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本編
26、親公認
しおりを挟む正樹とホテルで過ごし明け方までお互いに愛を深めた。なんていうか、告白はすごい威力だ。自然にただ体を繋げるのではなくて、俺の想いを告げてからの行為は人生で初めてだった。お互いにお互いの気持ちを知っている。
正樹の気持ちは本人から直接聞くことはできなかったが、すでに以前聞いているから知っている。夢だと思って俺に正樹の心を打ち明けた時の記憶もまだ新しい。でも正樹はそれを覚えていないし、俺からの想いを聞いたことがないと思いこんでいるので改めて正式に気持ちを伝えた。
これで晴れて両思いだった。
翌朝、正樹を家まで送った。ご両親に挨拶をと思ったら正樹に制されてしまい、付き合いが始まったとの報告ができなかった。朝からお邪魔するのも申し訳ないから、今度また来ようと思った。
俺が正樹を見送ると、真山家の玄関がまた開いた。そこから百合子さんが慌ててでてきた。
「司君! チョット待って」
百合子さんとは、正樹が事件に巻き込まれてヒートを共に過ごした後から個人的に連絡を取り合う仲だった。
百合子さんは俺のことを応援すると言ってくれた。それから正樹の毎日の状況とか、正樹の好きなこととかをこまめに連絡してくれるようになったのが、俺と百合子さんの始まりだった。
「百合子さん、今回も正樹を預からせていただきありがとうございました」
「ううん、こちらこそ西条君のお家のホテルに、正樹みたいな男の子が出入りして大丈夫だった?」
大丈夫どころか、支配人ウハウハでしたから!
正樹はかなり気に入られていたし、もう西条グループの未来の若奥様として見ていたぞ、あれは。俺の態度が明らかに今までの女たちへのソレと違うのは、俺を知る人間なら誰が見てもわかる。
「もちろんです。支配人も正樹の人柄に感銘を受けて、そして俺の隣にいることを喜んでいました」
「そうなの……で、その、あの子もあなたもまだ高校生だからね、今回は久々の登校で精神的にもあなたが支えてくれた方がいいのはわかっていたから、許したけど」
さすが母親だ。でもアルファとオメガについてはきっと強く言えないのだと思った。
「俺、昨日告白しました」
「そ、そうなの!? 高級ホテルで告白、なんてシチュかしら」
百合子さんは「シチュー」と言ってまた遠い目をした。俺の話に飽きて今晩の献立でも考えているのだろうか!? まずい! きちんと俺が本気だということを伝えなければ!!
「百合子さん、正樹は恋愛ごとに慣れてなくて恥ずかしがってしまいます。もう少しゆっくり正樹のペースに合わせて、いずれは正樹が堂々と俺とのことを言える日がこられるように頑張るので……」
「そうね、くれぐれも正樹を悲しませることだけはしないでね。私は二人のことちゃんと認めているから」
「ありがとうございます!!」
正樹の母親という強力な味方を得たぞ! 次こそはお義父さんにもお会いして、俺の本気度を真山家に見せなければ!!
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