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EXTRA:夜に、あなたの声で
即位式と婚礼式が、すべて滞りなく終わった夜だった。
王宮の高い窓から、月が薄く射し込んでいる。
ザイファルの都は、不思議なほど静かで、祝宴の余韻すらも遠くに感じられた。
広すぎる寝室の中、ぼんやりと立ち尽くしていると、背後から優しい足音が近づいてくる。
「……リオン」
名を呼ばれるだけで、胸の奥がきゅっとなる。
振り返ると、儀礼の衣を脱ぎ、私服姿のガルハルト陛下がそこにいた。
けれど今夜は、彼をそう呼ぶのが不思議に思える。
「……こんなに静かな夜は、久しぶりだ」
彼が呟き、そっと僕の頬に触れる。
この人が、今宵から僕の夫になるのだと思うと、たまらなく嬉しかった。
いつも僕を守ってくれて、尊重してくれて……ただ一人の人間として扱ってくれた。
「陛下……」
彼の指先は熱を帯びているのに、触れ方はまるで壊れ物に触れるみたいに優しくて――怖くなって、目を閉じる。
「ガル、と呼んでくれ、リオン」
「ガル……ん……」
そのまま唇が重なった。
最初はそっと触れるだけの、確かめるようなキス。
けれど、少しずつ温度を帯び、深く、吸い込まれるように甘くなっていく。
舌先が軽く触れたとき、喉の奥が震えた。
唇を割られ、舌が絡み合う。
息が混ざるたび、鼓動の音が混線し、身体の奥がふるえていく。
「……緊張してるのか?」
優しく囁かれて、思わず俯く。
「はい……だって、夢みたいで……少し、怖いんです」
すると彼は、くすっと笑って、僕の腰に手を添えた。
「俺も、怖い……気を抜けば君を壊してしまいそうで」
そのまま、耳元に唇が落ちる。
「リオン」
その声に、心の奥まで抱きしめられたような気がした。
衣擦れの音とともに、薄い夜着がするすると脱がされていく。
月明かりの下に肌を晒すのは、どこか儀式のような感覚があった。
肌に触れる指先は、まるで風のように優しく、けれど芯のある熱を持っていた。
首筋から鎖骨、胸の中央を舌がなぞるたび、息がこぼれていく。
「っ……ん……」
胸元の小さな突起に、彼の舌先が触れた瞬間、ぴくんと身体が跳ねた。
優しく吸われ、歯先で転がされるたびに、そこが熱を帯びて、じわじわと快感が染み込んでいく。
「は……っ、そこ……、だ、め……」
「だめじゃない。感じてる……可愛い」
唇が反対側の乳首に移り、指先は腹筋を這って下腹部へ。
薄く汗ばんだ肌に、指がなぞるたび、熱が移る。
やがて、脚の付け根に触れられたとき、僕は思わず目を伏せた。
「あっ……」
恥ずかしさと、どうしようもない愛しさが胸を満たしていた。
キス以上は抱きしめ合うだけで、僕がじれるくらいに大事にしてくれた。
発情期のときでさえ、僕を満足させるためだけに徹していた。
自分の欲をぶつけようとは、一度もしてこなかった。
優しい、獣。
そんな彼が、今、僕を抱こうとしている。
それだけで、いつもと違う熱がじわじわと滲んでくるようだった。
「リオン。ゆっくりでいい、力を抜いて……無理強いをするつもりはない」
その一言が、胸の奥をほどくように響いた。
張り詰めていたものが、ふわりと緩む。
「……いいえ、ガル……触れてください。僕、あなたのものに……なりたいんです」
言葉にするのは、怖かった。
けれど彼の手があたたかくて、そっと包み込んでくれるのがわかって、言えた。
恐る恐る触れた彼の胸は、どくりどくりと規則正しく脈を打っていた。
そこに自分の手を重ねると、不思議なくらい安心できた。
呼吸が交差し、肌が重なっていく。
ぴたりとくっついた体温が、ゆっくりと、でも確かに熱を溶かし合っていく。
やがて、ガルの手が僕の太腿にそっと触れた。
じんわりと広げられて、内腿に風が触れるだけで恥ずかしさに火がつく。
指が、そっと秘部に触れた瞬間──
「……っ」
