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恋しい人
恋しい人 第127話
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「違うなら相談してよ。ね?」
「だ、だから相談できないんだってば……」
「『相談できない』ってどうして?」
「だから、それを言えたら相談できるからっ」
私も葵に頼られたい!
そう言って僕の肩を揺さぶってくる姉さん。
これはきっと話すまで引き下がらない感じだ。でも、でもでも、絶対姉さんに―――女の人には相談できないことなんだもん!
(違う。これは茂斗相手でも相談できない……。『虎君とエッチしたくて堪らなくて今日は傍に居てくれないから拗ねてる』なんて、恥ずかしくて誰にも言えないもん)
学校帰り、僕は虎君に想いを全部伝えた。早く虎君と愛し合いたくて堪らないってエッチな自分を全部見せた。
そしたら虎君に言われた。明日になるまでなるべく離れて過ごしたい。と。
その言葉を聞いた時、僕は頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。虎君に嫌われたと、目の前が真っ暗になった。
でも、虎君は僕の勘違いを察してか、すぐにその言葉の真意を教えてくれた。
(『我慢』なんてしなくていいのに……)
葵の心を知った上でいつも通り過ごすことはできない。絶対に明日まで待てなくなるから。
僕と愛し合いたいと願ってくれている虎君は、僕のやらしい心に欲を抑えられなくなると苦しそうに告げた。
今思い出してもドキドキしちゃう虎君の顔は真剣そのもので、僕を見つめる眼差しには獲物を前にした捕食者のような光が見えた気がした。
(早く虎君に触って欲しい……)
虎君を想い過ぎて心臓が痛くなる。
我慢できずテーブルに突っ伏してしまう僕に、頼って! と騒いでいた姉さんは小さな唸り声をあげ、僕と同じくテーブルに突っ伏すと首だけをまわして僕を見る。
「……喧嘩じゃないのね」
「さっきからそう言ってる」
何故か不機嫌な面持ちの姉さんは、テーブルに向き合うように首を動かすと「すっごい複雑」と呟いた。
「姉さん?」
「付き合ってるってちゃんと分かってるし、付き合ってるならいずれそうなるってこともそれなりに分かってたけど、でも、でも……」
テーブルに向ってブツブツと呟き続ける姉さんはなにやら葛藤しているようだ。でも真横で負のオーラを醸し出されるとちょっと怖い。
僕は身体を起こし、どうしたの? とその肩に手を伸ばした。ブツブツと呪文を唱えるように呟いていた声は僕の手がその肩に触れたと同時に止まる。そして―――。
「ちゃんと知識はあるのっ?」
上体を起こす姉さんは僕に手を握り、迫ってくる。
葛藤を顔に滲ませ、凄んでくる姉さん。僕は何を聞かれているのか分からず、顔を引き攣らせながらも「なんの『知識』?」と話が見えないと訴えた。
「だから! ……だから、その……ち、の、やりかた……」
「え? 何?」
姉さんは凄んでいた顔を赤くして目を逸らす。なにやら恥ずかしがっているその素振り。でも、小さくなり過ぎた声に僕にはさっぱり伝わらない。
当然のことながら尋ね返す僕。すると姉さんはさらに顔を赤くして、僕の耳に内緒話をするように唇を寄せてきた。
「エッチのやり方、ちゃんと分かってるの? って聞いてるのっ」
「! な、な、何言ってっ―――!?」
「バカ! 声が大きい!」
囁かれた言葉を理解した瞬間、僕の顔も真っ赤になったに違いない。
でも、仕方ないよね? 実の姉の口からとんでもない単語が出たんだから僕がパニックになるのは当然だよね!?
姉さんはその綺麗に手入れされた手で僕の口を塞ぐと、静かに! と人差し指を立てて周りにバレると釘を刺してきた。
「オイ桔梗。お前、何してる」
「な、何もしてないわよ! 葵とちょっとお喋りしてただけでしょ!」
「雑な嘘吐くな」
「虎、どうどう。落ち着け落ち着け。―――葵、桔梗に苛められたわけじゃないよな?」
殺気立ってる虎君を羽交い絞めにして止める海音君は苦笑交じりに僕に確認してくる。虎が嫉妬爆発させるようなことは何もないよな? と。
僕は無言のまま何度も首を縦に振り、僕の後ろに隠れる姉さんを庇うように間に立って「なんでもないから」と訴えた。
「……分かった……」
ジッと虎君を見つめれば、虎君は怒りを治めてソファに座り直した。海音君はそんな虎君に肩を竦ませ、気にすんなと僕達に手を振って再びその隣に腰を下ろした。
虎君にじゃれつく海音君にヤキモチを覚えた僕はついつい唇を尖らせてしまう。二人が親友だってことは分かってるけど、分かってるけどやっぱり面白くない。
「あんなに愛されてるのに海音君にヤキモチ妬かないの」
「そんなの無理だよ……。虎君のこと、大好きなんだもん……」
ポンポンと頭を撫でてくる姉さんの手。僕は虎君の手が恋しくて視線を下げてしまう。
「だ、だから相談できないんだってば……」
「『相談できない』ってどうして?」
「だから、それを言えたら相談できるからっ」
私も葵に頼られたい!
