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1部 誕生編
美少女アイドル
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私は大学2年生。
田舎から東京に来た。
一人暮らしを始めたのは大学1年からだ。
田舎にいる時は黒縁メガネをかけた勉強ばかりやるダサい子だった。だが、そのおかげで都会の国公立の総合大学に受かった。
私は、親元を離れ一人暮らしになると最初にコンタクトレンズを作った。次に美容院にいってストレートパーマをかけた。
鏡を見ると、あのダサい少女はどこに行ったのか、これが自分かと信じられない綺麗な女の子がそこにいた。さすが都会の美容師、ここまで変身できるとは魔術師か?
そして最新の化粧品はすごい。
次に、この姿に合いそうな服が必要だった。高校までは制服とジャージですごしていた。
高い服は買えないので安めの服を着こなさねば。
とにかく服が全く無かったので、ユニ◯◯に言ってそろえたがお金が無くなった。
食材も高い。
都会暮らしはとにかくお金がかかる。
私の家は、貧乏と言うほどではないがそれほど余裕がある訳でも無い。
お年玉で貯めた一人暮らし用の軍資金はあっと言う間に枯渇した。アルバイトでもしないと仕送りだけでは足りなかった。
早速アルバイトを探しに土曜日に町を歩いていたら、こんな私にアイドルのスカウトが声をかけてきた。
もちろん詐欺だと思い、無視していたが流行のグループアイドルの誘いで、普段スカウトをする変な人では無く、たまたま可愛い子を見かけたから声をかけたと言って名刺をくれた。
大手のプロダクションの偉い人だった。
まだ騙されているようで不安だったので、後日会社の受付に電話するとちゃんと本人に繋がった。
結構時給が良かったし、一度だけと大手の事務所に足を運んでみた。偉い人が沢山来て、すごく褒めてくれるので嬉しかった。そして、プロダクション契約をすればレッスン代も無料だと、まず練習に参加してみた。
これが意外に楽しい。バイト代も必要だったので、契約した。
すぐに私のファンができてしまい、あれよあれよと最前列に。偉い人に言われた通り、すごく早く人気が出た。時給もどんどん上昇。
それでも学業はおろそかにせず二足のわらじで頑張る。
そして、大学2年の春。本当にそこそこ人気が出てきた。この頃には、ソロデビューの話も出だした。
うーん、学業も大事だしどうしようと悩む。
プロダクション側から、ストーカー被害にあった子がいるから、来月から自宅までの送迎をしてくれることになった。ほんとはすぐに送迎を始めたいけど契約が来月からしかできないと残念がっていた。
それまでは気をつけて、なるべくタクシーを使ってと。領収書をだせば処理するから、ほんとに気をつけてと念をおされた。
それから数日後のことだ。今日は、プロダクションとの打ち合わせがあり、少し遅くなったので終電になってしまった。
駅に着き、タクシーを拾って帰ろうと思ったが、タクシー乗り場には長大な列が。まっていたら1時間以上はかかりそうなぐらい並んでいる。駅から家まで歩けば30分ほど。
タクシーを待っている間に家に着きそうだったので、歩いて帰ることにした。
そして、先日 事件があった通りに来た。周りに気を配ると、後ろからつけてくる人の気配を感じて少し早歩きで抜けようとしたら声をかけられた。聞き覚えのある声だったので、振り向いて見たら去年大学の数学講座を担当していた先生だった。
私の大学はご老人ばかりだったので、若い独身のこの先生は女子の中では人気の高い人だった。教え方がすごく上手だったので、苦手の数学も急に点数があがったお気に入りの先生だ。
2年になると、文系の私が取れる教科には先生の名前が無く残念に思っていた。3年の選択科目で選ぶチャンスまで我慢と思っていた。
久しぶりに少しだけど先生と会話が出来て嬉しかった。でも、長々とは立ち話もできず私が前を歩いて帰ることになった。
少し進み、気になり後ろを確認するとちゃんと付いてきてくれていた。
自宅前に着いた時に、お礼と言って先生を部屋に誘ったらどう答えるだろうか考えてた。しかし、そんな事を考えたことが恥ずかしくなった。
その時、突然に爆音が聞こえた。
後ろを振り返ると、車が爆走してきた。何も考えられず体が膠着する。身動きが取れない。
走って近づいてくる先生。
