フェンリルの幼女は旅に出ます

稲子

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1章

始まりの旅

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 目を擦りさっきあったことを思い返しながら上体を起こしてあたりを見回す、しかしそこは木々で生い茂った森の中で不思議と自分の目線よりも巨大に見えて若干違和感を覚えるが、その答えはすぐに分かった。

立ち上がりなんとなしに自分の手を見ればクリームパンみたいに小さい幼児の手一瞬「ん?」と思考が停止したが、今度はお尻の方に違和感を覚え横を見ればふさふさとした灰色の尻尾が揺れて、下半身に巻き付いた。

「どういうこと??」

確かと転生させられる前に言われたことを思い返す「転生しても何の動物になるかは運次第そして本人の希望に沿ったものになる可能性がある」となれば、そう思い今度はまさかと頭を触ると何やらふわふわとした毛を触っている感触でそれに体が反応してぴくっと肩が上がった、本来耳があるべき頭横を触っても耳らしきものなどついておらず、となるとこれは何かしらの獣人に転生した可能性が高いと理解した。


こうゆうパラレルワールドならぬ異世界の話は前世で大体読んでいるのでわかる、ファンタジーの要素がある場合こういゆ獣人のキャラもいてその獣人特有の力で相手を倒したりその力のせいで暗い過去があったりなどまあ色々だ。

でも一番の不安はこの世界では私みたいな獣人たちと人間が対立しているかしてないかだ、している場合獣人は危険な存在だと恐れられ迫害を受けて密猟やはたまた人間たちから狩られる可能性もある、そうなってくると、ますます面倒なことが増えるのでお断りだ。

でも神は本人の希望に沿った生物と言っていたのもあり、私が一番叶えたい夢はどんな人からも愛される人物であること、となればこの世界では共生が普通なのかもしれない、そう考えると今まで募っていた不安も半分消えて少し気持ちが楽になった気がした。

しかしだ、そんなことを考えていても自分が動かなければ何も起こることはない、それに今私が来ているのは白くて大人めサイズのボロシャツ一枚こんな格好では時期に凍えて死んでしまう、となればここでまずイベントなるものを起こさなければ幼児である私には打つ手がない。

そうと決まれば早速作業開始だ、まず道に出て誰か来るか待ってみることにする、盗賊なんかじゃなければ善意のある人に助けてもらえるかもしれない、まあ単的な考え方ではあるが何もしないで飢え死ぬよりはなにかして死ぬほうがこの世界に来た意味もある、そう思ったからだ。

草木をかき分けて暫く歩けば森を切り開いてできた道らしき場所についた、しかし左右どちらを見ても何かが通る気配すらない、それどころか馬車一つすら通ることもなく体内時計ではここに来てもう3時間は経っていた。

流石にお腹も減るし困ったものである、そんな時転機は突然やってきたのだ、木の上で寝転んで空を見ていた時突然男の人の叫び声が聞こえ何事かと起き上がりこそりと木々に隠れて下を見れば、何やら荷台付近で足を抑えて座る男とその横で焦ったようにその相手を見るもう一人の男。

これは何か困っているようだなとニヤリと笑みを見せて木の上から降りてその男達に近づいていく、それに気づいた二人組の男は何やら怪しむように数メートル先にいる私を見て固まっている。


そして少しの間をおいてから素早く走り男の元へと行く、すると何かされると思ったのか近づいてきた私に身構えるように目を瞑り腕を頭の上で交差させた。


「、、、、別に獲って食いはしませんよ」


そう言って未だ不敵な笑みを浮かべる私に何もしてこないとわかったのか恐る恐る腕を下げてこちらを少し警戒するようにして私の方を見た。

「おい!!よく見ろコイツもしかしたら」「ああそうだ間違いねえ、、」


すると暫く私を見つめていると何かに気づいたのか二人でヒソヒソと話してから、土下座するような深く頭を下げられこう言われた。



「お願いします!!!!フェンリル様どうかコイツの建てなくなった足を貴方様の力で救っていただけないでしょうか?」

そう言って未だ動ける様子のない座ったままの男の足を差し出され、思わず理解が追いつかず困惑してしまう。


「そそれはわかりました!!!でも貴方はこんな幼児で何の力もない獣人になぜ???」

「なぜってそれは、、、、」



男は続けて不思議そうな顔でこう言う。




「貴方様はフェンリルの獣人それは灰色に艶のある尻尾はその証そしてフェンリルは私達人間にとって安らぎと神聖を与える神の存在、そしてその力には「治癒」に秘めた魔力を持っておられる方それが貴方様です」



そう言って今度は怪我をしていない男が私の前で跪き、私は焦るように手をバタバタと前に出して顔を上げるよう指示する。


流石にここまでのことをされるとは思っていなかったので正直焦りでいっぱいだった。


私はこほんと一つ咳払いして、改めて宣言した。


「わかりましたではその方の足を私が直しましょう」



どうやって魔力を出すのかもわからないのについそんなことを言ってしまい、男たちは目を合わせて溢れんばかりの笑顔でありがとうございますとまた深くお辞儀をした。


ひえーと今になって言ってしまった事を後悔してももう遅いと期待の眼差しを受けながら、怪我をした足に両手を差し出し、どうにでもなれと手に神経を注いだ。

その瞬間ぱああと明るい光に包まれ怪我をした足を見れば男は何事もなかったように立ち上がり「おお!!!」と歓喜の声を上げた。


「ありがとうございます!!!!フェンリル様なんとお礼をすればいいか!!!」


そうしてさっきまで動くことのできなかった男は悠々と私の前で立つと頭を下げてそう言ってきた、少し緊張もあったが何がともあれ最初の任務は完了したようでほっと安堵の息を漏らした。


「じゃあ、、すこしお願いがあります」


「なななんでしょうか!!」「私達にできることであれば」




「私の力をよりもっと使うことのできる仕事を教えてくれませんか????」
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