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恋しい人
恋しい人 第141話
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すべて拭い取られ綺麗になった身体。いつも通りの自分の身体に違和感を覚えると言ったら、やっぱり変かな……?
名残惜しくてお腹を指でなぞっていたら、虎君が大きなため息を零し、項垂れた。
「ど、どうしたの……?」
「……無自覚だって分かってるけど、それはダメだろ」
「? 何が?」
勘弁してくれ。と辛そうな声を出す虎君に僕は何をしでかしてしまったのかと不安を覚えた。
不安が声に表れてしまった僕に虎君はもう一度溜め息を吐き顔を上げると、覆いかぶさるように抱き締めてきた。
「虎君……?」
「葵を抱きたい。……今夜、葵を抱いていいか?」
虎君は許しを乞うように僕の返事を求めた。
でも、そのつもりだった僕はどうして今更改めて聞くのかと不思議に思った。思って、虎君は違ったのかと思考が巡った。
そしてそこで姉さんの言葉を思い出した。虎君は僕を愛しているから触れるのが怖いと言っていた。と。
「うん……抱いて……? 僕、虎君に抱かれたい……」
虎君が欲しいというこの気持ちは、一時のものじゃない。これから先もずっと虎君だけが欲しいと思うから……。
自分を見下ろす愛しい人の頬に手を添え、ジッと見つめてくる眼差しを見つめ返して初めての想いを口にした。
「愛してる……。虎君、愛してるよ……」
「葵っ……。もう二度と放してやれないけど、いいか? もう二度と俺から逃がしてやれないけど、それでも―――」
「いいよ。僕のことをずっと愛してくれるなら、ずっとずっと愛してくれるなら、僕のこと、絶対に放さないで……」
虎君が大好き。虎君だけを愛してる。
見つめ合ってそう告げれば、虎君は僕にキスをくれる。「葵を永遠に愛してる」と苦し気に呟きながら。
「今夜、葵を俺のものにする。この先、誰にも渡さない。たとえ葵が逃げたいと思ったとしても―――」
「僕は何処にも逃げないよ。ずっと、永遠に虎君の傍にいる。だから、早く……」
そうやって僕を脅そうとしてるなら、逆効果だよ。だって虎君の独占欲にこんなに喜んでいるんだから。
だから、早くキスして。早く抱きしめて。早く虎君のものにして……。
そう強請れば、虎君はまたキスをくれる。
「……バスルーム、行こうか」
「なんでバスルーム……?」
もしかして今からお風呂入るってこと? エッチするんじゃなかったの?
今すぐにでも虎君と愛し合いたいのにまだ焦らすのかと拗ねる僕。すると虎君は焦らすんじゃなくて先に進むためだと唇を食んできた。
「男同士のセックスはここを使うんだよ」
そう言った虎君が触れたのは、僕のお尻。
お尻を柔く揉むように掴まれた僕はビクッと身体を震わせてしまう。それは嫌だからじゃなくて、突然で驚いたから。
でも、反応的に怯えたと勘違いされたかもしれない。僕は虎君がまた手を放したらどうしようと焦った。けど―――。
「ここに俺のペニスを入れるから、ちゃんと準備しような?」
セクシーな声が耳元で囁く言葉に、心臓の鼓動が早くなる。『いいよな?』と尋ねるように僕を見下ろしてくる虎君に、僕は無言で何度も頷いた。
(なんだか虎君、凄くエッチだ……)
さっきまでの虎君とは雰囲気が全然違う。
さっきまでの虎君は何処か遠慮がちだった。でも、今の虎君は僕を抱くと決心したからか、ちょっぴり強引な雰囲気があった。
「これから俺が何をするか、葵は分からないだろうけど、恥ずかしがっても逃がすつもりはもうないから覚悟しろよ」
お尻を揉むように触る虎君。
僕は以前慶史が教えてくれた男同士で愛し合うために必要な準備を思い出した。安全で安心なエッチをするためには前戯が大事だと事細かに教えられた、その内容を。
「お、おしり、洗うんだよね……? なんでバスルームなの? トイレじゃないの……?」
「! なんで知ってるんだ?」
「え? だって、今、虎君が言ったから―――」
「俺はアナル洗浄をするなんて言ってない」
虎君の顔が強張った気がしたのか気のせいか。バスルームに行くって言ったのは虎君でしょ? と尋ねれば、虎君が引っかかったのはそっちじゃなかったようだ。
僕は虎君の口から出た『アナル洗浄』なる言葉に何故か恥ずかしくなって視線を逸らしてしまう。慶史が同じ単語を口にした時は全然平気だったのに、なんでだろう……?
