I was born to love you ~秘書は前世の夫に恋をする~

藍川せりか

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1巻

1-1




   プロローグ


 私はさいとう、現在二十三歳のOLとして生きている。
 誰にも言ったことはないものの、私の中にはたかはしという女性が存在していて、生まれた時から彼女の記憶を持っていた。
 いや、というより、外見は齋藤未華子だが中身は高橋美嘉。齋藤未華子の人格を追いやったというわけではなく、もともと高橋美嘉で――
 ややこしい感じだけど、要するに齋藤未華子は、高橋美嘉の生まれ変わりだ。
 私はある目的があって、こうして転生してきた。
 私はそれをすいこうするために生まれてきた、と言っても過言ではない。
 その目的とは――

専務!」

 オフィスの廊下を歩く上司の背中が視界に入り、私は急いで声をかける。
 呼び声に気がついたその男性は足を止めて、ゆっくりと振り返った。
 彼の名は、不破しゅう
 私の勤めるれいそう商事の専務取締役である。
 私は半年前から彼の秘書を任されているのだ。彼のスケジュールを管理し、常に行動を共にしている。
 黎創商事は、日本トップクラスの総合商社。いくつも傘下さんか企業を持ち、エネルギー事業や、機械、生活環境、化学品、金属など様々な分野の商品を取り扱っている。
 そんな会社の専務に四十二歳の若さで就いている有能な男性、それが不破専務だ。
 四十二歳ならではの大人の色気と、どこかうれいのただよう甘いマスク。メタボなんて縁遠い、長身ですらっとした体型は細身のスーツがよく似合う。
 艶々つやつやとした黒髪に最近白髪しらがが出てきたんだ、と悩むのも彼の魅力の一つ。あまり目立たないものを気にしているところが可愛いと思う。
 そんな彼の左手薬指には、結婚指輪がはまっていた。時折その指輪をながめて、彼は哀愁あいしゅうびたため息をらす。
 そう、彼は既婚者……だった。
 早くに妻を亡くし、現在は独り身。亡くなった妻のことを今でも一途に愛しているところが女性社員の心を掴んでいて、とても人気が高い。
 二十代後半から三十代前半の働き盛りの独身男性社員よりも人気が高いってどういうことよ?
 社内の女性たちは、どうにか不破専務に気に入ってもらおうと、あれこれ作戦を立てている。彼の誕生日やバレンタインデー、クリスマスなどイベントごとにアタックをする人はあとを絶たない。
 しかし、今のところヒットはなし。不破専務の心を射止めた女性は出ず、彼の指には今でも亡くなった妻との結婚指輪が光っている。
 未だに妻との思い出の場所へ頻繁ひんぱんに出かけて懐かしんでいるし、命日には必ずお墓参りをしていた。時々、妻の写真に向かって語りかけていることも知っている。
 なぜそんなことを知っているのかというと、私――齋藤未華子は、彼の元妻の生まれ変わりなのだ。


