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LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN.
LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN. 第6話
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昇降口で上履きを履き替え、正門ではなく部室へと足を進める悠栖。
すると、前方に見覚えのある後ろ姿を発見。今夜悠栖の都合で部屋でゆっくりと眠れない朋喜を自室に招いてくれた姫神那鳥だ。
どうして姫神がこっちにいるんだろう? と疑問を抱きながらも足を速め、那鳥を追いかける悠栖。自分からも今夜の礼を言いたかったから丁度良かった。と。
「ひーめがみ! 何してんの?」
「! なんだ、天野か。驚かせるなよ」
ポンっと叩いた肩が異常なまでにビクついて、那鳥のその反応に悠栖も驚く。
驚かせるつもりは全くなかったし、そもそも近づいてくる足音も聞こえていただろうにどうしてそんなにビックリしているのか。
(いや、でもこれは『ビックリした』っていうより『ビビった』って反応じゃね?)
入学式はつい数週間前の事で、那鳥とはまだ知り合って日が浅い。
だから悠栖は那鳥の事を良く知らない。
しかし、それでも分かっていることがある。
その一つが、那鳥は異常なまでに警戒心が強く積極的に人と関わるタイプではないという彼の性格だ。
それは付き合いが短い悠栖でもすぐ認識できるほど顕著で、『姫神と仲良くなりたい』と熱烈なアプローチを毎日かけている連中に対して未だに那鳥が二回以上会話のキャッチボールを続けたことが無いと言う事実からも垣間見ることができた。
恐らくその見た目のせいで要らぬ苦労が多いのだろう。悠栖自身、ありがたくない容姿のせいで嫌でも他人を警戒する癖がついたぐらいだ。
だから那鳥のその警戒心は全寮制の男子校である此処では身を守るために必要不可欠なものだと思っている。
だが、そんな警戒心の塊のような那鳥が、今、悠栖の接近に全く気付いていなかった。
声を掛けるまで――いや、肩を叩くまで、自分の近くに人がいることすら認識していないようにすら思えた。
悠栖はその反応に違和感しか覚えなくてつい「どうしたんだ?」と尋ねてしまった。
那鳥は悠栖の問いかけにあからさまな警戒を見せ、何故『どうした』なんて聞いてくるんだと疑惑の目を向けてきた。
「あ、いや、なんか様子が変だからさ。姫神が声かけられるまで相手に気づかないとか、あんまないだろ?」
悠栖は『らしくない』様子だったから何かあったのかと思っただけで深い意味はないと弁解する。『どうした』と聞いた理由は友達を心配したから出た言葉であって冷やかしや好奇心とかではないから安心してくれ。と。
那鳥はそれでも暫く警戒心丸出しで悠栖の様子を伺うように視線を向ける。
だが、『馬鹿正直』な悠栖には『裏の顔』を持つことができないと判断したのか、警戒を解くと「悪い」と謝ってきた。
心配してくれただけなのに態度が悪かったと頭を下げる那鳥を、悠栖は『悪い奴』ではないと改めて思った。
「気にすんなよ。ここに来てまだ二週間? とかだろ? 姫神の見た目だと面倒事も多いだろうし警戒心は持ってるに越したことねーよ」
「天野……。そうだな。有難くもない見た目のせいでまさか此処で貞操の心配する羽目になるとは思わなかったよ」
遠い目をする那鳥に、どうやら入寮から今日までの間に身の危険を感じる出来事が起こったのだろうと悠栖は理解した。
理解して、だからこそ先程の那鳥の様子が納得できないと思った。
那鳥の様子からして恐らくそれらは未遂で済んだのだろうが、そんな出来事があったにしては周囲に対する注意が散漫すぎる。
悠栖は大きなお世話だろうと思いながらも那鳥に忠告する。人の目が無い場所では常に警戒しておいた方が身のためだぞ。と。
「つーか、そもそもなんでこんなところにいるんだよ? この先は部室しかねーよ? 帰宅部員は用なんてないだろ?」
体験入部の話をした時、那鳥は確か『部活には入らない』と言っていたはず。
『そんな時間があるなら勉強する』と悠栖には理解できない事を言い放ったからよく覚えている。
那鳥は入学金や学費、入寮費といった諸々の費用が全て免除になる特待生だから何があっても成績を落とすわけにはいかないらしく、勉強を最優先にする理由は一応分かる。
だが、人生でたった一度しかない高校生活なのだからちょっとぐらい楽しんだっていいだろうにと悠栖は思ったりもしたから。
悠栖は那鳥に悪い事は言わないからさっさと帰れと忠告する。
何処かの部に入部しているならまだしも、帰宅部員の那鳥には部室棟に用なんてあるわけがない。
それなのに一人で部室棟に出向くなんて『どうぞ襲ってください』と自ら言っているようなものだ。
もちろん、欲求不満気味な男子高生と言えど全員が全員強引な手段に出るわけではないし、理性的な連中の方が多いとは信じてる。
だが、何事にも『例外』はつきもの。
衝動が理性を負かすことだって絶対にないとは言い切れない。
そんな理性を失った奴と遭遇したら最後、貞操も男としてのプライドもズタズタにされて人生滅茶苦茶になるのがオチだ。
すると、前方に見覚えのある後ろ姿を発見。今夜悠栖の都合で部屋でゆっくりと眠れない朋喜を自室に招いてくれた姫神那鳥だ。
どうして姫神がこっちにいるんだろう? と疑問を抱きながらも足を速め、那鳥を追いかける悠栖。自分からも今夜の礼を言いたかったから丁度良かった。と。
「ひーめがみ! 何してんの?」
「! なんだ、天野か。驚かせるなよ」
ポンっと叩いた肩が異常なまでにビクついて、那鳥のその反応に悠栖も驚く。
驚かせるつもりは全くなかったし、そもそも近づいてくる足音も聞こえていただろうにどうしてそんなにビックリしているのか。
(いや、でもこれは『ビックリした』っていうより『ビビった』って反応じゃね?)
