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寵愛
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ルークスは困っていた。
なるべく王子と2人きりにならないように気を付けていたが、体調がすぐれなかった。犬小屋を見に行く前にお茶をした後から、どうにも具合が良くない。
(体が、熱い……。なんでこんな……。媚薬でも盛られたのかな……?)
最近は、なるべく王子を避けるようにしていたから、機嫌を損ねていたのは間違いない。マリオンを1人にするのが心配だったが、今にも倒れそうなほどだったので、仕方なく、別室で体を休めることにした。それでも、体調が良くなることはなく、体の熱さがルークスを蝕んでいった。
(媚薬……ではなさそうだ。もしかして、毒だった……? 私、死ぬのでしょうか……)
お茶は変な味も匂いもしなかったが、いきなり体調が悪くなる原因が、他に考えられなかった。
まるで走馬灯のように、兄弟や、妻や幼い子供たち、そして飼育している蝶人間の顔が思い浮かぶ。
けれど、最後に、ブラッド王子の笑顔を思い出してドキリとした。きっとルークスの体調を悪くした張本人だろうに、なぜ思い浮かんだのか。ルークス自身も、不思議でならなかった。
(手のかかる子ほど可愛いというか……。なぜか嫌いになれないんですよね……)
むしろ気に入っていると言ってもいいぐらいだった。だからこそ、色々と手ほどきをしたりして構っていたのだから。
意識朦朧としながら、荒い呼吸を繰り返すルークスの視界に、「これ、本当に大丈夫なの!? ルークスが死んだら、許さないよ! もし死んだら、お前の家族も皆殺しにするからね!?」と慌てた様子で医者に聞く王子の姿が見えた。
「ルークス、これ薬だから飲んで」
「んっ……んぅ……!?」
王子が口移しで、苦い液体をルークスの口の中に入れた。ゴクリ、とルークスが飲むのを確認してから、王子はルークスの耳元で囁いた。
「……俺に抱かれたら、その苦しみも楽になるらしいよ? 抱いて欲しいって言ってごらん」
「今日は……、弟の付き添いで来ただけなので……、またの機会に……お願いしますね」
きっと最初から、王子はルークスを抱くつもりだったのだろう。薬の量を間違えたか、何かしら手違いがあっただけで、やっぱり犯人は王子だったか、と苦々しく思いながら、ルークスは、その申し出を拒否した。
「……冷たいね。俺の気持ちだって、知っている癖に」
王子はルークスの頬に手を触れて、口付けようとしてきたが、気敏いルークスにさりげなく躱された。
「元気になってきたの? 良かったね。……でも、そんなことをして俺の気分を損ねたら、どんなことになるか分からないほど馬鹿じゃないよね。……俺が怖くないの?」
「……怖いですよ。貴方と遊ぶと……、私の妻が嫉妬して、家に入れてくれないんですよ……」
「そんな女、離婚すればいいだろ? 俺が、妃として娶ってやるから」
「妃って……。私、男ですよ?」
「父様に性転換の秘薬を貰ったんだ。さっきお茶に混ぜて、ルークスに飲ませたけど、思ったより体に負担がかかるみたいで……。こんなに苦しませるつもりはなかったんだよ、ごめんね。……でも綺麗だよ、女のルークスも」
王子はルークスの髪を一束掴んで口付けた。
ルークスの笑顔は凍った。秘匿されてはいるが、秘薬の存在は噂として聞いたことがある。実在していることも知っている。
何代か前の王妃が、性転換した男だったはずだ。歴代の国王は、男を好む傾向にあり、高貴な血を絶やさないために、魔女に依頼して作られた代物だと聞く。
(まさか、ブラッド王子が王位継承者……?)
だが、それは国宝であり、譲り受けるには国王の許可がいるはずだ。その貴重性から、秘薬を使用できるのは、王位継承者のみに限られていたはずだった。
なるべく王子と2人きりにならないように気を付けていたが、体調がすぐれなかった。犬小屋を見に行く前にお茶をした後から、どうにも具合が良くない。
(体が、熱い……。なんでこんな……。媚薬でも盛られたのかな……?)
最近は、なるべく王子を避けるようにしていたから、機嫌を損ねていたのは間違いない。マリオンを1人にするのが心配だったが、今にも倒れそうなほどだったので、仕方なく、別室で体を休めることにした。それでも、体調が良くなることはなく、体の熱さがルークスを蝕んでいった。
(媚薬……ではなさそうだ。もしかして、毒だった……? 私、死ぬのでしょうか……)
お茶は変な味も匂いもしなかったが、いきなり体調が悪くなる原因が、他に考えられなかった。
まるで走馬灯のように、兄弟や、妻や幼い子供たち、そして飼育している蝶人間の顔が思い浮かぶ。
けれど、最後に、ブラッド王子の笑顔を思い出してドキリとした。きっとルークスの体調を悪くした張本人だろうに、なぜ思い浮かんだのか。ルークス自身も、不思議でならなかった。
(手のかかる子ほど可愛いというか……。なぜか嫌いになれないんですよね……)
むしろ気に入っていると言ってもいいぐらいだった。だからこそ、色々と手ほどきをしたりして構っていたのだから。
意識朦朧としながら、荒い呼吸を繰り返すルークスの視界に、「これ、本当に大丈夫なの!? ルークスが死んだら、許さないよ! もし死んだら、お前の家族も皆殺しにするからね!?」と慌てた様子で医者に聞く王子の姿が見えた。
「ルークス、これ薬だから飲んで」
「んっ……んぅ……!?」
王子が口移しで、苦い液体をルークスの口の中に入れた。ゴクリ、とルークスが飲むのを確認してから、王子はルークスの耳元で囁いた。
「……俺に抱かれたら、その苦しみも楽になるらしいよ? 抱いて欲しいって言ってごらん」
「今日は……、弟の付き添いで来ただけなので……、またの機会に……お願いしますね」
きっと最初から、王子はルークスを抱くつもりだったのだろう。薬の量を間違えたか、何かしら手違いがあっただけで、やっぱり犯人は王子だったか、と苦々しく思いながら、ルークスは、その申し出を拒否した。
「……冷たいね。俺の気持ちだって、知っている癖に」
王子はルークスの頬に手を触れて、口付けようとしてきたが、気敏いルークスにさりげなく躱された。
「元気になってきたの? 良かったね。……でも、そんなことをして俺の気分を損ねたら、どんなことになるか分からないほど馬鹿じゃないよね。……俺が怖くないの?」
「……怖いですよ。貴方と遊ぶと……、私の妻が嫉妬して、家に入れてくれないんですよ……」
「そんな女、離婚すればいいだろ? 俺が、妃として娶ってやるから」
「妃って……。私、男ですよ?」
「父様に性転換の秘薬を貰ったんだ。さっきお茶に混ぜて、ルークスに飲ませたけど、思ったより体に負担がかかるみたいで……。こんなに苦しませるつもりはなかったんだよ、ごめんね。……でも綺麗だよ、女のルークスも」
王子はルークスの髪を一束掴んで口付けた。
ルークスの笑顔は凍った。秘匿されてはいるが、秘薬の存在は噂として聞いたことがある。実在していることも知っている。
何代か前の王妃が、性転換した男だったはずだ。歴代の国王は、男を好む傾向にあり、高貴な血を絶やさないために、魔女に依頼して作られた代物だと聞く。
(まさか、ブラッド王子が王位継承者……?)
だが、それは国宝であり、譲り受けるには国王の許可がいるはずだ。その貴重性から、秘薬を使用できるのは、王位継承者のみに限られていたはずだった。
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