったんだ。俺がその……、頼 んでた。……外部から入学してくる生徒の名前と、要注意な在校生の名前を洗い出しとけって……」
「……! それって、USBのこと?」
「そう。それのこと」
思い出した。瑛大、帰る前に虎君に確かに何か渡してた。
その時は何を渡していたのか全然気にしていなかったけど、納得だ。瑛大は渡した何かの見返りにテスト対策を求めていたから。
僕は驚きながらも、そっか。と気の抜けた声を零した。
「……こういう事、今回が初めて?」
「いや、結構定期的に……」
本当に正直に答えてくれる虎君。
俯き「ごめん」と謝る大好きな人に、僕はその腕にぎゅっと抱き着き、謝らないで欲しいと小さく呟いた。
「怒らないのか……?」
「? どうして? ちょっとびっくりしたけど、でも、虎君は理由なくそんなことしないでしょ?」
「葵……。……葵が心配だったんだ。傍で守れない代わりに、できる限り危険なことから遠ざけたかったんだ」
頬を撫でられ、愛を告げられる。
僕は虎君の手に頬を摺り寄せ、本当にいつでも僕のことを守ってくれていたんだと胸が暖かくなる。
(きっと慶史が聞いたら『過保護だ』って呆れちゃうんだろうけど、でも、僕って本当、大事にされてるなぁ……)
素直に嬉しいと伝えれば、虎君は安心したように笑ってくれた。
僕はその笑顔が愛しくて、やっぱり虎君の傍にいたいと思ってしまう……。
「虎君、キス、したい……」
「! 俺もしたいと思ってた」
チュッと触れるだけのキスをくれる虎君。僕の大好きな人……。
唇が離れても僕は虎君から離れられなくて、その腕により強くしがみついてしまう。
(好き……虎君、大好き……)
自分でも驚くほど虎君に触れたいと思ってる。虎君に触れて欲しいと思っている。
でも、今日はこれ以上触れ合うことはできない。それが凄くもどかしい……。
「虎君、どうしよう……」
「どうした?」
「好きが溢れて苦しいよぉ……」
まるで発情期が来た動物のように、虎君と触れ合うことを望んでしまう。
それが凄く恥ずかしい。けど……。
(でも、好きなんだもん……。虎君のこと、大好きなんだもん……)
虎君と愛し合いたい気持ちが、どうしても止められない。
虎君を困らせるだけだって分かってるのに、それなのに……。
「葵、そんな可愛いこと言わないでくれ……。……いい加減、理性が負ける……」
「ごめんなさい……」
虎君の困惑が手に取るようにわかる。
僕はこんな浅ましい自分を恥ずかしいと思う。でも、本心は偽れない……。
「僕、やっぱり虎君に触って欲しい……」
燻り続けていた熱を完全に消すことは困難ということか。一度は治まったはずの熱は、いとも簡単にぶり返して体躯を熱くしてしまう。
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