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my treasure
my treasure 第25話
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「そ、それよりも! それよりも海音、虎の彼氏はこいつの性格の悪さを知ってて付き合ってるってマジ?」
虎からの冷ややかな視線に耐え兼ねた雲英は半ば強引に話を戻そうとする。先程までとは違い、虎の恋人を名前ではなく『彼氏』と呼んだところから彼の性格は見た目とは違い律儀なもののようだ。
恋人の名前を他人の口からききたくなかった虎はその対応に満足したのか再び目を閉ざして無関係を装う。恋人を悪く言うなと切れるかと思われたが、どうやらその気はないようだ。
(本当、変な奴だ。普通名前呼ばれるよりも悪く言われる方が嫌じゃねーの?)
思考回路が理解できない奴の考えを理解する気はないが、雲英は海音が同じように思わないことに違和感を覚えた。
「葵にとって虎は『優しくて誰よりも頼りになる彼氏』だぞ」
「虎が『優しい』? え? でも『良い奴』を演じてるわけじゃないんだろ?」
「うん。まぁ信じられないかもしれないけど、今の虎も葵と一緒にいる虎も、同じなんだよ。ただ葵が一緒に居ると感情が豊かになるだけでさ」
苦笑を濃くする海音は雲英に尋ねる。葵が居なけりゃ生きる意味がないって思う奴なのはもう知ってるだろ? と。
「ま、まぁ、それは……」
「昔から虎の行動の全部が葵に結びついてて、それ以外に関する労力は絶対に割かないんだよ。なんていうか、葵と一緒にいる時以外は省エネモード的な?」
今もまさにその状態。
そう言いながら海音が虎へと視線を向ければ、こちらへの関心を示さず休んでいる男の姿が目に入る。
つまり虎は恋人の前でいい人を演じているわけでも他者に対して性格が悪いわけでもなく、常に己を作らず飾らずありのままの自分として振舞っているということらしい。
きっと過去に廃人さながらな虎を見ていなければいくら海音の言葉でも信じることはできなかっただろう。
だが残念ながら雲英はその言葉に嘘は無いと判断するだけの材料を持ち合わせてしまっている。
無意識のところで納得してしまっている自分に気づいた雲英は忌々し気に自分の髪を乱暴に掻き毟ると、「ステータス偏りすぎだろ」と吐き捨てた。
「『ステータス』?」
「この世界が育成ゲームの中なら育て方間違えたってリセットするレベルで偏ってるってこと!」
「ああ、なるほど! そう言う話か!」
理解できたと笑う海音。だが能力という意味でのステータスなら他を圧倒するだけの数値をたたき出すだろう虎。そんな彼は果たして『育成失敗』と言えるのだろうか?
「明らかに失敗だろ。こいつ恋人が居なけりゃその輝かしい能力を発揮できないんだから」
「確かに条件付きの能力は使い辛いよなぁ。俺もこの前実装されたURキャラが気になってゲットしたんだけどスキル使うのに結構条件があってさー」
「ガチのゲームの話かよ」
「あ! 悪い悪い、つい!」
課金してまでゲットしたのに使いこなせなくて。
そんなぼやきを続ける海音にすっかり毒気を抜かれてしまった雲英。だが同時に今度は別の怒りを覚えてしまう。こんな良い親友がいるのにそれを『幸せ』だと思わない男に対して。
海音は本当に虎が大好きで大切なのだと分かるのに、対する虎は海音のことを鬱陶しいとしか思っていないに違いない。
「おい、お前そのゲームアンインストールしたって言ってなかったか? 毎月の課金額がバレて心寧さんに殺されかけたんだろう?」
「それは別のやつで、今言ってるのは先週始めたやつだ。でも、なんだ虎。やっぱ俺のことも結構気にかけてくれてるんじゃん!」
「凪ちゃんが心配してたから見張るよう頼まれたからな。茂斗に」
「茂斗からかー」
頼むから親友の俺のこともっと気に掛けて行こうぜ?
そう苦笑いを零す海音だが、返事は分かりきってるから期待はしない。
するとそのやり取りを聞いていた雲英は驚いた顔をしていて、どうかしたのかと尋ねてやった。
「いや……、彼氏以外の頼み事も聞けるのか、お前」
「そんなわけないじゃん。茂斗が葵に頼むよう言ったんだよ、どうせ。そうだろ?」
どうやら雲英は先程聞いた話で虎は葵以外に対する関心はなく、労力を割く気もないと思っていたのに、『茂斗』の頼みを聞いているからどういうことだと混乱しているようだ。
そんな雲英へ答えを提示して当事者に答え合わせを求めれば、「それ以外に理由があるか?」と質問が返されてしまった。
「お前がまた怒られないか凪ちゃんが相当気にしてるなんて話を聞いて優しい葵が放っておけるわけないだろうが」
「サラッと惚気入れるなよ……」
「えぇ? 凪、そんなに心配してたのか? やばい、俺の妹最高に可愛すぎないか!?」
「こっちはこっちでシスコン全開かよ」
「良かったな雲英。ツッコミ放題じゃないか」
お笑い芸人の血が騒ぐだろう?
そう蔑むような笑みを浮かべる虎に雲英は「俺はバーテンダーだ!」とこれまた律義にツッコミを入れてしまう。
「大体お前らだけだぞ俺をツッコミにするのは!
