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後日談
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真実をミレイアが知ったのは、魔狼に囚われて数年が経った後だった。
「おかしいと思っていたのよ。風邪を引いたら人間の薬を持ってくるし……! 巣穴の中が、どんどん快適になっていくものね……! 喋れるなら、言いなさいよ!」
「だって……」
「だってじゃない! 私がこの数年間、どんな思いでいたことか……!」
魔狼が元恋人であることを知り、ミレイアは怒りを爆発させた。
しかし、かつて愛した男の耳と尻尾がへたりと折れるのを見て、怒りを持続するのは難しかった。なにより、ミレイアと魔狼は行為の真っ最中だった。
ミレイアは快楽にとても弱かった。
(ごめんなさい。私、この魔狼を愛してしまったわ……!)
魔狼に殺された仲間の名前と顔を思い出しながら、ミレイアは魔狼の雌であることを選んだ。ミレイアは項垂れる魔狼に抱き着くと、自ら魔狼のペニスを秘所に沈めて、腰を上下に動かし始めた。
「スヴェン、愛しているわ。私の中に出して……!」
「ミレイア……!」
それ以上の言葉は必要なかった。ミレイアと魔狼は、大樹の根本にある巣穴の中で愛し合い、ミレイアは魔狼の子供を身籠った。
「この巣穴も大分手狭になってきたな。人間みたいに家でも作ろうかな」
「家なんて作れるの?」
「前に人間が作ってるのを見た。あれなら俺でも作れそうだ」
魔狼は可愛い子供たちと愛する妻のために、家作りに没頭した。「あれ? 案外難しいな……」そしてすぐに頓挫した。だが、魔狼は試行錯誤して、理想の家作りに奔走した。
「もう……! こうなると、私も子供のこともほったらかしになるんだから……!」
怒りながらも、楽しそうに人間風の家を作る魔狼に、ミレイアは何も言えなかった。
「私も何かしようかしら……」
ミレイアは魔女の弟子となり、不老不死となった。
「さすがスヴェンの嫁ね! 教えがいがあるわ~!」
元々Aランクの魔法使いで魔力が高く、幾多の男の精を受けていたためか、魔女としての素質はかなり高かったようだ。
スヴェンとミレイアは喧嘩することもあったが、仲睦まじく、人間風の家は次第に増えていった。
ついには、廃墟となった人間の町を併合し、魔狼の国として建国したのだった。
「おかしいと思っていたのよ。風邪を引いたら人間の薬を持ってくるし……! 巣穴の中が、どんどん快適になっていくものね……! 喋れるなら、言いなさいよ!」
「だって……」
「だってじゃない! 私がこの数年間、どんな思いでいたことか……!」
魔狼が元恋人であることを知り、ミレイアは怒りを爆発させた。
しかし、かつて愛した男の耳と尻尾がへたりと折れるのを見て、怒りを持続するのは難しかった。なにより、ミレイアと魔狼は行為の真っ最中だった。
ミレイアは快楽にとても弱かった。
(ごめんなさい。私、この魔狼を愛してしまったわ……!)
魔狼に殺された仲間の名前と顔を思い出しながら、ミレイアは魔狼の雌であることを選んだ。ミレイアは項垂れる魔狼に抱き着くと、自ら魔狼のペニスを秘所に沈めて、腰を上下に動かし始めた。
「スヴェン、愛しているわ。私の中に出して……!」
「ミレイア……!」
それ以上の言葉は必要なかった。ミレイアと魔狼は、大樹の根本にある巣穴の中で愛し合い、ミレイアは魔狼の子供を身籠った。
「この巣穴も大分手狭になってきたな。人間みたいに家でも作ろうかな」
「家なんて作れるの?」
「前に人間が作ってるのを見た。あれなら俺でも作れそうだ」
魔狼は可愛い子供たちと愛する妻のために、家作りに没頭した。「あれ? 案外難しいな……」そしてすぐに頓挫した。だが、魔狼は試行錯誤して、理想の家作りに奔走した。
「もう……! こうなると、私も子供のこともほったらかしになるんだから……!」
怒りながらも、楽しそうに人間風の家を作る魔狼に、ミレイアは何も言えなかった。
「私も何かしようかしら……」
ミレイアは魔女の弟子となり、不老不死となった。
「さすがスヴェンの嫁ね! 教えがいがあるわ~!」
元々Aランクの魔法使いで魔力が高く、幾多の男の精を受けていたためか、魔女としての素質はかなり高かったようだ。
スヴェンとミレイアは喧嘩することもあったが、仲睦まじく、人間風の家は次第に増えていった。
ついには、廃墟となった人間の町を併合し、魔狼の国として建国したのだった。
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