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第二十三話 略奪2
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シャワーを浴びて、着替えてスマホと財布だけをコートのポケットに突っ込んで、姫鷹は足早に母屋から出た。兄にも三成にも見つかっては面倒臭い。幸いにもそのどちらともに見つかることはなく、外に出られた。時間的にもぴったりで、待ち合わせの場所には既に車がある。
近付くと、助手席の窓が開いて、ひらりと央亮が手を振った。
「乗って」
いつもと同じように、笑顔で央亮が言う。変わらぬ態度にどこかホッとしながら車に乗り込んだ。すると、腕を軽く引っ張られて頬にキスをされる。
「あけましておめでとう。姫。元気にしてた?」
「あけましておめでとう。そんなに長く離れていないよ?」
小さく笑い、キスを返してシートベルトを着けると、車が緩やかに発進した。
「少しでも離れたくないんだよ、俺はさ。あー、もうおうちに帰したくないな。このままどこか遠くまで連れ去りたい」
言葉に少しだけ、姫鷹は目を見開く。央亮をチラリと見ると、冗談半分本気半分のような顔つきだ。
ーー央亮と一緒なら、それはそれでいいのかもしれない・・・どちらにせよ、近くにいると弱い俺は吹っ切れるまで時間がかかってしまう・・・それは、不誠実だ・・・。
そんな風に思った。それに今、三成は姫鷹の心中を読むかのように近づいて来る。央亮に気付かれないよう、姫鷹は小さく小さく溜息を吐いた。
「それもいいね・・・央亮となら楽しそうだ」
運転に支障がないように注意しつつ、央亮の服を軽く引っ張った。央亮はミラー越しに姫鷹を見ると肩を竦めた。
「よほどおうちが大変とみえる。由緒正しいとこは挨拶ひとつも大変そうだね。俺はうちくらいでよかったよ」
「それほどでもないよ。今相手してるのは兄たちだし。それにほら、末弟はこうして恋人と逢瀬を楽しんでるよ?」
手を離していたずらっぽく姫鷹は笑い、央亮と同じように肩を竦める。
「違いない」
央亮は楽しそうに笑い声をあげて、車を走らせた。流れる景色を見ながら、ふと姫鷹は首を傾げる。
「そういえばどこに行くの?」
その時ちょうど車が信号で停まり、央亮は姫鷹の耳に顔を寄せると、
「あのね、カーセックスできると・こ」
そう囁くように言って、姫鷹の耳朶を甘噛みする。
「・・・んっ、こ、この車で?ホテルじゃだめ、かな?それか央亮の家とか・・・」
予想していなかった答えに、姫鷹は央亮を見る。その顔がみるみるうちに真っ赤になり、央亮の服を再度引っ張った。ある程度、今夜がそういう流れであろうことは、姫鷹にだって予想はできていた。だから会う前にそれなりの準備はしている。なければないでそれはいいが、準備なしに触れられるのは、どうしても気になってしまう。しかし、まさか車とは思っていなかったのだ。
央亮はそんな様子の姫鷹の頬にまた口付けてから、信号が変わるのを視界の端で捉えて、顔を前に向けた。
「だーめ。ここでしたい。姫の残り香に包まれて帰りたい。それに、興奮するでしょ?」
「み、溝内先生の変態・・・!」
「姫限定でね」
はは、と笑って央亮は運転を続けた。車は進み、街を走り抜けていく。怖いということはないが、本当に?と央亮を何度かせっついたが、にやっと笑うだけだ。そのうち、海の向こうに大きな橋が望める埠頭に車がついた。
「お、央亮・・・、え、本当に・・・?ここで・・・?」
周囲は暗いと言えば暗い。夜景があるので真っ暗というほどではないが、車内はよほど近付くか、車内ライトをつけない限りは見えないだろう。ちらほらと車は止まっているものの、それぞれの距離は空いている。
