旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油

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6部 グランスラム帝国編

6.11 シーラリアそろそろ旅立ち

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 到着からあっというまに13日がすぎだ。今日は昼から誘拐された子供達を転移させシドニアとラルクバッハに移動する。
 昼までは仕事をした。立ち上げ直後のせいもあるが、領主は大変だ。
 以前の政務を引きついでいるとはいえ、2週間しか経っていないのに文官と兵士が500名までそれなりに組織として動けるようになったので、ここからしばらく戦後補償調整に行かなければならないが、後はミレーユ伯爵が頑張ってくれるだろう。
 この後は、新たな商売ギルドの立ち上げも必要なのでギルド職員も募集をする。
 全ての商売はギルドに所属し税金をギルドで支払う代わりに市場の運営を行うつもりだ。
 最初は食料品販売からギルド化する予定だ。その後で衣料・医療系販売と3ギルドをつくり、それ以外をまとめたギルドを4つ目とする。規模が大きくなれば専用のギルドとして独立させる。
 工業の建て直しに、魔力訓練者の練習場の立ち上げなどそれぞれの文官に割り振ったが文官の数よりも明らかに仕事の方が多い。
 一気にすべてを終わらせることはできないので、順番にやれば良いと指示をだしてある。無理をし過ぎないようにしてほしい。

 午後になり転移の時間となった。
 まずは転移を繰り返しシドニアの王城に該当の7名を引き渡す。
 既に親や親戚など受け手が集まっていた。
感謝を伝えられるが大変なのはこれからだ。
 誘拐されて戻ってきた子供達。
 もしも貴族の生活が無理なようなら子供の意見を優先して欲しいと伝えた。

残りをつれてラルクバッハへ移動した。
王城に着くとすぐに謁見の間に子供達と移動した。集まっていたのは4家族だけだ。他の子供たちの家族は今移動中らしい。後ろに王都にある親戚の家から迎えに来た執事や侍女が並んでいたので全員が引き取られるようだ。
 王城の謁見の間を出るとエリンがスザンヌとマリアを連れてきてくれていた。
 3人を連れて部屋で休憩。
 この10日間であったイベントをかいつまんで話をした。

 夜は誘拐された子供と親を含めた晩餐会が行われた。もちろん迎えに来ていた親戚もいる。
 王様と王妃様も参加していた。
 誘拐された中には、兵士になったばかりの人がいたので、私が初日に兵へ挨拶した日に200人抜きをした時の話をしていた。
 そしてこう伝えてきた。
「私は孤児院で育ちました。そこで見た貴族はいつも威張り散らすだけだった。民から税金を吸い上げ、そのお金で自分を着飾ることに一生懸命だった。日々暮らしぶりが悪くなりあっちでもこっちでも失業していき、最後には奴隷になってどこかへ連れて行かれた。でもジルベール様は何か違うと思った。僕は、いまさら貴族になり、威張り散らすための勉強などしなくても良い。僕はもう成人もしました。一人でも生きていけますし、剣を持って戦えます。ぜひジルベール様の部下にしてください」
 彼の眼は真剣だ。まあ嬉しいけど。