自分がすでに濡れていたことに気づいて、思わず顔を隠した。
「……もう、こんなに」
ガルの声が、少し掠れていた。
いつも冷静なその声に微かな熱が混ざっているのを聞いて、胸が躍る。
指先が、濡れたそこをそっとなぞる。
まだ挿れられていないのに、指の腹で軽く撫でられるだけで腰が浮く。
熱くて、疼いて、どうしようもなく触れられたい。
だから、僕は無意識に腰を揺らしてしまった。
でも、ガルは次の瞬間――
「……ここも、我慢してるな」
彼のもう一方の手で柔らかく包み込まれたのは、火照って張りつめた自分自身だった。
「あっ……!」
思わず声が漏れる。
優しく握られ、指先でそっとなぞられるたびに、じわじわと快感が立ち上がってくる。
「全部、感じていい。恥ずかしいなんて思うな。君の全てが……愛おしい」
囁くように言われ、僕は小さく頷くしかなかった。
シーツを握っていた手に力が入っていた。
「……ゆっくりする」
優しい声とともに、後ろにあった指がゆるやかに滑り込んでくる。
ぬる、と濡れた音がして、身体の奥がひくついた。
最初は一本だけ。けれど、その一本だけで、十分に苦しくて甘い。
押し広げられる感覚に背筋が震え、内側が彼の指を追いかけるようにきゅっと締まる。
「だ、めっ……そんな、同時に……っ」
自分でも情けないくらい、声が漏れる。
後ろから指が深く入り、前を優しく扱かれるたびに、体がどんどん浮き上がっていく。
「や……あ、ぁ……っ、も……っ、だめ……」
熱が、腰の奥からじわじわとせり上がってきた。
ガルに乱されながらも、心のどこかで必死に抑えていたものが、とうとう決壊する。
「……っ、ん、くっ……!」
一瞬、何かが弾けたように、視界が白く染まった。
小さく震える体が、痙攣するように波打って――僕は、軽く達してしまっていた。
腹の上に自身の精液がビュクリと滴り落ちる。
「やぁ……っ」
頭がふわふわして、体の奥がじんわりと溶けていく。
けれど、僕が達しても、ガルの指は止まらなかった。
「あ、あ、あっ……ガル、ガル……っ」
「ああ、なんて……リオン、可愛いんだ……」
くちゅ、という音が耳に届くたび、顔が熱くなる。
なのにその音すら、もっと聞きたくなっていく自分がいて──
思わず、腰が勝手にまた揺れた。
「あっ、やっ、そこ……っ、ひ、くっ……ぅ……」
指が柔らかく奥をかき混ぜるように動いてくる。
何かが擦れる感覚に、膝が震える。
「ここ、気持ちいいのか……リオンのここが、俺を求めてる」
「あ、ちが……そんなっ……」
苦しいほど恥ずかしいのに、内側がひくついて、指を離したくないと訴えてくる。
「は……っ、このままもう少し可愛がりたいが……俺も限界だ」
熱い声と一緒に、やがて指が抜かれ、熱のある別のものが、そこに当たった。
「……挿入れるぞ」
太く、硬い先端が押し当てられた瞬間、全身が強張った。
「っ、ぁ……っ、ガル……ま、って……っ」
「いいや、駄目だ……リオン。君の匂いが……俺を呼んでいるんだ。力を抜いて……俺を感じて。……全部、受け止めてくれ」
少しずつ、確実に、彼が僕の中に入り込んでくる。
ぬるりと広げられる感覚と、押し込まれていく重みで、身体が軋んでいく。
「っ……ぅ、く、あ……!」
どこまで入ってくるのか、わからない。
でも、奥が熱くなって、彼を締めつける感覚が、自分のものじゃないみたいだった。
「リオン……っ、きつい……でも、すごく、いい……っ」
彼の声が震えていた。
僕は、必死に頷いた。
「ぼ、くも……だから、ガル……ちゃんと……全部……!」
その言葉に応えるように、彼の腰が動き出す。
ずん、と深く突かれた瞬間、身体の奥が跳ねた。
浅く、深く。
律動が繰り返されるたびに、快感が連鎖して、息が止まる。
「ひっ……んぁっ、あっ、やっ…あ……っ!」
「ここか……ここがいいんだな……」
何度も、何度も、そこを擦られて、身体が溶けそうになる。
