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8 はじまる関係
キスをするには最適な、夜景の見えるスイートという最高のシチュエーション。女性なら、こんな美丈夫に愛していると言われキスをされたら舞い上がる。しかし潤は男であり、キスの経験すらないので、このキスがなんなのかわからない。
唇に触れる初めての感覚が嫌ではない。それがこの世で一番信頼をしている健吾からだからなのか、それともキスという行為を潤がしてみたかったことだからなのかはわからない。ただ心臓が激しく音を立て、二人の耳に届きそうなほどにうるさかった。
キスの最中、健吾の片腕が潤の腰を支え、逞しいもう一つの手は潤の顎から頬へと移動していた。体と顔の自由を健吾に奪われている。唇が少し離れては、また角度を変えて動く。
抱きしめられているとはいえ、きっと解こうと思えばすぐに解ける、そんなに強すぎない抱擁。キスだって止めようと思えば止めることができる。だが先ほどのやり取りの後にそんな態度を取ったら、それこそ縁を切られてしまいかねない。なぜだかわからないが、数分前に拒絶した健吾が今度は潤を受け入れたのだけはわかった。それならそれでいいのではないだろうか。
潤の中でズルい心が芽生える。それほどまでに孤独は嫌だった。
「潤……」
「け、健吾」
唇が離れた瞬間、健吾が潤の名を呼ぶので潤も同じようにした。
この後どうしていいのかわからない。潤にはもうこの先の決定権がない。健吾と離れないということが、健吾のしていることを受け入れることなら喜んで差し出す。それしかなかった。
そこで潤は疑問を感じる。健吾は潤をそういう意味で「愛している」と言ったのだろうか。それならそれで、潤が五井園家から追い出されるという不安はないのかもしれない。健吾の愛さえ確実なものになったのなら、彼から拒絶されない未来が存在するなら――
健吾が潤を見つめて、息がかかる距離で話す。
「潤、これ以上一緒にここにいるなら、もう止まらないぞ。否定しないのか?」
健吾に……同性にされているのに、嫌悪感がまるでないことに潤は少しだけ戸惑う。止まらないというのは、体の関係ということだろうか。こういうことに無知すぎる潤には何が正解かわからないが、先ほど思ったことは正しかった。
彼の瞳の真剣さから、弟をそういう対象として見ていると確信した。
それならそれで、彼をずっと自分に惹きつけておけるなら潤にとって好都合だと思った。本来は兄弟として一生切れない縁を結ぶのが最善なのだろうが、それは先ほどの会話でもう叶わないと悟る。
それなら、彼のたった一人の相手になれば――
「止めないで。健吾のしたいように……して。ただ、もう僕だけにして」
健吾は目を見開く。
潤は、自分の口からこんなセリフを吐く日がくるとは思わなかった。それほどまでに、幼い頃からこの兄に執着をしていたのかもしれない。どんな方法でもいいから、健吾と離れない確固たるものがほしかったのだ。自分だけという確約がほしかった。その意味が、今の言葉で少し変わるだけ。
潤は涙を流して、笑顔で応える。
「健吾、大好き」
今度は貪るように健吾が口づけをしてきた。親指で潤の唇の下を少し引っ張られる。自然と口が開く。そこに健吾は少し唇を開いてキスをする。
「ん、んんん」
「はっ、潤、んん」
ぴちゃ、くちゅっと、室内に水音が響いた。潤は目を見開いて驚く。健吾が潤の口内に舌を入れ唾液を絡ませている。昔、海外ドラマで見たことがある。舌を絡めるキス。それを自分は経験している。幼い頃から大好きだった義理の兄と。そう思ったのも束の間、すぐに口内に異変を感じた。健吾の熱い舌で搦め取られた時、ぞくっとした。
「ふはっ、な、んんん」
「潤、硬くなってる」
健吾は潤の股間に、自分の股間を押し付けた。潤だけではない。硬くなっているのは健吾も同じことだった。自分だけではないことに潤は安心した。
「け、健吾だって」
「ああ、俺はお前に欲情してる。ずっと、我慢していた」
「え?」
ずっと……とは、そういえば義理の兄はいつから弟をそういう対象として見ていたのだろうか。潤は疑問に思う。
「ずっと愛していた。だから、俺はお前から離れた。こんな関係おかしいと思うだろう」
「……」
おかしいと、思った。
そういうことを健吾は潤にしている。日本から、五井園の家から離れたことを言っているのなら、あの頃から健吾は潤に想いを寄せいていたということだろうか。
(だったら、もうこの先の健吾は、僕だけしか見ない?)
