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王都侵攻
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(R……)
エリーが産み、Rと名付けたゴブリンだ。
目立って能力の高いゴブリンではなく、盲目で知恵遅れのゴブリンだが、その分、他の感覚は鋭く、1キロ先の羽虫が羽ばたく音ですら聞き分ける聴力の持ち主だった。
母親に似ず、性格は穏やかで、気持ちの優しいやつだった。
ゴブリンではなく、人の魂を持ったようなやつだったのだが、あいつも死んでしまったのか、と感傷に耽る。
女を抱くどころか、どんなに毛嫌いされても、甲斐甲斐しく世話をするような変わり者だった。
たしかまだ女も知らなかったはずだ。
そのうち、女をあてがってやろうと思っていたのに、あいつは俺を庇おうとして死んでしまった。Cと共に洞窟の奥へ逃げたのだと思っていたのだが、息をひそめて俺の援護をしようと隠れていたのだ。
――出来れば助けてやりたい
自分のことは忘れ、Rに何度もスキルをかける。だが、やはりだめだった。死んだものを蘇らせるなど、自然の摂理に反した行為だ。
たしか死者蘇生というスキルは存在していたはずだが、やはり俺の能力では出来ないのだろうか。
けれども、これ以外に、俺がRにしてやれる事は思いつかなかった。
何百、何千と試みたが反応はない。
(パパ、もう、いいギャ。僕の魂を使ってギィ……)
ふと、そんな声が頭に響く。
Rのステータスに、無抵抗服従という状態が現れた。
今まで灰色だった魂合成のスキルが、金色に変化した。
だが、俺は困惑した。
(R……Rはどうなるんだ?)
魂が、ゆらりと動いたような気がした。
大事な大事な息子。
俺より長生きして欲しかった。Rを蘇らすことが出来ないか試みてみたが出来なかった。どうやってもベースは俺になってしまう。
(R、ありがとう……)
泣きながら、俺はRの魂を使い、復活を遂げた。
復活して、まず目にしたのは、ブウちゃんだった。
「ブウちゃん……」
「ブウ」
なぜか俺の呼びかけにブウちゃんが反応した。ブウちゃんの子供たちと豚女も無事のようだ。人間が去ったから戻ってきたのかもしれない。餌欲しさに。
息子達のうち何匹かは逃げそびれたのか討ち死にしていたが、AやB、Cなどの主だった息子たちと女は遺跡の隠し部屋に逃げて無事だった。
RとFは胴体と頭が切り離された状態で見つかった。
死に方から、おそらくは自分がやられた、あの魔法剣士によるものだろう。
Rと魂を合成したことにより、飛躍的に能力は増えている。だが、報復するには、まだ力が足りない。
俺はFの魂に手を置いて喋りかけた。
「F、俺に力を貸してくれないか?」
いちど死んでしまうと、魂を食い、魂廻で女の腹に宿らせたところで、それは今までのFではなくなってしまう。Fの能力と記憶の一部を引き継いだ、性質の異なる息子が産まれるだけだ。それはもうFという個体としての死と殆ど変わらなかった。
Fの魂を鑑定すると、Rと同じように無抵抗服従のマークが表示されていることを確認した。
「すまない、F……」
俺は、Fの魂を合成することに成功した。魂合成をしたことで、まるでRとFがそばにいてくれるような感覚になった。
そして条件が満たされ――
俺はキングゴブリンへと進化した。
「無尽蔵に力が溢れてくる……」
体の隅々まで行きわたる強大な力に、これなら生けとし生ける者を支配できそうだと、根底の無い自信が芽生える。だが、俺は舌を噛んで、その気持ちを一蹴した。
この力は、俺だけのものではない。RとFの生きた証だ。
俺の慢心が、息子を死に追いやる結果に繋がった。
どんなに力を得ようが、それだけは忘れてはいけなかった。
「やつらは勝利の美酒を飲み、安心しきっているだろう。攻めるなら、今だ」
俺は息子たちを連れて、ラストヘルムへ赴き、城壁を破壊して真正面から侵入した。そして、息子達の敵である魔法剣士を発見すると、殴り飛ばした。
突然のことで、防御が間に合わなかった魔法剣士は物言わぬ肉塊となった。
俺と息子たちはラストヘルムを完全に制圧した。ごてごてと着飾っていた王の幼い娘と息子は裸にして、広場で民衆が固唾を飲んで見守る中、ゴブリンと公開セックスをさせた。
「きゃあぁー!! いやああぁあああ!!!」
「痛いー!! パパー!! ママァー!!」
「イ、イヴァンカ!! マルゲリット……!! ああ、あああ、なんてことを……! 私の息子が、私の娘があああああ……!!」
髪を乱しながら、幼い娘と息子たちはゴブリンと交わった。年老いた王はその様子を見て発狂した。奇声を上げながら、レンガの石畳に皺だらけの手を殴りつけ、鮮血が滴り落ちた。
生い先短い老人には刺激が強すぎたか。
「殺すな! 私には神のご加護があるのだ、こんなところで死ぬ人間では……!!」
ガチガチと歯を噛み、全身が震える老人の頭を掴んで、持ち上げた。