「とりあえず、今すぐに僕の部下になると言うのは断ります」
 すっぱりと否定した。
 驚き、残念な顔をする。
「あなたは昨日まで平民として育った。だが今日からは貴族だ。貴族が兵として参加するのと平民が兵として働くのは立場も責任も違う。貴方が貴族が嫌いだから平民として兵士になり僕に使えたいと言われても、平民ならば僕が貴方を優遇する理由が無い。部下となるなら貴族として来てほしい」
「う、貴族じゃなければだめなのか」
「あなたが貴族が嫌いだと言ったがそれはなぜですか? 貴方は普通の貴族とは違う経験をした。ならば貴方はこうあってほしいと願う貴族になれば良い。貴族でなければできないことは多い。貴方が思う正しい貴族になり貴方が人を救えば良い。そうではありませんか? 僕のもとにくる貴族ならばそうであって欲しいと思います」
「ああ、それも一理ある。だが急に貴族と言われても」
「もちろんです。貴方は貴族がなぜ偉いか知っていますか。私は先日兵を倒した時に、私よりも優先して民を守れと言った。だが貴方が貴族として参加するならばそれだけではダメだ。貴方は部下の命も預かっている。部下が怪我をしたり死ぬべき場所は貴方が決めるのだ。だから作戦を考え、最適な一手をうたなければならない。部下の命を守るか危険に晒さずに益を得るにはどうするのか考えなければならない。部下は物ではない。
生きている人だ。
それは貴方が一番わかっているでしょう。
だから戦略・戦術を考え守り適切に攻める。
あなた方はもう貴族になったのだからそれを学ばなければいけない。ただ戦うだけで貴方は義務を果たしたことにはならない。
それに私の部下になりたいというならば私ができないあるいは不得意なところをサポートできるようになってから来て欲しい。僕の言いたいことが解りますか」
言葉を話しはじめた子が「はい」と返事をした。
 その後で、もう一人の兵士に徴兵されていた子供も「わかりました」と答えた。
「では2人ともまずもっと勉強しなさい。貴族としての教養は必要だ。貴族の地位はきちんと勉強し自覚すればきっと約に立つ。
元の立場よりももっと多くの人を救えるんだ。
そして基礎を勉強したら大学に入り戦術を学びなさい。部下の命を直接守るのはあなた方だ自信を持って私の前に立てるようになったならば喜んで迎えるよ。良いかな」
「「はい」」
「うん年に似合わない偉そうなことを言ったけど親も無く育ちいまさら親を親と思えないというのは解る。私の父は生まれる前に死んだ。突然実は父が生きていたと言われてそこに立たれても実感は無いだろう。だから親を頼らずに兵士になりたいと言った理由の一つだと思う。貴方達の親は私と違って幸いなことに生きている。君達の親は君達を可愛がりたいときに君達がいなかった。帰ってきたと思ったら勝手に育ちもう親は必要ないと言われるのは親としては悲しいんだよ。苦労して探し続けそれでも諦めきれなかった人達。ずっと悲しい思いをしたんだよ。親は子が思う以上に子の事を思っている。親の生きているうちに親孝行してあげないといけない。
れが出来るのだから急いで家を出る必要はないよ。暫くはちゃんと親にあまえるんだ。それが親孝行になるのだから」
と言うと親達が全員泣いていた。
「公爵様ありがとうございます」と口々に言われ急に泣き出した親を見て心配そうに見つめる子供達。
親が気がつき抱きしめる。
うーん良い絵だけどなんでこうなった?
王様が最後に
「ジルベール、娘が嫁ぐから私が父親変わりもすると言った。わかっているならワシに甘えるのも親孝行じゃ。たまには甘えて来い」
「え、あ。そうそうですね。お父さん」
と言ったら王様が泣き出しちゃった。
なぜスーまで泣いてるんだ?
王妃様が「私達の事もお母さんと呼んで良いからね」と1妃様が言う。
いや母親はアメリがまだ健在だしな。
期待の目で見て来る。
「おかあさま。情勢が落ち着いたらになりますが、今度スーとマリア達と領地の海に行きましょう。イルカがいるし一緒に遊べますよ」
3妃様が急に食いついた。
「イルカってあの海にいるイルカ?」
「ええ、他のイルカがいるのですか?」
「イルカがどうして人と遊べるの?」
「海の魔物をイシスで退治したのですが、近くにいたイルカをイシスが連れてきてくれたんです。イルカは魔物を退治してくれたので感謝しているようです。現在海のパトロールをやってくれてるんです」
「へー、すぐにでも行きたいけど私、今妊娠しているのよね」と教えてくれた。
現在妊娠4ヶ月だそうだ。
 10月出産予定。
 おめでとうございます。
 王様頑張るなー。
 会場は一気におめでたムードに戻った。
 良かった。
 王様にはゴブリンが大発生していていた討伐した事も話した。全部で1500体もいてゴブリン将軍がいたと伝えた。

 食事会に参加していた全員が驚愕の顔を見てくるのでそんなに強くなかったですよと伝える。
 ふつうは、ゴブリン将軍は100人の兵でも倒せないぐらい強いそうだ。
 ステータスはエイミーを超えていたので、もしかしたら互角ぐらいだったかも知れない。 時間魔法を使わずに純粋に肉弾戦をすれば大変だったのかもしれない。
 今の所、時間魔法が使えるので、ゴブリン将軍が100体いると時間魔法の切れ目ができて大変になったかもしれないが、それほど問題は感じられない。だとすると、僕の戦闘力はかなり異常なのだろうか。
 将軍程度でここまでびっくりするのだろうからやはりゴブリン王と女王の話はしないほうが良いだろうな。
 晩餐が終りみんな王城を出て王都の館や宿泊施設に移動した。
 王城内の王弟の部屋がまだ完成していないので今日も客間に移動した。

 朝の出発まではエリンが面倒を見てくれた。
 彼女の近況は、王城内で妖精を見つけ仲間になってくれたらしい。声をかけると近くに来てお菓子をあげたら仲間になったらしい。 
 エリンが、妖精はかわいんですよと教えてくれたが仲間になった妖精は力の弱い妖精なので、残念ながら自ら実体化する事はできないらしく、普通の人には見えないそうだ。エリンの手のひらに置いたお菓子が消えたので言っている通り妖精が居るのは確からしい。
 手品を見ているみたいでちょっと不思議だった。

 そして出発。
 あらためてスーとマリアに挨拶をしてから出発した。シドニアからガルダでシーラリアを見ながらゆっくりと北上し途中の転移ポイントを作りために途中の村へ寄った。

 空間魔法のレベルがあがり、専用の魔法陣が必要なくなったとは言え、自分でその地に立たないと転移ができないのでガルダから瞬転で降り村の入り口に立つ。流石に中に入るほどの時間はないので、すぐにガルダに戻り出発。これを繰り返しながら進む。
 本当は全ての村や町で何が困っているか話を聞きたいのだけど、それは次回にする。

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