央亮は自身のシートベルトを外し、姫鷹の方へと身を乗り出す。手を伸ばして姫鷹のシートベルトを外すと、唇を啄んでにっこりと微笑み、姫鷹を無言で見つめた。
いっとき、そうして視線を受け続け、姫鷹は姫鷹で黙っていた。しかし、
「・・・わかった、わかったよ。仕方のない先生だね・・・」
お手上げとばかりに姫鷹はふう、とため息を吐き出して微苦笑を浮かべると、央亮の唇に自分から触れるだけのキスをする。央亮は姫鷹の答えに、笑みを深めて、キスを返した。
「やったね。でもさ、期待して準備してきてくれてるんでしょ?」
「な・・・っ!」
「あれー?違った?」
「う、うるさい・・・!そんなこと言うなら、俺はしないよ」
ずばりの指摘に、姫鷹は赤い顔をさらに赤くさせてそっぽを向いた。央亮は手をあげて姫鷹の髪を撫でながら、ごめん、と一つ告げる。
「揶揄って悪かったよ。でもさほんとに嬉しい。だんだん俺を姫が受け入れてくれてさ」
「別に・・・」
「そう?どんどん俺好みになってくれるしね」
そう言いながら、央亮は運転席に戻り、シート位置をグッと後部座席側へと下げる。姫鷹は黙ったままで、いまだ央亮からは顔を背けたままだ。
「ひーめ」
呼んでも、ふん、と鼻を鳴らしただけで姫鷹は自分の方を向かない。央亮はくすくすと笑いながら、姫鷹の肩に手を回して引き寄せる。それには逆らわず、姫鷹も身体を寄せた。
「可愛いなぁ。会いたかったよ、姫」
近くに来た姫鷹の首筋に一つキスを落とす。小さく、あ、と息を漏らしてから姫鷹は漸く央亮の方へと顔を向けた。
「俺も・・・」
それは嘘ではない。結局のところ、始まりがどうあれ、姫鷹の心は央亮にもあって、三成への気持ちと二分している。だからどちらも拒めないし、どちらかを切り捨てるということも出来ず、不実なことになっている。
央亮の顔を見上げる。付き合い始めは到底好きになれることはないだろう、と思っていた男はいつの間にか姫鷹の心の中に入り込んでいた。
「央亮、好き・・・」
小さく呟くように零しながら、央亮の唇に自分から口付けた。央亮はそれに応えるように姫鷹の唇を啄む。
「ふふ、嬉しいね。俺も姫が好きだよ。ほら、ここも・・・姫を愛したがってる」
言葉尻はどこかおどけるように言いつつ、姫鷹の片手をとり、央亮は自身の股間へと導いた。姫鷹の指先が触れた央亮のそこは、硬くなり始めていて、姫鷹は軽く息を飲んだ後、央亮の唇に柔く噛み付いた。
「ムードもへったくれもないな、先生は・・・」
全く、と言いながらも姫鷹は導かれた場所で手を動かして、央亮の履くズボンのボタンを外す。ファスナーをおろし、下着越しに触れた。
「とか言いながら姫も触ってるけど。それ、どーすんの?」
綺麗な指で擦ってくれるの?と姫鷹の耳朶を甘噛みした。ぴく、と姫鷹が小さく肩を揺らす。
「こうする」
下着の中から央亮の半勃ちになったものを取り出してから、姫鷹は顔をそれへと寄せるように身を落とした。空気に晒された亀頭に、口付ける。
「新年早々、嬉しいことしてくれるなぁ。でもちょっとでいいよ?それよりも、姫を愛したい」
自分の腹下にある姫鷹の髪を柔らかい手つきで撫でながら、央亮が言う。ん、と小さく返事をしながら姫鷹は口付けた場所を食んだ。口内で舐め上げて、吸うと、ぐっとそれの硬さが増す。
はじめてこれ口にした時は、ゴム越しだったことを思い出す。あの時の自分が、今と同じように三成に迫られたなら、間違いなくそちらを選んだだろう。尤も、央亮とこういう関係になったことが起因し、三成がああなったのだから、ありえない話なのだろうけれど。
そう思うと、三成にしろ自分にしろ、随分と鈍感だ。お互いに際に立つまでは気付けないのだから。それと同時に、こんな自分を愛しているという央亮に、姫鷹は申し訳なさでいっぱいになる。この心を見抜いて三成は『情』と言ったのかもしれない。だからと言って、好きではない、という話でもないのだ。
