勉強した僕としなかった君

狐火

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同級生

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そんなある日だった。

いつも通り部屋で勉強をしているとお母さんの声がした。

「同級生の子が来た」

その12文字に部屋の鍵を握る。

鍵が閉まっていると分かっていてもただ握るしか無かった。

2人ほどの足音がする。

嗚呼、お母さんは家に上げてしまったのだろう。

ノックをされたが返事はしない。

僕は寝ている。僕寝ている。僕は寝ている。

お母さんは下に降りていったようだった。

2人で話したいとでも言ったのだろう。

「香苗くん」

その声は僕がどこか期待していた声とは違った。

確か、梓さんの隣に何時もいた人だった気がする。

梓さんの小学校からの親友だったか…。

「起きてるんでしょ?」

聞こえるはずのない息を潜める。

普段は分厚く感じる壁。だが、今は今にも崩れそうなほど薄い壁に感じた。

梓さんはまだ怒っているのだろうか。

次に聞いた言葉に頭が真っ白になった。
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