旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油

文字の大きさ
85 / 182
4部ジルベール10歳 時が動き出す

4.34 犯人は捕まったが

しおりを挟む
太郎は、我が家の番犬(狼)?
太郎の親は、ホワイトドラゴンとの戦いで死んでしまい、
その時に傷ついていた子供の太郎を家につれて帰り、治療を行いました。
当初、怪我が治ったら山に帰す予定でしたが、我が家から出て行く気配が無かった。
人に慣れすぎ、もう自力での生活は無理だろうと、そのまま我が家で育てています。
太郎と名前を付けて以来、急激に大きくなり、おおよそ現在3歳ほどのはずですが、すでに元の親とほぼ同じ大きさです。

あちらが母親であの大きさでしたが、太郎はオスなのでもう少し大きくなるのかも知れません。
太郎は、黒狼固有のスキルと、おそらく固体独自の感性に関する特徴があります。
黒狼固有のスキルは、特殊な空間魔法で、人の近くに直系30cmほどの黒く影のような平面に隠れることができます。
現在、その空間におよそ数時間もぐっていることができ、空間に入り込むと気配が完全に消え、索敵などのスキルでは見つけることができません。
目視で黒い丸が見つかれば解るといえば分かりますが、上手く影と重なれば全く気がつきません。
あとは、高速移動。
時速100km/hを超えた速度で地面を走り抜けます。
そして、太郎本人だけだと思いますが、特殊な能力で犬好きの善人をかぎ分けることが出来るようです。
”犬好き”の善人です。

領地内では、たまに盗賊が出ます。
太郎は、いつもエイミーと一緒に出動しています。
盗賊を捕まえると、たまに盗賊の中から人を引っ張り出し、その人を咥えて、自分で小屋に連れて行きます。
小屋でひとしきり遊んだ後、開放されます.
開放された後に話を聞くと、盗賊にさらわれ無理やり仲間にされて、盗賊仲間からもいじめられていた人です。
そういう人がすでに4名。

以前、王子たちが来ていた時に来た人達の中にも1人いました。
彼らは、みんな交代で太郎の世話をしたり、隊のみんなの雑用を受け、仕事をしています。
3食出るだけでもありがたいと、感謝しながらまじめに働く、良い人ばかり。
盗賊たちの仲間として、いやいやでも悪いことをしていたから、死刑にするなり、犯罪者として鉱山送りなどしないのかと言われますが、太郎が気に入っているから、ちゃんと面倒を見る限り、生活は保障するし、ある程度は自由を認めると言ってあります。

基本、この4人は本当にまじめです。
毎月、教会に行き、お祈りもするし、併設された孤児院の手伝いをする。
前職さえ目を瞑れば、本当に良い人。

さて、実は昨日の夜、王子たちが来ていた時以来の襲撃時間がおきました。
と言ってもたったの5名での襲撃。
あっという間に捕まえて終り。
とりあえず朝まで太郎の小屋に放り込む。
朝になると、今回は太郎のお気に入りはいなかったようですが、以前、王子達がいたときに捕まえた男が、今回の襲撃の親玉と思われる人を指し、自分を金で雇った人だと申告してきた。

まあ、特徴の無い、いたって普通の男。

主犯格が捕まえられるはずが無いと思っていたが、ここで自らそれもたったの5名で襲撃してくるとは。
なにか、裏事情があるのかも知れない。

王都に連れて行き、専門家によって取調べが行われた。

どうも、この雇い主から失敗の責任を求められ、今回の襲撃になったらしい。
そして、先日の王城での毒混入も、こいつが騎士に接触した犯人と判明した。
失敗続きで、騎士の逮捕からの足きりであることは明らか。
命を助けるかわりに、洗いざらいしゃべらせた。
王都から北上した山は、王家所有の鉱山がある。
その鉱山近くの山にある洞窟地帯に根城があり、そこに怪しい集団がいることが解った。

すぐに、騎士団が派遣され、一体の捜索が行われ、およそ100名の怪しい集団を逮捕した。
しかし、彼らは、殆どが近隣の伯爵家、子爵家の領地で税金が払えず、逃げ出した小作人や、貴族にいじめられたり、傷つけられたりした為に逃げ出した、貴族に恨みを持つ者たちではあった。
だが、明らかに王家に恨みを持つ者たちではなかった。
彼らの証言から、貴族たちへの仕返しについての指示は、3名ほどの神官の格好をした人が行っていたそうだ。
ちょうど1週間ほど前からいなくなり、自分達も食料も減り、どうしたら良いのか迷っていたらしい。
騎士たちから、悪い貴族の名前を聞き込み、実態調査が始った。
逮捕した100名の人達の殆どは、盗賊や実行犯とは無縁であったことから、希望する領地の小作として復帰した。
そして、実態調査の結果で、悪いことをしていた、伯爵家、子爵家の数家が爵位の取り上げとなった。

結局、なぞの神官の行方は解らず、調査は振り出しに戻った。
何らかの宗教がかかわりを持つのではないかと、裏宗教の見張りをきつくすることになった。

主犯の一角に、王都の偉い貴族の中にいるはずだが、わからなかった。

この世界、魔法があるので、精神系魔法で洗いざらいの情報が聞き出せるような気がしたが、
どうやら、そういった強い精神魔法が使える人がいないようだ。

魔法は、なんでも出来る。
しかし、都合の良い能力者が権力者の下にいる訳では無い。
精神系の特殊スキルは、後天的に発現することは稀だ。
なるべく小さいうちに見つけて保護する仕組みはあるが、
それでもなかなか見つからない。

そもそも、発見のための鑑定スキル持ちが少なく、王都から離れた人のスキルは把握できていない。
便利なようで、なかなか、不便な世の中だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

お妃さま誕生物語

すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。 小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

今度は静かに暮らしたい。

黒蜜きな粉
ファンタジー
信頼していた者に裏切られ封じられてしまった魔法使いのラティナ。 ようやく解放されたと思ったら外の世界では三百五十年も経っていた! 世の中はすっかり様変わり。 ラティナの使う魔法は廃れてしまい、現代では誰も扱える者がいなくなっていた。 今度こそ平穏無事に暮らしたいと願うラティナ。 しかし、もはや古代魔法と呼ばれる術を気軽に扱う者が放っておかれるわけがなかった。 城の中で渦巻くさまざまな思惑に、ラティナは巻き込まれていく。 2023/8/30 第16回ファンタジー小説大賞にエントリーいたしました。 よろしければ投票、応援をお願いいたします!

処理中です...