不思議なノートと魔法使い

篠宮れい

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夢じゃなかった?

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「…ミラ…ミラ…」
名前を呼ぶ声が聞こえてきて、ミラは目を覚ました。
「ミラ…夕飯よ。いつまで寝ているの?」
ママの声だった。
「今、行く!」
ミラは机に突っ伏して寝てしまっていた。
ミラの目の前には、真新しいノートがあった。
そのノートを開くと…
(頑張って!応援してる!)
の文字が。
「夢?」
そう思い、ノートに文字を書き込んでみるが、何も起こらなかった。
「やっぱり、夢か…」
ミラは長い夢を見ていたようだった。
そう呟くと、夕飯を食べに行くのだった。

次の日の朝。
「おはよう。ミラ」
ミラが起きてリビングに行くと、兄のサナが朝食を食べていた。
「おはよう。お兄ちゃん」
「今日は、進級テストだろ?頑張れよ!」
「うん!ありがとう!」
ミラはそう答えると、朝食を食べ、学校へ向かった。
途中、空き地の岩の裏側を覗いたけど、ノートは無かった。
でも、この日ミラは晴れ晴れとした気持ちだった。
進級テストに合格出来ると。

学校が終わると、ミラは走って家に帰った。
「ママー」
叫びながら家に入ると、ママに抱きついた。
「どうしたの?ミラ」
ミラは見てみてと言わんばかりに、ママに進級テストの結果を見せた。
すると、
「すごいじゃない!2階級も昇級したのね!」
ママもビックリしていた。
「ママ、やっぱり夢じゃなかったのかも!」
ミラがそう言うと
「夢?なんの話し?」
ママが、?という顔をしたので
「ううん。こっちの話。」
ミラが言うと、
「今日の夕飯は、ご馳走にしなきゃね!」
ママがルンルンと夕飯の用意をし始めた。

ミラは自分の部屋に入ると
机の上に置いていたノートに
「進級テストに合格しました。ありがとう!」
そう書いた。
返事こそ来なかったものの、
(おめでとう)
と声が聞こえた気がした。

END
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