運命を知りたくないベータ

riiko

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イギリス編

23、伴侶

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 新作発表パーティーは、それは大盛り上がりだった。

 その後もラノキリア社員たちは商品プロモーションに忙しかった。そして無事に商品も市場に出せて、売上も今までない以上に伸びたこともあり、スタッフや職人さん達を労うために今日は全社員お休みになり打ち上げを開くことになった。

「いやぁ、それにしても二人が付き合うなんて、僕はキューピットとして役に立てたかな?」
「あら、ビリー、それを言うなら私も二人をけしかけた一人よ!」
「はいはい、僕はビリーとアマンダのお陰でルイを意識したよ! それと撮影スタッフや職人さん達のお陰でこんないい体験させてもらえました。みんな本当にありがとう‼」

 なぜか打ち上げ場が、僕たちの交際発表みたいになっていた。

 それはもう、みんな盛り上がっていたよ。

「俺からも、こんな場所に俺みたいな素人を引き入れてくれてありがとうございました。しかも人生の伴侶に巡り会えた。ラノキリアの皆さんには感謝してもしきれない恩しかありません‼」

 周りが、わぁってなった。

「……伴侶って、二人は結婚を!?」
「素敵‼ あの広告が本物になった!」
「うわっ、kaiカイおめでとう。私もあなたがまともに恋愛できただけでも嬉しいのに、まさかまさかの一生のパートナーと巡り会えたなんて」

 僕こそ驚きだよ、一生のパートナーって。だってプロポーズは類が十八歳になってからって言っていたのに。それなのにみんなの前でフライング!?

「ちょ、ちょっとルイ?」
「ごめん、kaiカイ。俺はkaiカイを愛してる」
「ん、んん」

 僕が戸惑って類にこっそり話しかけると、満面の笑みで僕にそう言って、みんなの前でキスをしてきた。

 みんなはそれでまた盛り上がった。

 こんなに喜んでもらえているなら、なにも今否定することはない。それに僕たちが真剣に交際しているのは確かだし、伴侶に出会えたと言っただけで結婚するとは言っていない。

 僕も否定せずに笑顔で類のキスを受け取った。

 あの後、ビリーからは撮影で使われたブレスレットとアンクレットをプレゼントされた。家に帰るとこれをつけて欲しいと言われて、夜に夜着と宝石だけの姿になった。類は、うっとりした目で僕を見て言った。

「すげぇ嬉しい。こんな美人を独り占めできるなんて、海斗、愛してる」
「もう、類は強引なんだから。みんなの前であんな宣言するなんて、新作発表会のこともあるし、もう僕に手を出す人はこれで誰もいなくなったね。僕は類の独り占めだよ?」
「海斗っ‼」

 僕は夜着を脱いで、ラノキリアの宝石だけを身につけて類の前に立った。類の視線がすごく熱い。

「類、愛してる」

 僕は類にキスをした。そして、その夜はしつこいくらい、今までにない程に類に抱かれた。

 幸せしかなかった。

 しばらくはいろんなことを忘れて、類との生活を楽しんでいた。デートに出掛けてはパパラッチに撮られた、サービスで目の前でキスもしてあげた。類はモデル業を終わりにして学業に励み、僕はラノキリアの取引先からもモデルをして欲しいと言われて、紳士服と宝石、靴と宝石、などラノキリアとコラボしたい高級ブランドとの撮影も精力的にこなしていた。

 家に帰れば類との愛のある生活、外に出れば精力的な仕事の数々。それは、今までにないくらいの充実した日々だった。

 だから忘れていたんだ。

 僕の言った言葉を、類に運命が見つかったら僕と別れてほしいと言った、あの言葉を。
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