ローズゼラニウムの箱庭で

riiko

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第五章 戸惑い

97、二度目の発情期 3 ※

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 あの日から軽めの薬を開始して、ちょうど一週間が経つ頃に発情した。勇吾さんの計算通りだった。

 明日が始業式だ。

 俺は岩峰総合病院の特別室に入院となった。

 勇吾さんはオペの予定は入っていた。それを事前にセーブしていたら上條に嗅ぎつかれた時に怪しまれるから、同僚に回せるように手配できる配置にしといたって、さすが副院長様だ。

 部屋は落ち着く雰囲気だけど、医療器具とか、点滴とか、なんだか不安でいっぱいになった。

「良太君、大丈夫そう?」
「うん。平気、薬って凄いね、楽!」

 本当に凄い。

 発情しないわけじゃないけど、意識を失うほど求める感じもなく、じわじわと感じてくると自慰をする。そうするとすぐに収まる。初めての発情自体はわからないうちに終わったけど、強制発情を過去二回はさせられているから、あの感じと比べると、そう言った類の感覚は今のところ無い。

「うん、でも時間経つと薬の耐性も持つかわからないし、気になることあったらすぐに声かけてよ? あと、したくなったら、まず僕に言ってから自慰はしてね」
「え――なんで? そんな申告恥ずかしすぎるんだけど」
「恥じらいがあるなら、まだ余裕そうだね。このままうまくいくといいんだけど」

 おいおい、自慰のところはもうスルーかい?

 勇吾さんは俺の状態が安定しているのを確認したら少し仕事をしてくるねって言って、副院長室へと行ってしまった。俺はだらだらと過ごしていた。一応発情期だけあって、集中はできないので勉強も仕事もしない。

 勇吾さんが持ってきてくれた映画を見ている、すげー優雅だ。

 俺はスマホを取り上げられた。

 先輩との連絡を断つためだそうだ。俺が意識朦朧として先輩に連絡しかねないと、勇吾さんがそこを心配していた。オメガ専門医が言うなら、間違いないだろう。実際、俺も先輩を呼んでしまいそうで怖かったから、手段がない方がむしろ安心するかも。諦めがつきやすくなる。

 勇吾さんと一緒に夕飯を食べている時に、急にきた。オムライスを食べていたスプーンが、床に落ちた。そして俺の力が一気に抜けて、そのままうずくまった。

「良太君!」
「あっ、はっ、ぁ、勇吾さん……」

 俺は飯を食べながら、なんの予兆もなく欲情しだした。

「はぁ、ぁっっ、」

 勝手に俺の小ぶりなペニスは立ち上がり、ズボンを濡らす。俺は思わず泣き出してしまった。

「勇吾さん、勇吾さん、怖いよ、んんんっ!」
「大丈夫だよ、ちょっとチクってするけど、我慢してね」

 勇吾さんは急いで注射セットを持ってきて俺に打った。でも俺はそんなんじゃなくて、辛いこれをどうにかしてほしい、ズボンがはち切れんばかりにパンパンになり、もう痛くてしょうがない。

「良太君、薬が効くまで頑張ろうね、とりあえずそれ、辛いから、下は脱がすよ」
「えっ、いやっ、はっ」

 勇吾さんが下着まで取り払うと、俺のペニスがプルンって上を向いて外気にさらされた。そしてなんの刺激もしてないのに、だらだらとだらしない液体が垂れている。

「ひっ! あぁぁっ!」

 今度は後ろからドロっと、オメガ特有の液体が出てきた。濡れている。本当ならこのままアルファに抱いてもらって意識を失えるのに、むしろなんの欲情もしてない相手を前に、一人で発情するって、辛い。

