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コンビニ行ってきます
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彼女の住むマンションのエントランス、バイト終わりに連絡しておけばよかったなと思いタッチパネルを操作して彼女を呼び出そうとした矢先、自動扉が開いて彼女が出てきた。
「あっ、早い、やったー。今から鍋の材料買ってくるから先に家に入ってて」
私が口を挟む間も無くパーカー、サンダル、私があげたエコバックを携えてパタパタと行ってしまった。付いて行こうかとも思ったが付いったところで私が買い出しの戦力になれないことはわかっていたので大人しく彼女の部屋で待つことにした。
鍵を使って自動扉を開きエレベーターに乗り込む。彼女の部屋は3階の角部屋。洗濯物がよく乾くらしい。廊下を歩いていると下の方で子供の声が聞こえてくる。夕方、ちょうど学校帰りだろうか。扉に鍵を差し込んで扉を開ける。先ほどまで彼女がいた空間に小さくただいまと言うとなんだか同棲しているみたいで気恥ずかしかった。
扉を開けたらすぐに目に入るキッチンで手を洗うと隣のコンロには鍋が置かれており炊飯器が動いていた。備え付けのタオルで手を拭き2歩進めばたどり着く居間に到着。あとで畳もうと思っていたのか取り込まれた洗濯物がテーブルとベッドの間に小さな山のように置かれていた。
「あらあら、散らかして。もう仕方ないですねー」
などと実家暮らしフリーターの分際で料理洗濯掃除を1人でこなしながらカメラマンを目指す彼女の洗濯物をたたむだけで優越感に浸っている。いや優越感にも浸るだろう。だってそんなハイスペックな人間が私の彼女なのだから。
見た目のわりには多くなかった洗濯物をたたみ終え、手持ち無沙汰になってしまった。ここから近所のスーパーまで彼女の足なら10分弱、仮にスーパーに10分しかいなかったとしてもあと20分は彼女は帰ってこない。悪いとは思いつつ、ベッドの下へ体を入れる。手前の収納ボックスを取り出し、奥の方にある収納ボックスを引き寄せる。ふたを開けると漫画が入っている。表に見えている漫画を数冊取り出すとお目当の漫画を見つけた。彼女が私に隠しているBL漫画だ。私は別段気にはしないのだがおそらくそういうものなのだろうと考えている。私が見つけたのはなかなか激しいもので表紙の時点ですでに半裸の男性が抱き合っている。
私がなぜ、彼女が隠している趣味を知っているかというと、私が普通に漫画好きだからだ。彼女の話題によく上がる何人かの作家さん。彼女はその作家さんが書いているの一般向けの漫画の話をしているが、まあその作家さんがBLも書いている作家さんだということを知っている私は徐々に彼女の趣味を確信していった。彼女が読んでいるところを見たことはないがおそらく持っているのだろうとは思っていた。そして隠し場所といえばもちろんベッドの下である。まさか本当にベッドの下にあるとは、自分が恐ろしくなる。では拝見させていただきましょう。
背が高く切れ長の目が涼やかな男は結婚生活がうまくいっていなかった。両親の紹介で半ば強引に決まった結婚ではあったがそれでも初めはちゃんと夫婦であった。職業柄普通のサラリーマンの平均的な年収は優に超えていたが、そのぶん仕事も忙しかった。気がつけば増えていくすれ違い、そして決定的な出来事が起きた。妻が浮気していたのだ。偶然そのことを知った男が妻に指摘すると原因は男にあるという。逆上した妻は自分とそして男の両親に有る事無い事を吹き込み、男は居場所を失っていた。そんな折に再開したかつて家庭教師をしていた際の教え子、大学卒業後企業した彼は大金持ちになっていた。数年ぶりに会った彼は爽やかな笑顔で言い放った。いくらなら先生のこと買えるの?
ど、怒濤。間もなく致すスピード感、素晴らしい。いやあ、堪能しました。ほくほくです。いつもと違うジャンルの作品は良い刺激になりますね。恥ずかしさを隠すように独り言をつぶやきながら本をかたづける。収納ボックスにBL漫画を入れ、上から別の漫画を置く。置く順番も最初と一緒。ふたを閉めてベッドの下に押し込もうとするが入らない。何かに引っかかっている?
