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第7章
第208話
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皆の興奮が収まり、親父の号令の下に、各々が役割を果たしていく。負傷した戦士の治療、戦死した戦士の遺体の回収、襲撃の第二波を警戒し、周囲に展開する者など、やる事が多岐に亘る。だが、不平不満を言う事はなく、皆率先して行動している。
それもそのはずで、親父から告げられた、今回の反乱の黒幕の正体と、それに共感して動いている裏切者どもの動き。黒幕であるクレータの最後は、親父によって語られたが、奴と、奴の息子であるアステロが率いていた、第三騎士団の動向が気になる。
今、こうしている間にも、王都で奴らが反乱を起こしている可能性が高い。そのため、俺たちも、戦士たちも、王都に帰還する事だけを考えて、迅速に行動している。そして、親父が魔物や魔獣を殲滅し、第二波の動きがない事から、親父が先頭に立ち、戦士たちを率いて、王都への帰還を開始する。
「決して焦るな‼移動速度は一定に保て‼いいな、決して焦るなよ‼」(グース)
『了解‼』
親父の冷静になれとの言葉に、俺たちや、戦士たちも頭を冷やして、速度を皆で揃え、軍や騎士団としての統率を忘れずに、ただ黙々と、王都に向けて駆ける。親父にも、兄貴にもパメラ姉さんにも、戦士たちにも、そして俺にも、心の内に不安はある。大切な人たちの安否、友人たちの安否など、心配な事は幾らでもある。
そんな不安を抱きながら、移動し続けた俺たちは、王都の城門に近づいていた。すると、親父の顔に、僅かに怒りが混じる。まさかという思いが、俺の中で溢れ出していく。そして、城門に近づいていく事に、それが耳に聞こえてくる。
「この音‼誰かが戦ってるぞ‼――親父‼」(ザリス)
「――戦闘準備‼反乱者共を、――――打ち倒せ‼」(グース)
『ウォオオオオ――――――‼』
俺たちは、咆哮を上げながら加速し、反乱者である、第三騎士団の連中に向かって、一気に突撃していく。奴らは、我々が国に帰れない様にするために、城門を抑え様としていたのだろう。
だが、城門を守護する者たちは、第一線から退いたとはいえ、騎士団・軍を問わず集めた、歴戦の猛者たちだ。中には、元騎士団団長だったり、山岳方面軍の元少将や、元中将などの経歴を持つ者もいる。様々な理由で一線を退き、城門を守護する衛兵となったが、それでもその強さに、未だ陰りは見えない。
戦況は五分五分。僅かに、騎士団が優勢といったところ。奴らは卑劣な事に、衛兵たちを狙ったように見せかけながら、城門の周囲に暮らしている住民たちに向かって、魔術や魔弾、矢や槍を放っていた。そして、特に腹立たしいのが、戦う力のない、子供や老人に集中して、攻撃されていた。
それは、見る者が見れば、あからさまな程であり、国を、国民を守護する者たちが、行ってよい行動ではない。そして何より腹立たしいのが、その顔に、僅かな笑みが浮かんでいる事だ。つまり彼らは、その行動に対して、愉悦の感情を得ているという事だ。城門に近づいた際に、親父の表情に怒りが混じったのは、これが原因だったか。
「もう諦めて、この場を我々に明け渡せ、古き英雄たちよ‼これは、新たな王になる、偉大なるお方のご命令だ‼――――ハッ‼」(牛人族の騎士)
一人の騎士がそう言いながら、子供を背にして守る、象人族の衛兵に向けて、火属性の魔力を圧縮して生み出した、殺傷力の高い炎の槍を、一気に加速させて放った。象人族の衛兵は、その場から微動だにする事なく、迫り来る炎の槍を、両手で掴もうとする。後ろにいる子供や、その家族であろう母親は、恐怖でその場から動けず、ただただ、迫り来る炎の槍を、見ているしか出来ない。