     ∞ ∞ ∞


 高橋美嘉は、死を迎えた時は不破美嘉だった。
 私と修二は大学に入学した年の夏に付き合い始め、私の十九歳の誕生日に入籍していたのだ。
「まだ学生の身分で結婚など早い」と親にとがめられたけど、遅かれ早かれいずれ彼と結婚するのだから今すぐしたいと譲らず、一緒になった。
 今思えば若気の至り、ただの勢いだった部分もあるものの、私たちの新婚生活は甘く楽しくて毎日が幸せであふれていた。
 ワンルームマンションに住んで、アルバイトをしながら大学に通う。恋人の延長みたいな結婚生活だったけど、ずっと一緒にいられることが嬉しくて、彼がいとしかったのを覚えている。
 修二も、私をたっぷりと愛してくれて、最高に幸せだった。
 それなのに、ある日突然、その幸せな時間は幕を閉じることになる。
 当時人気のアパレルショップでバイトをしていた私は、自分の仕事が終わったあと、修二がバイトをしている居酒屋に向かっていた。
 彼の勤務終了時間まであと少し。外で待って一緒に帰ろう。
 そう思って歩いていた途中――
 一台の車が歩道に向かってきた。
 運転手は飲酒していたようで、アクセルとブレーキを踏み間違え、車が猛スピードで私に突っ込んできたのだ。
 私は一体何が起こったのか理解できず、体験したことのない衝撃に襲われる。
 そこで周囲が真っ暗になり、一瞬記憶が途切れた。しばらくして静かになった気がして目を開けると、私は宙に浮き、縁石を越えて歩道に乗り上げコンビニの駐車場の壁にぶち当たっている車を、上から見下ろしていた。
 ――何、これ?
 さっきまで持っていたバッグの中身が、地面に散乱している。布製のバッグは破れてタイヤ痕がついていた。
 前方が大破している車の下からは、おびただしい量の血液が流れている。
 ――あれって……私の、血?
 パトカーや救急車が到着し、救助隊や救急救命士が車を移動させる。見るにえない私の体を起こして蘇生をこころみてくれるが、動くわけがない。
 運転手も被害者も即死の無残な交通事故。
 何も知らずにバイトを終えた修二は、携帯電話に知らない電話番号から着信があったことに気がつくと、その番号に電話をかけ直した。
 そして妻が交通事故で死んだことを聞かされたのだ。
 彼は混乱し、そんなはずはない、何かの間違いだと動揺した。その後、感情をしにして怒り出しもした。
 病院で私の死体を見てもまだ現実を受け止められず、泣きながら「これは夢だ」と言い続け、信じなかったのだ。
 その様子を上から見ていた私は、どうすればいいか分からなくなった。
 突然訪れた死。
 愛する人を残し、別れの言葉も言えず離れてしまった悲しみ。何度彼に話しかけはげましても、私の声は届かない。
 苦しんでいる彼に「ここにいるよ」と声をかけようと、気づいてはくれなかった。
 ――どうしたらいい? 私はどこに行けばいいの?
 私自身、死んだことを受け入れられなかったせいもあり、何日も修二のそばを離れられずにいたけれど、無意味に時間が経つばかり。数週間後、この状態でそばにいても何も解決しないと思い始めた。
 きっと私が成仏じょうぶつしないと、私も彼も先に進めない。
 ならば、自分にできることをしよう、と私は天に昇る決意をした。


 そうして天上世界に行った私は、導かれるまま死んだたましいの集まる場所へ向かった。
 雲の上の真っ白な世界。
 数えきれないほどのたましいが、次の転生先を聞くために列をなしている。その最後尾に並んで、美しい天使たちの監視のもと順番を待った。
 ついに私の順番になり、名前を呼ばれる。同時に、天使が透明なガラスのようなものでできたハンドベルを高らかに鳴らした。

「おめでとうございます! あなたはぜんりょうこんの十億人目です。記念として、記憶を残したまま、好きな場所や時代、ものに転生できる特典を差し上げます!!」
「ええ……っ!?」

 ――善良魂? 特典!? 何、それ?
 勝手も分からない状況で、そんなことをいきなり言われても困る。
 何がどうなっているのか見当もつかず、私は嬉しそうにほほんでいる天使を見つめた。

「残念なことにあなたは若くして亡くなってしまった、善良な生き方をしてこられたたましいなので、この特典を受け取れます。さぁ、次は何に生まれ変わりたいですか?」

 急に言われても……。全く予想していなかった展開に、戸惑とまどいしかない。
 高橋美嘉は、もう死んでしまった。
 本来ならここで手続きをしたあと、記憶を消され、まっさらになったたましいが次の生き物に生まれ変わるらしい。鳥などの動物や、植物という可能性もあるとか。同じ人間になることもあるし、その際、日本人じゃなく、別の人種になることもあるそうだ。
 好きな場所、好きな生き物に生まれ変わらせてもらえるという素晴らしい特典を手に入れた私は、しばし考えを巡らせた。
 猫になって、ごろごろとのんびり生きるのもいいな。猫だったら、いるだけで可愛いもん。そんな可愛い存在には憧れる。
 でも――
 私の心に浮かぶのは、修二のこと。
 結婚して間もない旦那を残して、死んでしまった。できることなら、高橋美嘉として彼のもとに帰りたい。
 それが一番の望みだ。

