30 / 31
番外編
愛妻家上條楓の日常 2 ※
今日は桜の中学の入学式だった。小学校時代は家からの通学だったが、中学からは少し離れた場所での全寮制の生活になる。
ここは幼稚舎からの一貫教育、幼い頃から国の最高峰の学園に入学させた。代々名のある家の子息たちが通う名門中の名門。
入学には財力と家柄も重視されるので、少し偏った世界観ではあるだろうが、親としても安心の場だった。
「ぐすっ、ぐすんっ、」
「由香里、もう泣き止んで。そんな可愛い顔を世の中のアルファたちに見せられない」
「うっ、うう、楓酷いよ。僕が桜を大好きなのを知っているのに、こんなところに桜を入れるなんて」
「こんなところって……入りたくても誰もが入れる学園じゃない、最高の教育を桜に受けさせたくないの? それに俺の卒業した学校だし、ここなら桜を守れる。親元にいつまでもいたら成長出来ないだろ?」
それは本当、財閥やら会社トップの家の子供は大体ここに入学する。一般社会とはまた違うけれども、ここではもうすでに競争社会が始まる。早くから身につければ大人になって苦労することもない。
一応幼稚舎から入れている学校、小学生までは通いだったから忘れたのか? エスカレーター式の同じ学園だけど……。
「ぐすんっ、でもぉっ、ぐすっ」
「ほら、桜出てきたぞ。首席だったな、俺らの優秀な息子をちゃんと見てあげよう。由香里が泣いていたら桜が悲しむだろう。あいつだって勉強頑張ったからこそ、あんなに晴れ晴れしく舞台に上がれているんだ。息子の晴れの舞台を見ないでどうする?」
「あっ、桜!! ほんと自慢の息子だね、ぐすっ、カッコいい!! 桜の新入生代表の挨拶聞けるなんて、今日はすごく悲しいけど嬉しいっ!!」
由香里は泣き止んで、今度は目を輝かさせて桜を見ている。俺以外にそんな目を向けるのは大変遺憾だが、仕方ない。今日は許す、許すけど、他の男どもに由香里の泣き顔を見せたのは許さない、家に帰ったらお仕置きだ。今夜からは桜もいない、二人きりの性活が始まる。やっとだ、やっときた由香里との二人きりの生活。
結婚して新婚ヤリまくり生活は、実はこなかった。一年付き合って、やっと結婚して新婚生活と思ったら妊娠させてしまった。それは嬉しいし結婚初の発情期は燃えた、由香里がピルを飲みたくないと泣いたからお互い望んだ妊娠だが、考えが甘かった。
妊娠、出産と疲れきった由香里をどれだけ我慢したか。桜を産んでもしばらくは抱かなかったが、いい加減に俺にも限界がきた。
プロが子供を育てるのは上條家では当たり前なのだが、由香里は自分で全てを頑張って母乳で育てると言い張った。だが由香里も慣れない子育てで参っていたのは分かったし、俺のおっぱいを息子とはいえ与えることにイラッとして、早めにミルクに切り替えさせ、プロのベビーシッターを数人体制で雇い桜を育てた。
とはいえ子供がいるので新婚ヤリまくり生活はままならなかったが、子供のいる生活は楽しい毎日だった。
桜が中学生になり家を出た。さすがにもういいだろう? 有給を二週間とった。今日帰ってから由香里と二人、遅れてきたハネムーンに行くんだぃ!! 家族旅行はたくさん行ったけど、夫夫旅行は実はそんなに無い。出張に連れて行くくらいで、子供がいるからまとまった長期の二人きりの旅行をしたことないんだ。
だから今日、俺たちはプライベートリゾートで思いっきりヤリまくり生活をする。発情期ではないただのヤリまくり!! 楽しみで仕方ない。
そんなことを思っていたら、入学式も無事に済み桜と今日から入る寮にやってきた。
「うわっ、広いね。ここなら不自由なさそう。でも桜、寂しくない? お母さんと離れるの。今ならまだ他の学校に転校してもいいよ。ねっ、楓、やっぱりまだこんなに幼くて可愛い子を一人でなんて良くないよ、桜も家に帰りたいでしょ? やっぱり帰ろうよ」
「……」
桜が、俺にどうにかしろという目をした。
「由香里、いい加減にしろ。桜も困っているだろう、息子を困らせてどうする? 桜の挨拶聞いてもなおそんなことを言うなんて、お前は酷い母親だな。桜がイキイキしているのがそんなに許せないのか? お前の元じゃなきゃ桜は楽しく生きたらいけないのか? それこそ親のエゴだろ」
「あっ、そんな、そんなつもりじゃ」
可哀想だけどここまで言わないと分からない、心を鬼にして俺は滅多に叱らない由香里に苦言した。
さすがに由香里も反省して、言葉を詰まらせると、言い過ぎだと俺を睨んだ息子が由香里をなだめる。
「お母さん、大丈夫。俺はお父さんみたいに立派な大人になるためにここに来たから。だからお母さんも安心して。夏休みには帰るから、それまではお父さんをよろしくね」
「夏休み!? 夏休みまで会えないの? どうして、ゴールデンウィークは? そこは毎年の家族旅行だよね?」
「あっ、それは」
また由香里が泣き出した。
桜に縋っているのを見て、ちょっと哀れになった。桜はやっと母親から解放されるのを実は楽しみにしていたのを俺は知っている。息子がマザコンじゃなくて良かった。
桜からは、学園から出なければいけない長期の休み以外は帰らないと事前に宣言されていた。それは由香里に納得させとけよという意味がこもっていたがしかし! 数日前から由香里のテンションがだだ下がりで、そんなこと言える雰囲気じゃなかったんだぞ!!
