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2ー03.ともだちだよね?
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──昼休み
俺は胡桃に手を引かれ屋上へ向かった。
開放的な青空の下。
魔力を解放した胡桃は、俺の首にステッキを押し当てた。
1.急にどうした。説明してくれ
2.チクチラしてるぞ
3.(あえて沈黙)
4.分かった。結婚しよう
脳内に無数の言葉が浮かぶ。
一秒でも早く発言するべきだ。頭では理解している。
だが、ステッキの先端に集まった魔力が不用意な発言を許してくれない。
(……懐かしい)
無論、心には余裕がある。
このような修羅場は異世界で経験済みだ。
「ともだちだよね?」
胡桃は言った。
「もちろん。胡桃は大切な友達だ」
俺は爽やかな返事をした。
胡桃は口元に笑みを浮かべた。
「じゃあ、どうして他の人を優先するの?」
しかし目は全く笑っていない。
「クソ陰キャ野郎は友達が居ないと言った」
……。
「私、嬉しかった。私に何も残ってない。夢でルリに会えるけど、現実は一人だけ。お揃いだと思った。私を助けてくれた人。ただ一人の大切な友達。起きてる間はクソ陰キャ野郎のことだけ考えてる。それなのに……」
……ふむ。
「捨てる気なんだ」
胡桃は言う。
「分かるよ。私は根暗だから一緒に居ても楽しくないよね。だから準備したんだよ。夢の中でルリに相談した。仲良くなれる会話、いっぱい考えた。でもクソ陰キャ野郎は私と一言しか会話しなかったね。金髪の子の方が大事なんだね。私の優先度、低いんだね。これからもっと下がるのかな。いつかまた一人ぼっちになるのかな。私の友達は、夢の中で生きてるルリだけになるんだね。現実ではずっと孤独なんだね……。それならいっそ、今この時間を永遠に──」
「なるほど!」
俺は完全に理解した。
「……なに?」
胡桃が目を細める。
俺は彼女のステッキを握りアッツ! 魔力の低い者なら溶けているぞこの温度!?
だが、ステイクールだ。
余裕のある笑顔を保つことを忘れない。
「胡桃は、自分に自信が無いのだな」
胡桃は無表情のまま首を傾けた。
「俺が他人と会話しているところを見て不安になったのだろう。その気持ちよく分かる。俺も異世界で同じような経験をした」
実に懐かしい。
彼女に恋をした直後など、あらゆる存在が敵に見えたものだ。
「よく聞け胡桃。その場で言うのだ」
「……その場で?」
「そうだ。胡桃は大切な友達だが、心の声を聞いてやることはできない」
スキルを使えば分かることは言わない。
「これから先、俺は多くの友達を作る」
まずは宣言した。
「必然、胡桃に使える時間は減り続ける」
そして胡桃の表情が歪むよりも早く言葉を続ける。
「俺と会話がしたい時には直接言え。どのような状況でも必ず応える」
「……本当に?」
「無論だ」
「他の友達と楽しく話してる時でも?」
「俺の話術を舐めるな。胡桃を会話に混ぜる程度、造作もない」
「その友達が嫌だと言ったら?」
不安そうな顔。
それを見て俺の心が「ここだ」と叫んだ。
「胡桃はこの世界で初めての友達だ。他の誰に何を言われても特別扱いする」
俺は頬に力を込め、練習した笑顔を作る。
「どうだ? まだ不服か?」
数秒、間があった。
胡桃は俺をじっと見て……やがて嬉しそうな様子で俯いた。
「……そっか」
「ああ、そうだ」
爽やかな青春の空気を感じる。
俺は軽く息を吐いて、内心で思った。
焦ったぁ~~~~~~~!
魔法少女こっわ。魔力アッツ。溶かされるかと思った。
しかし愛は重ければ重いほど良い!
我が器量の見せ所というものだな!
