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恋しい人
恋しい人 第139話
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耳元で聞こえる荒い息遣いと身体に圧し掛かる重み。
僕と虎君じゃその体格の差は歴然。当然、まだ子供の僕の身体では大人の男の人である虎君の身体を受け止めることは困難で、正直圧し掛かるその重みは苦しさを覚えてしまう。
でも、果てたばかりの僕はその重みすらも堪らなく愛しくて、あまり力の入らない腕で虎君に抱き着いた。
「虎君、大好き……」
「ああ。俺も愛してるよ……」
唇を重ねて愛を囁き合えば、幸せ過ぎて涙が零れた。虎君はそんな僕の目尻に唇を寄せ、「俺も幸せ過ぎて泣きそうだ」なんて笑った。
鼻を啜る僕はもっと引っ付きたいと腕に力を籠める。けど、2度も果てた身体は心地良い眠気を催すほど疲れていて、望む程虎君にはくっつけない。
こんな傍にいるのに寂しいと感じると言ったら、笑われるかもしれない。それでも心が押し潰されそうなほど苦しいと口に出してしまうのは虎君が好きだから。本当に、本当に大好きだから……。
「すぐ抱き締めてあげるからちょっとだけ待ってて」
「やだぁ……いますぐっ、いますぐぎゅっとしてぇ……」
駄々をこねてる自覚はあるけど、どうしても我慢が効かない。離れようとする虎君を離れちゃヤダと涙声で引き留め、困らせてしまった。
理性が働いていれば、虎君のその表情に聞き分けることができただろう。でも、今はまるで小さな子どもみたいにワガママを重ねてしまう。
「葵、いい子だからほんの少しだけ我慢して。俺も離れるのは辛いから、な?」
「うそだ。とらくん、僕のこと嫌いになったんでしょっ? 僕がエッチだから、嫌になったんでしょぉ……」
「! そんなわけないだろ? エッチな葵が可愛すぎて今すぐ抱き潰したいぐらいなんだからな?」
「うそだっ、しんじないっ」
倦怠感のあまり口調は舌足らずなものになっていたけど、何度も虎君の嘘つきと訴える僕。その言葉が本心なら離れたりしないでしょ。と。
すると虎君は僕の我儘に小さく息を吐き、汚れた手で触っていいのかと尋ねてきた。
僕は『汚れた手』とはどういうことは分からない。でも、虎君の手が汚れているわけがないと思ったから、早く抱きしめてと涙に濡れた目で見つめた。
「こういう事なんだけどな」
「! ひゃっ」
抱きしめて欲しいと強請っていた僕のお腹に何か冷たいものが触れ、思わず声が出る。
一体何かと目を瞬かせれば、虎君は苦笑交じりに自分の手を見せてきた。その大きな掌には白い体液―――精液が絡みついていて、さっき僕が出したものだと理解することができた。
僕はそこで漸く虎君が言った『汚れた手』の意味を理解して、血の気が引いた思いでごめんなさいと謝った。
「僕、本当に夢中で―――っ、虎君の手、汚してごめんなさいっ」
「! 誤解しないで、葵。これが葵のだけだったら汚いなんて全然思わないからな?」
「でもそれ、僕のでしょ……?」
「葵のと、俺の、かな? ……いや、むしろ大半俺のだな」
昨日も抜いたのにこの濃さは我ながら元気すぎて恥ずかしい。
苦笑交じりの虎君は僕から離れてベッドから降りると近くに置いてあったティッシュに手を伸ばし、僕と虎君の精液がべっとり付着した手を拭う。
僕はそれを見ながら改めてついさっき虎君と一緒に果てた事実を思い返し、赤面。慣れない快楽に無我夢中だったとはいえ凄くエッチなことをした気がしたから。
僕はあまりの恥ずかしさに両手で顔を覆い隠した。