「葵、答えて。なんで知ってるんだ?」
逸らした視線を戻すように顎を掴まれ強引に自分の方を向かせる虎君。その表情には怒りが滲んでいて、僕は正直に伝えるのが怖くなってしまった。
だって虎君は慶史のことを『ライバル』だって思ってるんだもん。ここで慶史の名前を出したら虎君の機嫌が悪くなることは避けられないだろう。
名残惜しくてお腹を指でなぞっていたら、虎君が大きなため息を零し、項垂れた。
「ど、どうしたの……?」
「……無自覚だって分かってるけど、それはダメだろ」
「? 何が?」
勘弁してくれ。と辛そうな声を出す虎君に僕は何をしでかしてしまったのかと不安を覚えた。
不安が声に表れてしまった僕に虎君はもう一度溜め息を吐き顔を上げると、覆いかぶさるように抱き締めてきた。
「虎君……?」
「葵を抱きたい。……今夜、葵を抱いていいか?」
虎君は許しを乞うように僕の返事を求めた。
でも、そのつもりだった僕はどうして今更改めて聞くのかと不思議に思った。思って、虎君は違ったのかと思考が巡った。
そしてそこで姉さんの言葉を思い出した。虎君は僕を愛しているから触れるのが怖いと言っていた。と。
「うん……抱いて……? 僕、虎君に抱かれたい……」
虎君が欲しいというこの気持ちは、一時のものじゃない。これから先もずっと虎君だけが欲しいと思うから……。
自分を見下ろす愛しい人の頬に手を添え、ジッと見つめてくる眼差しを見つめ返して初めての想いを口にした。
「愛してる……。虎君、愛してるよ……」
「葵っ……。もう二度と放してやれないけど、いいか? もう二度と俺から逃がしてやれないけど、それでも―――」
「いいよ。僕のことをずっと愛してくれるなら、ずっとずっと愛してくれるなら、僕のこと、絶対に放さないで……」
虎君が大好き。虎君だけを愛してる。
見つめ合ってそう告げれば、虎君は僕にキスをくれる。「葵を永遠に愛してる」と苦し気に呟きながら。
「今夜、葵を俺のものにする。この先、誰にも渡さない。たとえ葵が逃げたいと思ったとしても―――」
「僕は何処にも逃げないよ。ずっと、永遠に虎君の傍にいる。だから、早く……」
そうやって僕を脅そうとしてるなら、逆効果だよ。だって虎君の独占欲にこんなに喜んでいるんだから。
だから、早くキスして。早く抱きしめて。早く虎君のものにして……。
そう強請れば、虎君はまたキスをくれる。
「……バスルーム、行こうか」
「なんでバスルーム……?」
もしかして今からお風呂入るってこと? エッチするんじゃなかったの?
今すぐにでも虎君と愛し合いたいのにまだ焦らすのかと拗ねる僕。すると虎君は焦らすんじゃなくて先に進むためだと唇を食んできた。
「男同士のセックスはここを使うんだよ」
そう言った虎君が触れたのは、僕のお尻。
お尻を柔く揉むように掴まれた僕はビクッと身体を震わせてしまう。それは嫌だからじゃなくて、突然で驚いたから。
でも、反応的に怯えたと勘違いされたかもしれない。僕は虎君がまた手を放したらどうしようと焦った。けど―――。
「ここに俺のペニスを入れるから、ちゃんと準備しような?」
セクシーな声が耳元で囁く言葉に、心臓の鼓動が早くなる。『いいよな?』と尋ねるように僕を見下ろしてくる虎君に、僕は無言で何度も頷いた。
(なんだか虎君、凄くエッチだ……)
さっきまでの虎君とは雰囲気が全然違う。
さっきまでの虎君は何処か遠慮がちだった。でも、今の虎君は僕を抱くと決心したからか、ちょっぴり強引な雰囲気があった。
「これから俺が何をするか、葵は分からないだろうけど、恥ずかしがっても逃がすつもりはもうないから覚悟しろよ」
お尻を揉むように触る虎君。
僕は以前慶史が教えてくれた男同士で愛し合うために必要な準備を思い出した。安全で安心なエッチをするためには前戯が大事だと事細かに教えられた、その内容を。
「お、おしり、洗うんだよね……? なんでバスルームなの? トイレじゃないの……?」
「! なんで知ってるんだ?」
「え? だって、今、虎君が言ったから―――」
「俺はアナル洗浄をするなんて言ってない」
虎君の顔が強張った気がしたのか気のせいか。バスルームに行くって言ったのは虎君でしょ? と尋ねれば、虎君が引っかかったのはそっちじゃなかったようだ。
僕は虎君の口から出た『アナル洗浄』なる言葉に何故か恥ずかしくなって視線を逸らしてしまう。慶史が同じ単語を口にした時は全然平気だったのに、なんでだろう……?
「葵、答えて。なんで知ってるんだ?」
逸らした視線を戻すように顎を掴まれ強引に自分の方を向かせる虎君。その表情には怒りが滲んでいて、僕は正直に伝えるのが怖くなってしまった。
だって虎君は慶史のことを『ライバル』だって思ってるんだもん。ここで慶史の名前を出したら虎君の機嫌が悪くなることは避けられないだろう。
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