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番外編
11、ハッピーエンドのその先 2
しおりを挟む「正くん!! 良く来たわね、さぁ今日は美味しいケーキ用意したからね、一緒に食べましょう!」
「月ちゃん、お招きありがとうございます。良かったらこれも一緒に食べませんか?」
「何言っているのよ、ここはあなたの家でもあるのよ。遠慮しないでね、あら!! ここの最中美味しいのよね、ありがとう」
「はい、じゃあ遠慮なく!!」
うん、いい、嫁と母親が仲いいのは、いい!! 俺が正樹の母親を百合ちゃんと呼ぶなら、正樹は俺の母親を月ちゃんと呼ぶべきだと、母の月子が正樹に言ったのが始まりで、その日から真山家の人たちは母のことを月ちゃんと呼ぶ。アルファの威圧たっぷりな女が月ちゃんって、なにかわい子ぶっているんだよ。
「ほら、司もそんなところに突っ立ってないで、入りなさい」
「は――い」
そしてリビングに入ると、執事たちがお茶を用意してくれて、母さんが用意してくれたケーキと正樹が買ってきてくれた最中がでてきた。
いい、嫁。嫁が手土産、最高だぁ!!
「ところで母さん、今日は何の用だよ」
「何? 用がなきゃ可愛い息子たちに会っちゃいけないわけ!?」
「司、言い方!! ごめんなさい、そんなことないです。俺、会えて嬉しいですよ」
うん、嫁最高!!
「正くんは優しいわね。実の息子は煙たがって、親にも会いに来てくれないのに」
「え、会っているじゃんか!! むしろ会社で結構な頻度で会っているだろ、大学生の息子をこき使っといてよく言うよ」
「仕事場と家じゃ違うでしょ」
「はいはい」
俺と母さんの会話を聞いて、正樹が笑う。可愛いな、俺の嫁。
「そうだよ、司。お前うちで暮らしているせいで、親とあまり時間とってないだろ、たまには帰ってきて実家で過ごせよ」
「は? 正樹は俺と一緒じゃなくて眠れるのか!?」
「いや、だから、俺と一緒にここに泊まればいいだろ」
「まぁそれなら いいけど」
今度は母さんが俺たちの会話を聞いてクスクスと笑う。
「ま、二人ともありがと。いつでも帰ってきなさい。二人の部屋はきちんと掃除してあるからね」
「ありがとうございます」
正樹は本心で俺の親も大事にしてくれているし、ここに泊まることは問題ないみたいだった、まあ結構来ているしね、我が家張りにいつもくつろいでくれているのは嬉しいしかない。
「でも、百合ちゃん凄いわね。印税で家建て替えちゃうなんて! もうすぐ二冊目が出るんでしょ?」
「はあ、そうみたいですね。息子のリアル生活をフィクションとして小説にするなんて……」
そうそう、百合ちゃんはなんと小説家デビューして、処女作がまさかのベストセラー!!
前から想像力が凄い人だなって思っていたけど、驚きだった。しかも俺と正樹をモデルにした小説を書いてくれた、主人公の母親のナレーションで進むという斬新な書き方だった。マジで尊敬しかない。
タイトルは、『うちの婿は運命のアルファ』はは、そのまんまだった。
内容は、なんで知っているのってくらい俺と正樹のこと。でもエッチの描写は俺たちのリアルエッチよりも凄かった。ちょっと参考にさせてもらったのは内緒だ。
「いいじゃない!! 記念になって。あの物語は最高だったな、二人ともそんな大恋愛していたなんてね、私たちには事後報告だったけど、百合ちゃんはずっと二人を見守ってたんだもんね! 残念、なんでそんな美味しい状況の時に海外事業なんてものに力をいれていたのかしら。悔やまれる!!」
「いや、母さんたちがいたらややこしくなることしか想像ができないし、むしろ日本に居なくて良かった」
「酷い息子! 正くん、離れたくなったらいつでも匿ってあげるからね!」
「正樹はやらん!!」
母さんと正樹が同時に目を合わせて、笑っていた。そこで、リビングのドアが開き、低い声で話しかけてきた人をみんなで一斉に見た。
「月子、楽しそうだね。俺も混ぜてよ」
またややこしいのが登場した。
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