「先に行く‼」(グース)
親父はそう言って、その場から掻き消える。親父の姿は、次の瞬間には、象人族の衛兵の前に立っており、迫っていた炎の槍を、右手で掴んで止めていた。牛人族の騎士や、その場にいた反乱者の騎士たち、そして、衛兵や住民たちが、数秒の間の後に、それぞれの表情を変える。
住民たちは、誇るべき、強き我らの王が現れたと、安堵と共に、喜びの笑顔に変わる。対する騎士たちは、自分たちの王であるクレータ騎士総長が、自信をもって殺すと宣言したはずの相手が現れた事に、青褪めたり、恐怖したりし、絶望の表情に変わる。
燃え盛る炎の槍が、親父の右手で握り潰されて消える。親父に右手には、火傷の痕どころか、怪我一つ付いてなかった。その事に気付けたのは、俺や兄貴、パメラ姉さんや、歴戦の猛者たちである、衛兵たちのみならず、炎の槍を放った牛人族の騎士、周囲にいる反乱者の騎士たちも、それに気付いてしまった。
そして、反乱者の騎士たちは、それに気付いてしまったからこそ、親父がこの場の誰よりも、新たな王として認めたクレータよりも、圧倒的に格上の存在であるという事を、心の底から認めてしまったのだ。だが、反乱を実際に起こし、既に後に引けない騎士たちは、それを認めてしまってもなお、自分たちの理想の為に、戦いを終わらせる事はない。
「行くぞ‼奴の首を獲れば、我らの理想は成就する‼」(牛人族の騎士)
『応‼』
「させるものか‼皆、行くぞ‼」(象人族の衛兵)
『獣王様を、民たちを、反乱者たちから、――――守護せよ‼』
「俺たちも行くぞ‼遅れるな‼」(アトル)
『我らは、国を守る盾にして、敵を討つ矛なり‼』
親父を、一人で戦わせる事はしない。親父が、圧倒的に格上の存在であり、一人でも、反乱者の騎士たちを倒せるとしても、親父に全てを任せて傍観している程、俺たちは、根性なしの戦士じゃねぇ。親父一人の力ではなく、俺たち全員の力で国を守ってこそ、この国の戦士であると、心の底から誇れるのだ。
俺・兄貴・パメラ姉さんの三人は、何を言うまでもなく、親父の息子・娘として、この国の戦士として、最前線の先頭に立ち、反乱者の騎士たちに向かって、一気に駆けていく。
だが、腐っても騎士というだけある。歴戦の猛者である衛兵たち、王子や王女である俺たちが率いる、騎士や兵士の入り混じる混合部隊が迫る中であっても、統率を失わずに、親父の首を獲って、反乱を成功させるという決意と覚悟をもって、真正面から駆けてくる。流石の奴らも、事ここに至っては、もう卑劣な手は通用しないと理解したのか、周囲の住民たちに攻撃せず、意識を俺たちに集中させている。
俺たちと、反乱者の騎士たちとの攻防は、とても激しいものとなっていく。俺は、反乱者の騎士たちと刃を交えながらも、城門の周囲に住んでいる住民たちや、不幸にも、この場に居合わせてしまった者たちを、この戦場から遠ざかる様に、声を張り上げて指示を出していく。
そして、激しい攻防を繰り広げていく中、一人、また一人と、反乱者の騎士たちが、地面に倒れこんでいく。互いが互いに、本気で、全力で戦っているので、当然の事だが、少なくない数の負傷者が、双方に出てくる。
だが、数の面においては互角であっても、質の面に関しては、天地ほどの差があった。真正面からぶつかり合い、戦いが始まってから暫く経った後に、反乱者の騎士たちの全てが、致命傷を受けて命を散らしたか、強い衝撃によって気絶している。
