娼館で死んだΩ、竜帝に溺愛される未来に書き換えます

めがねあざらし

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85、竜の誓い

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エリオットの心臓が、大きく跳ねる。

(共に、生きる……)

それがどういう意味を持つのか、もう分からないほど子供ではない。
彼の隣に立つということは、単なる伴侶というだけではなく——
帝国の「皇妃」として生きることを意味する。
けれど、エリオットはもう迷わなかった。
シグルドがここまでして自分を取り戻したのなら、もう拒む理由はない。

「……はい」

小さく、けれどはっきりとした声で応えた。
その瞬間、シグルドの瞳がわずかに揺れた。

「……君は、本当にいいのか?」
「ええ」

エリオットはゆっくりと頷く。

「あなたが、僕のために全てを賭けてくれたのなら……僕も、あなたの隣に立ちたい」

それは、誓いだった。
エリオットにとって、これまでの人生で最も覚悟を決めた言葉だったかもしれない。
シグルドは微かに目を細めると、静かに手を差し出した。

「ならば……トラヴィスの"竜の誓い"を交わそう」
「"竜の誓い"……?」

エリオットは、きょとんとした顔をする。
アルヴィオン王国には、そんな儀式は存在しない。
それなりに知識を有するエリオットも聞いたことがなかった。

「アルヴィオンでは馴染みがないかもしれないが、トラヴィスでは番を正式に迎える際に"誓いの儀"を行う」
「……どんなものなんです?」

シグルドは軽く口の端を上げると、エリオットの手を取った。

「"契りの印"を刻む」
「っ……!」

エリオットは一瞬身を強張らせた。
番の誓い的な「噛みつきのマーキング」なのかと思ったが——
シグルドは首を傾げ、ふっと笑う。

「そう警戒するな。トラヴィスの印は……"誓いの指輪"のようなものだ」
「指輪?」
「いや、正確には"紋様"だな」

そう言うと、シグルドはエリオットの左手を取り、その手の甲にそっと触れる。

「竜の血を引く者が"番"と契るとき、魔力を込めて印を刻む……この印は、番が"唯一無二の存在"であることを示すものだ」

その瞬間——シグルドの指先が淡く光を帯びた。
エリオットの手の甲に、温かい感覚が広がる。

「……あ……」

次第に、シグルドの指が触れた部分に 金色の紋様 が浮かび上がってきた。
それはまるで、美しく絡み合う龍の文様のようだった。

「これは……?」
「私の番である証だ。以前はこれも刻むことができなかった」

シグルドは首を傾げ、ふっと笑う。

「所謂、番の誓いは今の君には無理だろう?」
「……!」

その言葉に、エリオットは言葉を失う。
マーキング。
それは αがΩの首筋を噛むことで、互いのフェロモンを交わし、完全な番となる儀式 だ。
けれど、今のエリオットは発情期ではない。

(……いや、違う)

エリオットはシグルドに助けられたあの時依頼、抑制剤を使い続けている。
マーキングをするには、自然な発情期が訪れる必要がある。

「これは消えないものですか?」

エリオットが問いかけると、シグルドは一瞬、考えるように目を伏せる。

「……本来は、望めば消せるものだ」
「……本来?」
「だが、君が"私の番"であると誓った以上——私が消すことはない」
「……っ」

エリオットは思わず息を呑む。

(僕が、この印を望めば消すことができる……でも)

左手の甲に刻まれた、淡い金色の紋様。
竜の加護を宿すような、美しい絡み合う文様。
それは確かに"誓い"の証だった。

「……それなら、僕も消すことは望みません」

エリオットは紋様をそっと撫でると、静かに微笑む。

「これは、あなたのものですから」
「……!」

シグルドの瞳が微かに揺れる。
けれどすぐに、満足げに微笑み、エリオットの手を取った。

「ならば、君は正式に"私の番"だ」

そう言って、シグルドはエリオットの指先に軽く口づける。
その仕草に、エリオットは思わず赤くなる。

「……手の甲に刻むのも伝統なのですか?」
「いや、ただの私の趣味だ」

シグルドは平然とした顔で答えた。

「……あなたって、本当に……」

エリオットは呆れながらも、どこか心地よさを感じていた。
手の甲に残る温かさ。
金色の紋様は、確かにそこに刻まれている。

(これは、僕が選んだ未来の証……)

シグルドが、優しくエリオットの手を包み込む。

「では……そろそろ帝国へ行く準備をするか」

その言葉に、エリオットはゆっくりと頷いた。

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明日も2回更新です!
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最近これつけるの忘れてました( ノД`)シ
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