少し考えた後、確信した潤は笑った。
「嬉しい。健吾が僕をずっと離さないでくれるなら、嬉しいしかないよ」
「潤!」
おかしいのかもしれない。義理とはいえ兄弟で――男同士で。
だが、おかしいと言われても、この先の人生に健吾がいないほうが潤にはおかしくて耐えられない。この関係が進むことで、健吾と、この先の未来が約束されるなら、むしろ嬉しいという気持ちしかなかった。
今は健吾からの初めての愛撫に思考がまとまらない。よく考えたかというとそうではないが、心は健吾を求めている。だから体を受け渡すことについて、頭で考えるよりも早く、体が勝手に反応をしていた。
興奮した健吾が、ホテルのマークが刺繍されている薄く白い着衣を脱がす。その胸にキスを堕としたことで、潤の思考が一気に胸に集中してしまった。
「あ、ああっ!」
「気持ちいいのか?」
「わ、わからない」
健吾はぴちゃっと胸の突起を舐め、片方の突起は指が摘まんでくる。
「あああんッ、なんか、変っ」
「変じゃない。可愛い」
もういい。このまま大人の健吾に任せれば何もかもうまくいく。今はそれでいい。この関係が結ばれた後に、今後のことは考えればいい。そう思った潤は、健吾から受ける愛撫に素直になっていた。兄から可愛いと言われたことに、体がまた喜びを拾った。
唇に触れる初めての感覚が嫌ではない。それがこの世で一番信頼をしている健吾からだからなのか、それともキスという行為を潤がしてみたかったことだからなのかはわからない。ただ心臓が激しく音を立て、二人の耳に届きそうなほどにうるさかった。
キスの最中、健吾の片腕が潤の腰を支え、逞しいもう一つの手は潤の顎から頬へと移動していた。体と顔の自由を健吾に奪われている。唇が少し離れては、また角度を変えて動く。
抱きしめられているとはいえ、きっと解こうと思えばすぐに解ける、そんなに強すぎない抱擁。キスだって止めようと思えば止めることができる。だが先ほどのやり取りの後にそんな態度を取ったら、それこそ縁を切られてしまいかねない。なぜだかわからないが、数分前に拒絶した健吾が今度は潤を受け入れたのだけはわかった。それならそれでいいのではないだろうか。
潤の中でズルい心が芽生える。それほどまでに孤独は嫌だった。
「潤……」
「け、健吾」
唇が離れた瞬間、健吾が潤の名を呼ぶので潤も同じようにした。
この後どうしていいのかわからない。潤にはもうこの先の決定権がない。健吾と離れないということが、健吾のしていることを受け入れることなら喜んで差し出す。それしかなかった。
そこで潤は疑問を感じる。健吾は潤をそういう意味で「愛している」と言ったのだろうか。それならそれで、潤が五井園家から追い出されるという不安はないのかもしれない。健吾の愛さえ確実なものになったのなら、彼から拒絶されない未来が存在するなら――
健吾が潤を見つめて、息がかかる距離で話す。
「潤、これ以上一緒にここにいるなら、もう止まらないぞ。否定しないのか?」
健吾に……同性にされているのに、嫌悪感がまるでないことに潤は少しだけ戸惑う。止まらないというのは、体の関係ということだろうか。こういうことに無知すぎる潤には何が正解かわからないが、先ほど思ったことは正しかった。
彼の瞳の真剣さから、弟をそういう対象として見ていると確信した。
それならそれで、彼をずっと自分に惹きつけておけるなら潤にとって好都合だと思った。本来は兄弟として一生切れない縁を結ぶのが最善なのだろうが、それは先ほどの会話でもう叶わないと悟る。
