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第七章 セカンド凌辱
44 新しい計画
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社畜の頭がキャパオーバーを迎えたとき、サリファスが俺に向かって言い放つ。
「リリアン、お前の演技にかかっているぞ!」
「「「で、できません!」」」
俺と兄と父、ワインバーグ家の結束、三人同時にサリファスに歯向かった。
「うわっ、圧強っ、家族総出の三人がかりか!?」
サリファスが驚きの声をあげる。さすがに三人からの圧は、王子でも驚いたらしい。今度は丁寧に説明をはじめる。
「まぁ聞けよ、映像を見せた方がいいと俺は思うんだ。こないだ公爵は、ガリアードとアンディを連れて、バンドレフ侯爵と会っていたな? ついに味方につけたんだろう?」
「さすが殿下、よくご存じで。バンドレフ侯爵は第一王子派最大の貴族ですが、あの男は真面目なので、どんな不正も許しません。味方ではないですが、第一王子殿下の不正の証拠さえ見ればきっと動いてくれます。息子が録音に成功した暁にはそれを聞かせるつもりでした」
ああ、公爵家で俺がご腐人たちにもみくちゃにされている婦人会のとき、三人でどこか行っていたのは、そういうことなのね。きちんと根回しするなんて、さすがリリパパ。
「まさかガリアードが、あの侯爵にリリアンをいかに愛しているかを力説するとは。バンドレフ侯爵は驚いていたぞ」
「殿下も侯爵とお会いになったのですね」
父がサリファスに問う。
「ああ。公爵は兄上から、王命による政略結婚だから、自分が王になったら不当な扱いを受けているリリアンを夫から解放してあげたいとかなんとか? 話したらしい。二つの異なる情報を精査するため、真面目な侯爵は俺のところに確認にきたんだよ」
えっ、凄い。異なった意見を確かめるために動いたのか……。さすがバンドレフ侯爵だ。巷では公正で頭の固い老人で有名だった。
なにより、国王陛下に俺を献上したらどうかと言った貴族はバンドレフ侯爵だった。彼は誠実な人で有名だから、父と兄の呪縛に雁字搦めの”王国の花”が行き遅れるくらいなら、英雄と縁を繋げたほうが良いだろうとの優しさからの進言だったらしい。
それが、花が手折られているなんて聞いたら、第一王子にすぐにでも協力しなければと思った矢先、父が息子婿を紹介したいと言ってきた。
そこで彼は、真実を見極めようとガリアードに会ったらしい。
ところが、ガリアードは俺を愛していると、侯爵に力説。それにリリ兄も参戦して、兄の方が愛していると言い、愛している合戦を侯爵の前でした。なんて恥ずかしい身内。
リリ兄が弟を溺愛しているのは有名すぎる話なので、そこは信じて、さらにそのリリ兄が張り合うくらい愛しているというガリアードを見て、もしや第一王子はリリアンに懸想しているだけでは? と思ったらしい。
極めつけは、リリアン溺愛パパもガリアードは良い婿だと言ったこと。一応宰相としてリリパパは信頼のおける人で通っているので、そんな人が認める人間なら、そこに嘘はないだろうと思ったんだって。
そして最終確認を、ガリアードの友人であるサリファスにしたわけだ。日本にいたら、侯爵はきっと警視総監だな。
「よくやったな、二人とも。ただリリアンを愛していると言い合っただけにも思えるが、それが侯爵の胸に響き、兄上への不信感に繋がった」
侯爵は、第一王子から俺がオスニアン家で酷い扱いを受けていると聞いた。
それなのに、目の前では本人の兄と夫が「リリアンが可愛い」と煩い。その夫の親友である第二王子は、二人は仲睦まじかったと言う。物事を冷静に判断するには、まだ本人の意見と物証がないので難しい。そして何のために第一王子が嘘を言うのか、目的を見極めるためにも証拠がほしいとのことだった。
これらの情報から、バンドレフ公爵は第一王子による第二王子除籍運動の一環だと気づいたのかもしれない。
第一王子の母である正妃の家と遠縁にあたる侯爵は、必然的に第一王子派の筆頭となっているが、不正をして玉座を手に入れるのは許されない。
それにいまだ王が王太子を決めないことに、侯爵は何か不穏なものを感じていた。第一王子の政策は酷いものが多いが、なにせ血筋は良すぎるので誰も何も言えない。
かという第二王子の政策は国民にとっていいモノが多い反面、昔からの貴族には第二王子が王になったら、排除されてしまうかもしれないという懸念があり、後ろめたい貴族からは、第二王子が支持を受けられないという現状も、おかしなモノだと思っていた。
そこにきて、リリパパから第一王子が息子婿を不当に排除しようとしている証拠があるかもしれないから確認してほしいと言われたら、それはもう疑うしかなかった。
「だからこそ、目に見えてリリアンが愛されているという証拠がほしいんだ」
「じゃあ、私がリリアンを痛めつけたら逆効果でしかありません」
ガリアードの言葉に、うんうんと頷く俺。俺を見たガリアードは優しく言う。
「そんなことはしないし、絶対痛めつけない。リリアン」
そしておでこにチュってしてきた。惚れちまうだろー! 兄がいまだにフルフルと拳を握り怒っている。
「貴様、私のリリたんの可憐なおでこに、なんてことをしてくれるんだ!」
「お、お兄様。落ち着いて! 殿下いったいどういう意図があるのか、詳しくお聞かせ願いませんか? 僕は必要なことならやりますが、この間のように第一王子殿下を喜ばせる目的と言うなら、お断りいたします」
「そうです! ん? 殿下……いったいなんの話ですか? 変態王子を喜ばせるとは?」
兄が俺の意見に頷いてから、第一王子のこと変態王子って言った。実の弟の前でお前の兄は変態王子だと言った! いくらなんでも不敬に当たるのでは!?