ぶつかる寸前に、先生に押されて事なきを得るが、車は往復し先生を完全にひき殺した。
目の前で、起きた悲惨な現場が理解できずそのまま立ち上がることもできず、動けなかった。
車のドアがあき、人が出てきた。
同じアイドルグループ、立ち位置が私の真逆の子を好きなはずの人だ。昨日もその子と裏で話しているのを見かけた。間違いない。
なぜ、ここにいるのか解らなかった。
男は、私に向かってしゃべり始めた。
「リリーにふられた。リリーはもう手に入らない。でも、リリーのことが好きだ。あきらめきれない。
死のうと思ったけど、せめてリリーの為になることをして記憶に残りたくてね。リリーの邪魔になるあんたを殺しに来た」
「私を殺すようにリリーが頼んだってこと?」 と 恐る恐るたずねる。
「リリーは天使だ、そんなことを言うわけがないだろ。これは僕が決めたことさ。
リリーがあんたのことを恨んだりするわけないだろ。
でも解るんだ。あんたがいるとリリーは有名になれない。
だから僕はリリーのために君を殺してから、僕も死ぬことにしたんだ」
「そんな、いやよ。死にたくない。 それに先生は、関係ないでしょ。どうして殺したの」
「君を殺すのに邪魔だったからだよ。さあ、死んでくれ」
そういって、私の胸に包丁を刺した。何度も何度も刺した。痛すぎて痛さが解らない。苦しんだ時間は数秒だったのかかもしれないが無限に感じた。
そして、気が付くと、白い空間にいた。
目の前に綺麗な女性が現れた。
「私は、この世界の神の一人、メリーナです」
突然に現れた女性が静かに、そして丁寧な口調で話しはじめた。
「あなたは、先ほど死んだのですが、ご自覚されていますか?」
『ここがどこかわかりませんが、そうですよね。死んでますよねやっぱり。
で、ここはどこですが?』
そして、メリーナ様の説明を聞いた。先に死んだ先生も転生したらしい。いつか必ず会えると教えてくれた。
死んだけど、また先生に会える。ちょっと嬉しい。必ずまた会う。生きる希望だ。
どんな能力が欲しいか聞かれたので、先生を生き返らせるような魔法が使いたいと言ったら、死んだ人を生き返らせる魔法は無いけれど、大きな怪我も治せる力をもらえるらしい。
先生と生まれた時から少しずれるが5年以内で高い能力が持てる子供に転生させると約束してくれた。
こうして、私は別の世界に転生した。
田舎から東京に来た。
一人暮らしを始めたのは大学1年からだ。
田舎にいる時は黒縁メガネをかけた勉強ばかりやるダサい子だった。だが、そのおかげで都会の国公立の総合大学に受かった。
私は、親元を離れ一人暮らしになると最初にコンタクトレンズを作った。次に美容院にいってストレートパーマをかけた。
鏡を見ると、あのダサい少女はどこに行ったのか、これが自分かと信じられない綺麗な女の子がそこにいた。さすが都会の美容師、ここまで変身できるとは魔術師か?
そして最新の化粧品はすごい。
次に、この姿に合いそうな服が必要だった。高校までは制服とジャージですごしていた。
高い服は買えないので安めの服を着こなさねば。
とにかく服が全く無かったので、ユニ◯◯に言ってそろえたがお金が無くなった。
食材も高い。
都会暮らしはとにかくお金がかかる。
私の家は、貧乏と言うほどではないがそれほど余裕がある訳でも無い。
お年玉で貯めた一人暮らし用の軍資金はあっと言う間に枯渇した。アルバイトでもしないと仕送りだけでは足りなかった。
早速アルバイトを探しに土曜日に町を歩いていたら、こんな私にアイドルのスカウトが声をかけてきた。
もちろん詐欺だと思い、無視していたが流行のグループアイドルの誘いで、普段スカウトをする変な人では無く、たまたま可愛い子を見かけたから声をかけたと言って名刺をくれた。
大手のプロダクションの偉い人だった。
まだ騙されているようで不安だったので、後日会社の受付に電話するとちゃんと本人に繋がった。
結構時給が良かったし、一度だけと大手の事務所に足を運んでみた。偉い人が沢山来て、すごく褒めてくれるので嬉しかった。そして、プロダクション契約をすればレッスン代も無料だと、まず練習に参加してみた。
これが意外に楽しい。バイト代も必要だったので、契約した。
すぐに私のファンができてしまい、あれよあれよと最前列に。偉い人に言われた通り、すごく早く人気が出た。時給もどんどん上昇。
それでも学業はおろそかにせず二足のわらじで頑張る。
そして、大学2年の春。本当にそこそこ人気が出てきた。この頃には、ソロデビューの話も出だした。