入学式はつい数週間前の事で、那鳥とはまだ知り合って日が浅い。
だから悠栖は那鳥の事を良く知らない。
しかし、それでも分かっていることがある。
その一つが、那鳥は異常なまでに警戒心が強く積極的に人と関わるタイプではないという彼の性格だ。
それは付き合いが短い悠栖でもすぐ認識できるほど顕著で、『姫神と仲良くなりたい』と熱烈なアプローチを毎日かけている連中に対して未だに那鳥が二回以上会話のキャッチボールを続けたことが無いと言う事実からも垣間見ることができた。
恐らくその見た目のせいで要らぬ苦労が多いのだろう。悠栖自身、ありがたくない容姿のせいで嫌でも他人を警戒する癖がついたぐらいだ。
だから那鳥のその警戒心は全寮制の男子校である此処では身を守るために必要不可欠なものだと思っている。
だが、そんな警戒心の塊のような那鳥が、今、悠栖の接近に全く気付いていなかった。
声を掛けるまで――いや、肩を叩くまで、自分の近くに人がいることすら認識していないようにすら思えた。
悠栖はその反応に違和感しか覚えなくてつい「どうしたんだ?」と尋ねてしまった。
那鳥は悠栖の問いかけにあからさまな警戒を見せ、何故『どうした』なんて聞いてくるんだと疑惑の目を向けてきた。
「あ、いや、なんか様子が変だからさ。姫神が声かけられるまで相手に気づかないとか、あんまないだろ?」
悠栖は『らしくない』様子だったから何かあったのかと思っただけで深い意味はないと弁解する。『どうした』と聞いた理由は友達を心配したから出た言葉であって冷やかしや好奇心とかではないから安心してくれ。と。
那鳥はそれでも暫く警戒心丸出しで悠栖の様子を伺うように視線を向ける。
だが、『馬鹿正直』な悠栖には『裏の顔』を持つことができないと判断したのか、警戒を解くと「悪い」と謝ってきた。
心配してくれただけなのに態度が悪かったと頭を下げる那鳥を、悠栖は『悪い奴』ではないと改めて思った。
「気にすんなよ。ここに来てまだ二週間? とかだろ? 姫神の見た目だと面倒事も多いだろうし警戒心は持ってるに越したことねーよ」
「天野……。そうだな。有難くもない見た目のせいでまさか此処で貞操の心配する羽目になるとは思わなかったよ」
遠い目をする那鳥に、どうやら入寮から今日までの間に身の危険を感じる出来事が起こったのだろうと悠栖は理解した。
理解して、だからこそ先程の那鳥の様子が納得できないと思った。
那鳥の様子からして恐らくそれらは未遂で済んだのだろうが、そんな出来事があったにしては周囲に対する注意が散漫すぎる。
悠栖は大きなお世話だろうと思いながらも那鳥に忠告する。人の目が無い場所では常に警戒しておいた方が身のためだぞ。と。
「つーか、そもそもなんでこんなところにいるんだよ? この先は部室しかねーよ? 帰宅部員は用なんてないだろ?」
体験入部の話をした時、那鳥は確か『部活には入らない』と言っていたはず。
『そんな時間があるなら勉強する』と悠栖には理解できない事を言い放ったからよく覚えている。
那鳥は入学金や学費、入寮費といった諸々の費用が全て免除になる特待生だから何があっても成績を落とすわけにはいかないらしく、勉強を最優先にする理由は一応分かる。
だが、人生でたった一度しかない高校生活なのだからちょっとぐらい楽しんだっていいだろうにと悠栖は思ったりもしたから。
悠栖は那鳥に悪い事は言わないからさっさと帰れと忠告する。
何処かの部に入部しているならまだしも、帰宅部員の那鳥には部室棟に用なんてあるわけがない。
それなのに一人で部室棟に出向くなんて『どうぞ襲ってください』と自ら言っているようなものだ。
もちろん、欲求不満気味な男子高生と言えど全員が全員強引な手段に出るわけではないし、理性的な連中の方が多いとは信じてる。
だが、何事にも『例外』はつきもの。
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