熱い肉が、僕の内側をかき混ぜるように動くたび、頭の奥が白く弾けていく。
はち切れんばかりに身体の中を広げられて、どうにかなりそうだった。
「リオン……愛してる。君が、欲しい。ずっと、君だけを……っ」
「ガル……っ!あ、ひぅ……!」
その言葉が、肌の奥にまで届いて、心の根がほどけていく。
ふたりで交わす名前は、祈りのようだった。
自分が“彼のもの”であることを、今、身体が確かに知っていく。
「もっと……君を感じたい……全部、繋がりたい……!」
そう囁かれながら、腰を深く打ちつけられる。
ずん、と奥の奥を突かれ、僕は息も詰まる。
「――っ、く……!」
彼の手が僕の指をぎゅっと握りしめる。
体の芯まで埋まってくる熱に、僕は自分の中がぐずぐずに溶けていくのを感じた。
「ガル……好き、です……好き……!」
その一言に、彼の動きが震え、びくんと体が跳ねる。
太いものが奥に押し込まれたまま、根元がわずかに広がる感覚があって――同時に、彼の唇が首筋を這い、そして、そっと噛みついた。
「……んっ……!」
びくんと身体が跳ねる。
痛みというにはあまりに甘くて、けれど確かに熱くて、
まるでガルのものだと刻み込まれるような感覚に、背筋がぞくりと震えた。
「ひっ……!」
「リオン……!」
名前と共に、ぬるりと熱いものが流れ込む感覚が身体の奥を満たしていく。
まるで、心まで満たされていくような不思議な温かさだった。
「ぁ……!」
全身が震えて、何かが解けていく。
張りつめていた快感と、心の奥の寂しさが、一緒に溢れ出すみたいに。
僕は、自分の中に彼のすべてを受け止めたことに、泣きそうなくらいの幸福を覚えていた。
音も、言葉もない静けさの中、ただ互いの鼓動だけが強く響いてい。
確かに、結ばれた。
心も、身体も、声も。
※
熱い夜のあと、いつのまにか夜は明けていた。
朝靄が静かに差し込む寝室の中で、僕はまだ、ガルの腕の中にいた。
その腕は、まるで宝物を抱くように優しくて、だけど確かに僕を離さない力を持っていた。
ガルが、ぽつりと呟く。
「……子どもができたら、どちらに似るんだろうな」
「えっ……」
驚いて顔を上げると、彼は肩を揺らして笑った。
「冗談だ。……でも、本気でもある」
頬が熱くなるのを感じながら、僕もそっと笑って応える。
「どちらに似ても……きっと、愛しいです」
ガルの指が、僕の腰のあたりをなぞる。
そこに、うっすらと昨夜の跡が残っていた。
「……痛くないか?」
「あ……」
彼の視線が、首筋へと移る。
そこにも、赤い痕がひとつ。
まるで印のように、噛まれた場所が熱を持っている気がした。
「……ねえ、ガル。これって……番いに、なったってことでしょうか……?」
僕が恐る恐る問うと、彼は少し驚いたように目を瞬かせたあと、静かに頷いた。
「……ああ。君の身体が、自分から“選んだ”んだ。発情期じゃなくても、こうなることがある……珍しいが……」
「そうなんです、ね」
「昨夜……君の香りが、変わったのがわかった。だから……抑えるのが、正直、辛かった。自制ができずに、すまない」
「……ううん、うれしいです。だって、これで……ほんとに、僕たち、繋がったってことだから」
僕がそっと囁くと、彼は腕に力を込めて僕を抱きしめた。
「番いになったからって、何かが変わるわけじゃない。けど……これで誰にも渡さないって、はっきり言える」
耳元でそう囁かれて、胸がぎゅっとなった。
僕も、彼に腕を回して答える。
「あなた以外を選ぶ気なんて、最初からないですよ。……ずっと、あなたのものです」
彼が微笑む。
その笑顔が、まるで朝の光そのものみたいで、僕は思わず目を細めた。
愛は、まだ、これから続いていく。
声と、心を重ねながら──もう、二度と離れないように。
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お付き合いいただき、ありがとうございました!