(だ、だって虎君の、凄く熱くてそれに、それに……)
受け身で与えられるがまま快楽に没頭してたけれど、思い出すのは触れ合った熱と、その存在感。自分のものとは全く違う熱量に、ドキドキしながら指と指の合間から虎君を盗み見てしまう。
汚れてしまったからか着衣を全て脱ぎ捨てる虎君の後ろ姿に心臓が止まりそうなほど早く鼓動するのを感じた。
(! うわぁ……、すごい……)
振り返る虎君の体躯は予想以上に引き締まっていて、とても雄々しい。
そして、ついつい目が行ってしまう局部はさっき一度果てたはずなのにまだしっかり反応していて、そのビジュアルに息をするのを忘れそうになってしまった。
割れた腹筋にくっつくほど反り立ったそれは僕のそれよりもずっとずっと太くて大きくて、赤ちゃんと大人ぐらい差があると言わざるを得なかった。
「そんな見ないでくれよ。……ちょっと気まずい」
「ご、ごめん……。でも、でも……」
「無理矢理抱いたりしないから怖がらないで……?」
苦笑を漏らす虎君の笑みはよく知っている。でも、裸の虎君なんて今まで見たことなかったから虎君なのに虎君じゃないような錯覚に襲われ、何も言葉を返せなかった。
視線を逸らしてしまう僕にかけられるのは懇願。傍に行きたいと許しを乞う虎君は、僕が少しでも怖いと感じるのなら我慢すると言葉を続けた。
(どんな虎君でもやっぱり優しい……)
まず最初に僕の気持ちを考えてくれる虎君の優しさは今も変わらない。僕をまるで宝物のように大切にしてくれる虎君に触れたいと、触れて欲しいと願うのはそれからすぐのこと。
僕は手を広げ、早く抱きしめてと虎君を求めた。
虎君はベッドに戻ってきて僕が望む通り、ぎゅっと抱きしめてくれる。
力強い腕。でも、それでいて優しい腕。
僕は虎君に擦り寄り、もっと愛して欲しいとその首筋にキスを落とす。虎君はその願いに答えるように額にキスをくれる。
見つめ合えば自然と唇が重なって、身体だけじゃなく心も重なった気がした……。
僕と虎君じゃその体格の差は歴然。当然、まだ子供の僕の身体では大人の男の人である虎君の身体を受け止めることは困難で、正直圧し掛かるその重みは苦しさを覚えてしまう。
でも、果てたばかりの僕はその重みすらも堪らなく愛しくて、あまり力の入らない腕で虎君に抱き着いた。
「虎君、大好き……」
「ああ。俺も愛してるよ……」
唇を重ねて愛を囁き合えば、幸せ過ぎて涙が零れた。虎君はそんな僕の目尻に唇を寄せ、「俺も幸せ過ぎて泣きそうだ」なんて笑った。
鼻を啜る僕はもっと引っ付きたいと腕に力を籠める。けど、2度も果てた身体は心地良い眠気を催すほど疲れていて、望む程虎君にはくっつけない。
こんな傍にいるのに寂しいと感じると言ったら、笑われるかもしれない。それでも心が押し潰されそうなほど苦しいと口に出してしまうのは虎君が好きだから。本当に、本当に大好きだから……。
「すぐ抱き締めてあげるからちょっとだけ待ってて」
「やだぁ……いますぐっ、いますぐぎゅっとしてぇ……」
駄々をこねてる自覚はあるけど、どうしても我慢が効かない。離れようとする虎君を離れちゃヤダと涙声で引き留め、困らせてしまった。
理性が働いていれば、虎君のその表情に聞き分けることができただろう。でも、今はまるで小さな子どもみたいにワガママを重ねてしまう。
「葵、いい子だからほんの少しだけ我慢して。俺も離れるのは辛いから、な?」
「うそだ。とらくん、僕のこと嫌いになったんでしょっ? 僕がエッチだから、嫌になったんでしょぉ……」
「! そんなわけないだろ? エッチな葵が可愛すぎて今すぐ抱き潰したいぐらいなんだからな?」
「うそだっ、しんじないっ」