「アンディ様、変態王子はリリアンの痴態を見る喜びという趣味もお持ちのようで、それを知ったこの変態王子の弟であるバカ殿下は、(私のリリアン・傍点)の手折られる姿を、第一王子に見せて油断させる演技をしろとおっしゃったのでした。しかし私の愛する妻の裸体を他の男に見せるなど、絶対いたしませんのでご安心ください」
はい。ここにもいた! もっと不敬。
俺の旦那様は、両殿下を罵っております。サリファスは……怒っていないようだ。バカって言われたとボソっと呟いて、給仕に来ていたリックの尻を撫でようとしたら手を叩かれていた。
「何!? 我が義弟(おとうと)よ、よく言った! その調子でこれからも私の可愛いリリアンを守ってくれ」
「しかと! 義理兄上」
ガリアードと兄は瞳を合わせ頷きあう。この意味不明なリリアン愛する同盟に救われて、兄とガリアードは和解したらしい。これで一つ解決。
しかし、本当にこの事態をどうするの? すると、サリファスが話を続ける。
「はいはい、じゃあ真面目な話ね。兄上を誘うには君たちが不当な関係という映像が必要だから、やはりそういう現場……ヤラらなくてもいいけどリリアンを叩くくらいしないと、証拠としてワインバーグ公爵に伝えられないだろう?」
「叩くなど! するわけないだろう!」
ガリアードが怒る。怒鳴る。いきなり怖い!
「最後まで聞けよ。とにかく、それをワインバーグ公爵が見て、次の段階では仲良くなっている姿をバンドレフ侯爵にも見せて、凌辱プレイをするただの変態夫夫であることを知らせればいい。その証拠をバンドレフ侯爵にも見せる手はずを整えるため、ワインバーグ公爵が兄上を誘導しなければならない」
サリファスの言いたいことは、第一段階で凌辱シーンを第一王子が父に見せる。
父は、自分は身内だから他人が見て不等な扱いだという証言がほしいと言う。王妃と親しい貴族の筆頭バンドレフ侯爵にも見てもらい判断を仰ぎたいからと、秘密の鏡部屋に招待してもらう。そこで俺たちが凌辱シーンを見せた後にイチャコラして、ただただ仲がいい夫夫関係を見た侯爵。この国の王になるかもしれない人が、私利私欲で新婚家庭の秘密のプレイ――人には知られたくないような閨を覗き見していたことを知る。
王家の秘宝を勝手に個人に渡す行為も、王への反逆に値する。そういう方向で断罪するのはどうかという筋書きだった。まあ流れはいいけれど、そんなにうまくいくのだろうか。それに、途中経過で俺とガリアードの体を張った演技はいただけない。どうなることやら!?