「あの……生き返ることはできませんか?」
「それは無理です。そんなことをすれば、天下の世界が混乱します」
「です、よね……」

 できるのは、次の転生先を好きに決められることだけ。

「だったら――」

 修二の近くに生まれたい。そして女の子になって、もう一度彼のそばに行くのだ。
 ――もう一度、修二に会いたい。
 私はそう願ったのだった。


     ∞ ∞ ∞


 こうして私は齋藤未華子として生まれ変わった。
 リクエスト通り、女性として生まれたし、成長した現在の姿は身長百五十五センチくらいの細身で股下が長く、胸はそこそこに大きい。顔は可愛い系で、髪は少しだけクセありにしてもらったため、巻き髪や斜めに流れる前髪が作りやすい……あらかじめ事細ことこまかにカスタマイズさせてもらったのだ。

「これぞ、修ちゃん――不破修二の好みの女!」

 そんな女に生まれ変わることに成功した。
 高橋美嘉はどちらかというと太りにくい体質で胸はぺっちゃんこだったし、背は百七十センチと女性にしては少々高かったのだ。
 修ちゃんが百八十センチだから、長身カップルでお似合いだと友人にはなぐさめられていたものの、彼の好みからは外れていたことくらい知っていた。
 そんなふうに生まれ変わった先である齋藤家では、晩婚だった両親が、不妊治療の末にさずかった娘である私をたいそう可愛がり大事に育ててくれた。
 大企業の役員である父と、専業主婦の母。
 いつも穏やかで優しい家庭の中で、私はすくすくと育つ。それなりの知識を持ったまま転生してきたお陰で成績優秀だったし、運動神経は人並みで、順調に過ごしたのだ。
 そして物心ついた頃から、修二を探し始めた。
 小学生の時に、修二と美嘉が新婚生活を送っていたマンションまで捜索に行ったこともある。その際、なかなか帰らなかったせいで、迷子になったと勘違いされ警察のお世話になってしまった。土地勘のない場所になぜ一人で行ったのか、誘拐だったのではないかと周囲は驚きさわいで、両親もとても心配していた。
 ――お父さん、お母さん、ごめんなさい。一人で出歩くのは、まだ早かったかも……
 反省した私は、もう少し大きくなるまで機会をうかがいながら過ごす。
 やがて中学生になり再びチャレンジしたところ、以前、美嘉と修二が住んでいたマンションは取り壊されて、民家とパン屋さんに変わっていた。
 ――困ったな……
 ここで修二の消息は途絶える。
 自分たちが死に別れて十四年が経っているから当然なんだろうけど、盲点だった。
 生まれ変われたら、また修ちゃんに会える――
 その一心でこれまで生きていたのに、彼の行方ゆくえを見失ってしまっては、目的が果たせなくなるではないか。
 茫然ぼうぜん自失になった私は、ふらふらとした足取りで歩き出した。
 これからどうすればいいだろうと途方に暮れ、肩を落として歩いているうちに、大型書店の前に着く。その書店にはCDコーナーが併設へいせつされているらしく、店内から聞いたことのある歌が聞こえてきた。

