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LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN.
LOVE IS SOMETHING YOU FALL IN. 第48話
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肩を抱いたまま体重をかけてくる英彰と『重い』とかなんとか軽口を交わしてじゃれる悠栖。
すると、遠くから凄いスピードでこちらに走ってくる唯哉の姿が―――。
「うわぁ……。必死だな、あいつ」
何をそんなに急いでいるのかと思う悠栖。
真夏の昼下がりにそんな全力疾走したら体力の消耗は著しいに決まっている。
これから午後の練習もあるのだから体力は温存しておくべきだと思ってしまうのは仕方ない。
だが、鈍感な悠栖とは違い、英彰は唯哉の心情を察したのだろう。
悠栖とじゃれて密着していた身体を離し、距離を取ったから。
「往復ダッシュとか練習熱心だなぁ、唯哉」
「う、うるさっ、ほら、イチゴオレだっ……!」
ニヤニヤ笑う英彰に息を切らせながらも買ってきた紙パックを投げつける唯哉は、そのまま英彰と悠栖の間に座り込む。
「ちょ、暑い!! チカ、もうちょっと向こう行けよ!!」
「ばっ! 俺も暑い! お前の彼氏なんだからお前が面倒見ろよ」
「お前らみたいな薄情な奴はこうしてやる!!」
恋人と親友から暑いから寄るなと酷い扱いを受ける唯哉は、汗だくのまま二人の肩に手を回し、引き寄せる。
強制的に密着状態になる三人。
やめろ! 気持ち悪い! と騒ぎながらも、悠栖は何処か楽しそうだ。
「あーあ、唯哉のせいで全然飲めなかったじゃねーか」
じゃれて遊んでいたせいか、英彰は手にしていたイチゴオレの紙パックをいつの間にか握り潰してしまっていた。
ベトベトすると苦笑いを浮かべる英彰はゴミを捨てるついでに手を洗ってくると立ちあがる。
「あ。俺が居ないからって部活中にエロいことすんなよ?」
「! するかバカ!」
何の心配してるんだよ! と顔を赤く怒る悠栖は近くに置いた自身のタオルを英彰に投げつける。
それを事も無げにキャッチした英彰は、ちょうどいいから借りると悠栖のタオルを手にしたままその場を去る。
悠栖は唯哉と二人、残されてしまった。
(え、エロいことって、俺達まだ付き合って三日だし、まだ全然そういう感じじゃないし……!)
何て言いながらも、変に意識してしまう。
悠栖はチラッと視線だけで隣に座る唯哉を盗み見る。
すると、いつから見ていたのか、唯哉の視線と思い切りぶつかってしまった。
「! な、何!?」
「いや、別に何もないけど……」
明らかな過剰反応。でも、仕方ない。悠栖の視線は今唯哉の唇に集中していたから。
「なあ、ゆ――」
「! ま、待て! ダメだ! 此処、外!! てか俺初めてだしもうちょっと雰囲気とかそういうの大事にしたい気がする!?」
唯哉が顔を寄せてきた気がして、悠栖の心臓はお祭り状態。
キスしたくないわけじゃないけど初めてはもう少し特別な感じが良いと思う!?
なんて早口で捲し立ててしまった。
しかし、いっぱいいっぱいになっている悠栖の耳に届くのは唯哉が吹き出したような声で……。
「何で疑問形なんだよ」
「! な、そんな、知らねぇーし!! てか笑うなよっ!!」
「悪い悪い。なんか予想以上に可愛いこと考えてるから」
「『可愛い』言うな!!」
「バカにしてるんじゃないから許してくれよ。本当、めちゃくちゃ愛しいって思ってるんだからな?」
喚いて暴れる自分を抱き締め一瞬で大人しくさせる唯哉は、焦らずに自分達のペースで進もうと言ってくれる。
色々興味津々なお年頃。でも、興味を優先したくない。と。
そんな言葉と共に笑いかけてくる唯哉に、悠栖は胸がきゅんとした。
(たぶんこれが『愛しい』ってことなんだろうな!)
