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『わたくしは貴女が大嫌いですの!』
侯爵家のご令嬢・シルビア・デーテルは、とにかく私のことが大嫌いでした。
別にきっかけとか、そう言うのは無いんだけど。
わたしの生きること全てを否定してくる神経質で負けず嫌いな困ったちゃんでした。
そんなシルビアだから、私が別の令嬢にいじめられてるところを助けてくれるなんてこれっぽっちも思わなかったのに。
☆☆☆
「貴女達!何をしてらっしゃいますの!?」
「シルビア……!?」
地面に転がる私の前にはシルビアの姿があった。
「シルビアさん……」
彼女がどうして私の前に現れたか分からない。
あんなにも嫌いだって言ってたのに……
「これは、そのクリスが……」
「おだまりなさい!」
「ヒィ……」
「何があろうと顔を傷つけることは学園の規則に反するのであって?」
「それは……そうだけどさ……」
「あら?まだ文句がありますの?なんならわたくしに代わってお父様が掛け合いますが?如何なさいましょう?」
「・・・・・・」
「分かったならさっさと出ていきなさい貴族の恥が!」
とシルビアが激怒するとご令嬢達は図書室から立ち去っていきました。
「いたた……」
傷はそれほどに深くないけど椅子や本を投げられたものだから、身体中のあちこちが痛かった。
「大丈夫ですの?クリス」
「え?」
あまりにも優しい声でしたので本当にシルビアか疑ってしまいました。
「……良かった、顔に残りそうな傷は、ありませんわね」
「えっと……シルビアさんですよね?」
「そうに決まってるじゃありませんの!わたしくをからかってるのですか?」
「いわあィィィ……ぽっぺ抓らないで~」
「貴女が変なこと言うからですの!さあ!立ちなさい」
パン……パン……
シルビアが私を起こし、まず、服についた汚れを素手で、はらってくれた。そしてハンカチを取り出すと、私の頬に当ててくれた。
「ありがとうございます……」
「いいのですわよ……それにしても、よく我慢できましたわね。あの子達に言い返すことも出来たでしょうに」
「ううん。出来ないですよ。彼女達が言ったことは正しいんですもの」
「でも、それでは貴女の気が晴れませんわよね?」
「私は平気だよ。慣れてるもん。今までずっとこうだったんだから今更気にしないよ」
「・・・」
彼女は何も言わなかったけれど、とても悲しげな表情をしていた。
「もうそろそろ授業が始まる時間だね。行こっか」
「待ってくださいまし!」
「どうしました?」
「保健室に行きますわよ」
「いやぁ良いよいいよ。自分で治せるし」
「ダメですわ!ほら行きますわよ!」
「ちょっちょっと……」
侯爵家のご令嬢・シルビア・デーテルは、とにかく私のことが大嫌いでした。
別にきっかけとか、そう言うのは無いんだけど。
わたしの生きること全てを否定してくる神経質で負けず嫌いな困ったちゃんでした。
そんなシルビアだから、私が別の令嬢にいじめられてるところを助けてくれるなんてこれっぽっちも思わなかったのに。
☆☆☆
「貴女達!何をしてらっしゃいますの!?」
「シルビア……!?」
地面に転がる私の前にはシルビアの姿があった。
「シルビアさん……」
彼女がどうして私の前に現れたか分からない。
あんなにも嫌いだって言ってたのに……
「これは、そのクリスが……」
「おだまりなさい!」
「ヒィ……」
「何があろうと顔を傷つけることは学園の規則に反するのであって?」
「それは……そうだけどさ……」
「あら?まだ文句がありますの?なんならわたくしに代わってお父様が掛け合いますが?如何なさいましょう?」
「・・・・・・」
「分かったならさっさと出ていきなさい貴族の恥が!」
とシルビアが激怒するとご令嬢達は図書室から立ち去っていきました。
「いたた……」
傷はそれほどに深くないけど椅子や本を投げられたものだから、身体中のあちこちが痛かった。
「大丈夫ですの?クリス」
「え?」
あまりにも優しい声でしたので本当にシルビアか疑ってしまいました。
「……良かった、顔に残りそうな傷は、ありませんわね」
「えっと……シルビアさんですよね?」
「そうに決まってるじゃありませんの!わたしくをからかってるのですか?」
「いわあィィィ……ぽっぺ抓らないで~」
「貴女が変なこと言うからですの!さあ!立ちなさい」
パン……パン……
シルビアが私を起こし、まず、服についた汚れを素手で、はらってくれた。そしてハンカチを取り出すと、私の頬に当ててくれた。
「ありがとうございます……」
「いいのですわよ……それにしても、よく我慢できましたわね。あの子達に言い返すことも出来たでしょうに」
「ううん。出来ないですよ。彼女達が言ったことは正しいんですもの」
「でも、それでは貴女の気が晴れませんわよね?」
「私は平気だよ。慣れてるもん。今までずっとこうだったんだから今更気にしないよ」
「・・・」
彼女は何も言わなかったけれど、とても悲しげな表情をしていた。
「もうそろそろ授業が始まる時間だね。行こっか」
「待ってくださいまし!」
「どうしました?」
「保健室に行きますわよ」
「いやぁ良いよいいよ。自分で治せるし」
「ダメですわ!ほら行きますわよ!」
「ちょっちょっと……」
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