「お昼、どうする?」
胡桃は背中で手を組み上目遣いで言う。
「……私、お弁当」
「そうか。実は俺も弁当だ」
胡桃はパッと目を輝かせた。
「おかずの交換、する?」
「素晴らしい! すぐに始めよう!」
──この後メチャクチャ交換した。
俺は胡桃に手を引かれ屋上へ向かった。
開放的な青空の下。
魔力を解放した胡桃は、俺の首にステッキを押し当てた。
1.急にどうした。説明してくれ
2.チクチラしてるぞ
3.(あえて沈黙)
4.分かった。結婚しよう
脳内に無数の言葉が浮かぶ。
一秒でも早く発言するべきだ。頭では理解している。
だが、ステッキの先端に集まった魔力が不用意な発言を許してくれない。
(……懐かしい)
無論、心には余裕がある。
このような修羅場は異世界で経験済みだ。
「ともだちだよね?」
胡桃は言った。
「もちろん。胡桃は大切な友達だ」
俺は爽やかな返事をした。
胡桃は口元に笑みを浮かべた。
「じゃあ、どうして他の人を優先するの?」
しかし目は全く笑っていない。
「クソ陰キャ野郎は友達が居ないと言った」
……。
「私、嬉しかった。私に何も残ってない。夢でルリに会えるけど、現実は一人だけ。お揃いだと思った。私を助けてくれた人。ただ一人の大切な友達。起きてる間はクソ陰キャ野郎のことだけ考えてる。それなのに……」
……ふむ。
「捨てる気なんだ」
胡桃は言う。
「分かるよ。私は根暗だから一緒に居ても楽しくないよね。だから準備したんだよ。夢の中でルリに相談した。仲良くなれる会話、いっぱい考えた。でもクソ陰キャ野郎は私と一言しか会話しなかったね。金髪の子の方が大事なんだね。私の優先度、低いんだね。これからもっと下がるのかな。いつかまた一人ぼっちになるのかな。私の友達は、夢の中で生きてるルリだけになるんだね。現実ではずっと孤独なんだね……。それならいっそ、今この時間を永遠に──」
「なるほど!」
俺は完全に理解した。
「……なに?」
胡桃が目を細める。
俺は彼女のステッキを握りアッツ! 魔力の低い者なら溶けているぞこの温度!?
だが、ステイクールだ。
余裕のある笑顔を保つことを忘れない。
「胡桃は、自分に自信が無いのだな」
胡桃は無表情のまま首を傾けた。
「俺が他人と会話しているところを見て不安になったのだろう。その気持ちよく分かる。俺も異世界で同じような経験をした」
実に懐かしい。
彼女に恋をした直後など、あらゆる存在が敵に見えたものだ。
「よく聞け胡桃。その場で言うのだ」
「……その場で?」
「そうだ。胡桃は大切な友達だが、心の声を聞いてやることはできない」
スキルを使えば分かることは言わない。
「これから先、俺は多くの友達を作る」
まずは宣言した。
「必然、胡桃に使える時間は減り続ける」
そして胡桃の表情が歪むよりも早く言葉を続ける。
「俺と会話がしたい時には直接言え。どのような状況でも必ず応える」
「……本当に?」
「無論だ」
「他の友達と楽しく話してる時でも?」
「俺の話術を舐めるな。胡桃を会話に混ぜる程度、造作もない」
「その友達が嫌だと言ったら?」
不安そうな顔。
それを見て俺の心が「ここだ」と叫んだ。
「胡桃はこの世界で初めての友達だ。他の誰に何を言われても特別扱いする」
俺は頬に力を込め、練習した笑顔を作る。
「どうだ? まだ不服か?」
数秒、間があった。
胡桃は俺をじっと見て……やがて嬉しそうな様子で俯いた。
「……そっか」
「ああ、そうだ」
爽やかな青春の空気を感じる。
俺は軽く息を吐いて、内心で思った。
焦ったぁ~~~~~~~!
魔法少女こっわ。魔力アッツ。溶かされるかと思った。
しかし愛は重ければ重いほど良い!
我が器量の見せ所というものだな!
「お昼、どうする?」
胡桃は背中で手を組み上目遣いで言う。
「……私、お弁当」
「そうか。実は俺も弁当だ」
胡桃はパッと目を輝かせた。
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「素晴らしい! すぐに始めよう!」
──この後メチャクチャ交換した。
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