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それは雲ひとつない快晴の日であったと記憶している。

魔法使い科2年のイアン・クルーガーは昼休みにサンドイッチでも食べようと外をに出たところ、颯爽と金髪碧眼の美少女が現れ、進行方向に立ち塞がった。

(今日はいいことがありそうだ)

その少女の名前はミシェル・ローズ。魔法使い科3年の気高き百合と呼ばれる優等生だ。

「私は知っているのよ!」
「何を?」

ミシェルはイアンを指差して指摘した。

(まさか……ばれた?)

イアンは平静を装ったが、内心動揺した。イアンは、入学式で在校生代表として出逢ったミシェルに一目惚れをしており、それからずっと片思いをしていた。ミシェルは伯爵家の令嬢であり、イアンは嫡男とはいえ、男爵家に過ぎない。
イアンにとって、ミシェルは高嶺の花だった。

ミシェルは、男子生徒から人気があった。それこそ伯爵家や公爵家からも縁談があるらしい。だからこそイアンは告白をあきらめ、遠くからミシェルを見守っていたのだ。

「責任をとって、結婚しなさい!」
「え? 結婚? 僕と!?」

まさかのミシェルからの逆プロポーズに、イアンは「喜んで結婚します!」と、飛び跳ねんばかりに喜んだ。

(責任ってなんだろう? でも、ミシェルと結婚出来るなら、どうでもいいや!)

イアンはミシェルの細い腰を抱くと、軽く触れ合う程度に唇を重ねた。ミシェルは目を大きく見開き、狼狽えた。

「な、何をするのよ! 噂通り手が早いのね!」
「僕はずっと貴方が好きだったので、触りたいですしキスもしたいですよ?」

ミシェルの肌は白く、触り心地が良かった。イアンはミシェルを抱き締めると、ぷっくらとした唇に再びキスをした。

(あぁ、まるで夢のようだ……! あのミシェルとキスが出来るなんて……!)

むくむくとイアンの欲望は膨らんだ。イアンは舌をミシェルの口内に侵入させると、逃げ惑う舌を追いかけ、絡めとった。

「……!? な、なんですか?」

ミシェルとのキスを堪能していたイアンだったが、ミシェルがイアンの腕の中で暴れて抵抗するので、とても名残惜しかったがイアンはキスを中断して、唇を放した。その途端、ミシェルは涙目で抗議した。

「こ、こんないやらしいこと……! 貴方は平気で誰とでもするのですか!?」
「するわけないでしょう? 僕は浮気男ではありません。当然、ミシェルにしかしませんよ?」

なんだか話が噛み合わない。ミシェルは傷物にされたと騒ぎ始めた。イアンは、自分とミシェルは結婚するのではないのか? と困惑した。
頬にキスするのは親愛の証として挨拶代わりにする。特別なものではない。舌を絡ませるような濃厚なキスは恋人同士でないとしないが、これから結婚するのなら、しても問題ないだろうとイアンは思っていた。


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