そう言って僕の肩を揺さぶってくる姉さん。
これはきっと話すまで引き下がらない感じだ。でも、でもでも、絶対姉さんに―――女の人には相談できないことなんだもん!
(違う。これは茂斗相手でも相談できない……。『虎君とエッチしたくて堪らなくて今日は傍に居てくれないから拗ねてる』なんて、恥ずかしくて誰にも言えないもん)
学校帰り、僕は虎君に想いを全部伝えた。早く虎君と愛し合いたくて堪らないってエッチな自分を全部見せた。
そしたら虎君に言われた。明日になるまでなるべく離れて過ごしたい。と。
その言葉を聞いた時、僕は頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。虎君に嫌われたと、目の前が真っ暗になった。
でも、虎君は僕の勘違いを察してか、すぐにその言葉の真意を教えてくれた。
(『我慢』なんてしなくていいのに……)
葵の心を知った上でいつも通り過ごすことはできない。絶対に明日まで待てなくなるから。
僕と愛し合いたいと願ってくれている虎君は、僕のやらしい心に欲を抑えられなくなると苦しそうに告げた。
今思い出してもドキドキしちゃう虎君の顔は真剣そのもので、僕を見つめる眼差しには獲物を前にした捕食者のような光が見えた気がした。
(早く虎君に触って欲しい……)
虎君を想い過ぎて心臓が痛くなる。
我慢できずテーブルに突っ伏してしまう僕に、頼って! と騒いでいた姉さんは小さな唸り声をあげ、僕と同じくテーブルに突っ伏すと首だけをまわして僕を見る。
「……喧嘩じゃないのね」
「さっきからそう言ってる」
何故か不機嫌な面持ちの姉さんは、テーブルに向き合うように首を動かすと「すっごい複雑」と呟いた。
「姉さん?」
「付き合ってるってちゃんと分かってるし、付き合ってるならいずれそうなるってこともそれなりに分かってたけど、でも、でも……」
テーブルに向ってブツブツと呟き続ける姉さんはなにやら葛藤しているようだ。でも真横で負のオーラを醸し出されるとちょっと怖い。
僕は身体を起こし、どうしたの? とその肩に手を伸ばした。ブツブツと呪文を唱えるように呟いていた声は僕の手がその肩に触れたと同時に止まる。そして―――。
「ちゃんと知識はあるのっ?」
上体を起こす姉さんは僕に手を握り、迫ってくる。
葛藤を顔に滲ませ、凄んでくる姉さん。僕は何を聞かれているのか分からず、顔を引き攣らせながらも「なんの『知識』?」と話が見えないと訴えた。
「だから! ……だから、その……ち、の、やりかた……」
「え? 何?」
姉さんは凄んでいた顔を赤くして目を逸らす。なにやら恥ずかしがっているその素振り。でも、小さくなり過ぎた声に僕にはさっぱり伝わらない。
当然のことながら尋ね返す僕。すると姉さんはさらに顔を赤くして、僕の耳に内緒話をするように唇を寄せてきた。
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「! な、な、何言ってっ―――!?」
「バカ! 声が大きい!」
囁かれた言葉を理解した瞬間、僕の顔も真っ赤になったに違いない。
でも、仕方ないよね? 実の姉の口からとんでもない単語が出たんだから僕がパニックになるのは当然だよね!?
姉さんはその綺麗に手入れされた手で僕の口を塞ぐと、静かに! と人差し指を立てて周りにバレると釘を刺してきた。
「オイ桔梗。お前、何してる」
「な、何もしてないわよ! 葵とちょっとお喋りしてただけでしょ!」
「雑な嘘吐くな」
「虎、どうどう。落ち着け落ち着け。―――葵、桔梗に苛められたわけじゃないよな?」
殺気立ってる虎君を羽交い絞めにして止める海音君は苦笑交じりに僕に確認してくる。虎が嫉妬爆発させるようなことは何もないよな? と。
僕は無言のまま何度も首を縦に振り、僕の後ろに隠れる姉さんを庇うように間に立って「なんでもないから」と訴えた。
「……分かった……」
ジッと虎君を見つめれば、虎君は怒りを治めてソファに座り直した。海音君はそんな虎君に肩を竦ませ、気にすんなと僕達に手を振って再びその隣に腰を下ろした。
虎君にじゃれつく海音君にヤキモチを覚えた僕はついつい唇を尖らせてしまう。二人が親友だってことは分かってるけど、分かってるけどやっぱり面白くない。
「あんなに愛されてるのに海音君にヤキモチ妬かないの」
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