契約結婚の裏側で

riiko

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「あ、ああ」
「まずは一回だけ」
「え、あ、あんっ、うう」

 健吾が潤をイかせるための動きをする。初めて人から触れられたことで、潤は早くも興奮した。手の熱さが心地いいを超えてしまい、あっけなく健吾の手に果ててしまった。

 潤の欲望から出た液体を、健吾は見せつける。

「こんなに出たよ」
「はぁ、はぁ、はぁ、あ、恥ずかしいっ」

 潤の息が整うのを待たずに、健吾は潤の股間に体を移動した。潤の足をパカッと開くと、潤は驚いた声を出す。

「え、やだ。そんなに開かないで、見ないで」
「見ないと、お前を傷つけるだろ」
「え、あ、ああ、ダメ、イったばかりだから」
「だったら、ふにゃっとしておけ。俺に任せておけばいいから」

 健吾は力の入らない潤の足を両手で持ち、潤の秘部に息を吹きかける。

「はぁ…ん」
「触るぞ」

 健吾は孔を確認するかのようにぷにぷにと指で押している。潤はなんだか変な感じだと思いながら、下に陣取る健吾を息を整えながら見ていた。

「可愛いな、お前のココ」
「ひゃん、あ、そんなところ本当に、ひ、開くの?」

 聞いてる最中も、健吾は孔の周りを丁寧に撫でてくる。潤はその間ぞくぞくしていた。

「どうだろな、ネットの情報によると潤滑剤を入れると緩むらしいぞ」
「潤滑剤って。健吾の手についてるのって、僕の精液じゃん」

 潤は先ほどあっけなくイかされ、さらには自分の全てを見られたことにより、羞恥をとうに超えていた。こんな雰囲気で普通に会話していることがおかしくなる。いや、もうすでに、おかしいことをしているのだから、潤にはよくわからなかった。

「ああ、そういえばお前、土産にオリーブオイル買ってたな。それを使おう」
「えええ! そんなの使うの? あのオイル高かったし、もったいなくない?」

 健吾が起き上がり、潤のおでこを撫でてからキスをする。先ほどファーストキスを経験したばかりなのに、潤はもう当たり前に彼のキスを受け取って瞳を閉じた。

 健吾はその反応に微笑む。

「もったいないわけないだろ。オリーブオイルなら口にしても問題ないから、むしろお前の孔を舐められるし、名案だな」
「は? はぁ?! 何言っちゃってんの。そんなとこ、汚いでしょ。舐めるなんてやめてよ」
「お前に汚いところなんて一つもない」

 潤は呆れてしまった。

 アウトレットには高級食材の店が入っていて、パンに付けて食べるためにエキストラバージンオイルを潤は購入していた。まさかこんな時に使うとは思いもしなかった。健吾は立ち上がり、買い物袋からオイルを取り出した。

 ベッドに寝そべる潤を見て、健吾が瓶を持って笑う。

「今日お前を抱くとは思わなかったから、何も準備してなかったけど、まさか潤から助けてもらうとはな」
「もー、なにそれ。そんなの使ったらベッドがべとべとになっちゃうよ」

 潤は呆れてしまい、こちらに瓶を持って楽しそうに歩み寄る健吾を見ていた。先ほどまで捨てられると思っていたのだが、今は楽しそうにしている健吾を見て心から安心していた。

「ああ、そうだな。タオルをひこうか?」
「タオルがオイルだらけになったら、怒られるよ?」
「お前は……今からヤルっていうのに、その倫理観はなんなんだよ」

 確かに。なぜかいろんなことが気になりだしてしまった潤だった。現実問題、男同士はどうやってホテルでしているのだろう。思考を巡らせていると、健吾がおでこを撫でる。

「あまり深く考えるな」
「だって……」
「まぁ、俺とだからお前もこんな会話ができるんだろうけど、ただ流されてくれるだけの相手じゃないっていうのもいいな。本音や不安聞けるのがこんなに嬉しいと思わなかった」
「む、それって何? ただ流されちゃうような女の子のこと考えてたの?」

 健吾がベッドに戻り、強引に潤にキスをした。

「んんん、んはっ」
「そんなわけないだろ。所詮、今までの女は全てお前の代わりだ。やっと本物が手に入る時に、他の相手のことなんて頭に浮かぶわけがない。ただ本物は違うって、感動してただけだ」

 キスをしてすぐに会話をする健吾のスキルを凄いと思ってしまった。キス一つで潤は気持ちよさでしばらくぼうっとできると感じていた。健吾が会話を望んでいるのなら、ちゃんと今の時間を楽しもうと潤は思う。

「どういう意味? 僕をバカにしてるね!?」
「してない。愛してるだけ」
「……は、恥ずかしいなぁ、もう」

 からかってもすぐに、ここに戻ってしまう。潤はいつもの会話ができる嬉しさと、また違った初めての感覚があった。

「ね、ねぇ、早くしようよ。こんな話をしてたら先に進まないよ?」
「お前は……。わかった、一緒に風呂に行こう」
「え、僕さっき入ったし」
「違うよ、風呂でゆっくりほぐしてオイルでぐちょぐちょにしてから、ベッドに戻ればいいだろ。俺も体洗ってちゃんとしてから健吾の中に挿入したい」
「え、なんか、そんな直接的な言い方、いやらしい」
「何言ってんだよ、これからエロいことするんだから、いやらしくて当然だろ」

