ゴブリン転生【完結】

ちゃむにい

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息子と娘

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控室で、アルファベットの息子たちを取り纏めているのはシーディーだ。
シーだけでも十分だと思っていたが、息子たちは、それぞれに好みが極端だったり、我が強かったりするので、トラブルが発生することを予期して、ディーシーの補佐を頼んだ。しかし、概ね上手くいっているようで「拍子抜けするぐらいですよ」と笑っていた。

「女も男もいらない息子たちには、個別に同等のものを渡さないとな」

いらない贈り物を押し付けても、不快になるだけだろう。
予想通りではあるがエイ以下数匹は、事前に女も男も不要であるとの回答を出していた。

シー、お前はいらないのか?」
「兄弟たちに譲りますよ。それに私は、それほど女にこだわりがないので……」

模範的な回答でさりげなく断ってきたが、シーもまた、子の少ないゴブリンだ。
シーの場合は、エイとは異なり、女自体への興味関心が薄い。人間だった頃は女であったらしいので、その記憶が残っている以上、仕方がないかもしれない。

シーと同じような境遇の息子たちは少なくない。ディーなんかもそうだ。

ディーは喋り方が完全に女で隠しもしないものだから、異名がおばさんになっている。ただしディーは歯牙にもかけておらず「性別なんて関係ないね」「言いたいやつには言わせてやればいい」と雄より雄らしい雌だと思う。
「これでも、あたしには旦那がいたんだからね。女と乳繰り合うつもりはないさ。旦那の魔王は別だけど」

ディーが言うには、人間であった頃の記憶が、ある程度残っているためか、違和感を覚えるらしい。性処理は魔王で済ましてるため、不要だそうだ。

強い恨みの感情を持った魂に、復讐の機会を与えてやろうと息子にしたのは良いが、復讐が終わった後の今となっては、息子と言っていいのか、娘と言ったほうがいいのか、若干責任を感じ、俺の持っている魂付与スキルの説明をし、他にも選択肢があることを伝え、聞いてはみたものの「絶対嫌」「ゴブリンのままが良いですねぇ」と反発された。

雌のゴブリンは希少種らしく、いまだお目にかかったことはない。戦闘能力も雄に比べると低いらしく、ゴブリンとして生きることを望む2人には、選択肢にならないようだった。

シーも同胞で似た境遇のディーには心なしか優しく、ルシーと同じように戦闘の手ほどきをしているようだ。本人は「成長の見込みがあるから手伝っているのです。見込みがなければ時間の無駄ですから」と言っていたが。

ディーのスキル、悪魔の鋭歯えいしは、その歯が鈍く光る。その口に入るものならば、鉄塊すら噛み砕く事が出来るようだ。強靭な胃袋というスキルも持っていて、危険な毒薬すら、胃もたれすることもなく消化することが出来るらしい。
何を食べても腹を壊さないためか、ビーの興味を惹き「これも食ってくれギイ」「あれも食ってくれギー」と依頼されては「ゴミ捨て場じゃないわよ!」「でもこれ美味しいわね!」と怒りながら食べている。

アルファベットもシーに次ぐディーで、実力は高い。我がゴブリンの群れにおいて、最凶の「おばさん」だろう。

「問題があれば、すぐ言ってくれ」

俺はシーディーに後の事を任せ、自室に戻った。
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