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王宮の高い窓から、月が薄く射し込んでいる。
ザイファルの都は、不思議なほど静かで、祝宴の余韻すらも遠くに感じられた。
広すぎる寝室の中、ぼんやりと立ち尽くしていると、背後から優しい足音が近づいてくる。
「……リオン」
名を呼ばれるだけで、胸の奥がきゅっとなる。
振り返ると、儀礼の衣を脱ぎ、私服姿のガルハルト陛下がそこにいた。
けれど今夜は、彼をそう呼ぶのが不思議に思える。
「……こんなに静かな夜は、久しぶりだ」
彼が呟き、そっと僕の頬に触れる。
この人が、今宵から僕の夫になるのだと思うと、たまらなく嬉しかった。
いつも僕を守ってくれて、尊重してくれて……ただ一人の人間として扱ってくれた。
「陛下……」
彼の指先は熱を帯びているのに、触れ方はまるで壊れ物に触れるみたいに優しくて――怖くなって、目を閉じる。
「ガル、と呼んでくれ、リオン」
「ガル……ん……」
そのまま唇が重なった。
最初はそっと触れるだけの、確かめるようなキス。
けれど、少しずつ温度を帯び、深く、吸い込まれるように甘くなっていく。
舌先が軽く触れたとき、喉の奥が震えた。
唇を割られ、舌が絡み合う。
息が混ざるたび、鼓動の音が混線し、身体の奥がふるえていく。
「……緊張してるのか?」
優しく囁かれて、思わず俯く。
「はい……だって、夢みたいで……少し、怖いんです」
すると彼は、くすっと笑って、僕の腰に手を添えた。
「俺も、怖い……気を抜けば君を壊してしまいそうで」
そのまま、耳元に唇が落ちる。
「リオン」
その声に、心の奥まで抱きしめられたような気がした。
衣擦れの音とともに、薄い夜着がするすると脱がされていく。
月明かりの下に肌を晒すのは、どこか儀式のような感覚があった。
肌に触れる指先は、まるで風のように優しく、けれど芯のある熱を持っていた。
首筋から鎖骨、胸の中央を舌がなぞるたび、息がこぼれていく。
「っ……ん……」
胸元の小さな突起に、彼の舌先が触れた瞬間、ぴくんと身体が跳ねた。
優しく吸われ、歯先で転がされるたびに、そこが熱を帯びて、じわじわと快感が染み込んでいく。
「は……っ、そこ……、だ、め……」
「だめじゃない。感じてる……可愛い」
唇が反対側の乳首に移り、指先は腹筋を這って下腹部へ。
薄く汗ばんだ肌に、指がなぞるたび、熱が移る。
やがて、脚の付け根に触れられたとき、僕は思わず目を伏せた。
「あっ……」
恥ずかしさと、どうしようもない愛しさが胸を満たしていた。
キス以上は抱きしめ合うだけで、僕がじれるくらいに大事にしてくれた。
発情期のときでさえ、僕を満足させるためだけに徹していた。
自分の欲をぶつけようとは、一度もしてこなかった。
優しい、獣。
そんな彼が、今、僕を抱こうとしている。
それだけで、いつもと違う熱がじわじわと滲んでくるようだった。
「リオン。ゆっくりでいい、力を抜いて……無理強いをするつもりはない」
その一言が、胸の奥をほどくように響いた。
張り詰めていたものが、ふわりと緩む。
「……いいえ、ガル……触れてください。僕、あなたのものに……なりたいんです」
言葉にするのは、怖かった。
けれど彼の手があたたかくて、そっと包み込んでくれるのがわかって、言えた。
恐る恐る触れた彼の胸は、どくりどくりと規則正しく脈を打っていた。
そこに自分の手を重ねると、不思議なくらい安心できた。
呼吸が交差し、肌が重なっていく。
ぴたりとくっついた体温が、ゆっくりと、でも確かに熱を溶かし合っていく。
やがて、ガルの手が僕の太腿にそっと触れた。
じんわりと広げられて、内腿に風が触れるだけで恥ずかしさに火がつく。
指が、そっと秘部に触れた瞬間──
「……っ」
自分がすでに濡れていたことに気づいて、思わず顔を隠した。
「……もう、こんなに」
ガルの声が、少し掠れていた。
いつも冷静なその声に微かな熱が混ざっているのを聞いて、胸が躍る。
指先が、濡れたそこをそっとなぞる。
まだ挿れられていないのに、指の腹で軽く撫でられるだけで腰が浮く。
熱くて、疼いて、どうしようもなく触れられたい。
だから、僕は無意識に腰を揺らしてしまった。
でも、ガルは次の瞬間――
「……ここも、我慢してるな」
彼のもう一方の手で柔らかく包み込まれたのは、火照って張りつめた自分自身だった。
「あっ……!」