ーー好き、なんだよ、俺は・・・確かに、央亮が。なのに、三成も・・・本当に嫌になる・・・。
「姫」
「・・・ん?」
名前を呼ばれて、姫鷹が視線を上げると、央亮の手が姫鷹の顎にかかり、自身のものから顔を上げさせた。
「あ・・・気持ちよく、ない・・・?」
考えに気を取られていて、口を動かしているつもりではあっても、疎かになっていたかもしれない。窺うように姫鷹が首を傾げると、央亮は、ふ、と笑った。
「いーや?ちゃんと気持ちいいよ。ただ・・・」
顔を上げた姫鷹の身体へと手を回して、そのまま央亮は姫鷹の上体を上げるようにしながら引き寄せる。動きに従い、姫鷹はその身を央亮の膝の上へと移動させた。向き合うようになった姫鷹の頬を央亮の片手が撫でる。
「姫が積極的なときは悩みがあるときが多いんだよね。おうちで、何かあった?」
思わず央亮をじっと見つめる。確かにそうかもしれない。悩みーー疚しい気持ちが拭えない時はそういうことで罪滅ぼしをするように自分は動いている気もする。しかしそれを正直に話すわけにもいかず、困ったように姫鷹は首を傾げた。
「疲れてるの、かも・・・うち、本当に煩いから・・・」
煩い、の中には三成のことも入っている。そう言ってしまっては若干の心苦しさは感じたが。
姫鷹の答えに央亮は、そっか、と答えた。
「疲れてるなら、やめとこうか?俺、結構間抜けな格好だけど」
軽く笑いながら首を傾げた央亮に、姫鷹も笑いを小さく笑いを漏らした。央亮の肩の方へと頭を下げると、そこへ額を擦り付ける。
「・・・やめたくない・・・央亮と、したい・・・」
頬が熱くなるのを感じながら、姫鷹が呟く。それを聞き、央亮は姫鷹の身体に片手を回して、お望みのままに、と優しく答えた。優しい声とは裏腹に、央亮の目が冷たく細められていたことを、姫鷹は知らない。
近付くと、助手席の窓が開いて、ひらりと央亮が手を振った。
「乗って」
いつもと同じように、笑顔で央亮が言う。変わらぬ態度にどこかホッとしながら車に乗り込んだ。すると、腕を軽く引っ張られて頬にキスをされる。
「あけましておめでとう。姫。元気にしてた?」
「あけましておめでとう。そんなに長く離れていないよ?」
小さく笑い、キスを返してシートベルトを着けると、車が緩やかに発進した。
「少しでも離れたくないんだよ、俺はさ。あー、もうおうちに帰したくないな。このままどこか遠くまで連れ去りたい」
言葉に少しだけ、姫鷹は目を見開く。央亮をチラリと見ると、冗談半分本気半分のような顔つきだ。
ーー央亮と一緒なら、それはそれでいいのかもしれない・・・どちらにせよ、近くにいると弱い俺は吹っ切れるまで時間がかかってしまう・・・それは、不誠実だ・・・。
そんな風に思った。それに今、三成は姫鷹の心中を読むかのように近づいて来る。央亮に気付かれないよう、姫鷹は小さく小さく溜息を吐いた。
「それもいいね・・・央亮となら楽しそうだ」
運転に支障がないように注意しつつ、央亮の服を軽く引っ張った。央亮はミラー越しに姫鷹を見ると肩を竦めた。
「よほどおうちが大変とみえる。由緒正しいとこは挨拶ひとつも大変そうだね。俺はうちくらいでよかったよ」
「それほどでもないよ。今相手してるのは兄たちだし。それにほら、末弟はこうして恋人と逢瀬を楽しんでるよ?」
手を離していたずらっぽく姫鷹は笑い、央亮と同じように肩を竦める。
「違いない」
央亮は楽しそうに笑い声をあげて、車を走らせた。流れる景色を見ながら、ふと姫鷹は首を傾げる。
「そういえばどこに行くの?」
その時ちょうど車が信号で停まり、央亮は姫鷹の耳に顔を寄せると、
「あのね、カーセックスできると・こ」
