上位種アルファと高値のオメガ

riiko

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本編

17、上條楓1(楓side)


高嶺たかねのオメガ? なにそれ」
「だから、すげぇ美人オメガが今年入学してきたんだよ」
「へ――」
「楓は絶対手を出すなよ、美人な上に箱入りの清い感じがたまらないんだ」
「大丈夫、俺処女に興味ないから、ヤルなら慣れているほうが気持ちいいし」

 大学のアルファ専用ラウンジで、友人たちと話をしていた。ここは落ち着く。たちまち外に出たらオメガやら女たちが俺に声をかける、仕方ない。手あたり次第相手にしていたからなんだけど、でも性欲は満たせても心は満たされない、そんな毎日を送っていた。

 上條の血は呪われている、何代か前の上條当主がそう言っていたらしい。上條のアルファは必ず運命を見つけ出す、たとえそれが相手に恋人や旦那がいようとも、つがいにされていなければ必ず奪う、そういう血が流れているらしい、両親も運命同士だった。

 俺の両親は普通に仲睦ましくお互いになんの障害もない状態で出会ったようですぐにつがいになり結婚をした。
 
 上條は代々製薬会社を主軸としたビジネスを行っている、昔で言うところの上流階級みたいだけれど、つがいのオメガに関しては寛大だった。運命ならどんな出生でもさほど問題が無い、運命同士の子供は必ずやまた上位種じょういしゅになる、そう言われていたからだった。

 そんな話を昔ふと耳にしてしまって、そこから俺は運命を探していた。だから俺に婚約者の打診がきても、それをことごとく断った。

 俺は運命を探しているからどんな相手でも付き合ったことはない、ただ上位種のアルファだからか性欲だけは半端なくあったので、常にセフレは欠かせなかった。

 友人の言う上玉のオメガだろうと、そんな女、別に興味ない。

 あっちの相性さえ良ければ誰でもいいから。だけどこの見た目のせいで、派手な女ばかりが俺の周りにはうろつくようになって、いつからか顔が良くなければ上條楓は相手にしない、そういう噂が流れたので、まるで俺が選り好みをする鬼畜野郎みたいになっていた、正直誰かれ来られても相手にしきれないからある程度間引きができてそれは助かる噂だった。

 だが、そんなスレた大学生活を後悔する日が来るなんて思いもしなかった。俺は大学四年になり父の会社の仕事を手伝うことが増えた。オフィスに行ったある日、上條のビルに入るカフェで休憩をしようと思った時、俺の運命に出会ってしまった。

 そこからはジェットコースターのような展開で、俺自身もこんなに自ら全てを望んだことは初めてだったというくらい、そのオメガを欲した。

 ヤリながら話を聞けば、同じ大学だった。こんな美人がいたなんて驚きだ、そうか処女だし、ここまでの美人なら俺レベルに声をかける必要もなく、大学では俺が知ることのなかったオメガだったのか。出会ったその日も男にナンパされていたし。

 初めてのセックスで疲れ果てて気を失った由香里を寝かせて、俺はすぐに大学の友人に電話をした。

「なあ、おまえの情報網で由香里という名前の男のオメガ知らないか?」
「ん? 由香里って言ったら、由香里様のことじゃね?」
「由香里様? なんだ、それ」
「だから大学に高嶺のオメガがいるっていったじゃん! それが男オメガで絶世の美人の由香里様、誰にもなびかない孤高の存在。いつも女のコのオメガ二人と大学で楽しそうにしているぞ、ナンパされまくりなのをその二人が蹴散けちらせている、高嶺のオメガのナイトはきれい系女子二人って言う有名な話」
「それ女じゃなかったのか。まさか、おまえが言っていた箱入りオメガは由香里……」

 納得だ、高嶺のオメガ。まさにその通りの美しさだった。

「由香里だと!? おい!! 楓が手を出していい相手じゃない!! なんでお前が由香里様を調べているんだ」
「ああ、由香里は俺のオメガだった。運命だ」
「ええええぇ!!」
「もう抱いた」
「なんだと!? お前、明日大学で刺されるぞ」
「そうか、覚悟の上だ。もう誰にも由香里に声をかけさせない」
「うわっ、遊び人が本気になると、やばいな。事件だけは勘弁してくれよ」

 そこから上條の諜報部ちょうほうぶに連絡を取り、由香里の出生からすべてを調べるように依頼をかけた。そして由香里が目を覚ますとすぐに電話をしようとしているのを見て、頭が真っ白になった。

 俺と初めてを迎えた後に、いったいどこの誰と話すのだ!? と思ったら祖母と二人暮らしでこんな時間まで外にいたことがないから、心配していると思うから電話をしていいかと聞いてきた。

 俺は天を仰いだ。

 こんな時間って、まだ22時だぞ? この時間に外に出ることを禁止されている箱入りオメガ。なんて貴重な存在がこの世に存在していたのだろう、由香里のおばあ様には感謝しかない。少し話しただけだが、由香里の奥ゆかしい感じや性格の良さがすぐに露見した。こんな天然もの、まだこの世に存在していたのか、俺の運命はそこはかとなく天使のような存在だった。

 俺も俺自身に驚きまくりだ。

 優しくしたいのに、すぐに嫉妬が始まってしまう。話を聞けばすべては誤解だと分かるのに、でも俺よりも気にする存在がいるとか、俺のモノを見て大きいという言葉に他を知っているのかとか、俺と出会ったときに一緒にいたただのナンパ野郎を気にしてしまうとか、俺ってこんなに女々しかったか? 

 一つ一つ話を聞けば、由香里は全てに潔白であった。でも全て確認しなければ気がすまないほどに、もう由香里に溺れている。このままじゃ由香里を苦しめてしまうくらいに閉じ込めたくなるアルファの本能が出そうで怖かった。まだ由香里にはそれは知られていないのが幸いだった。俺の言葉全てに丁寧に答えるし、俺を好きだと言う。俺の言葉の何も疑わない、天使に俺は出会った。

感想 30

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