17 / 31
本編
17、上條楓1(楓side)
「高嶺のオメガ? なにそれ」
「だから、すげぇ美人オメガが今年入学してきたんだよ」
「へ――」
「楓は絶対手を出すなよ、美人な上に箱入りの清い感じがたまらないんだ」
「大丈夫、俺処女に興味ないから、ヤルなら慣れているほうが気持ちいいし」
大学のアルファ専用ラウンジで、友人たちと話をしていた。ここは落ち着く。たちまち外に出たらオメガやら女たちが俺に声をかける、仕方ない。手あたり次第相手にしていたからなんだけど、でも性欲は満たせても心は満たされない、そんな毎日を送っていた。
上條の血は呪われている、何代か前の上條当主がそう言っていたらしい。上條のアルファは必ず運命を見つけ出す、たとえそれが相手に恋人や旦那がいようとも、番にされていなければ必ず奪う、そういう血が流れているらしい、両親も運命同士だった。
俺の両親は普通に仲睦ましくお互いになんの障害もない状態で出会ったようですぐに番になり結婚をした。
上條は代々製薬会社を主軸としたビジネスを行っている、昔で言うところの上流階級みたいだけれど、番のオメガに関しては寛大だった。運命ならどんな出生でもさほど問題が無い、運命同士の子供は必ずやまた上位種になる、そう言われていたからだった。
そんな話を昔ふと耳にしてしまって、そこから俺は運命を探していた。だから俺に婚約者の打診がきても、それをことごとく断った。
俺は運命を探しているからどんな相手でも付き合ったことはない、ただ上位種のアルファだからか性欲だけは半端なくあったので、常にセフレは欠かせなかった。
友人の言う上玉のオメガだろうと、そんな女、別に興味ない。
あっちの相性さえ良ければ誰でもいいから。だけどこの見た目のせいで、派手な女ばかりが俺の周りにはうろつくようになって、いつからか顔が良くなければ上條楓は相手にしない、そういう噂が流れたので、まるで俺が選り好みをする鬼畜野郎みたいになっていた、正直誰かれ来られても相手にしきれないからある程度間引きができてそれは助かる噂だった。
だが、そんなスレた大学生活を後悔する日が来るなんて思いもしなかった。俺は大学四年になり父の会社の仕事を手伝うことが増えた。オフィスに行ったある日、上條のビルに入るカフェで休憩をしようと思った時、俺の運命に出会ってしまった。
そこからはジェットコースターのような展開で、俺自身もこんなに自ら全てを望んだことは初めてだったというくらい、そのオメガを欲した。
ヤリながら話を聞けば、同じ大学だった。こんな美人がいたなんて驚きだ、そうか処女だし、ここまでの美人なら俺レベルに声をかける必要もなく、大学では俺が知ることのなかったオメガだったのか。出会ったその日も男にナンパされていたし。
初めてのセックスで疲れ果てて気を失った由香里を寝かせて、俺はすぐに大学の友人に電話をした。
「なあ、おまえの情報網で由香里という名前の男のオメガ知らないか?」
「ん? 由香里って言ったら、由香里様のことじゃね?」
「由香里様? なんだ、それ」
「だから大学に高嶺のオメガがいるっていったじゃん! それが男オメガで絶世の美人の由香里様、誰にもなびかない孤高の存在。いつも女のコのオメガ二人と大学で楽しそうにしているぞ、ナンパされまくりなのをその二人が蹴散らせている、高嶺のオメガのナイトはきれい系女子二人って言う有名な話」
「それ女じゃなかったのか。まさか、おまえが言っていた箱入りオメガは由香里……」
納得だ、高嶺のオメガ。まさにその通りの美しさだった。
「由香里だと!? おい!! 楓が手を出していい相手じゃない!! なんでお前が由香里様を調べているんだ」
「ああ、由香里は俺のオメガだった。運命だ」
「ええええぇ!!」
「もう抱いた」
「なんだと!? お前、明日大学で刺されるぞ」
「そうか、覚悟の上だ。もう誰にも由香里に声をかけさせない」
「うわっ、遊び人が本気になると、やばいな。事件だけは勘弁してくれよ」
そこから上條の諜報部に連絡を取り、由香里の出生からすべてを調べるように依頼をかけた。そして由香里が目を覚ますとすぐに電話をしようとしているのを見て、頭が真っ白になった。
俺と初めてを迎えた後に、いったいどこの誰と話すのだ!? と思ったら祖母と二人暮らしでこんな時間まで外にいたことがないから、心配していると思うから電話をしていいかと聞いてきた。
俺は天を仰いだ。
こんな時間って、まだ22時だぞ? この時間に外に出ることを禁止されている箱入りオメガ。なんて貴重な存在がこの世に存在していたのだろう、由香里のおばあ様には感謝しかない。少し話しただけだが、由香里の奥ゆかしい感じや性格の良さがすぐに露見した。こんな天然もの、まだこの世に存在していたのか、俺の運命はそこはかとなく天使のような存在だった。
俺も俺自身に驚きまくりだ。
優しくしたいのに、すぐに嫉妬が始まってしまう。話を聞けばすべては誤解だと分かるのに、でも俺よりも気にする存在がいるとか、俺のモノを見て大きいという言葉に他を知っているのかとか、俺と出会ったときに一緒にいたただのナンパ野郎を気にしてしまうとか、俺ってこんなに女々しかったか?
一つ一つ話を聞けば、由香里は全てに潔白であった。でも全て確認しなければ気がすまないほどに、もう由香里に溺れている。このままじゃ由香里を苦しめてしまうくらいに閉じ込めたくなるアルファの本能が出そうで怖かった。まだ由香里にはそれは知られていないのが幸いだった。俺の言葉全てに丁寧に答えるし、俺を好きだと言う。俺の言葉の何も疑わない、天使に俺は出会った。
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。
村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました!
ありがとうございました!!
いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い
<あらすじ>
魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。
見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。
いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。
ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。
親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。
※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。
└性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。
大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った
こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。最後におじいさまの番外編を追加しました。
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。