「由香里、桜だってここに慣れなければいけないんだから、そんな貴重な時に家に帰れないだろう。夏休みは必ず寮を出なければいけないんだから、そこまで我慢しような」
「うあ――んっ、酷いっ、酷すぎるっ!! 林間学校で五日間、小学生の時のサマースクールで一ヶ月、そして今度は夏休みまで三ヶ月以上も離れるの!? 僕のあの一ヶ月がどんなに辛かったか、二人はもう忘れたの!? もう僕耐えられないっ。僕っ、この寮で寮母の募集あるか聞いてくる!! そしたら住み込みで働けば毎日桜に会えるし」
俺と桜は唖然として、お互い目を合わせた。これはまずいっ、さすがにまずいっ。ここまでの暴走になるとは思わなかった。溺愛にも程があるだろう!?
俺がオドオドしてしまったら、桜が俺を見てため息をついて、笑顔で由香里に向き合った。
「お母さん、俺のことそこまで思ってくれてありがとう。やっぱり寂しいからゴールデンウィークには一日、家に帰るよ。お母さんの顔見たいし」
「桜ぁ――ありがとう!! お母さんのこと考えてくれて」
由香里に抱きしめられた桜が、俺を笑顔で睨んだ。
怖いな、我が息子ながら怖いっ。オメガの操縦くらいなんとかしろよという目だった。お前だって番が出来たら分かるんだからな!!
そんな目で俺を見られるのも今のうちだ、上條の血を舐めるな、お前は俺以上に執着ヤバ目のアルファになるのは間違いない。サラッとした性格の息子だが、そこは絶対そうなると俺は自信を持ってそう言える。
とにかく優秀な息子のお陰で、由香里が笑顔で俺と家に帰ることが出来たので良かった。
***
「あ、あん、ああ、こんな、ところでっ!」
「由香里、いやらしいな。いつも桜のためにご飯を作っているキッチンでこんな格好なんて」
「楓が、させたんでしょっ、ああっ、いい!! そこっ!!」
「くっ、お前ほんとエロいな、どんな由香里も愛してるよ」
俺の腰を存分に振ると、由香里が鳴いた。
「ぼ、僕もっ、あああ!! イクっ、あああんっ」
二人同時に吐き出した。
裸エプロン、男の夢、キッチンの至るところが俺と由香里の出したモノで汚れているし、香りも凄いことになっていた。ヒートでもないのに、キッチンはローズの香りで充満していた。我が家なのに息子に気を遣って今まで我慢していたんだ。
部屋以外では、由香里の残り香を桜に嗅がせてしまう恐れがあるので、今までできなかったシチュエーションを存分に楽しんでいた。
家に帰った瞬間、お仕置きの始まりに由香里は桜と離れた寂しさなど感じることなく、感じまくっていた。あまりのハメの外し方で、五日間家から出られず、バカンスの日数は減ってしまったが、我が家の至る所で息子を気にすることなく致せたのは快感だった。
最終的に二人の生活も悪くないねって、由香里は照れながら言った。
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。
村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました!
ありがとうございました!!
いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い
<あらすじ>
魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。
見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。
いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。
ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。
親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。
※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。
└性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。
大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った
こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。最後におじいさまの番外編を追加しました。
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。