収納ボックスを取り出しベッドの下に体を入れる。
収納ボックスと収納ボックスの間に、筒だろうか。細長いものが転がっている。手を伸ばすと柔らかい?物体を持ってベッドの下から出る。光の下で見たそれは、女性が一人で致すときに使用する玩具、端的に言うとバイブだった。しかもネコ型。そしてここは彼女の部屋であるつまり、彼女のバイブだ。
これはとんでもないものを見つけてしまった。ぐにぐにとシリコンを握りながらつばを飲み込んだ。確かにこれは隠す。彼女の意外な一面を見た気がした。彼女はこれをどうやって使用したのだろうか。彼女の裸を想像する。なまじ知っているということが私の鼓動を加速させる。使い方を考えるとやっぱり下腹部にある突起物に当てたのだろうか。もしくは入れたり、したのだろうか。
まじまじと見つめていると不思議な気分になってくる。そっと、スイッチを入れてみる。猫の形をしたシリコン状のものが手の中で震えていた。
チャイムが鳴った。驚きながらも急いでスイッチを切る。エントランスの暗証番号を知っている彼女ならチャイムは鳴らさないしおそらく彼女ではない。すぐにかたづけるからとベッドに放り投げインターホンに出るとどうやら宅配のようだった。返事をしてエントランスの扉を開ける。程なく先ほどとは異なるチャイムが鳴った。扉を開けると宅配のお兄さんが荷物を持って立っていた。渡されたボールペンで受取のサインを書く。説明も面倒なので彼女の名前を書いて受け取った。礼儀正しくお礼を言ってお兄さんはエレベーターの方へと歩いて行った。お兄さんが視界から消えた瞬間、彼女が視界に飛び込んできた。どうやら宅配のお兄さんと同じタイミングでエレベーターに乗ったらしい。
「宅配受け取ってくれてありがとう。さっそく鍋作るね」
エコバック、それにビニール袋を玄関に置いた彼女が靴を脱いでいる。彼女が顔を上げたが最後、ベッドに鎮座する玩具を発見するだろう。彼女の視界を塞ぎながら後ずさりすれば、いや不自然すぎる。思い切って走れば、駄目だ逆に注目されてしまう。私は悟った。もう無理だ。素知らぬ顔で自然に靴を履く。
「ちょっとコンビニ行ってくるね」
「はーい。早く帰ってきてね」
彼女の笑顔が、まぶしかった。扉が閉まったことを確認してエレベーターまでダッシュした。
ベッドの上に放置されているバイブを見て彼女はどういう反応をするだろうか。とりあえず時間つぶしてコンビニで彼女の好きなビールを買って帰ろう。
私は彼女からかかってきた鬼のような頻度の電話を全て無視することにした。
「あっ、早い、やったー。今から鍋の材料買ってくるから先に家に入ってて」
私が口を挟む間も無くパーカー、サンダル、私があげたエコバックを携えてパタパタと行ってしまった。付いて行こうかとも思ったが付いったところで私が買い出しの戦力になれないことはわかっていたので大人しく彼女の部屋で待つことにした。
鍵を使って自動扉を開きエレベーターに乗り込む。彼女の部屋は3階の角部屋。洗濯物がよく乾くらしい。廊下を歩いていると下の方で子供の声が聞こえてくる。夕方、ちょうど学校帰りだろうか。扉に鍵を差し込んで扉を開ける。先ほどまで彼女がいた空間に小さくただいまと言うとなんだか同棲しているみたいで気恥ずかしかった。
扉を開けたらすぐに目に入るキッチンで手を洗うと隣のコンロには鍋が置かれており炊飯器が動いていた。備え付けのタオルで手を拭き2歩進めばたどり着く居間に到着。あとで畳もうと思っていたのか取り込まれた洗濯物がテーブルとベッドの間に小さな山のように置かれていた。
「あらあら、散らかして。もう仕方ないですねー」
などと実家暮らしフリーターの分際で料理洗濯掃除を1人でこなしながらカメラマンを目指す彼女の洗濯物をたたむだけで優越感に浸っている。いや優越感にも浸るだろう。だってそんなハイスペックな人間が私の彼女なのだから。
見た目のわりには多くなかった洗濯物をたたみ終え、手持ち無沙汰になってしまった。ここから近所のスーパーまで彼女の足なら10分弱、仮にスーパーに10分しかいなかったとしてもあと20分は彼女は帰ってこない。悪いとは思いつつ、ベッドの下へ体を入れる。手前の収納ボックスを取り出し、奥の方にある収納ボックスを引き寄せる。ふたを開けると漫画が入っている。表に見えている漫画を数冊取り出すとお目当の漫画を見つけた。彼女が私に隠しているBL漫画だ。私は別段気にはしないのだがおそらくそういうものなのだろうと考えている。私が見つけたのはなかなか激しいもので表紙の時点ですでに半裸の男性が抱き合っている。