「気絶している騎士は、身柄を拘束して捕らえよ‼死者は、たとえ反乱者であったとしても、布で丁寧に包んでやれ‼決して、死者を無下に扱う事は許さん‼皆、よいな‼」(グース)
『ハッ‼』
まだ王都内は、反乱者たちによって、騒がしいままだ。城門での戦後処理を終えた俺たちは、そいつらを叩きのめすために、親父と共に、王都内を駆け巡っていった。
それもそのはずで、親父から告げられた、今回の反乱の黒幕の正体と、それに共感して動いている裏切者どもの動き。黒幕であるクレータの最後は、親父によって語られたが、奴と、奴の息子であるアステロが率いていた、第三騎士団の動向が気になる。
今、こうしている間にも、王都で奴らが反乱を起こしている可能性が高い。そのため、俺たちも、戦士たちも、王都に帰還する事だけを考えて、迅速に行動している。そして、親父が魔物や魔獣を殲滅し、第二波の動きがない事から、親父が先頭に立ち、戦士たちを率いて、王都への帰還を開始する。
「決して焦るな‼移動速度は一定に保て‼いいな、決して焦るなよ‼」(グース)
『了解‼』
親父の冷静になれとの言葉に、俺たちや、戦士たちも頭を冷やして、速度を皆で揃え、軍や騎士団としての統率を忘れずに、ただ黙々と、王都に向けて駆ける。親父にも、兄貴にもパメラ姉さんにも、戦士たちにも、そして俺にも、心の内に不安はある。大切な人たちの安否、友人たちの安否など、心配な事は幾らでもある。
そんな不安を抱きながら、移動し続けた俺たちは、王都の城門に近づいていた。すると、親父の顔に、僅かに怒りが混じる。まさかという思いが、俺の中で溢れ出していく。そして、城門に近づいていく事に、それが耳に聞こえてくる。
「この音‼誰かが戦ってるぞ‼――親父‼」(ザリス)
「――戦闘準備‼反乱者共を、――――打ち倒せ‼」(グース)
『ウォオオオオ――――――‼』
俺たちは、咆哮を上げながら加速し、反乱者である、第三騎士団の連中に向かって、一気に突撃していく。奴らは、我々が国に帰れない様にするために、城門を抑え様としていたのだろう。
だが、城門を守護する者たちは、第一線から退いたとはいえ、騎士団・軍を問わず集めた、歴戦の猛者たちだ。中には、元騎士団団長だったり、山岳方面軍の元少将や、元中将などの経歴を持つ者もいる。様々な理由で一線を退き、城門を守護する衛兵となったが、それでもその強さに、未だ陰りは見えない。
戦況は五分五分。僅かに、騎士団が優勢といったところ。奴らは卑劣な事に、衛兵たちを狙ったように見せかけながら、城門の周囲に暮らしている住民たちに向かって、魔術や魔弾、矢や槍を放っていた。そして、特に腹立たしいのが、戦う力のない、子供や老人に集中して、攻撃されていた。
それは、見る者が見れば、あからさまな程であり、国を、国民を守護する者たちが、行ってよい行動ではない。そして何より腹立たしいのが、その顔に、僅かな笑みが浮かんでいる事だ。つまり彼らは、その行動に対して、愉悦の感情を得ているという事だ。城門に近づいた際に、親父の表情に怒りが混じったのは、これが原因だったか。
「もう諦めて、この場を我々に明け渡せ、古き英雄たちよ‼これは、新たな王になる、偉大なるお方のご命令だ‼――――ハッ‼」(牛人族の騎士)
一人の騎士がそう言いながら、子供を背にして守る、象人族の衛兵に向けて、火属性の魔力を圧縮して生み出した、殺傷力の高い炎の槍を、一気に加速させて放った。象人族の衛兵は、その場から微動だにする事なく、迫り来る炎の槍を、両手で掴もうとする。後ろにいる子供や、その家族であろう母親は、恐怖でその場から動けず、ただただ、迫り来る炎の槍を、見ているしか出来ない。
「先に行く‼」(グース)