「マジで? 雲英の突っ込みキレッキレだからてっきり他の人にもバンバン突っ込んでるのかと思ってた!」
「だから、それはお前らのせいだ! 俺は元々突っ込むより突っ込まれたい方なんだからな!?」
「急に下ネタぶち込んでくるなよ変態」
「! そういう意味じゃねぇ! つーかそういう意味に聞こえた虎の方こそ変態だぞ!」
虎からの冷ややかな視線に耐え兼ねた雲英は半ば強引に話を戻そうとする。先程までとは違い、虎の恋人を名前ではなく『彼氏』と呼んだところから彼の性格は見た目とは違い律儀なもののようだ。
恋人の名前を他人の口からききたくなかった虎はその対応に満足したのか再び目を閉ざして無関係を装う。恋人を悪く言うなと切れるかと思われたが、どうやらその気はないようだ。
(本当、変な奴だ。普通名前呼ばれるよりも悪く言われる方が嫌じゃねーの?)
思考回路が理解できない奴の考えを理解する気はないが、雲英は海音が同じように思わないことに違和感を覚えた。
「葵にとって虎は『優しくて誰よりも頼りになる彼氏』だぞ」
「虎が『優しい』? え? でも『良い奴』を演じてるわけじゃないんだろ?」
「うん。まぁ信じられないかもしれないけど、今の虎も葵と一緒にいる虎も、同じなんだよ。ただ葵が一緒に居ると感情が豊かになるだけでさ」
苦笑を濃くする海音は雲英に尋ねる。葵が居なけりゃ生きる意味がないって思う奴なのはもう知ってるだろ? と。
「ま、まぁ、それは……」
「昔から虎の行動の全部が葵に結びついてて、それ以外に関する労力は絶対に割かないんだよ。なんていうか、葵と一緒にいる時以外は省エネモード的な?」
今もまさにその状態。
そう言いながら海音が虎へと視線を向ければ、こちらへの関心を示さず休んでいる男の姿が目に入る。
つまり虎は恋人の前でいい人を演じているわけでも他者に対して性格が悪いわけでもなく、常に己を作らず飾らずありのままの自分として振舞っているということらしい。
きっと過去に廃人さながらな虎を見ていなければいくら海音の言葉でも信じることはできなかっただろう。
だが残念ながら雲英はその言葉に嘘は無いと判断するだけの材料を持ち合わせてしまっている。
無意識のところで納得してしまっている自分に気づいた雲英は忌々し気に自分の髪を乱暴に掻き毟ると、「ステータス偏りすぎだろ」と吐き捨てた。
「『ステータス』?」
「この世界が育成ゲームの中なら育て方間違えたってリセットするレベルで偏ってるってこと!」
「ああ、なるほど! そう言う話か!」
理解できたと笑う海音。だが能力という意味でのステータスなら他を圧倒するだけの数値をたたき出すだろう虎。そんな彼は果たして『育成失敗』と言えるのだろうか?
「明らかに失敗だろ。こいつ恋人が居なけりゃその輝かしい能力を発揮できないんだから」
「確かに条件付きの能力は使い辛いよなぁ。俺もこの前実装されたURキャラが気になってゲットしたんだけどスキル使うのに結構条件があってさー」
「ガチのゲームの話かよ」
「あ! 悪い悪い、つい!」
課金してまでゲットしたのに使いこなせなくて。
そんなぼやきを続ける海音にすっかり毒気を抜かれてしまった雲英。だが同時に今度は別の怒りを覚えてしまう。こんな良い親友がいるのにそれを『幸せ』だと思わない男に対して。
海音は本当に虎が大好きで大切なのだと分かるのに、対する虎は海音のことを鬱陶しいとしか思っていないに違いない。
「おい、お前そのゲームアンインストールしたって言ってなかったか? 毎月の課金額がバレて心寧さんに殺されかけたんだろう?」
「それは別のやつで、今言ってるのは先週始めたやつだ。でも、なんだ虎。やっぱ俺のことも結構気にかけてくれてるんじゃん!」
「凪ちゃんが心配してたから見張るよう頼まれたからな。茂斗に」
「茂斗からかー」
頼むから親友の俺のこともっと気に掛けて行こうぜ?
そう苦笑いを零す海音だが、返事は分かりきってるから期待はしない。
するとそのやり取りを聞いていた雲英は驚いた顔をしていて、どうかしたのかと尋ねてやった。
「いや……、彼氏以外の頼み事も聞けるのか、お前」
「そんなわけないじゃん。茂斗が葵に頼むよう言ったんだよ、どうせ。そうだろ?」
どうやら雲英は先程聞いた話で虎は葵以外に対する関心はなく、労力を割く気もないと思っていたのに、『茂斗』の頼みを聞いているからどういうことだと混乱しているようだ。
そんな雲英へ答えを提示して当事者に答え合わせを求めれば、「それ以外に理由があるか?」と質問が返されてしまった。
「お前がまた怒られないか凪ちゃんが相当気にしてるなんて話を聞いて優しい葵が放っておけるわけないだろうが」
「サラッと惚気入れるなよ……」
「えぇ? 凪、そんなに心配してたのか? やばい、俺の妹最高に可愛すぎないか!?」
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「マジで? 雲英の突っ込みキレッキレだからてっきり他の人にもバンバン突っ込んでるのかと思ってた!」
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