思わず声が漏れる。
優しく握られ、指先でそっとなぞられるたびに、じわじわと快感が立ち上がってくる。
「全部、感じていい。恥ずかしいなんて思うな。君の全てが……愛おしい」
囁くように言われ、僕は小さく頷くしかなかった。
シーツを握っていた手に力が入っていた。
「……ゆっくりする」
優しい声とともに、後ろにあった指がゆるやかに滑り込んでくる。
ぬる、と濡れた音がして、身体の奥がひくついた。
最初は一本だけ。けれど、その一本だけで、十分に苦しくて甘い。
押し広げられる感覚に背筋が震え、内側が彼の指を追いかけるようにきゅっと締まる。
「だ、めっ……そんな、同時に……っ」
自分でも情けないくらい、声が漏れる。
後ろから指が深く入り、前を優しく扱かれるたびに、体がどんどん浮き上がっていく。
「や……あ、ぁ……っ、も……っ、だめ……」
熱が、腰の奥からじわじわとせり上がってきた。
ガルに乱されながらも、心のどこかで必死に抑えていたものが、とうとう決壊する。
「……っ、ん、くっ……!」
一瞬、何かが弾けたように、視界が白く染まった。
小さく震える体が、痙攣するように波打って――僕は、軽く達してしまっていた。
腹の上に自身の精液がビュクリと滴り落ちる。
「やぁ……っ」
頭がふわふわして、体の奥がじんわりと溶けていく。
けれど、僕が達しても、ガルの指は止まらなかった。
「あ、あ、あっ……ガル、ガル……っ」
「ああ、なんて……リオン、可愛いんだ……」
くちゅ、という音が耳に届くたび、顔が熱くなる。
なのにその音すら、もっと聞きたくなっていく自分がいて──
思わず、腰が勝手にまた揺れた。
「あっ、やっ、そこ……っ、ひ、くっ……ぅ……」
指が柔らかく奥をかき混ぜるように動いてくる。
何かが擦れる感覚に、膝が震える。
「ここ、気持ちいいのか……リオンのここが、俺を求めてる」
「あ、ちが……そんなっ……」
苦しいほど恥ずかしいのに、内側がひくついて、指を離したくないと訴えてくる。
「は……っ、このままもう少し可愛がりたいが……俺も限界だ」
熱い声と一緒に、やがて指が抜かれ、熱のある別のものが、そこに当たった。
「……挿入れるぞ」
太く、硬い先端が押し当てられた瞬間、全身が強張った。
「っ、ぁ……っ、ガル……ま、って……っ」
「いいや、駄目だ……リオン。君の匂いが……俺を呼んでいるんだ。力を抜いて……俺を感じて。……全部、受け止めてくれ」
少しずつ、確実に、彼が僕の中に入り込んでくる。
ぬるりと広げられる感覚と、押し込まれていく重みで、身体が軋んでいく。
「っ……ぅ、く、あ……!」
どこまで入ってくるのか、わからない。
でも、奥が熱くなって、彼を締めつける感覚が、自分のものじゃないみたいだった。
「リオン……っ、きつい……でも、すごく、いい……っ」
彼の声が震えていた。
僕は、必死に頷いた。
「ぼ、くも……だから、ガル……ちゃんと……全部……!」
その言葉に応えるように、彼の腰が動き出す。
ずん、と深く突かれた瞬間、身体の奥が跳ねた。
浅く、深く。
律動が繰り返されるたびに、快感が連鎖して、息が止まる。
「ひっ……んぁっ、あっ、やっ…あ……っ!」
「ここか……ここがいいんだな……」
何度も、何度も、そこを擦られて、身体が溶けそうになる。
熱い肉が、僕の内側をかき混ぜるように動くたび、頭の奥が白く弾けていく。
はち切れんばかりに身体の中を広げられて、どうにかなりそうだった。
「リオン……愛してる。君が、欲しい。ずっと、君だけを……っ」
「ガル……っ!あ、ひぅ……!」
その言葉が、肌の奥にまで届いて、心の根がほどけていく。
ふたりで交わす名前は、祈りのようだった。
自分が“彼のもの”であることを、今、身体が確かに知っていく。
「もっと……君を感じたい……全部、繋がりたい……!」
そう囁かれながら、腰を深く打ちつけられる。
ずん、と奥の奥を突かれ、僕は息も詰まる。
「――っ、く……!」
彼の手が僕の指をぎゅっと握りしめる。
体の芯まで埋まってくる熱に、僕は自分の中がぐずぐずに溶けていくのを感じた。
「ガル……好き、です……好き……!」
その一言に、彼の動きが震え、びくんと体が跳ねる。
太いものが奥に押し込まれたまま、根元がわずかに広がる感覚があって――同時に、彼の唇が首筋を這い、そして、そっと噛みついた。
「……んっ……!」
びくんと身体が跳ねる。
痛みというにはあまりに甘くて、けれど確かに熱くて、