親父はそう言って、その場から掻き消える。親父の姿は、次の瞬間には、象人族の衛兵の前に立っており、迫っていた炎の槍を、右手で掴んで止めていた。牛人族の騎士や、その場にいた反乱者の騎士たち、そして、衛兵や住民たちが、数秒の間の後に、それぞれの表情を変える。
住民たちは、誇るべき、強き我らの王が現れたと、安堵と共に、喜びの笑顔に変わる。対する騎士たちは、自分たちの王であるクレータ騎士総長が、自信をもって殺すと宣言したはずの相手が現れた事に、青褪めたり、恐怖したりし、絶望の表情に変わる。
燃え盛る炎の槍が、親父の右手で握り潰されて消える。親父に右手には、火傷の痕どころか、怪我一つ付いてなかった。その事に気付けたのは、俺や兄貴、パメラ姉さんや、歴戦の猛者たちである、衛兵たちのみならず、炎の槍を放った牛人族の騎士、周囲にいる反乱者の騎士たちも、それに気付いてしまった。
そして、反乱者の騎士たちは、それに気付いてしまったからこそ、親父がこの場の誰よりも、新たな王として認めたクレータよりも、圧倒的に格上の存在であるという事を、心の底から認めてしまったのだ。だが、反乱を実際に起こし、既に後に引けない騎士たちは、それを認めてしまってもなお、自分たちの理想の為に、戦いを終わらせる事はない。
「行くぞ‼奴の首を獲れば、我らの理想は成就する‼」(牛人族の騎士)
『応‼』
「させるものか‼皆、行くぞ‼」(象人族の衛兵)
『獣王様を、民たちを、反乱者たちから、――――守護せよ‼』
「俺たちも行くぞ‼遅れるな‼」(アトル)
『我らは、国を守る盾にして、敵を討つ矛なり‼』
親父を、一人で戦わせる事はしない。親父が、圧倒的に格上の存在であり、一人でも、反乱者の騎士たちを倒せるとしても、親父に全てを任せて傍観している程、俺たちは、根性なしの戦士じゃねぇ。親父一人の力ではなく、俺たち全員の力で国を守ってこそ、この国の戦士であると、心の底から誇れるのだ。
俺・兄貴・パメラ姉さんの三人は、何を言うまでもなく、親父の息子・娘として、この国の戦士として、最前線の先頭に立ち、反乱者の騎士たちに向かって、一気に駆けていく。
だが、腐っても騎士というだけある。歴戦の猛者である衛兵たち、王子や王女である俺たちが率いる、騎士や兵士の入り混じる混合部隊が迫る中であっても、統率を失わずに、親父の首を獲って、反乱を成功させるという決意と覚悟をもって、真正面から駆けてくる。流石の奴らも、事ここに至っては、もう卑劣な手は通用しないと理解したのか、周囲の住民たちに攻撃せず、意識を俺たちに集中させている。
俺たちと、反乱者の騎士たちとの攻防は、とても激しいものとなっていく。俺は、反乱者の騎士たちと刃を交えながらも、城門の周囲に住んでいる住民たちや、不幸にも、この場に居合わせてしまった者たちを、この戦場から遠ざかる様に、声を張り上げて指示を出していく。
そして、激しい攻防を繰り広げていく中、一人、また一人と、反乱者の騎士たちが、地面に倒れこんでいく。互いが互いに、本気で、全力で戦っているので、当然の事だが、少なくない数の負傷者が、双方に出てくる。
だが、数の面においては互角であっても、質の面に関しては、天地ほどの差があった。真正面からぶつかり合い、戦いが始まってから暫く経った後に、反乱者の騎士たちの全てが、致命傷を受けて命を散らしたか、強い衝撃によって気絶している。
「気絶している騎士は、身柄を拘束して捕らえよ‼死者は、たとえ反乱者であったとしても、布で丁寧に包んでやれ‼決して、死者を無下に扱う事は許さん‼皆、よいな‼」(グース)
『ハッ‼』
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