それなら、彼のたった一人の相手になれば――
「止めないで。健吾のしたいように……して。ただ、もう僕だけにして」
健吾は目を見開く。
潤は、自分の口からこんなセリフを吐く日がくるとは思わなかった。それほどまでに、幼い頃からこの兄に執着をしていたのかもしれない。どんな方法でもいいから、健吾と離れない確固たるものがほしかったのだ。自分だけという確約がほしかった。その意味が、今の言葉で少し変わるだけ。
潤は涙を流して、笑顔で応える。
「健吾、大好き」
今度は貪るように健吾が口づけをしてきた。親指で潤の唇の下を少し引っ張られる。自然と口が開く。そこに健吾は少し唇を開いてキスをする。
「ん、んんん」
「はっ、潤、んん」
ぴちゃ、くちゅっと、室内に水音が響いた。潤は目を見開いて驚く。健吾が潤の口内に舌を入れ唾液を絡ませている。昔、海外ドラマで見たことがある。舌を絡めるキス。それを自分は経験している。幼い頃から大好きだった義理の兄と。そう思ったのも束の間、すぐに口内に異変を感じた。健吾の熱い舌で搦め取られた時、ぞくっとした。
「ふはっ、な、んんん」
「潤、硬くなってる」
健吾は潤の股間に、自分の股間を押し付けた。潤だけではない。硬くなっているのは健吾も同じことだった。自分だけではないことに潤は安心した。
「け、健吾だって」
「ああ、俺はお前に欲情してる。ずっと、我慢していた」
「え?」
ずっと……とは、そういえば義理の兄はいつから弟をそういう対象として見ていたのだろうか。潤は疑問に思う。
「ずっと愛していた。だから、俺はお前から離れた。こんな関係おかしいと思うだろう」
「……」
おかしいと、思った。
そういうことを健吾は潤にしている。日本から、五井園の家から離れたことを言っているのなら、あの頃から健吾は潤に想いを寄せいていたということだろうか。
(だったら、もうこの先の健吾は、僕だけしか見ない?)
少し考えた後、確信した潤は笑った。
「嬉しい。健吾が僕をずっと離さないでくれるなら、嬉しいしかないよ」
「潤!」
おかしいのかもしれない。義理とはいえ兄弟で――男同士で。
だが、おかしいと言われても、この先の人生に健吾がいないほうが潤にはおかしくて耐えられない。この関係が進むことで、健吾と、この先の未来が約束されるなら、むしろ嬉しいという気持ちしかなかった。
今は健吾からの初めての愛撫に思考がまとまらない。よく考えたかというとそうではないが、心は健吾を求めている。だから体を受け渡すことについて、頭で考えるよりも早く、体が勝手に反応をしていた。
興奮した健吾が、ホテルのマークが刺繍されている薄く白い着衣を脱がす。その胸にキスを堕としたことで、潤の思考が一気に胸に集中してしまった。
「あ、ああっ!」
「気持ちいいのか?」
「わ、わからない」
健吾はぴちゃっと胸の突起を舐め、片方の突起は指が摘まんでくる。
「あああんッ、なんか、変っ」
「変じゃない。可愛い」
もういい。このまま大人の健吾に任せれば何もかもうまくいく。今はそれでいい。この関係が結ばれた後に、今後のことは考えればいい。そう思った潤は、健吾から受ける愛撫に素直になっていた。兄から可愛いと言われたことに、体がまた喜びを拾った。
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