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(というか、このスキル、普通に強くない? 過去に取得者のいない固有スキルだったんだから、ハズレスキルと断定するには早すぎだったのでは。……もっとレベルを上げるべきだな)

依頼自体は失敗だったため、町に戻っても無報酬になってしまうが、悠哉にとって、今後の展望が開けたという意味では、無意味ではなく、むしろ大収穫だった。

(俺は優しいからな。お前らを見捨てずにギルドに報告してやるよ。弱い俺じゃそのぐらいしか出来ないしな)

悠哉は弱い。

最弱の魔物と言われているゴブリンでさえ、二匹同時に戦うなら苦戦するだろう。
戦闘要員としては使い物にならないからこそ、荷物持ちなのだ。

「あ゛、あ゛ぁっ、あ゛ーーっ!!」

長い髪を振り乱しながら、ゴブリンに突き上げられるフレイヤを見ながら、1人だけこの凄惨な修羅場から逃れられることに優越感と罪悪感を抱きつつ、悠哉はその場を後にした。

(……まあ明日には救出されるだろ。せいぜい、死なないように頑張るんだな)

だがギルドが女たちを救出できたのは、悠哉がギルドに報告してから1ヶ月後で、ほぼ全ての女がゴブリンの孕み袋となっており、変わり果てた姿で見つかった。

(くそっ、こんな何もない田舎にいないといけないなんて……)

女たちは療養のため、遠く離れた村で静養させた。それは好奇の視線から守る意味もあった。
だが、フレイヤは今すぐにでも戦線に復帰したかった。

(この世界からゴブリンを滅ぼしてやる……!!!)

たった1ヶ月だった。しかし、その1ヶ月は、フレイヤを変えた。
ゴブリンに復讐するために体を鍛え直し、再び冒険者として活動しようと決意した矢先、薬にも毒にもならなそうな地味な冒険者の男が村を訪れた。

「初めまして。俺は青谷悠哉と言う。今から、お前のご主人様になる男だ」
「何を言っている? 私はお前なと知らないぞ」

フレイヤは男の言葉に、眉を顰めた。

(妄言も甚だしい。どうせ私が金に困っているという噂を真に受けたのだろう)

Aランク冒険者フレイヤは、ゴブリンとの戦いで怪我をして静養しているということになっているが、フレイヤの美しさに目を付けていた貴族たちはこぞってフレイヤを手に入れようと、接触を試みた。
   
(どうやら異世界人みたいだが……。どこかの貴族に仲介を依頼されたのだろう)

黒髪、黒目は異世界人の特徴だ。彼らの大半はギルドに所属し、冒険者として活躍していた。

この男も、その内の1人なのだろうと思い、適当にあしらって、その場を立ち去ろうとしたが、男は薄い笑みを浮かべながら、フレイヤに喋りかけた。
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