そう囁くように言って、姫鷹の耳朶を甘噛みする。
「・・・んっ、こ、この車で?ホテルじゃだめ、かな?それか央亮の家とか・・・」
予想していなかった答えに、姫鷹は央亮を見る。その顔がみるみるうちに真っ赤になり、央亮の服を再度引っ張った。ある程度、今夜がそういう流れであろうことは、姫鷹にだって予想はできていた。だから会う前にそれなりの準備はしている。なければないでそれはいいが、準備なしに触れられるのは、どうしても気になってしまう。しかし、まさか車とは思っていなかったのだ。
央亮はそんな様子の姫鷹の頬にまた口付けてから、信号が変わるのを視界の端で捉えて、顔を前に向けた。
「だーめ。ここでしたい。姫の残り香に包まれて帰りたい。それに、興奮するでしょ?」
「み、溝内先生の変態・・・!」
「姫限定でね」
はは、と笑って央亮は運転を続けた。車は進み、街を走り抜けていく。怖いということはないが、本当に?と央亮を何度かせっついたが、にやっと笑うだけだ。そのうち、海の向こうに大きな橋が望める埠頭に車がついた。
「お、央亮・・・、え、本当に・・・?ここで・・・?」
周囲は暗いと言えば暗い。夜景があるので真っ暗というほどではないが、車内はよほど近付くか、車内ライトをつけない限りは見えないだろう。ちらほらと車は止まっているものの、それぞれの距離は空いている。
央亮は自身のシートベルトを外し、姫鷹の方へと身を乗り出す。手を伸ばして姫鷹のシートベルトを外すと、唇を啄んでにっこりと微笑み、姫鷹を無言で見つめた。
いっとき、そうして視線を受け続け、姫鷹は姫鷹で黙っていた。しかし、
「・・・わかった、わかったよ。仕方のない先生だね・・・」
お手上げとばかりに姫鷹はふう、とため息を吐き出して微苦笑を浮かべると、央亮の唇に自分から触れるだけのキスをする。央亮は姫鷹の答えに、笑みを深めて、キスを返した。
「やったね。でもさ、期待して準備してきてくれてるんでしょ?」
「な・・・っ!」
「あれー?違った?」
「う、うるさい・・・!そんなこと言うなら、俺はしないよ」
ずばりの指摘に、姫鷹は赤い顔をさらに赤くさせてそっぽを向いた。央亮は手をあげて姫鷹の髪を撫でながら、ごめん、と一つ告げる。
「揶揄って悪かったよ。でもさほんとに嬉しい。だんだん俺を姫が受け入れてくれてさ」
「別に・・・」
「そう?どんどん俺好みになってくれるしね」
そう言いながら、央亮は運転席に戻り、シート位置をグッと後部座席側へと下げる。姫鷹は黙ったままで、いまだ央亮からは顔を背けたままだ。
「ひーめ」
呼んでも、ふん、と鼻を鳴らしただけで姫鷹は自分の方を向かない。央亮はくすくすと笑いながら、姫鷹の肩に手を回して引き寄せる。それには逆らわず、姫鷹も身体を寄せた。
「可愛いなぁ。会いたかったよ、姫」
近くに来た姫鷹の首筋に一つキスを落とす。小さく、あ、と息を漏らしてから姫鷹は漸く央亮の方へと顔を向けた。
「俺も・・・」
それは嘘ではない。結局のところ、始まりがどうあれ、姫鷹の心は央亮にもあって、三成への気持ちと二分している。だからどちらも拒めないし、どちらかを切り捨てるということも出来ず、不実なことになっている。
央亮の顔を見上げる。付き合い始めは到底好きになれることはないだろう、と思っていた男はいつの間にか姫鷹の心の中に入り込んでいた。
「央亮、好き・・・」
小さく呟くように零しながら、央亮の唇に自分から口付けた。央亮はそれに応えるように姫鷹の唇を啄む。
「ふふ、嬉しいね。俺も姫が好きだよ。ほら、ここも・・・姫を愛したがってる」
言葉尻はどこかおどけるように言いつつ、姫鷹の片手をとり、央亮は自身の股間へと導いた。姫鷹の指先が触れた央亮のそこは、硬くなり始めていて、姫鷹は軽く息を飲んだ後、央亮の唇に柔く噛み付いた。