 アルファだったら一緒にラット起こしてくれるから、そのまま我を忘れて抱いてくれる。お互いに狂っているから成り立つのかもしれない。

「ほら、泣かないで? 大丈夫だよ、ここじゃ辛いからベッドいこうね」
「えっっぐ、ぐすっ、っ、」
「よしよし」

 俺を抱きかかえて、頭をポンポンって叩いて運んでくれる。勇吾さんって力持ちなんだって、ぼうっと思っていたら涙がやんだ。

「勇吾さん、勇吾さんっ、勇吾さん」
「はい、はい、良太君は甘えたさんだね、可愛いよ」

 俺は勇吾さんに、ぎゅっと力を込めて抱きついている。

「勇吾さんっ」

 ベッドに降ろされたけど、でも、まだ薬が効かない。

「勇吾さん、薬効かないよぅ、辛いよ」
「そうだね、一回抜いとこうか、そしたらそれで少しは収まるから」

 勇吾さんはなぜか医療用の手袋をし出した。

「な…に……それ」
「ん? 一応ね、つがい持ちの子には直接触ると拒否反応が出るから、この手袋はオメガ用だから安心だよ?」
「じゃなくて、なんで手袋しているの? 俺、早く出したいから、その、一人にして?」
「でも良太君、軽めとはいえ発情しているし、きっと力入らなくて気持ちよくいけないよ? 僕の手の方が加減もできるし、後ろに入れる指も君より長いから、いいところつけると思うんだ」
「えっ」
「何度もシテルでしょ、良太君の後ろに手を入れるのは。だから安心して? 良太君のいいところはもう知っているから」

 反抗も反論もする暇も与えず、当たり前のように俺の前をしごいて、後ろに指を入れてきた。発情中だし、拒絶する力も出ない。

「あんっ、あっ、はぁぁぁっっ、んっ!」
「うん、後ろの収縮きついね、僕の手でもちゃんと感じてくれて良かった」
「あっ、だめ、それ気持ちいい、あん、もっと太くて大きいのがいい、勇吾さんのれてっ」
「それはダメだよ、そんなことしたらショック死することだってあるんだから、できないよ」
「いやだ! れて欲しい、ああああっ、先輩! 先輩っ、早く抱いて」 
「君のアルファはいないよ」
「えっ、何で! 何で? 先輩、やだっ! 先輩、僕を抱いて! うっ、あんっあっぁぁ」

 俺は何が何だか、もうわかっていない。

 でも俺の後ろに指をれている人が、困っているのか怒っているか、困惑しているか、何か感情が変わったのだけわかった。そしてその人が俺のアルファじゃないことも。なんで俺が発情しているのにアルファはいないんだ? なんでだ? なんで、どうして。

 訳がわからないけれど、後ろはいいところに指が当たり、勢いよく前からは俺の欲望が吐き出された。

「あれ? 治らないね。これだけじゃ流石に辛いよね、じゃぁもっと大きいの、れてみようか」
「はっ、あっ、なに、それ」

 俺は一度欲を吐き出したおかげで、少し理性が戻ってきた。勇吾さんが持っているのは男性器の形をしたもの、そのものだった。

「これは卑猥なおもちゃ、じゃなくてね、って一緒だけど、医療用のオメガ専用の男性器を形どったものだよ。これなら少しは太さも長さもあるし、いいところにもっと当たるよ。じゃあ、れるからね」
「あああぁ! いや、それ、あ、あっ」
「これには、発情を収める薬が入ったジェルもついているから、すぐに中から効いてくるはずだよ、あっ、ここも気持ちいい?」
「あっ、だめ、同時に、や……めて」

 勇吾さんは慎重に、ゆっくりとその男性器をれて、さらに前のち上がってきたものもしごいた。俺はどうしようもない快楽にまた溺れて自ら腰を振った。もうよくわからないが、理性は働いている、と思うが、気持ちいい行為をもっともっとしたかった。

 勇吾さんの腕に捕まり、必死に快楽をむさぼぼり、そのまま射精した。

「良太君、よく頑張ったね。少し薬も効いてきたみたいだよ、疲れたでしょ? 今は何も考えないでゆっくり休んで」
「んっ」

 勇吾さんは俺を横にして、体を拭きながら優しく愛撫して俺を労ってくれた。そのまま俺は眠りに落ちた。
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