倦怠感のあまり口調は舌足らずなものになっていたけど、何度も虎君の嘘つきと訴える僕。その言葉が本心なら離れたりしないでしょ。と。
すると虎君は僕の我儘に小さく息を吐き、汚れた手で触っていいのかと尋ねてきた。
僕は『汚れた手』とはどういうことは分からない。でも、虎君の手が汚れているわけがないと思ったから、早く抱きしめてと涙に濡れた目で見つめた。
「こういう事なんだけどな」
「! ひゃっ」
抱きしめて欲しいと強請っていた僕のお腹に何か冷たいものが触れ、思わず声が出る。
一体何かと目を瞬かせれば、虎君は苦笑交じりに自分の手を見せてきた。その大きな掌には白い体液―――精液が絡みついていて、さっき僕が出したものだと理解することができた。
僕はそこで漸く虎君が言った『汚れた手』の意味を理解して、血の気が引いた思いでごめんなさいと謝った。
「僕、本当に夢中で―――っ、虎君の手、汚してごめんなさいっ」
「! 誤解しないで、葵。これが葵のだけだったら汚いなんて全然思わないからな?」
「でもそれ、僕のでしょ……?」
「葵のと、俺の、かな? ……いや、むしろ大半俺のだな」
昨日も抜いたのにこの濃さは我ながら元気すぎて恥ずかしい。
苦笑交じりの虎君は僕から離れてベッドから降りると近くに置いてあったティッシュに手を伸ばし、僕と虎君の精液がべっとり付着した手を拭う。
僕はそれを見ながら改めてついさっき虎君と一緒に果てた事実を思い返し、赤面。慣れない快楽に無我夢中だったとはいえ凄くエッチなことをした気がしたから。
僕はあまりの恥ずかしさに両手で顔を覆い隠した。
(だ、だって虎君の、凄く熱くてそれに、それに……)
受け身で与えられるがまま快楽に没頭してたけれど、思い出すのは触れ合った熱と、その存在感。自分のものとは全く違う熱量に、ドキドキしながら指と指の合間から虎君を盗み見てしまう。
汚れてしまったからか着衣を全て脱ぎ捨てる虎君の後ろ姿に心臓が止まりそうなほど早く鼓動するのを感じた。
(! うわぁ……、すごい……)
振り返る虎君の体躯は予想以上に引き締まっていて、とても雄々しい。
そして、ついつい目が行ってしまう局部はさっき一度果てたはずなのにまだしっかり反応していて、そのビジュアルに息をするのを忘れそうになってしまった。
割れた腹筋にくっつくほど反り立ったそれは僕のそれよりもずっとずっと太くて大きくて、赤ちゃんと大人ぐらい差があると言わざるを得なかった。
「そんな見ないでくれよ。……ちょっと気まずい」
「ご、ごめん……。でも、でも……」
「無理矢理抱いたりしないから怖がらないで……?」
苦笑を漏らす虎君の笑みはよく知っている。でも、裸の虎君なんて今まで見たことなかったから虎君なのに虎君じゃないような錯覚に襲われ、何も言葉を返せなかった。
視線を逸らしてしまう僕にかけられるのは懇願。傍に行きたいと許しを乞う虎君は、僕が少しでも怖いと感じるのなら我慢すると言葉を続けた。
(どんな虎君でもやっぱり優しい……)
まず最初に僕の気持ちを考えてくれる虎君の優しさは今も変わらない。僕をまるで宝物のように大切にしてくれる虎君に触れたいと、触れて欲しいと願うのはそれからすぐのこと。
僕は手を広げ、早く抱きしめてと虎君を求めた。
虎君はベッドに戻ってきて僕が望む通り、ぎゅっと抱きしめてくれる。
力強い腕。でも、それでいて優しい腕。
僕は虎君に擦り寄り、もっと愛して欲しいとその首筋にキスを落とす。虎君はその願いに答えるように額にキスをくれる。
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