まるでガルのものだと刻み込まれるような感覚に、背筋がぞくりと震えた。
「ひっ……!」
「リオン……!」
名前と共に、ぬるりと熱いものが流れ込む感覚が身体の奥を満たしていく。
まるで、心まで満たされていくような不思議な温かさだった。
「ぁ……!」
全身が震えて、何かが解けていく。
張りつめていた快感と、心の奥の寂しさが、一緒に溢れ出すみたいに。
僕は、自分の中に彼のすべてを受け止めたことに、泣きそうなくらいの幸福を覚えていた。
音も、言葉もない静けさの中、ただ互いの鼓動だけが強く響いてい。
確かに、結ばれた。
心も、身体も、声も。
※
熱い夜のあと、いつのまにか夜は明けていた。
朝靄が静かに差し込む寝室の中で、僕はまだ、ガルの腕の中にいた。
その腕は、まるで宝物を抱くように優しくて、だけど確かに僕を離さない力を持っていた。
ガルが、ぽつりと呟く。
「……子どもができたら、どちらに似るんだろうな」
「えっ……」
驚いて顔を上げると、彼は肩を揺らして笑った。
「冗談だ。……でも、本気でもある」
頬が熱くなるのを感じながら、僕もそっと笑って応える。
「どちらに似ても……きっと、愛しいです」
ガルの指が、僕の腰のあたりをなぞる。
そこに、うっすらと昨夜の跡が残っていた。
「……痛くないか?」
「あ……」
彼の視線が、首筋へと移る。
そこにも、赤い痕がひとつ。
まるで印のように、噛まれた場所が熱を持っている気がした。
「……ねえ、ガル。これって……番いに、なったってことでしょうか……?」
僕が恐る恐る問うと、彼は少し驚いたように目を瞬かせたあと、静かに頷いた。
「……ああ。君の身体が、自分から“選んだ”んだ。発情期じゃなくても、こうなることがある……珍しいが……」
「そうなんです、ね」
「昨夜……君の香りが、変わったのがわかった。だから……抑えるのが、正直、辛かった。自制ができずに、すまない」
「……ううん、うれしいです。だって、これで……ほんとに、僕たち、繋がったってことだから」
僕がそっと囁くと、彼は腕に力を込めて僕を抱きしめた。
「番いになったからって、何かが変わるわけじゃない。けど……これで誰にも渡さないって、はっきり言える」
耳元でそう囁かれて、胸がぎゅっとなった。
僕も、彼に腕を回して答える。
「あなた以外を選ぶ気なんて、最初からないですよ。……ずっと、あなたのものです」
彼が微笑む。
その笑顔が、まるで朝の光そのものみたいで、僕は思わず目を細めた。
愛は、まだ、これから続いていく。
声と、心を重ねながら──もう、二度と離れないように。
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お付き合いいただき、ありがとうございました!
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一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士
※一応オメガバース設定をお借りしています
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
こんにちは。
4話でまだ喋ってないのに「わっ喋った」って言ってませんでしょうか?
やだ!本当!!何をやってるんでしょうね🤤
該当箇所は修正をいたしました。
ご報告ありがとうございます。
リオンとガルの2人のやり取りは読んでいて、相手を思いやる気持ちと寄り添う気持ちに溢れていて落ち着いて読めます!
リオンの悩みに寄り添えるスパダリなガルに、
リオンは安心しているはず(*^^*)
色んな気持ちが積もり積もって、リオンの母が願っていた幸せに気付きます様に。
お読みいただきありがとうございます😊
そろそろ全力でイチャイチャしてくれるかな~?
というステージに差し掛かってはきました……!
この後もまだ続きますのでお楽しみいただければと思います!
楽しく読ませていただいてます。
想いを自覚した2人の関係性の変化にはまだまだかもしれませんが、お気に入りの作品です。
今後の展開も楽しみです。
感想、ありがとうございます😊
そうですね。2人が自覚するにはもう少し時間が必要そうです。
ガルハルトの方が少しばかり早そうな……?まだわかりませんが(笑)
まだまだお話し的には続きますので、今後ともどうぞよろしくお願いします🙇