「あ……」

 美嘉であった頃の私が好きだったアーティストが、ベストアルバムを出したのだ。モニターから彼女のミュージックビデオが流れている。
 そのアーティストは、一世をふうした女性歌手で、今年でデビュー十五周年らしく、大々的に取り上げられていた。
 修二と結婚する時に、彼女のウェディングソングをよく聞いていたな――と懐かしむ。
 私は書店の中に足を踏み入れて、奥のCDコーナーに向かった。店内はそのアーティスト一色で、ポスターや映像でPRされている。
 懐かしいミュージックビデオをじっと見ていると、隣に私と同じように足を止めて見ている人物がいることに気がついた。
 その人のほうに視線を向け、心臓が止まりそうになる。
 ――修ちゃん!
 目の前のスーツを着た男性は、微動だにせずモニターを見つめている。その横顔は間違いなく修二だ。年齢を重ね、以前よりも少し男らしくなった気がした。
 ずっと会いたかった人が目の前にいる。
 ――どうしよう、声をかける? でも、今、私は中学生で、修ちゃんは三十三歳。
 まっとうな社会人の男性が、見知らぬ中学生と会話なんてしないだろう。相手にしてもらえないのが目に見えている。
 むしろ、何か犯罪のにおいがすると警戒される可能性すらある。
 ――ここは……我慢して離れるべき、だよね。
 後ろ髪を引かれながら、私はそっと彼のそばを離れた。そして遠くの本棚の陰から、久しぶりの修二をながめる。
 ――ああ、年を取っても全然変わらない。っていうか、むしろ渋くなって格好よくなってる。大人の男性っていうの? 色気が増した気がする!
 それから……ふと視線を落とすと、左手の薬指に指輪が見えた。
 ――指輪してる。もしかして、再婚したの? うそうそ、うそでしょ!? 私以外の人を好きになっちゃってるの?
 血の気が引いた私は、急いで彼へ忍び足で近づく。そして彼の左手をじっと見つめ、その指輪が見覚えのあるデザインのものであることに気がついた。
 ――これ……! 私との結婚指輪だ。
 まだしてくれてるの……?
 十四年経っても、彼が自分との結婚指輪をしてくれていることに胸を熱くする。
 ――修ちゃん……今でも私のことを忘れないでいてくれているんだね。嬉しい。
 でもそれと同時に、こんなにも長い時間、彼を縛り続けていることに罪悪感を抱いた。
 ――私がいなくなってから、どんなふうに過ごしてきたの?
 寂しい思いをしたかもしれない。苦しめたかもしれない。ごめんね、先にいなくなって本当にごめん――
 そんなことを思い涙をこぼしていると、通りすがりの人に不審な目で見られた。
 いけない、こんなところで泣いていたら変だよね。
 私は涙をぬぐって、もう一度遠くへ離れる。
 中学校の制服を着た私は、修二に近づくことができない。
 だけど、彼がまだこの辺りに住んでいるということと、未だにあのアーティストが好きなこと。それを知れて嬉しかった。
 彼があのアーティストのベストアルバムを買ったのを見届けて、私も同じものを購入する。
 そのアルバムを見ていると、元気が湧いてきた。
 今は離れ離れだけど、この先絶対、彼と再び巡り合えると信じられる。
 だって私たちは運命の相手だもん。
 ――生まれ変わってもまた愛し合えるよね……?
 そう信じていた。


 それから八年後――
 彼の働いている会社を突き止め、私はそこへ就職した。
 そして専務になっていた彼の秘書になるべく入社後も必死で勉強し、すぐにその座に就く。
 ――今、私は、最愛の旦那さまの秘書をしています。



   1


 不破専務の一日は、とても忙しい。
 特にここ最近は、数年後に日本で行われる世界的なスポーツの祭典のため、新プロジェクトの準備に追われている。
 私はそんな彼の負担が少しでも減るよう、日々努力しているのだ。

「――不破専務、今夜はせいじん建設のからすやまさんとの会食が入っていますので、昼食は軽めがいいかと思います。この辺りのお店で何か買ってきましょうか?」
「ああ、そうだね。そうしてもらっていいかな?」
「はい」