サリファスが計画を話すと、そこでお開きとなった。
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「「「で、できません!」」」
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「まさかガリアードが、あの侯爵にリリアンをいかに愛しているかを力説するとは。バンドレフ侯爵は驚いていたぞ」
「殿下も侯爵とお会いになったのですね」
父がサリファスに問う。
「ああ。公爵は兄上から、王命による政略結婚だから、自分が王になったら不当な扱いを受けているリリアンを夫から解放してあげたいとかなんとか? 話したらしい。二つの異なる情報を精査するため、真面目な侯爵は俺のところに確認にきたんだよ」
えっ、凄い。異なった意見を確かめるために動いたのか……。さすがバンドレフ侯爵だ。巷では公正で頭の固い老人で有名だった。
なにより、国王陛下に俺を献上したらどうかと言った貴族はバンドレフ侯爵だった。彼は誠実な人で有名だから、父と兄の呪縛に雁字搦めの”王国の花”が行き遅れるくらいなら、英雄と縁を繋げたほうが良いだろうとの優しさからの進言だったらしい。
それが、花が手折られているなんて聞いたら、第一王子にすぐにでも協力しなければと思った矢先、父が息子婿を紹介したいと言ってきた。
そこで彼は、真実を見極めようとガリアードに会ったらしい。
ところが、ガリアードは俺を愛していると、侯爵に力説。それにリリ兄も参戦して、兄の方が愛していると言い、愛している合戦を侯爵の前でした。なんて恥ずかしい身内。
リリ兄が弟を溺愛しているのは有名すぎる話なので、そこは信じて、さらにそのリリ兄が張り合うくらい愛しているというガリアードを見て、もしや第一王子はリリアンに懸想しているだけでは? と思ったらしい。
極めつけは、リリアン溺愛パパもガリアードは良い婿だと言ったこと。一応宰相としてリリパパは信頼のおける人で通っているので、そんな人が認める人間なら、そこに嘘はないだろうと思ったんだって。
そして最終確認を、ガリアードの友人であるサリファスにしたわけだ。日本にいたら、侯爵はきっと警視総監だな。
「よくやったな、二人とも。ただリリアンを愛していると言い合っただけにも思えるが、それが侯爵の胸に響き、兄上への不信感に繋がった」
侯爵は、第一王子から俺がオスニアン家で酷い扱いを受けていると聞いた。
それなのに、目の前では本人の兄と夫が「リリアンが可愛い」と煩い。その夫の親友である第二王子は、二人は仲睦まじかったと言う。物事を冷静に判断するには、まだ本人の意見と物証がないので難しい。そして何のために第一王子が嘘を言うのか、目的を見極めるためにも証拠がほしいとのことだった。
これらの情報から、バンドレフ公爵は第一王子による第二王子除籍運動の一環だと気づいたのかもしれない。
第一王子の母である正妃の家と遠縁にあたる侯爵は、必然的に第一王子派の筆頭となっているが、不正をして玉座を手に入れるのは許されない。
それにいまだ王が王太子を決めないことに、侯爵は何か不穏なものを感じていた。第一王子の政策は酷いものが多いが、なにせ血筋は良すぎるので誰も何も言えない。
かという第二王子の政策は国民にとっていいモノが多い反面、昔からの貴族には第二王子が王になったら、排除されてしまうかもしれないという懸念があり、後ろめたい貴族からは、第二王子が支持を受けられないという現状も、おかしなモノだと思っていた。
そこにきて、リリパパから第一王子が息子婿を不当に排除しようとしている証拠があるかもしれないから確認してほしいと言われたら、それはもう疑うしかなかった。
「だからこそ、目に見えてリリアンが愛されているという証拠がほしいんだ」
「じゃあ、私がリリアンを痛めつけたら逆効果でしかありません」
ガリアードの言葉に、うんうんと頷く俺。俺を見たガリアードは優しく言う。
「そんなことはしないし、絶対痛めつけない。リリアン」
そしておでこにチュってしてきた。惚れちまうだろー! 兄がいまだにフルフルと拳を握り怒っている。
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「そうです! ん? 殿下……いったいなんの話ですか? 変態王子を喜ばせるとは?」
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「何!? 我が義弟(おとうと)よ、よく言った! その調子でこれからも私の可愛いリリアンを守ってくれ」
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しかし、本当にこの事態をどうするの? すると、サリファスが話を続ける。
「はいはい、じゃあ真面目な話ね。兄上を誘うには君たちが不当な関係という映像が必要だから、やはりそういう現場……ヤラらなくてもいいけどリリアンを叩くくらいしないと、証拠としてワインバーグ公爵に伝えられないだろう?」
「叩くなど! するわけないだろう!」
ガリアードが怒る。怒鳴る。いきなり怖い!
「最後まで聞けよ。とにかく、それをワインバーグ公爵が見て、次の段階では仲良くなっている姿をバンドレフ侯爵にも見せて、凌辱プレイをするただの変態夫夫であることを知らせればいい。その証拠をバンドレフ侯爵にも見せる手はずを整えるため、ワインバーグ公爵が兄上を誘導しなければならない」
サリファスの言いたいことは、第一段階で凌辱シーンを第一王子が父に見せる。
父は、自分は身内だから他人が見て不等な扱いだという証言がほしいと言う。王妃と親しい貴族の筆頭バンドレフ侯爵にも見てもらい判断を仰ぎたいからと、秘密の鏡部屋に招待してもらう。そこで俺たちが凌辱シーンを見せた後にイチャコラして、ただただ仲がいい夫夫関係を見た侯爵。この国の王になるかもしれない人が、私利私欲で新婚家庭の秘密のプレイ――人には知られたくないような閨を覗き見していたことを知る。
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