うーん、学業も大事だしどうしようと悩む。
プロダクション側から、ストーカー被害にあった子がいるから、来月から自宅までの送迎をしてくれることになった。ほんとはすぐに送迎を始めたいけど契約が来月からしかできないと残念がっていた。
それまでは気をつけて、なるべくタクシーを使ってと。領収書をだせば処理するから、ほんとに気をつけてと念をおされた。
それから数日後のことだ。今日は、プロダクションとの打ち合わせがあり、少し遅くなったので終電になってしまった。
駅に着き、タクシーを拾って帰ろうと思ったが、タクシー乗り場には長大な列が。まっていたら1時間以上はかかりそうなぐらい並んでいる。駅から家まで歩けば30分ほど。
タクシーを待っている間に家に着きそうだったので、歩いて帰ることにした。
そして、先日 事件があった通りに来た。周りに気を配ると、後ろからつけてくる人の気配を感じて少し早歩きで抜けようとしたら声をかけられた。聞き覚えのある声だったので、振り向いて見たら去年大学の数学講座を担当していた先生だった。
私の大学はご老人ばかりだったので、若い独身のこの先生は女子の中では人気の高い人だった。教え方がすごく上手だったので、苦手の数学も急に点数があがったお気に入りの先生だ。
2年になると、文系の私が取れる教科には先生の名前が無く残念に思っていた。3年の選択科目で選ぶチャンスまで我慢と思っていた。
久しぶりに少しだけど先生と会話が出来て嬉しかった。でも、長々とは立ち話もできず私が前を歩いて帰ることになった。
少し進み、気になり後ろを確認するとちゃんと付いてきてくれていた。
自宅前に着いた時に、お礼と言って先生を部屋に誘ったらどう答えるだろうか考えてた。しかし、そんな事を考えたことが恥ずかしくなった。
その時、突然に爆音が聞こえた。
後ろを振り返ると、車が爆走してきた。何も考えられず体が膠着する。身動きが取れない。
走って近づいてくる先生。
ぶつかる寸前に、先生に押されて事なきを得るが、車は往復し先生を完全にひき殺した。
目の前で、起きた悲惨な現場が理解できずそのまま立ち上がることもできず、動けなかった。
車のドアがあき、人が出てきた。
同じアイドルグループ、立ち位置が私の真逆の子を好きなはずの人だ。昨日もその子と裏で話しているのを見かけた。間違いない。
なぜ、ここにいるのか解らなかった。
男は、私に向かってしゃべり始めた。
「リリーにふられた。リリーはもう手に入らない。でも、リリーのことが好きだ。あきらめきれない。
死のうと思ったけど、せめてリリーの為になることをして記憶に残りたくてね。リリーの邪魔になるあんたを殺しに来た」
「私を殺すようにリリーが頼んだってこと?」 と 恐る恐るたずねる。
「リリーは天使だ、そんなことを言うわけがないだろ。これは僕が決めたことさ。
リリーがあんたのことを恨んだりするわけないだろ。
でも解るんだ。あんたがいるとリリーは有名になれない。
だから僕はリリーのために君を殺してから、僕も死ぬことにしたんだ」
「そんな、いやよ。死にたくない。 それに先生は、関係ないでしょ。どうして殺したの」
「君を殺すのに邪魔だったからだよ。さあ、死んでくれ」
そういって、私の胸に包丁を刺した。何度も何度も刺した。痛すぎて痛さが解らない。苦しんだ時間は数秒だったのかかもしれないが無限に感じた。
そして、気が付くと、白い空間にいた。
目の前に綺麗な女性が現れた。
「私は、この世界の神の一人、メリーナです」
突然に現れた女性が静かに、そして丁寧な口調で話しはじめた。
「あなたは、先ほど死んだのですが、ご自覚されていますか?」
『ここがどこかわかりませんが、そうですよね。死んでますよねやっぱり。
で、ここはどこですが?』
そして、メリーナ様の説明を聞いた。先に死んだ先生も転生したらしい。いつか必ず会えると教えてくれた。
死んだけど、また先生に会える。ちょっと嬉しい。必ずまた会う。生きる希望だ。
どんな能力が欲しいか聞かれたので、先生を生き返らせるような魔法が使いたいと言ったら、死んだ人を生き返らせる魔法は無いけれど、大きな怪我も治せる力をもらえるらしい。
先生と生まれた時から少しずれるが5年以内で高い能力が持てる子供に転生させると約束してくれた。
こうして、私は別の世界に転生した。
応援ありがとうございます!
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