「ムードもへったくれもないな、先生は・・・」
全く、と言いながらも姫鷹は導かれた場所で手を動かして、央亮の履くズボンのボタンを外す。ファスナーをおろし、下着越しに触れた。
「とか言いながら姫も触ってるけど。それ、どーすんの?」
綺麗な指で擦ってくれるの?と姫鷹の耳朶を甘噛みした。ぴく、と姫鷹が小さく肩を揺らす。
「こうする」
下着の中から央亮の半勃ちになったものを取り出してから、姫鷹は顔をそれへと寄せるように身を落とした。空気に晒された亀頭に、口付ける。
「新年早々、嬉しいことしてくれるなぁ。でもちょっとでいいよ?それよりも、姫を愛したい」
自分の腹下にある姫鷹の髪を柔らかい手つきで撫でながら、央亮が言う。ん、と小さく返事をしながら姫鷹は口付けた場所を食んだ。口内で舐め上げて、吸うと、ぐっとそれの硬さが増す。
はじめてこれ口にした時は、ゴム越しだったことを思い出す。あの時の自分が、今と同じように三成に迫られたなら、間違いなくそちらを選んだだろう。尤も、央亮とこういう関係になったことが起因し、三成がああなったのだから、ありえない話なのだろうけれど。
そう思うと、三成にしろ自分にしろ、随分と鈍感だ。お互いに際に立つまでは気付けないのだから。それと同時に、こんな自分を愛しているという央亮に、姫鷹は申し訳なさでいっぱいになる。この心を見抜いて三成は『情』と言ったのかもしれない。だからと言って、好きではない、という話でもないのだ。
ーー好き、なんだよ、俺は・・・確かに、央亮が。なのに、三成も・・・本当に嫌になる・・・。
「姫」
「・・・ん?」
名前を呼ばれて、姫鷹が視線を上げると、央亮の手が姫鷹の顎にかかり、自身のものから顔を上げさせた。
「あ・・・気持ちよく、ない・・・?」
考えに気を取られていて、口を動かしているつもりではあっても、疎かになっていたかもしれない。窺うように姫鷹が首を傾げると、央亮は、ふ、と笑った。
「いーや?ちゃんと気持ちいいよ。ただ・・・」
顔を上げた姫鷹の身体へと手を回して、そのまま央亮は姫鷹の上体を上げるようにしながら引き寄せる。動きに従い、姫鷹はその身を央亮の膝の上へと移動させた。向き合うようになった姫鷹の頬を央亮の片手が撫でる。
「姫が積極的なときは悩みがあるときが多いんだよね。おうちで、何かあった?」
思わず央亮をじっと見つめる。確かにそうかもしれない。悩みーー疚しい気持ちが拭えない時はそういうことで罪滅ぼしをするように自分は動いている気もする。しかしそれを正直に話すわけにもいかず、困ったように姫鷹は首を傾げた。
「疲れてるの、かも・・・うち、本当に煩いから・・・」
煩い、の中には三成のことも入っている。そう言ってしまっては若干の心苦しさは感じたが。
姫鷹の答えに央亮は、そっか、と答えた。
「疲れてるなら、やめとこうか?俺、結構間抜けな格好だけど」
軽く笑いながら首を傾げた央亮に、姫鷹も笑いを小さく笑いを漏らした。央亮の肩の方へと頭を下げると、そこへ額を擦り付ける。
「・・・やめたくない・・・央亮と、したい・・・」
頬が熱くなるのを感じながら、姫鷹が呟く。それを聞き、央亮は姫鷹の身体に片手を回して、お望みのままに、と優しく答えた。優しい声とは裏腹に、央亮の目が冷たく細められていたことを、姫鷹は知らない。
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続きがとっても楽しみです😊ステキなお話をありがとうございます!
感想ありがとうございます♪
続きが気になるって嬉しいです!
今後もお楽しみを!
わぁ〜い!!!三成×姫鷹!
楽しみに読ませてもらいます!
感想ありがとうございます♪
そう、あの2人なのです。
今後もお楽しみに!