ゴブリン転生【完結】

ちゃむにい

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閉ざされた世界

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人間を何人か葬ったが、それ以降は手も足も出ず、俺は片膝をついた。もとよりステータスが大人と赤子ぐらいの差があるのだ。呼吸も荒く、体力の限界が近づいていた。

「俺は……死ぬのか?」

ゴブリンとして生き、10年の歳月が過ぎていた。
また魂だけの存在となり、永久に暗闇を彷徨うのだろうか。

(ああ、俺は馬鹿だな。人間だった頃とまったく変わらない……)

それでも、息子たちのためなら、なぜか悪くない気もしてしまう。

彼らを見捨てて、単独で逃げる事も出来た。

そうしなかったのは、俺の人間としての弱い心なのだろう。捨てたと思っていた人間としての心が、僅かばかりに残っていたのだ。まさかそれが、命取りになるとは思わなかった。
土壇場になって、思い知らされる。
やっと得た家族。愛する女。信頼できる息子。彼らは俺の生きる意味でもあった。

それらを捨てるなんて、俺には出来なかった。

最後に、思う存分、女たちを、ルシーやハートリア、エリーを抱きたい。苦楽を共にしたAエイBビーCシーとはもう1度酒を飲んで語り合いたかったな、と思っていると、

――目を覆いたくなるほど、鋭い光の一閃が来る。

あの似非勇者とは比較にならないほど、力強く繰り出された斬撃だ。

避けようにも、避けようがない。





――プツリ、と意識が飛んだ。

そして、しばらくしてから、ぼんやりと見えてきた。

またあの光景だった。

ああ、やっぱり死んだのかと、自覚する。すべてにおいて、力不足だった。人間だった時のように、中途半端に投げ出してしまったな、と嘆く。

Cシーの信頼に応えることが出来なくて、申し訳なかったな、と思う。出来れば彼の復讐に最後まで付き合いたかったのだが、それも叶わなくなってしまった。

(あ、あいつら……!)

そして、目の前に転がっているものに気が付いて、俺は憤慨した。

(ブウちゃんの嫁を、食べやがったな……!)

すっかり骨だらけになってしまっているが、あの頭蓋骨は豚だ。鑑定してみても、豚の骨と出てくる。大きさから言うと小柄だからブウちゃんの嫁だと思う。
けっこう苦労して、やっと見つけたブウちゃんの嫁だったのだが、敗者のペットの末路なんてこんなものか。戦いが始まる前に、柵から逃がしてやったけど、捕まってしまったのだろう。

(ほとんど肉残ってないな……。よっぽど腹でも減っていたのだろうか?)

まあ餌毎日あげてたから肥えてたし、豚だから美味しかったんだろうけど。

(それより、息子達はどうなったんだろう。ちゃんと逃げる事が出来たんだろうか)

最も気になるのはその点だった。
だが、どうやら俺は地縛霊になったようで、移動する事はままならず、自分の遺体が転がっている狭い範囲しか移動することは出来なかった。

(……そういえば、さっき鑑定が使えたな)

まだ、あきらめるのは早いのかもしれない。

自分の体は、あそこにある。
見事に頭が切断されているが。人間側も被害が大きかったのか、討伐証明の俺の耳だけ切り落として、遺体の回収には来ていないようだ。元々がゴブリンだから、たとえ進化したゴブリンでも、価値がそれほどないのかもしれない。
これはチャンスだ。
魂だけの姿になってしまったが、この状態で出来ることがあるかもしれない。

自分が持つスキルの中で、生前使うことができなかったものが2つだけある。

それは魂付与と魂合成だ。

このスキルで何とか出来ないだろうか。僅かな希望を見出して、俺はスキルの名前を叫び続けた。しかし、ステータスのスキルの文字は灰色のままで、うんともすんともしなかった。

(――無理なのか)

何か条件を満たしていないのかもしれない。

あきらめかけた時、近くに魂が浮いている事に気が付く。

あれだけ大規模な戦闘だったから、俺とブウ嫁以外にも死者がいてもおかしくはない。それに、この場所は以前から冒険者とよく戦闘になる場所で、俺もかなりの数の人間を食っている。

ステータスを見ると魂が破損してるものが多かったが、1つだけ他と輝きが違うものがあった。








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