唯哉が自分を大事に想ってくれるように、自分も同じように唯哉を大事に想いたい。大切に、したい。
今までなら思いもしなかっただろう感情にくすぐったさを覚えながら悠栖は唯哉の肩にもたれかかり、『最高の親友』であり『最高の恋人』でもある唯哉とこれからもずっと一緒に居たいと願いをかけて笑った。
すると、遠くから凄いスピードでこちらに走ってくる唯哉の姿が―――。
「うわぁ……。必死だな、あいつ」
何をそんなに急いでいるのかと思う悠栖。
真夏の昼下がりにそんな全力疾走したら体力の消耗は著しいに決まっている。
これから午後の練習もあるのだから体力は温存しておくべきだと思ってしまうのは仕方ない。
だが、鈍感な悠栖とは違い、英彰は唯哉の心情を察したのだろう。
悠栖とじゃれて密着していた身体を離し、距離を取ったから。
「往復ダッシュとか練習熱心だなぁ、唯哉」
「う、うるさっ、ほら、イチゴオレだっ……!」
ニヤニヤ笑う英彰に息を切らせながらも買ってきた紙パックを投げつける唯哉は、そのまま英彰と悠栖の間に座り込む。
「ちょ、暑い!! チカ、もうちょっと向こう行けよ!!」
「ばっ! 俺も暑い! お前の彼氏なんだからお前が面倒見ろよ」
「お前らみたいな薄情な奴はこうしてやる!!」
恋人と親友から暑いから寄るなと酷い扱いを受ける唯哉は、汗だくのまま二人の肩に手を回し、引き寄せる。
強制的に密着状態になる三人。
やめろ! 気持ち悪い! と騒ぎながらも、悠栖は何処か楽しそうだ。
「あーあ、唯哉のせいで全然飲めなかったじゃねーか」
じゃれて遊んでいたせいか、英彰は手にしていたイチゴオレの紙パックをいつの間にか握り潰してしまっていた。
ベトベトすると苦笑いを浮かべる英彰はゴミを捨てるついでに手を洗ってくると立ちあがる。
「あ。俺が居ないからって部活中にエロいことすんなよ?」
「! するかバカ!」
何の心配してるんだよ! と顔を赤く怒る悠栖は近くに置いた自身のタオルを英彰に投げつける。
それを事も無げにキャッチした英彰は、ちょうどいいから借りると悠栖のタオルを手にしたままその場を去る。
悠栖は唯哉と二人、残されてしまった。
(え、エロいことって、俺達まだ付き合って三日だし、まだ全然そういう感じじゃないし……!)
何て言いながらも、変に意識してしまう。
悠栖はチラッと視線だけで隣に座る唯哉を盗み見る。
すると、いつから見ていたのか、唯哉の視線と思い切りぶつかってしまった。
「! な、何!?」
「いや、別に何もないけど……」
明らかな過剰反応。でも、仕方ない。悠栖の視線は今唯哉の唇に集中していたから。
「なあ、ゆ――」
「! ま、待て! ダメだ! 此処、外!! てか俺初めてだしもうちょっと雰囲気とかそういうの大事にしたい気がする!?」
唯哉が顔を寄せてきた気がして、悠栖の心臓はお祭り状態。
キスしたくないわけじゃないけど初めてはもう少し特別な感じが良いと思う!?
なんて早口で捲し立ててしまった。
しかし、いっぱいいっぱいになっている悠栖の耳に届くのは唯哉が吹き出したような声で……。
「何で疑問形なんだよ」
「! な、そんな、知らねぇーし!! てか笑うなよっ!!」
「悪い悪い。なんか予想以上に可愛いこと考えてるから」
「『可愛い』言うな!!」
「バカにしてるんじゃないから許してくれよ。本当、めちゃくちゃ愛しいって思ってるんだからな?」
喚いて暴れる自分を抱き締め一瞬で大人しくさせる唯哉は、焦らずに自分達のペースで進もうと言ってくれる。
色々興味津々なお年頃。でも、興味を優先したくない。と。
そんな言葉と共に笑いかけてくる唯哉に、悠栖は胸がきゅんとした。
(たぶんこれが『愛しい』ってことなんだろうな!)
唯哉が自分を大事に想ってくれるように、自分も同じように唯哉を大事に想いたい。大切に、したい。
今までなら思いもしなかっただろう感情にくすぐったさを覚えながら悠栖は唯哉の肩にもたれかかり、『最高の親友』であり『最高の恋人』でもある唯哉とこれからもずっと一緒に居たいと願いをかけて笑った。
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