 専務の執務机の横に立った私は、彼ににこっとほほみかける。そして流れるような所作で静かにその場を離れた。
 社内の廊下をさっそうと歩いていると、ふとガラス窓に映る自分の姿が目に入る。
 肩下まで伸びたダークブラウンの髪は、ゆるふわに巻いて、女性らしさを演出していた。スーツは、綺麗めな色をしたブランドもののスカートスーツ。ジャケットのウエストラインが締まっていて、タイトスカートとのバランスもセンスがいい。落ち着いた上品なデザインがお気に入りだ。
 パンプスは、足のラインが美しく見えるようにハイヒールにしている。歩きやすさは大事だけど、見た目の美しさをそこなうものは選べない。ピアスなどのアクセサリー類も、品のいい小ぶりなものをつけていた。
 どこからどう見ても、モテ要素ばっちり!
 これぞ「できる秘書」といわんばかりの完璧なスタイルでのぞんでいる。だというのに、肝心の修二は全く私に興味なし。
 仕事の話はきちんとしてくれるもののプライベートに関しては鉄壁で、入り込む隙を与えてくれない。
 ため息をつきつつ会社を出て、私は近くのビル地下にあるデリカテッセンへ向かった。
 こうして昼食を買う時も、修二の好きなものをばっちり選んでいる。
 彼の望む以上のことを先回りしてやっているつもりなのに、彼が私を女性として意識している素振りは皆無かいむだ。
 ――どうして……?
 修ちゃん以外の重役のおじさま方は、「齋藤くん、いいね」と鼻の下を伸ばして褒めてくれるのに!
 買い物を終えたあとは、重役たちのいるフロアへ戻る。

「ただいま戻りました」
「ありがとう、手間をかけたね」
「いいえ、そんなことないです。あの……私も専務と昼食をご一緒してもよろしいですか?」
「あ――。悪い、今日は一人にしてくれる? 食事しながらプライベートな用事を済ませたくて」
「……そうですか。かしこまりました」

 断られ、しゅんと肩を落とす。
 こんなにも修ちゃんが好きなのに! こんなにもアピールしてるのに! ぜんっぜん相手にされてない。
 静々しずしずと廊下に出た私は、頭を抱えてしゃがみ込む。

「ああ……もう」

 ――修ちゃんって、こんなにガードが堅かったっけ?
 私と修二が付き合ったのは大学生の時だったから、軽いノリで遊んでいて、告白されたのが始まりだ。好きな食べ物やアーティストが一緒だったので、すんなりと親しくなった。
 こんな苦労せずに、簡単に仲良くなれたはずなのに……
 フラれてしまった私は、休憩室へ向かう。一人で椅子に座り、買ってきたサンドイッチを袋から取り出した。
 エビ好きの修二には、エビとアボカドの入っているサンドイッチを選んだ。
 昔からエビとアボカドの組み合わせに目がないのを知っているため、迷わずそれにした。きっと今頃、喜んで食べているに違いない。
 私のはローストビーフがたっぷり入ったサンドイッチ。
 ――一緒に食べたかったな……
 それでも前よりはマシかもしれない。
 黎創商事に入社するまでの数年間、彼は街中で見かけるだけの存在だった。
 高校生になっても大学生になっても彼に話しかけることはできなくて、遠くから見ているしかなかったのだ。
 スーパーで買い物をしているところや、コンビニにいるところに遭遇できたらラッキー、的な感じ。
 改めて思い返すと、ストーカーみたい。
 でも仕方ないよ、接点がないんだもん。転生してきたせいで、十九歳も年の差ができてしまった。
 これは最初から分かっていたこと。
 それでもいいから、修二のいる世界でもう一度生きたいと願った。
 だから後悔などないけど、こうも相手にしてもらえないと、さすがにヘコんでくる……
 そもそも同じ会社であっても、秘書になるまでは、全くと言っていいほど会えなかった。
 遠くで見つめるだけだったのと比べてそばにいられる分、まだよくなったのは確か。
 でも、食事に誘っても断られるし、飲み会で酔って絡んでも、たしなめられてスルーされる。プライベートな質問をしてもうまくかわされてしまう。
 今のところ全敗だよ。一度くらい私の誘いに応じてくれてもいいのに。


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