旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油

文字の大きさ
128 / 182
5部 10歳後半

5.24 前世持ちがばれる

しおりを挟む
次の週に王城に来た時の事。

王城に泊まっている夜、王様から部屋に呼ばれた。
先日のルカ王子の救出、シドニアへの協力についての相談だと。

王の私室に入る。
王様から
「さてジルベール。ルカの救出にグランスラム帝国への戦勝、それに王女達への守護精霊といろいろあった礼をしたい。
まずは、言葉を先に伝える。
ありがとう。
これからもいろいろ頼むと思うが、よろしくな」
「お礼など、偶然の重なりですし、当たり前の事しかしていませんから」

「うむ、それで礼として何か欲しいものがあるか?
ああ、シュミットはやらんぞ。それ以外だ」
「王、ここで冗談を言うと締まりませんよ」

「うん、そうか? 半分は冗談ではないぞ」
「全く、まあ良いです。それは。
グランスラムでの復興は、順調に準備ができそうです。
そちらを除くと、今回も協力してくれる領地の民へなにかしてあげたいと思っています。
それには領地までの道路整備が一番良いと思うのですが」

「道路か、公共事業の割り振りか。今日の褒美はそなた個人にと思っていたのだが」

「領地までの道路整備についてですが、私も責任者にして欲しいのです。
将来にも備え、大規模な公共事業に携わりたいです。
私が領地で行っているのは工房の立ち上げが多く、公共事業は経験がありません。
それで私個人へのお礼となりませんか。
領地までの道路建設なら、一石二鳥。ぜひお願いします」

「うむ、道路となると実現性や予算など含めメルミーナと相談しなければならんが、おそらく問題ないだろ。
今年の道路計画の一部をそちらに優先させれば大丈夫であろう」

「ありがとうございます」
「まあそれとは別に自分の欲しいものは無いのか?」

「別に、私は子供ですからお酒など必要ありませんし、高級な剣も光の剣を出せば良いので。特に何も?」
「うむ、欲が無いの。受け答え方を聞く限りお主ほんとは幾つなのだ?」
「見た目も、心も、立派な子供そのものですよ」

「まあ良い、礼だが例えば建国王とその家族の肖像画を見るとかどうだ?」
「え、見れるのですか?」
「うむ、建国王の簡単な肖像画は紙幣にもなっておるから見ておろうが、正確ではないからな。
それに家族の肖像画となれば、出回ってはおらんからな」
「では、ぜひ見せてください」

「良かろう、すぐに見せてやるからこのまま私についてきてくれ」
と言って、王の私室の壁を押すと階段が出てきた。

王様と一緒に地下へと向かう。
最下層に降り、幾つかの部屋がある中で、赤い扉の前で止まった。

王から
「この部屋は、1人ずつしか入れないのだ。ジルベール、先に入ってくれ」

と言われ、扉に手をかける。
すると扉が少しひかり、そのまま押すと扉が開いた。

中が暗い。
扉を全て開けて、中に入ると明るくなった。

「扉を閉めなさい。その後でワシがはいる」
と言われたので、そっと扉を閉める。

王様が続いて入ってきた。
そして話し始める。
「ここは、代々の王家の肖像画が締まってある所で、300年前からの100年分が保存されている部屋だ。
一番奥に建国の王シンの肖像画があるので見に行こう」
「はい」

そして、一番奥に到着すると、王が2枚の肖像画を取り出した。
「これは、建国の王に嫁いだ2人の妻の肖像画だ。
結婚当初と言われている。誰に似ていると思う」

それは、夢で見たスーレリアとマキだった。
「お顔立ちは、2妃様、3妃様に似てますね。
目の色はスザンヌ様、マリア様に似ていると言えますが」

「そうじゃろ。私が王になってこの肖像画を見ておったから、レオニー、アナと結婚した時は自分が建国の王の再来ではないかと思ったこともあった。
しかし、マリアの聖女、ジルベールの金眼を見たときに、このための準備で会ったのかとやっと解った。
決定的だったのは、スザンヌの未来視じゃな。片眼とは言えワシの娘から建国の王の子が2人も生まれた。それで、一つの仮説を立てた」
「どんな仮説ですか?」

王は、次にもう一枚の絵を出した。
「これが建国の王の結婚当時の肖像画じゃ」
黒髪、金眼。
ああ、私なのだろう。
家で見たお父様の肖像画にも少し面影がある。

「決定的だったのは、今この部屋に入った時だ」

「入った時とは、どういうことですか?」

「この部屋は、王となったものとその王妃しか入れぬ魔法がかけれておる。
特にこの300年前の肖像画のある部屋は、建国王以降全て王が登録されておる。
つまりお主が今世で特別な儀式もせずに入れたと言うことは、過去この扉に認識された魂を持つということだ」

ガーン。
なにそれ。

あっさり決定的な証拠を見せてしまったか。
しかも、自分でもまだ信じ切れてはいなかったの。

「ジルベール。お前は、本当は何歳だ?」
「え、10歳ですよ。8月が誕生日でした」

「いや、前世を足してだ」
「前世ですか?」
「そうだ、前世だ。たまにそのような症例がある事は、書物の記載で解っておる。
扉を開けた事で確定しておる。
おぬしの前世は建国の王じゃ。間違いないじゃろ」

「解りました、正直に答えます。
ですが、それでも私の答えは、[否定も肯定もしません。]としか言えませんよ」

「どうしてじゃ」
「はい。実は、前世があるという事は覚えています。
しかし、はっきりと前世の事は覚えていません。
自分の親がどんな人だったのか、自分がどの様な暮らしをしてきたのか何も覚えていません。
しかし、なんとなく前世があった事そして前世で覚えた知識の大半が残っています。
ですが、残っている知識はこの世界のことではありません」

「この世界ではない?」

「はい、ラキシス様から、私はシン様の魂を持つと言われましたが、シンとして死んだ後、異界で別の人生を歩んでいます。
私に残されている知識は、その途中の知識です。
ですので、シン様の記憶はありません。
異界で死んだ後、メリーナ様がこちらに転生させてくれたのです」

「それは、スザンヌも、マリアもか?」

「2人の事を私が伝えるのはおかしいので、それは答えかねます。
しかし、ラキシス様からは、運命の2人であると聞いています」
「そこも女神か」

「はい、この世界に生きる人々の為とラキシス様がおっしゃっておりました。
私が何をなすのかは知りませんが伝えられているのは、前世で途中で死んだから今度は天寿をまっとうするまで生き抜いて。
といわれているだけです」

「解った。女神が関わるのならば、これ以上詮索はやめよう」
「理解して頂き助かります」


【後書き】
どうでしょうか、あっさりと王様の作戦勝ちです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お妃さま誕生物語

すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。 小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

魔法のせいだから許して?

ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。 どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。 ──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。 しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり…… 魔法のせいなら許せる? 基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

処理中です...