「RとFの無念を晴らしてやる。 ――死ね」
静まり返っている民衆の前で、俺は王の首を刎ねた。
エリーが産み、Rと名付けたゴブリンだ。
目立って能力の高いゴブリンではなく、盲目で知恵遅れのゴブリンだが、その分、他の感覚は鋭く、1キロ先の羽虫が羽ばたく音ですら聞き分ける聴力の持ち主だった。
母親に似ず、性格は穏やかで、気持ちの優しいやつだった。
ゴブリンではなく、人の魂を持ったようなやつだったのだが、あいつも死んでしまったのか、と感傷に耽る。
女を抱くどころか、どんなに毛嫌いされても、甲斐甲斐しく世話をするような変わり者だった。
たしかまだ女も知らなかったはずだ。
そのうち、女をあてがってやろうと思っていたのに、あいつは俺を庇おうとして死んでしまった。Cと共に洞窟の奥へ逃げたのだと思っていたのだが、息をひそめて俺の援護をしようと隠れていたのだ。
――出来れば助けてやりたい
自分のことは忘れ、Rに何度もスキルをかける。だが、やはりだめだった。死んだものを蘇らせるなど、自然の摂理に反した行為だ。
たしか死者蘇生というスキルは存在していたはずだが、やはり俺の能力では出来ないのだろうか。
けれども、これ以外に、俺がRにしてやれる事は思いつかなかった。
何百、何千と試みたが反応はない。
(パパ、もう、いいギャ。僕の魂を使ってギィ……)
ふと、そんな声が頭に響く。
Rのステータスに、無抵抗服従という状態が現れた。
今まで灰色だった魂合成のスキルが、金色に変化した。
だが、俺は困惑した。
(R……Rはどうなるんだ?)
魂が、ゆらりと動いたような気がした。
大事な大事な息子。
俺より長生きして欲しかった。Rを蘇らすことが出来ないか試みてみたが出来なかった。どうやってもベースは俺になってしまう。
(R、ありがとう……)
泣きながら、俺はRの魂を使い、復活を遂げた。
復活して、まず目にしたのは、ブウちゃんだった。
「ブウちゃん……」
「ブウ」
なぜか俺の呼びかけにブウちゃんが反応した。ブウちゃんの子供たちと豚女も無事のようだ。人間が去ったから戻ってきたのかもしれない。餌欲しさに。
息子達のうち何匹かは逃げそびれたのか討ち死にしていたが、AやB、Cなどの主だった息子たちと女は遺跡の隠し部屋に逃げて無事だった。
RとFは胴体と頭が切り離された状態で見つかった。
死に方から、おそらくは自分がやられた、あの魔法剣士によるものだろう。
Rと魂を合成したことにより、飛躍的に能力は増えている。だが、報復するには、まだ力が足りない。
俺はFの魂に手を置いて喋りかけた。
「F、俺に力を貸してくれないか?」
いちど死んでしまうと、魂を食い、魂廻で女の腹に宿らせたところで、それは今までのFではなくなってしまう。Fの能力と記憶の一部を引き継いだ、性質の異なる息子が産まれるだけだ。それはもうFという個体としての死と殆ど変わらなかった。
Fの魂を鑑定すると、Rと同じように無抵抗服従のマークが表示されていることを確認した。
「すまない、F……」
俺は、Fの魂を合成することに成功した。魂合成をしたことで、まるでRとFがそばにいてくれるような感覚になった。
そして条件が満たされ――
俺はキングゴブリンへと進化した。
「無尽蔵に力が溢れてくる……」
体の隅々まで行きわたる強大な力に、これなら生けとし生ける者を支配できそうだと、根底の無い自信が芽生える。だが、俺は舌を噛んで、その気持ちを一蹴した。
この力は、俺だけのものではない。RとFの生きた証だ。
俺の慢心が、息子を死に追いやる結果に繋がった。
どんなに力を得ようが、それだけは忘れてはいけなかった。
「やつらは勝利の美酒を飲み、安心しきっているだろう。攻めるなら、今だ」
俺は息子たちを連れて、ラストヘルムへ赴き、城壁を破壊して真正面から侵入した。そして、息子達の敵である魔法剣士を発見すると、殴り飛ばした。
突然のことで、防御が間に合わなかった魔法剣士は物言わぬ肉塊となった。
俺と息子たちはラストヘルムを完全に制圧した。ごてごてと着飾っていた王の幼い娘と息子は裸にして、広場で民衆が固唾を飲んで見守る中、ゴブリンと公開セックスをさせた。
「きゃあぁー!! いやああぁあああ!!!」
「痛いー!! パパー!! ママァー!!」
「イ、イヴァンカ!! マルゲリット……!! ああ、あああ、なんてことを……! 私の息子が、私の娘があああああ……!!」
髪を乱しながら、幼い娘と息子たちはゴブリンと交わった。年老いた王はその様子を見て発狂した。奇声を上げながら、レンガの石畳に皺だらけの手を殴りつけ、鮮血が滴り落ちた。
生い先短い老人には刺激が強すぎたか。
「殺すな! 私には神のご加護があるのだ、こんなところで死ぬ人間では……!!」
ガチガチと歯を噛み、全身が震える老人の頭を掴んで、持ち上げた。
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