私がなぜ、彼女が隠している趣味を知っているかというと、私が普通に漫画好きだからだ。彼女の話題によく上がる何人かの作家さん。彼女はその作家さんが書いているの一般向けの漫画の話をしているが、まあその作家さんがBLも書いている作家さんだということを知っている私は徐々に彼女の趣味を確信していった。彼女が読んでいるところを見たことはないがおそらく持っているのだろうとは思っていた。そして隠し場所といえばもちろんベッドの下である。まさか本当にベッドの下にあるとは、自分が恐ろしくなる。では拝見させていただきましょう。
背が高く切れ長の目が涼やかな男は結婚生活がうまくいっていなかった。両親の紹介で半ば強引に決まった結婚ではあったがそれでも初めはちゃんと夫婦であった。職業柄普通のサラリーマンの平均的な年収は優に超えていたが、そのぶん仕事も忙しかった。気がつけば増えていくすれ違い、そして決定的な出来事が起きた。妻が浮気していたのだ。偶然そのことを知った男が妻に指摘すると原因は男にあるという。逆上した妻は自分とそして男の両親に有る事無い事を吹き込み、男は居場所を失っていた。そんな折に再開したかつて家庭教師をしていた際の教え子、大学卒業後企業した彼は大金持ちになっていた。数年ぶりに会った彼は爽やかな笑顔で言い放った。いくらなら先生のこと買えるの?
ど、怒濤。間もなく致すスピード感、素晴らしい。いやあ、堪能しました。ほくほくです。いつもと違うジャンルの作品は良い刺激になりますね。恥ずかしさを隠すように独り言をつぶやきながら本をかたづける。収納ボックスにBL漫画を入れ、上から別の漫画を置く。置く順番も最初と一緒。ふたを閉めてベッドの下に押し込もうとするが入らない。何かに引っかかっている?
収納ボックスを取り出しベッドの下に体を入れる。
収納ボックスと収納ボックスの間に、筒だろうか。細長いものが転がっている。手を伸ばすと柔らかい?物体を持ってベッドの下から出る。光の下で見たそれは、女性が一人で致すときに使用する玩具、端的に言うとバイブだった。しかもネコ型。そしてここは彼女の部屋であるつまり、彼女のバイブだ。
これはとんでもないものを見つけてしまった。ぐにぐにとシリコンを握りながらつばを飲み込んだ。確かにこれは隠す。彼女の意外な一面を見た気がした。彼女はこれをどうやって使用したのだろうか。彼女の裸を想像する。なまじ知っているということが私の鼓動を加速させる。使い方を考えるとやっぱり下腹部にある突起物に当てたのだろうか。もしくは入れたり、したのだろうか。
まじまじと見つめていると不思議な気分になってくる。そっと、スイッチを入れてみる。猫の形をしたシリコン状のものが手の中で震えていた。
チャイムが鳴った。驚きながらも急いでスイッチを切る。エントランスの暗証番号を知っている彼女ならチャイムは鳴らさないしおそらく彼女ではない。すぐにかたづけるからとベッドに放り投げインターホンに出るとどうやら宅配のようだった。返事をしてエントランスの扉を開ける。程なく先ほどとは異なるチャイムが鳴った。扉を開けると宅配のお兄さんが荷物を持って立っていた。渡されたボールペンで受取のサインを書く。説明も面倒なので彼女の名前を書いて受け取った。礼儀正しくお礼を言ってお兄さんはエレベーターの方へと歩いて行った。お兄さんが視界から消えた瞬間、彼女が視界に飛び込んできた。どうやら宅配のお兄さんと同じタイミングでエレベーターに乗ったらしい。
「宅配受け取ってくれてありがとう。さっそく鍋作るね」
エコバック、それにビニール袋を玄関に置いた彼女が靴を脱いでいる。彼女が顔を上げたが最後、ベッドに鎮座する玩具を発見するだろう。彼女の視界を塞ぎながら後ずさりすれば、いや不自然すぎる。思い切って走れば、駄目だ逆に注目されてしまう。私は悟った。もう無理だ。素知らぬ顔で自然に靴を履く。
「ちょっとコンビニ行ってくるね」
「はーい。早く帰ってきてね」
彼女の笑顔が、まぶしかった。扉が閉まったことを確認してエレベーターまでダッシュした。
ベッドの上に放置されているバイブを見て彼女はどういう反応をするだろうか。とりあえず時間つぶしてコンビニで彼女の好きなビールを買って帰ろう。
私は彼女からかかってきた鬼のような頻度の電話を全て無視することにした。
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