 そう言われた瞬間、健吾に抱っこされる。まさか、男が男を抱えるとは。潤は健吾にしっかりと掴まった。健吾は歩き出す。

「ふふ大人しくなった」
「ここで暴れたら危ないでしょ」
「お前の心臓、俺の胸にくっついてて、すげぇ音聞こえる」
「だって、これから僕は初めてのことをするんだよ。さすがに緊張するし」
「可愛いな。俺も本当に愛している人を抱くのは初めてだ」

 その言葉一つで潤は嬉しくなる。しかしその後、ご機嫌な健吾によって潤は風呂で泣かされることになった。男同士は簡単にはいかないのだと思ったが、事前準備がこんなに大変だとは思わなかった。健吾が傷つけないために必要だと言うので、潤は恥ずかしさと卑猥な行為で泣きながら健吾に身を任せていた。

 二人は軽く水分を摂りベッドに戻ると、そこからが早かった。先ほどのようなふざけた会話がなく、真剣に互いを見つめる。

「潤、覚悟はいいか?」
「う、うん。もう早く初めてを経験して、健吾をしっかりと繋ぎ留めたい」
「お前は……、れる前から煽るな」

 先ほど同様、潤がベッドに寝そべり健吾がその上にいる。後孔は風呂で健吾が散々ほぐした。実は、もう健吾のでイかせてと彼に縋ってしまった。健吾は、初めてはベッドの上でちゃんと愛し合いたいからと言って、潤を宥めた。そのすぐ後に、このベッドにきたのだ。潤の中ではもう覚悟ができている。

 もう一度、健吾はオイルを手にまとい、潤の中に指を埋める。

「あ、んっ」
「もう潤のイイところは覚えたから。気持ちいいか?」
「うん。気持ちよくてたまらない」

 健吾が満足そうに微笑む。風呂場では健吾の余裕もなく、一緒に互いの手で果てた。その時、健吾の欲望の熱さと大きさを確認している。

(アレが僕の中に……)

 指だけですでに蕩けるほどの快楽を覚えさせられた潤は、もう恐怖はなかった。むしろ健吾の硬い欲望がほしくてたまらない。

 健吾が潤の中から指を抜く。オイルを自身の欲望に塗り付けてみせてきた。

「う、なんか目の毒だよぉ」
「これが、今からお前の中に挿入はいるから」

 言い終わると健吾は潤に口づけを落とす。甘く深く、どこまでも落ちていってしまう。

「潤、愛してる」
「ん、う、んん、健吾、あ、ああ」

 ぎこちなく健吾が潤の中に挿入はいってくる。指とは違い圧迫感が半端ないが、散々オイルを中に仕込んでいたので痛さはない。ただ、拡げられている苦しさがあった。

「ふ、う、うう」
「潤、もう少し。もう少し頑張って。息を吐いて」
「あ、はぁ、はぁ、あ、あ、あああ、」

 先端がやっと挿入できたところで健吾が止まる。彼は苦しそうな顔をして潤を見ていた。

「痛くないか?」
「だ、大丈夫みたい。挿入はいった?」
「ああ、先端だけ」
「我慢しないで、全部きて……思ったより大丈夫そう。ちょっとだけ苦しいけど。でも、健吾が僕の中にいるって思っただけで、なんだかたまらない」

 潤は心と体が連動していることを知ってしまった。彼を思って、彼を受け入れただけで、体は開き、彼を離そうとしない。

「うっ、急に締め付けるな。じゃ、最後までれるからな」
「あ、ああ、はっ、はっ、んん……っ」
「潤、愛してる。お前のこと、ずっとっ」
「ああああ! 僕も、僕も健吾がぁ……あぁッ……」

 彼の飛沫を中に感じて、潤は彼が好きだと心から思った。


 * * *
 目を開くと、美丈夫がこちらをじっと見ている。健吾の距離が近い。朝の光が室内に入り込んでいた。

(そうか、昨夜健吾と……)

 横を向いて寝ていた潤の頬の下には、硬い筋肉の健吾のたくましい二の腕があった。まさか男が男の腕枕で目覚める日がくるとは……。いつかは女性に腕枕をして、目覚める朝を夢見たこともあった。しかし、もうそんな自分が想像つかない。誰かを抱きしめることを想像するよりも、健吾に抱きしめられる自分がもうすでに心地いい。

 健吾の腕枕で目覚めたということで、彼の顔が異様に近い。そしてなぜかこちらをずっと見て微笑んでいる。
 
 健吾は満ち足りた顔で言う。

「愛してる」

 目覚めて初めて聞く言葉ではない気がするが、健吾の低い声が朝から脳に響くと心地がいい。まるで昨夜の延長かのような雰囲気に、色気を感じないこともないが、それ以上に本当に潤のことを愛しているのだとわかる。彼の顔はそんなことを物語っている表情だった。

 その顔を見た潤は、ふと自分の中ですんなりと落ちてきた。昨夜は最初こそ流された感が諫めないし、彼を拒絶したらもう一生会えないかもしれないという恐怖が勝っていた。しかし、今はっきりとわかることがあった。

 潤は目を細めて微笑み、健吾の瞳を見る。

「僕も、愛してる」

 これが潤の心からの正解だった。

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